陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
1) 全体の手順
④ 底削りの手順
ⅴ) 底削りの仕方。
イ) 高台の種類。
ロ) 削りの実際。
・ 削り出す前に、出来れば、削る周辺の肉厚を把握しておく事が大切です。
・ 高台の種類と大きさ(高台の外形)を決めます。
・ 逆さに伏せた底面を平らに削ります。
・ 底の中心を少し凹ませます。
・ 高台の外形を針等で丸く描きます。
・ カンナの刃の動かせ方に決りは有りません。
・ 一番削りかす(滓)が出る位置でカンナを使う事。 以上迄が前回の話です。
・ 轆轤の回転速度は、最初は遅く綺麗な円が出たらスピードアップする。
削り出す作品の底周辺は、凹凸が有るのが普通です(中心が出ていない事も一つの原因です)
この段階で回転を早くすると、カンナの刃が出っ張った部分に強く食い込み、作品を大きく
傷付けたり、最悪作品を轆轤上から転落させたりしてしまいます。そこで回転を遅くし少し
ずつ削り、底周辺が綺麗な円に成ってから、スピードアップすると安全です。
・ 綺麗な円が出たら、大胆に削ります。
底周辺は思っている以上に肉厚の場合が多いです(特に初心者の場合)。その為慎重に少し
づつ削ると時間が掛過ぎますので、削り始めは大胆に削り、肉厚が薄くなるに従い、削り量
を少なくして行きます。即ち、仕上げで少しづつ削る事になります。
高台の外径の罫書(けがき)線まで削ったら、高台の種類によって削る方法が異なります。
・ 輪高台の場合には、高台脇を削り凸状態に削り出します。
削り出す量は最低でも5mm程度が必要です。この値は高台を持って施釉する為に必要な数値
です。削った後高台が指で掴める事を確認します。又高台脇が斜め状の場合には、指が滑って
しまいますので、出来れば垂直に又は高台付け根が狭い(撥=ばち)様に削ります。
外側が削り終えたら、高台の内側を削ります。高台の内側の壁は垂直よりも根元部分が広い
台形状が望ましいです。これは汚れが内側角に溜まった際、洗浄し易くする為です。
高台内を水平に削る場合と、中央をやや高く削る場合があります。後者を兜 巾(ときん)と
呼び、抹茶々碗に多く見られる削り方です。
一般的には高台の縁は均等に削りますが、三日月高台の様に、一方が幅広、一方が巾狭と
不均一に削る場合あります。即ち、外側とは異なる位置に移動し中心をづらす事により削り
出せます。尚、割り高台や切高台は輪高台を完成した後、ナイフやカンナで高台の一部を
切り取ります。切る数も好みに応じて、1~5箇所位です。
・ 碁笥底高台の場合は、高台内側のみを削る事に成り、外側に段差を設けません。
尚、外側を削る事で形を整えたり、作品を軽くする事が出来ます。
削り方は上記輪高台の場合と同じです。
・ ベタ高台の場合には、ここで削り作業を終えます。 但し、底の角部分は面取りし作品の
割れ(ヒビ)を防ぎ、更には作品を床から少し浮き上がらせ、軽見せる効果もありますので
やや大きく面取りする場合もあります。
・ 作品の高さ方向は、どの位まで削れば良いか。
背の低い作品は多くは削れませんが、背の高い作品は比較的高くまで削れます。但し、
削ると言う事は径が細くなる事で、形もどんどん変化します。又、轆轤目なども削り取る
事になりますので、残したい場合には、削る範囲も限定されます。
・ 削る事は作品の表面に「ザラルキ」を与える事(肌を荒らす事)になります。
特に目の粗い土を使うと顕著です。この事は男性的で力強さを演出しますので、好む方も
多いですが、嫌う場合には同じ土のドベ(泥)を塗りこ込むと、表面の「ザラツキ」を少なく
する効果があります。
・ 肉の厚みは表面を指で弾いて、その音の高さで判断できます。(但し初心者では音を聞き
分け難いです。)人差し指又は中指の爪側で作品の表面を弾き、「コツコツ」と高い音の
場合には肉厚です。「ベタベタ」と低い音の場合には、肉厚が薄くなっています。但し高台
内、高台内、胴体部分によっても、音色に差が出ます。何度も聞いて耳を鍛える事が大切
です。
・ 最後は確認作業です。
確認は轆轤上にある間に行います。一度轆轤上より移動してしまうと、再度同じ位置に作品
をセットするのが難しくなります。取り上げると必ず移動しますので同心円状に削れなく
なります。確認作業は、主に作品表面の傷や全体の形です。爪跡やカンナの傷跡が有る場合
には削り取る事が基本ですが、あえてカンナの傷跡を残す場合もあります。全体の形とは
作品側面のカーブです。目で確認するよりも、轆轤を回転させ作品の表面を、指や掌で撫ぜ
ると形が判ります。
・ 止め土を取り除いて作品を轆轤上より取り除く。
止め土部分三箇所(二箇所でも良い)を針で上下に切断します。作品側に張り付いた止め土
(上側)を取り除きます。下側は轆轤やシッタに張り付いたままです。
注意点は、針で切断する際、作品を傷つけない事です。その為に作品よりやや離した場所を
切断します。作品側に止め土が残っている場合には、「竹へら」等で取り除きます。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
1) 全体の手順
④ 底削りの手順
ⅴ) 底削りの仕方。
イ) 高台の種類。
ロ) 削りの実際。
・ 削り出す前に、出来れば、削る周辺の肉厚を把握しておく事が大切です。
・ 高台の種類と大きさ(高台の外形)を決めます。
・ 逆さに伏せた底面を平らに削ります。
・ 底の中心を少し凹ませます。
・ 高台の外形を針等で丸く描きます。
・ カンナの刃の動かせ方に決りは有りません。
・ 一番削りかす(滓)が出る位置でカンナを使う事。 以上迄が前回の話です。
・ 轆轤の回転速度は、最初は遅く綺麗な円が出たらスピードアップする。
削り出す作品の底周辺は、凹凸が有るのが普通です(中心が出ていない事も一つの原因です)
この段階で回転を早くすると、カンナの刃が出っ張った部分に強く食い込み、作品を大きく
傷付けたり、最悪作品を轆轤上から転落させたりしてしまいます。そこで回転を遅くし少し
ずつ削り、底周辺が綺麗な円に成ってから、スピードアップすると安全です。
・ 綺麗な円が出たら、大胆に削ります。
底周辺は思っている以上に肉厚の場合が多いです(特に初心者の場合)。その為慎重に少し
づつ削ると時間が掛過ぎますので、削り始めは大胆に削り、肉厚が薄くなるに従い、削り量
を少なくして行きます。即ち、仕上げで少しづつ削る事になります。
高台の外径の罫書(けがき)線まで削ったら、高台の種類によって削る方法が異なります。
・ 輪高台の場合には、高台脇を削り凸状態に削り出します。
削り出す量は最低でも5mm程度が必要です。この値は高台を持って施釉する為に必要な数値
です。削った後高台が指で掴める事を確認します。又高台脇が斜め状の場合には、指が滑って
しまいますので、出来れば垂直に又は高台付け根が狭い(撥=ばち)様に削ります。
外側が削り終えたら、高台の内側を削ります。高台の内側の壁は垂直よりも根元部分が広い
台形状が望ましいです。これは汚れが内側角に溜まった際、洗浄し易くする為です。
高台内を水平に削る場合と、中央をやや高く削る場合があります。後者を兜 巾(ときん)と
呼び、抹茶々碗に多く見られる削り方です。
一般的には高台の縁は均等に削りますが、三日月高台の様に、一方が幅広、一方が巾狭と
不均一に削る場合あります。即ち、外側とは異なる位置に移動し中心をづらす事により削り
出せます。尚、割り高台や切高台は輪高台を完成した後、ナイフやカンナで高台の一部を
切り取ります。切る数も好みに応じて、1~5箇所位です。
・ 碁笥底高台の場合は、高台内側のみを削る事に成り、外側に段差を設けません。
尚、外側を削る事で形を整えたり、作品を軽くする事が出来ます。
削り方は上記輪高台の場合と同じです。
・ ベタ高台の場合には、ここで削り作業を終えます。 但し、底の角部分は面取りし作品の
割れ(ヒビ)を防ぎ、更には作品を床から少し浮き上がらせ、軽見せる効果もありますので
やや大きく面取りする場合もあります。
・ 作品の高さ方向は、どの位まで削れば良いか。
背の低い作品は多くは削れませんが、背の高い作品は比較的高くまで削れます。但し、
削ると言う事は径が細くなる事で、形もどんどん変化します。又、轆轤目なども削り取る
事になりますので、残したい場合には、削る範囲も限定されます。
・ 削る事は作品の表面に「ザラルキ」を与える事(肌を荒らす事)になります。
特に目の粗い土を使うと顕著です。この事は男性的で力強さを演出しますので、好む方も
多いですが、嫌う場合には同じ土のドベ(泥)を塗りこ込むと、表面の「ザラツキ」を少なく
する効果があります。
・ 肉の厚みは表面を指で弾いて、その音の高さで判断できます。(但し初心者では音を聞き
分け難いです。)人差し指又は中指の爪側で作品の表面を弾き、「コツコツ」と高い音の
場合には肉厚です。「ベタベタ」と低い音の場合には、肉厚が薄くなっています。但し高台
内、高台内、胴体部分によっても、音色に差が出ます。何度も聞いて耳を鍛える事が大切
です。
・ 最後は確認作業です。
確認は轆轤上にある間に行います。一度轆轤上より移動してしまうと、再度同じ位置に作品
をセットするのが難しくなります。取り上げると必ず移動しますので同心円状に削れなく
なります。確認作業は、主に作品表面の傷や全体の形です。爪跡やカンナの傷跡が有る場合
には削り取る事が基本ですが、あえてカンナの傷跡を残す場合もあります。全体の形とは
作品側面のカーブです。目で確認するよりも、轆轤を回転させ作品の表面を、指や掌で撫ぜ
ると形が判ります。
・ 止め土を取り除いて作品を轆轤上より取り除く。
止め土部分三箇所(二箇所でも良い)を針で上下に切断します。作品側に張り付いた止め土
(上側)を取り除きます。下側は轆轤やシッタに張り付いたままです。
注意点は、針で切断する際、作品を傷つけない事です。その為に作品よりやや離した場所を
切断します。作品側に止め土が残っている場合には、「竹へら」等で取り除きます。
以下次回に続きます。