前回まで述べて来た茶碗は、中国からもたらされた物ですが、次は朝鮮から輸入された、作品です。
国宝 大井戸茶碗 銘 喜左衛門
高麗(こうらい)茶碗の中でも、最も有名な茶碗です。
井戸の名は、奈良興福寺の井戸氏所持の、当時評判の茶碗があり、そこから起こたと言われています。
大井戸の名は、他の井戸茶碗よりも、大振りである為、付けられた名です。
1) 井戸茶碗の特徴
① 素地は、赤褐色の粘りの有る土です。
② 貫入の有る、枇杷(びわ)色の釉が、全体に掛かり、(高台裏にも)「土見ず」に成って
います。釉溜りの部分は、白っぽく不透明な色です。
脇から高台にかけて、素地がざらつき、釉が十分熔けきらず、粒粒の縮れがあり、これを
梅花皮(かいらぎ)と言い、井戸の大きな、見所と成っています。
③ 作りは、やや厚めで、荒い轆轤目が4~5段あり、高台も高く、力強くがっちりしています。
④ 見込みは深く、碗型をしています。茶溜りには、重ねて焼いた時の、「目跡(めあと)」が
5~6個付いており、これも大事な、見所(景色=けしき)に成っています。
⑤ 「脇取」と言い、高台脇が、大きくヘラで、削られています。
高台は、竹の節状に削り取、高台内の中央には、兜布(ときん)と呼ばれる、突起があります。
2) 国宝 大井戸茶碗
① 本多能登守忠義が、所持していたので、「本多井戸」とも呼ばれますが、最初の持ち主である、
大阪の町人、竹田喜左衛門の名を採り、「喜左衛門井戸」の方が、世に知られています。
② 轆轤目が強く出た、高めの「竹の節高台」で、貫入のある、枇杷色の釉が、全面に掛かり、釉の
縮れによる、高台の梅花皮(かいらぎ)も見事に、出ています。
③ 大きさは、 高さ 9.1cm、 口径 15.5cm、 高台径 5.5cm
④ 16世紀の、李(り)朝時代の、朝鮮半島で焼成されたもので、高麗茶碗の一種です。
民衆の日用雑器として、作られた物が、「わび」の美意識に最も適う、茶碗に見立てられ、わが
国の、茶の湯の道具に、使用されてました。
⑤ 京都、大徳寺孤蓬(こほう)庵の所蔵です。
3) その他の、井戸茶碗
井戸茶碗は、大井戸、小井戸(古井戸)、青井戸、井戸脇などの、種類に分類されています。
① 国宝の「喜左衛門井戸」と、「筒井筒井戸」と、「細川井戸」とを『天下の三名碗』といい、
「喜左衛門」と「細川」、「加賀」とで『天下の三井戸』とも言うそうです。
「加賀井戸」は、青味を帯びた釉調に、鼠色のしみが、むら雲のような、景色を作っています。
この茶碗を、松平不眛公が五千両で買い、「天下の三井戸」は一時、全て不眛公の所持と
成ります。
② 「筒井筒井戸」茶碗 朝鮮李朝前期
口径 14.5cm 高台径 4.7cm 高さ 7.9cm
もと筒井順慶が、持っていた、深めの茶碗で、「筒井の筒茶碗」と言われいています。
筒井順慶~豊臣秀吉~京都毘沙門堂~金沢嵯峨家~個人蔵(金沢市)
③ その他の主な、井戸茶碗
) 井戸茶碗(柴田) 重要文化財 李朝 根津美術館
柴田勝家が、織田信長から、拝領したと言う事で、井戸の名を、最初に高めた茶碗としても、
有名です。
) 井戸茶碗(越後) 口径 15cm 長尾美術館蔵
) 井戸茶碗(細川)
細川忠興(三斎)~伊達家~冬木喜平次~松平不昧~松平月漂~松平直亮~畠山一清~
畠山記念館
) 大井戸茶碗 銘 有楽(うらく) 高 9.1cm、 口径 15.0 cm、 底径 5.5cm
織田有楽斎~紀伊国屋文左衛門~仙波太郎左衛門~伊集院兼常~藤田香雪~松永安左エ門
東京国立博物館、重要美術品 松永安左エ門氏寄贈
織田信長の弟、有楽斎が所持していたところから、「有楽」の銘が付きました。
優美な大井戸で,ゆるりとした曲線美は、女性的であり,赤みを含んだ、枇杷色の釉薬も、
しめやかです。
高台際の、長石釉の梅花皮も、整って穏やかで、豪放な、喜左衛門井戸とは、対照的な
作風です。
以下次回に続きます。
国宝大井戸茶碗 銘喜左衛門
国宝 大井戸茶碗 銘 喜左衛門
高麗(こうらい)茶碗の中でも、最も有名な茶碗です。
井戸の名は、奈良興福寺の井戸氏所持の、当時評判の茶碗があり、そこから起こたと言われています。
大井戸の名は、他の井戸茶碗よりも、大振りである為、付けられた名です。
1) 井戸茶碗の特徴
① 素地は、赤褐色の粘りの有る土です。
② 貫入の有る、枇杷(びわ)色の釉が、全体に掛かり、(高台裏にも)「土見ず」に成って
います。釉溜りの部分は、白っぽく不透明な色です。
脇から高台にかけて、素地がざらつき、釉が十分熔けきらず、粒粒の縮れがあり、これを
梅花皮(かいらぎ)と言い、井戸の大きな、見所と成っています。
③ 作りは、やや厚めで、荒い轆轤目が4~5段あり、高台も高く、力強くがっちりしています。
④ 見込みは深く、碗型をしています。茶溜りには、重ねて焼いた時の、「目跡(めあと)」が
5~6個付いており、これも大事な、見所(景色=けしき)に成っています。
⑤ 「脇取」と言い、高台脇が、大きくヘラで、削られています。
高台は、竹の節状に削り取、高台内の中央には、兜布(ときん)と呼ばれる、突起があります。
2) 国宝 大井戸茶碗
① 本多能登守忠義が、所持していたので、「本多井戸」とも呼ばれますが、最初の持ち主である、
大阪の町人、竹田喜左衛門の名を採り、「喜左衛門井戸」の方が、世に知られています。
② 轆轤目が強く出た、高めの「竹の節高台」で、貫入のある、枇杷色の釉が、全面に掛かり、釉の
縮れによる、高台の梅花皮(かいらぎ)も見事に、出ています。
③ 大きさは、 高さ 9.1cm、 口径 15.5cm、 高台径 5.5cm
④ 16世紀の、李(り)朝時代の、朝鮮半島で焼成されたもので、高麗茶碗の一種です。
民衆の日用雑器として、作られた物が、「わび」の美意識に最も適う、茶碗に見立てられ、わが
国の、茶の湯の道具に、使用されてました。
⑤ 京都、大徳寺孤蓬(こほう)庵の所蔵です。
3) その他の、井戸茶碗
井戸茶碗は、大井戸、小井戸(古井戸)、青井戸、井戸脇などの、種類に分類されています。
① 国宝の「喜左衛門井戸」と、「筒井筒井戸」と、「細川井戸」とを『天下の三名碗』といい、
「喜左衛門」と「細川」、「加賀」とで『天下の三井戸』とも言うそうです。
「加賀井戸」は、青味を帯びた釉調に、鼠色のしみが、むら雲のような、景色を作っています。
この茶碗を、松平不眛公が五千両で買い、「天下の三井戸」は一時、全て不眛公の所持と
成ります。
② 「筒井筒井戸」茶碗 朝鮮李朝前期
口径 14.5cm 高台径 4.7cm 高さ 7.9cm
もと筒井順慶が、持っていた、深めの茶碗で、「筒井の筒茶碗」と言われいています。
筒井順慶~豊臣秀吉~京都毘沙門堂~金沢嵯峨家~個人蔵(金沢市)
③ その他の主な、井戸茶碗
) 井戸茶碗(柴田) 重要文化財 李朝 根津美術館
柴田勝家が、織田信長から、拝領したと言う事で、井戸の名を、最初に高めた茶碗としても、
有名です。
) 井戸茶碗(越後) 口径 15cm 長尾美術館蔵
) 井戸茶碗(細川)
細川忠興(三斎)~伊達家~冬木喜平次~松平不昧~松平月漂~松平直亮~畠山一清~
畠山記念館
) 大井戸茶碗 銘 有楽(うらく) 高 9.1cm、 口径 15.0 cm、 底径 5.5cm
織田有楽斎~紀伊国屋文左衛門~仙波太郎左衛門~伊集院兼常~藤田香雪~松永安左エ門
東京国立博物館、重要美術品 松永安左エ門氏寄贈
織田信長の弟、有楽斎が所持していたところから、「有楽」の銘が付きました。
優美な大井戸で,ゆるりとした曲線美は、女性的であり,赤みを含んだ、枇杷色の釉薬も、
しめやかです。
高台際の、長石釉の梅花皮も、整って穏やかで、豪放な、喜左衛門井戸とは、対照的な
作風です。
以下次回に続きます。
国宝大井戸茶碗 銘喜左衛門