3) 使う素地(粘土)を選ぶ。
陶芸では粘土類(又は磁土)が素材になりますが、どの粘土類を使うかによって作品
の出来具合が大きく異なります。粘土類は産地による性質の違いの他、焼き上がりの
色や肌理の粗さ、即ち手触りも異なります。又大物と小物の違いの他、繊細で綺麗
に仕上がる物、荒々しい(無骨な)作品に仕上げたい場合など、作者の要求に答える
素材でなければなりません。交通の発達していない少し前まででしたら、地元から
産出する素材を使う事がしか出来ませんでしたが、現在では各地の素材を陶芸材料店
等で、容易に入手可能になりましたので、自由に選ぶ事ができます。
又、各地の素地をブレンドして、ご自分の好みの素地を作る事が出来る様にも成り
ました。ある意味選択の余地が増え、選ぶのが大変化も知れません。
① 素地を選ぶ基準。
ⅰ) 作り易く入手が容易な素地を選ぶ。
作り易さは、前にお話しした様に、手捻りと電動轆轤によっても違いが有りますが
両方に向いた素材も存在します。著名なほとんどの素地は、陶芸材料店で入手可能
ですが、その産地でも産出量が少なく、ほとんど入手できない物も存在します。
又産出量の少ない素地では、特性を合わせる為に、幾つかの素地を混ぜ合わせた
合成土も存在します。 カタログ上で説明のある物と、無い物もあります。
ⅱ) 値段の安い物を選ぶ。(安価だから悪い粘土であると言う事は有りません)
各メーカーのカタログやネットで値段等も知る事が出来ます。
産出量も多く、比較的に安価な土に、信楽の土があり一番多く利用されています。
信楽の土は、色の白い物から、色の濃い赤土、大物用、轆轤用、肌理の細かい物
から肌理の粗い物(ハゼ石を含む物)まで、種類も豊富に存在します。
最小量もメーカーによって、1~2,5,20,30kgと、取り揃えてあります。
その他、希少な土や入手困難な素地は、単価も高くなります。
勿論、手に入らない粘土も存在します。
ⅲ) 素地の焼き上がりの色で選ぶ。
焼き上がりの素地の色は、釉との関係で見た目も印象が変わります。即ち濃い色の
素地では、釉の色も地味に仕上がります。又、下絵を付ける場合にも、白い素地を
使用しないと、模様もはっきり出ません。白化粧土で搔き落としの技法を採る際は
赤土など、色の濃い土を選ぶと良いでしょう。
ⅳ) 大物用又は細工物用に適するかで選ぶ。(肌理の細かさ、粗さで選ぶ。)
大物用は素地の粗い物を、細工物では肌理の細かい物を使用します。
粗い素地は乾燥や焼成で、収縮率は比較的小さく、肌理の細かい素地は収縮率は
大きくなります。尚、収縮率が大きい事は縮む量も大きく成り、作品の割れが多い
事を意味します。
ⅴ) その他、釉及び化粧土の載りの良さで選ぶ。
素地と釉との相性が悪く、上手に施釉出来ない(釉が剥がれる、禿げる)場合いも
あり、同様に化粧土を掛けたり、粉引(化粧土を生掛けする)に適さない素地も
存在しますので、目的に合った素地を選ぶ必要が有ります。
ⅵ) 自分で見つけた土を使う。
但し、実際に使用できるまでには、多くの試練が存在します。
陶芸に適しているとは限りませんので、実際に作陶し扱い易いかを調べ、更に
施釉して試し焼きをし、限界焼成温度を見極めたり縮率を調べる必要があります。
多くの場合単味では使えない場合が多いですので、他の粘土を混ぜて使用する事が
多いです。
尚、粘土種類多く、どうしても多くの種類を試したくなりますが、多く集める程手間も
増え、作業も煩雑になりますので、常に使粘土は3~5種類程に絞るのが良いと思われ
ます。長い間使用しないと粘土が固まり、使う際に苦労ます。
4) 土を練る。
以下次回に続きます。