アールドットナーノ様より、以下のご質問を頂きましたので当方の見解を記します。
はじめして。
わたしは最近陶芸の絵付けを始めた者です。
自宅に電気窯を設置し、自分で釉薬を掛け焼成しています。
・素地は、有田土
・絵の具はアメリカの1100~1250℃に適しているもの
・釉薬は、透明の石灰釉。こちらも高温に対応するもの
上記を使っています。
釉薬が、いまいちうまくいきません。
どぶ漬で施釉しています。
全体的な厚みはいいと思うのですが、どうしても、一方向が分厚くなってしまうのです。
浸けて出すときに、下になる部分がどうしても分厚くなってしまうと思うのですが、どう処理したら良いのでしょう?
また、絵のあるところが少し窪み(釉薬が薄く)、全体的に絵の箇所とそうでないところがボコボコとします。
全くの素人であるため、知識がありません。
何かアドバイスがありましたら、ぜひ教えてください。
よろしくお願いいたします。
明窓窯より
有田土と有る事と、絵付温度が1250℃以下の事から、磁器土ではなく粘土と思われます。
事質問は二つです。1) 釉に濃淡が出る事 2) 絵付け部分が凸凹する事。
1) 釉に濃淡が出る事
① 施釉方法がどぶ漬けですので、施釉時に所により時間差が出る為と思われます。
時間差を作らない為には、先入れ先出しが基本です。即ち、先に漬けた部分から先に施釉薬を終
わらせる事です。一般には、釉を潜らせると言います。特に横方向に広い器(例えば皿)で行いす
又縦に長く垂直に漬けると時間差が出る場合には、横方向に寝かせて漬けます。
その為には、釉は広い幅のある容器を使う事です。
② 施釉する時間は短い時間の方が良い。
当方では、3~5秒で終わらせる様にしています。釉に漬ける時も、釉から引き上げる時も素早い
動作が必要です。引き上げる迄の時間を長くすると、釉は厚くなります。
十分に大きな容器に入った釉なら、どぶ漬けですので、思い切った動作が出来るはずです。
③ 「後から出した部分が厚くなる」と有りますが、施釉する際に十分釉薬がかき混ぜられていますか
又、かき混ぜた直後に施釉していますか? かき混ぜてから時間が経つと釉は自然沈下し濃さに
濃淡が出易いです。
④ 厚く釉が掛かって仕舞う所を、予め水で濡らして置く。
素地が水を吸収する事で、水に溶けた釉を吸収する事で、施釉が出来ます。
即ち、素地の乾燥具合によって、施釉の厚みをコントロールする事が出来ます。
水で濡らすには、直接真水に漬けるか、スポンジに水を含ませて拭きます。時間は適時
調整します。濡らし過ぎない事が大切です。
2) 絵付け部分が凸凹する事。
① 絵具は基本的には、素地に載ったゴミと同じです。
塗る面積が大きい程、ゴミの範囲は広くなり、濃度が濃い程ゴミの量が増える事に
成ります。このゴミは上に載る釉を弾く作用があります。
それ故、出来るだけ塗る面積を少なくし、線描きを多用すると良いでしょう。
② 絵具に釉を少し混ぜる。
絵具と釉の相性が悪い場合、使用する透明釉を絵具に混ぜてから、絵付けを
すると良い。釉剥げを防ぐと共に、絵具に厚みを与えます。
以上 参考にして下さい。