1) 急須を作る: 「茶注」と書いて、「きゅうす」と読む場合もあります。
急須と言えば、常滑の赤茶色の朱泥が有名です。
中国から輸入された朱泥土を参考にして、鉄分の多い常滑の赤土から、初代山田常山氏が
朱泥焼きを完成させたとの事です。
朱泥の他に鉄、銅、マンガンなどの金属を含み、赤紫や黒紫に焼きあがる紫泥(しでい)の急須も
あります。
朱泥や紫泥の最高焼成温度が1100℃と、他の作品の1230~1250℃に比べてかなり低温で
焼成されています。
轆轤挽きで急須を作る際には、いつも使用している一般の土を使う事を薦めます。
急須を量産するのであれば、特別の土を使う事のありますが、1~2個の急須を作るのであれば
焼成温度が一緒の土を使う方が、手間が省けます。
又、取っ手が横に付けた横手、注ぎ口と反対方向に付けた後手、取っ手の無い物を宝瓶、
注ぎ口が小さく細い絞り出しなどの形があります。 一般的には横手の形が多いです。
数挽きの要領で、胴体、蓋、取っ手(把)、注ぎ口の順で各パーツを轆轤挽きします。
1kgの土があれば、十分に1個の急須を作る事が出来ます。
尚、胴体部のみを1個挽きする場合も有ります。
尚、人間国宝の三代山田常山氏は、胴体部の轆轤挽きする土の量は約130gだそうです。
① 胴体を轆轤挽きする。
) 土殺しの済んだ土を土取りし、親指で中心に穴を開けます。真上から土を締める事を
忘れずに、底を広げます。
) 底の内側と外側の角の土を締めて形を整えます。
) 土を中心に寄せながら、真上に挽き上げる。(口が広がらない様に注意)
口には土をやや厚めに残し、それを内側に寄せます。
) 肩をやや張らせてから口を細めます。
) 蓋受けを作る。
a) 右手の親指の爪を肉厚の口の内側に当て、厚みの半分程を下に押し込みます。
その際、右手人差し指と親指で土を摘み、中心方法に土を引っ張る様にし、幅数mmの
蓋受部にします。尚、親指の爪の代わりに、四角い角を持つ竹へらで行う事も有ります。
胴体部に蓋受けを設けない構造でしたら、上記)の後に皮で拭いて終了に成ります。
b) 口の土を折り返して蓋受けを作る。
なめし皮を口の内外に当て、徐々に内側に倒し、更にその先端を中心方向に折り返し
蓋受けを作ります。
) 胴体の丸みなどの形を整える。
蓋受けに指がぶつからない様に、中指をやや曲げながら内側からすくい上げる様にして、
張り出し形を整えます。口が「ダレ」て来た場合には、竹へらなどで補正します。
尚、中指が届き難い場合には、「柄コテ」を使います。
なめし皮で口を締めながら形を整え、表面をなだらかにします。
この段階で、蓋受けの外側の寸法を(トンボやコンパス、スケールなどで)測っておきます。
) 最後に、底の外側にある余分な土を竹へらで削り落とします。
特に底の外側の角部は45度程度の角度で内側に切り込みます。
これを怠ると、乾燥時に外側から中心に向かって亀裂が入ります。
更に器内の水や泥(どべ)をスポンジや刷毛で取り除き、底割れを防ぎ、切糸を入れて
下の土と切り離します。
② 蓋を作る。: 上下を逆さに作ります。
以下次回に続きます。