ララ様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します
陶芸初心者です。
近江グレー土に、海外の白い釉薬を塗って酸化焼成1240℃で焼いたところ、い
つもは白い釉薬が水色になっていました。なぜ水色になったのかが知りたて答
えを探してるうちにこちらへ辿り着きました。
近江グレー土のどんな成分と、釉薬のどんな成分が反応したのか…
この白い釉薬にはどんな原料が使われていてなぜ水色になったのか…
どんな事でも構いませんのでご教示いただけたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願い致します。
明窓窯より
焼成の熱源が記されていませんので、想像して記します。
1) 近江グレー土は、鉄分などを多く含む土です。
酸化焼成との事ですが、一部還元焼成に成った可能性は無いですか?
鉄は酸化焼成では、茶色や黄色等を発色する事が多いのですが、還元焼成で
は水色や緑色に発色する事もあります。
今回初めて水色に成ったとゆう事ですか? 以前と何か変わった事は在りま
せんか?
例えば、いつもよりも焼成温度が高かったり、焼成時間が長かったり、又は
作品の傍に他の色の釉を掛けた作品があったりした場合です。
織部釉の様な銅を使った釉の場合、窯の中で銅が揮発し、傍の作品に添加し
て色が付いて仕舞う事も有ります。
銅は基本的には緑色や赤ですが、水色に近い色に成る事も有ります。
2)又、海外の白い釉と反応して発色する事も有ります。
白い釉と有りますが、それは生の釉が白いことですか?
(大抵の釉は生の状態では白いものですが。)
それとも焼き上がりが白く発色する釉との事ですか?
多分後者の事と思われます。白色にも色々あります。乳白系マット系や素
地が白色であれば、透明釉でも焼き上がりは白くなります。
3) 海外の釉なら石灰系と思われます。
(我が国では、灰系の釉も有ります。)
多くの場合、我が国でもメーカーは釉の成分は秘密ですので、何が入って
いるかは判りません。
但し焼き上がり見本は有るはずで、あなた様もこの見本を見て購入したの
ではないですか?その際、どの素地に施釉したのかは不明ですが、釉には
水色が出ていなかったのですね。
だとしたら、多分素地と反応した物と思われます。
4) 他の粘土で試す事です。
なるべく鉄分の少ない(志野土など)白い土で試みて下し、それで水色が
出ないなら、素地(近江グレー土)が原因かも知れません。
又、焼成に問題が有るとしたら、窯詰めの場所を変え試す事です。
5) 作品を見る状態に拠っても色が付いた様に見れる事が有ります。
即ち、表面の反射光に拠って色が付いた様に見える事です。
特に、釉が厚く成り過ぎすたり逆に薄過ぎる場合にも、起こります。
時々見られる現象です。
以上 参考にして頂ければ幸いです。
家で一人で作っています。これまでは市販の釉薬を使ってきましたが、
少し勉強しましたが、難しくてよく理解できません。
作りたいのは、焦げ茶で少し紫がかったマット釉です。
釉薬の調合は一筋縄ではいかないことは理解していますが、もし、比較
紫がかっていなくても、焦げ茶のマット釉でもかまいません。
無理なお願いで恐縮ですが、よろしくお願いします。
◎ 明窓窯より
御自分で調合して、独自の釉を作り出すには意外と簡単では有りません。
しかし、ご質問の解決方法として、今手持ちの釉に好みの色を付ける方法も有りますので、
その方法を試すのが、最も簡単だと思います。
例えば市販のマット系の釉(白、透明、青銅マットなど)に下絵付け用の呉須(ゴス=コバルトを含む鉱物)を
添加すると、添加量によって淡い紫色~濃い紫色(紺色)掛かった釉を作る事が出来ます。
又下絵付け用の鬼板(オニイタ=酸化鉄を含む鉱物)や黄土、各種の酸化鉄(弁柄や鉄さび)等を
添加すれば、添加量により、淡い茶色~濃い茶色(又は焦げ茶)の釉を作る事も可能です。
尚、呉須と鬼板を同時に添加しても、ほとんど問題は無いと思われます。
又、釉に各種の金属(銅、亜鉛、マンガン、チタン、スズその他)を添加すると
緑色や黄色、グレーなど思わぬ釉が出来る可能性が有ります。(場合に拠っては結晶釉になる)
これらの金属類は陶芸材料店や通販などで入手可能です。
但し、当初は割高であっても、最小量を購入すべきです。(1回に使用する量はわずかです)
好みの色が出るまでは、数回~数十回の試行錯誤が必要に成るでしょう。
◎ 仮に、ご自分独自の釉をご希望ならば、まずマット等の基礎釉の調合をしてから色釉に
挑戦して下さい。
以上、参考にして頂ければ有難いです。