象嵌技術は、10世紀頃に出現し、11世紀後半より、盛んに製作される様になります。
更に、12~13世紀に、絶頂期を迎えます。
初期の象嵌青磁は、皿の一部に、写実的な象嵌模様が描かれ、陰刻や陽刻で表されている部分に、
施されていました。
象嵌最盛期には、器の全体又は、内側にも施され、写実的文様から、図式的に様式化していきます。
1) 象嵌(ぞうがん)とは
成形した作品の表面に、凹みを作り、異なった色土を詰め、凹み通りの模様を付ける方法です。
① 作品はやや厚めに作ります。文様を深く彫る為と、表面を一皮削る為です。
② 切れる刃物や、鋭く尖った釘などを使い、深く線彫します。(溝が浅いと、綺麗な文様がでません。)
特に、切り口が丸くならない様に、エッジを立てる様にすると、文様が綺麗に仕上がります。
③ この溝に、やや硬めの白泥や色泥を、埋めます。
) 泥の収縮率は、胎土と同じように調整します。収縮率に違いがあると、乾燥時や焼成時に、
文様との間に、「ひび」が入ります。
) 文様を引き立てる為には、素地の色と、泥の色の対比が大切です。
なるべく、差を大きくして、鮮明差をだします。
) 泥はスポイトなどを使い、搾り出す様にして、塗り込みます。溝から「はみ出す」様にします。
しばらくすると、泥が固まり、溝が現れますので、再度泥を塗り込め、盛り上がる様にします。
場合によっては、この行為を数度繰り返す事も、稀ではありません。
④ 水気が引いたならば、竹へらで摺りこむ様にします。圧を掛ける事により、溝の中まで、隙間無く
泥で埋める為と、文様自体に「ひび」が入らない様にする為です。
⑤ 表面をカンナで削り、文様を出します。
文様の彫に、逆らわずに、丁寧に削らないと、文様が崩れます。
轆轤では、綺麗に削れない場合も有りますので、その際には手作業で削ります。
2) 雲鶴(うんかく)青磁
象嵌青磁の中でも、雲鶴文様は、好んで用いられていました。
鶴は鳥類の長として、長寿の象徴であると供に、栄耀栄華と富貴を願う、図でもあります。
① 初期には、雲と鶴が斑(まだら)に配置され、余白を多く残していましたが、次第に一定の図案に
成っていきます。
即ち、上昇(飛翔)する鶴、水平飛行する鶴、下降する鶴が適宜配置され、その間に雲が描かれて
います。
② 雲鶴青磁では、白泥と黒泥が使われています。
即ち、雲と鶴の本体(頭、頸、翼)は白泥を使い、嘴(くちばし)と脚は黒泥を使っています。
又、丸い円内に鶴が描かれている場合には、白い丸の内側に黒い線の丸が、描かれています。
③ 作品としては、梅瓶(めいぴん)が、有名で、年号など、銘文が記された物も多いです。
この為、製作年代が判明し、技術史など、大いに参考になっています。
(口縁が短く細く、その真下より大きく膨らみ、球形になり、下部に行くに従い細く、更に裾が
やや広く成た形をしています。)
3) 青磁釉の調合は、長石系の釉で、暗緑色、緑色、黄褐色、緑褐色など、色の数は多いですが、
釉薬に、3%程度の鉄分と、少量のマンガンとチタンを、添加しています。
翡青磁は、マンガン>チタンの時、現れ易いとの事で、緑青磁では、マンガン<チタンと
成るそうです。
4) その他の青磁
① 象嵌青磁は、雲鶴文様以外にも、色々な文様があります。
牡丹(ぼたん)文、鳳凰文、唐草文、葡萄文、柳文、柳蓮文、柳蓮花文その他です。
② 青磁瓦(屋根瓦): 窯址から発掘される瓦片は、完成期の翡色釉よりも、明るくなっていました。
③ 金彩青磁:13世紀後半に成ると、作品は大型化し、図案も複雑化して、派手に成ってきます。
金彩青磁は、象嵌文の外郭線を、鋭利に彫り込み、そこに金を挿入した物と、思われています。
以下次回に続きます。
更に、12~13世紀に、絶頂期を迎えます。
初期の象嵌青磁は、皿の一部に、写実的な象嵌模様が描かれ、陰刻や陽刻で表されている部分に、
施されていました。
象嵌最盛期には、器の全体又は、内側にも施され、写実的文様から、図式的に様式化していきます。
1) 象嵌(ぞうがん)とは
成形した作品の表面に、凹みを作り、異なった色土を詰め、凹み通りの模様を付ける方法です。
① 作品はやや厚めに作ります。文様を深く彫る為と、表面を一皮削る為です。
② 切れる刃物や、鋭く尖った釘などを使い、深く線彫します。(溝が浅いと、綺麗な文様がでません。)
特に、切り口が丸くならない様に、エッジを立てる様にすると、文様が綺麗に仕上がります。
③ この溝に、やや硬めの白泥や色泥を、埋めます。
) 泥の収縮率は、胎土と同じように調整します。収縮率に違いがあると、乾燥時や焼成時に、
文様との間に、「ひび」が入ります。
) 文様を引き立てる為には、素地の色と、泥の色の対比が大切です。
なるべく、差を大きくして、鮮明差をだします。
) 泥はスポイトなどを使い、搾り出す様にして、塗り込みます。溝から「はみ出す」様にします。
しばらくすると、泥が固まり、溝が現れますので、再度泥を塗り込め、盛り上がる様にします。
場合によっては、この行為を数度繰り返す事も、稀ではありません。
④ 水気が引いたならば、竹へらで摺りこむ様にします。圧を掛ける事により、溝の中まで、隙間無く
泥で埋める為と、文様自体に「ひび」が入らない様にする為です。
⑤ 表面をカンナで削り、文様を出します。
文様の彫に、逆らわずに、丁寧に削らないと、文様が崩れます。
轆轤では、綺麗に削れない場合も有りますので、その際には手作業で削ります。
2) 雲鶴(うんかく)青磁
象嵌青磁の中でも、雲鶴文様は、好んで用いられていました。
鶴は鳥類の長として、長寿の象徴であると供に、栄耀栄華と富貴を願う、図でもあります。
① 初期には、雲と鶴が斑(まだら)に配置され、余白を多く残していましたが、次第に一定の図案に
成っていきます。
即ち、上昇(飛翔)する鶴、水平飛行する鶴、下降する鶴が適宜配置され、その間に雲が描かれて
います。
② 雲鶴青磁では、白泥と黒泥が使われています。
即ち、雲と鶴の本体(頭、頸、翼)は白泥を使い、嘴(くちばし)と脚は黒泥を使っています。
又、丸い円内に鶴が描かれている場合には、白い丸の内側に黒い線の丸が、描かれています。
③ 作品としては、梅瓶(めいぴん)が、有名で、年号など、銘文が記された物も多いです。
この為、製作年代が判明し、技術史など、大いに参考になっています。
(口縁が短く細く、その真下より大きく膨らみ、球形になり、下部に行くに従い細く、更に裾が
やや広く成た形をしています。)
3) 青磁釉の調合は、長石系の釉で、暗緑色、緑色、黄褐色、緑褐色など、色の数は多いですが、
釉薬に、3%程度の鉄分と、少量のマンガンとチタンを、添加しています。
翡青磁は、マンガン>チタンの時、現れ易いとの事で、緑青磁では、マンガン<チタンと
成るそうです。
4) その他の青磁
① 象嵌青磁は、雲鶴文様以外にも、色々な文様があります。
牡丹(ぼたん)文、鳳凰文、唐草文、葡萄文、柳文、柳蓮文、柳蓮花文その他です。
② 青磁瓦(屋根瓦): 窯址から発掘される瓦片は、完成期の翡色釉よりも、明るくなっていました。
③ 金彩青磁:13世紀後半に成ると、作品は大型化し、図案も複雑化して、派手に成ってきます。
金彩青磁は、象嵌文の外郭線を、鋭利に彫り込み、そこに金を挿入した物と、思われています。
以下次回に続きます。