焼き締め陶器である古信楽焼きは、昔より大変人気のある焼き物です。大型の壷も有りますが、
特に小型の種壷である「蹲る」(うずくまる)は、匣鉢焼成に適した作品です。
一般に 古信楽焼きは、窖窯や登窯の様に薪を燃料にし、緋色や自然釉の流れ、灰被りなどの景色が
特に見所となっています。匣鉢を使う事によって、電気やガス窯でも古信楽風の作品を焼く事が
出来ます。作品は「はぜ石」と呼ばれる、長石の粒子の入った肌理の粗い白色の古信楽土を使うと、
より効果的です。
尚、作品の作り方は省略します。作品は必ずしも素焼きを行う必要はありませんが、素焼きした方が
強度が増しますので、破損する危険は少なくなります。
1) 匣鉢詰め前の作品処置。
① 作品に灰を掛ける。
薪窯では燃料の灰が降り掛かりますが、匣鉢を使う場合には、意図的に灰を塗りつけたり
灰を振り掛ける必要があります。
) 灰は天然の灰を使うのが理想的ですが、合成灰でも十分です。
灰の種類は、松灰や土灰などを使います。いずれも陶芸材料店で手に入ります。
尚、松灰は緑掛かり、土灰は黄色味掛かると言われています。灰の種類によって、発色に
微妙な差が有りますので、色々な灰を使って見るのも価値があります。
) 灰は乳鉢を使い細かくすると、良く熔ける様になります。
良く磨り潰した灰に水と「CMC」(化学のり)を加えて、ドロドロの状態にします。
灰に「CMC」を添加することで、灰をより濃くする事が出来ます。
) 筆や刷毛を使い、作品の所定の場所に盛る様にして塗って行きます。
作品の下部に塗ると、高温になり灰が流れ落ち底まで届いてしまい、下の台に溶着して
しまいすので、作品の上部は厚く多めに、下部には量を減らすか、塗らない様にします。
) 灰の濃淡を考慮して塗ります。厚く塗る処、薄く塗る処、まったく塗らない処などを、
熔け具合(流れ具合)を考慮して塗ります。
) 濃く塗る場合は上記の通りですが、灰を振掛けて塗る方法はやや灰が薄くなる方法です。
「CMC」で作品の表面を霧吹きし、すばやく灰を掛けます。掛ける方法は茶漉しを使い
振るか、手で摘んで置いていきます。但し振り掛ける方法では、匣鉢詰めまでに灰が
剥がれ易いですから、多目に掛ける事と、灰の掛かった所は持たない事です。
2) 匣鉢に詰める。
① 珪砂と藁(わら)を敷く。
) 使用するのは、匣鉢の他、珪砂(3号など)、木炭、藁、道具土です。
) 匣鉢に珪砂を敷き詰めます。平らに均し作品が安定した状態で置ける様にします。
) 更に藁を敷きます。 藁は緋色を出す為に入れますが、緋色は灰の掛からない場所に
出易いですので、灰の無い部分を中心に置きます。
) 作品を匣鉢に入れます。入れる際、匣鉢に当たると灰が剥がれる場合が多いですので、
慎重に扱います。なるべく灰を塗った所は持たない事です。
② 木炭を入れる。
) 作品と、匣鉢の隙間に木炭を入れます。隙間が狭いですので、木炭は平たい形状にすると
入り易いです。
) 灰を塗った部分は木炭を多目に入れます。これは灰を熔かす為には、高温が必要だから
です。更に作品の底の部分にも多く入れ、焦げを出します。
) 作品の外側や首や肩に、藁を巻き緋色が出る様にします。
) 匣鉢に蓋をしますが、蓋との間に空気穴を設けます。 即ち、2~3cmの道具土を紐
(又は団子)状にし、蓋と匣鉢の間に詰めて空気が通る道を設けます。紐などにアルミナを
塗ると匣鉢との癒着を防ぎます。空気の通る場所を設ける事で、木炭が良く燃焼させ高温に
する事ができます。
3) 窯出し。必ず軍手などの手袋を使います。
① 蓋と道具土を取り除きます。
② 作品の表面にある藁の燃えカスを取り除き、作品を匣鉢の外に出します。
③ 作品の表面や底には燃えカスの他、「バリ」など異物が付いている場合が多いですので、
紙ヤスリ等で擦り仕上げます。
④ 温度が十分上昇していれば、灰は熔けて流れ落ちているはずです。
⑤ 作品の表情は、灰が熔け緑や黄色の部分、藁で巻かれた緋色の部分。更に空気が良く入った
白い部分(素地の色)などに分かれ、独特の景色(表情)が現れているはずです。
特に小型の種壷である「蹲る」(うずくまる)は、匣鉢焼成に適した作品です。
一般に 古信楽焼きは、窖窯や登窯の様に薪を燃料にし、緋色や自然釉の流れ、灰被りなどの景色が
特に見所となっています。匣鉢を使う事によって、電気やガス窯でも古信楽風の作品を焼く事が
出来ます。作品は「はぜ石」と呼ばれる、長石の粒子の入った肌理の粗い白色の古信楽土を使うと、
より効果的です。
尚、作品の作り方は省略します。作品は必ずしも素焼きを行う必要はありませんが、素焼きした方が
強度が増しますので、破損する危険は少なくなります。
1) 匣鉢詰め前の作品処置。
① 作品に灰を掛ける。
薪窯では燃料の灰が降り掛かりますが、匣鉢を使う場合には、意図的に灰を塗りつけたり
灰を振り掛ける必要があります。
) 灰は天然の灰を使うのが理想的ですが、合成灰でも十分です。
灰の種類は、松灰や土灰などを使います。いずれも陶芸材料店で手に入ります。
尚、松灰は緑掛かり、土灰は黄色味掛かると言われています。灰の種類によって、発色に
微妙な差が有りますので、色々な灰を使って見るのも価値があります。
) 灰は乳鉢を使い細かくすると、良く熔ける様になります。
良く磨り潰した灰に水と「CMC」(化学のり)を加えて、ドロドロの状態にします。
灰に「CMC」を添加することで、灰をより濃くする事が出来ます。
) 筆や刷毛を使い、作品の所定の場所に盛る様にして塗って行きます。
作品の下部に塗ると、高温になり灰が流れ落ち底まで届いてしまい、下の台に溶着して
しまいすので、作品の上部は厚く多めに、下部には量を減らすか、塗らない様にします。
) 灰の濃淡を考慮して塗ります。厚く塗る処、薄く塗る処、まったく塗らない処などを、
熔け具合(流れ具合)を考慮して塗ります。
) 濃く塗る場合は上記の通りですが、灰を振掛けて塗る方法はやや灰が薄くなる方法です。
「CMC」で作品の表面を霧吹きし、すばやく灰を掛けます。掛ける方法は茶漉しを使い
振るか、手で摘んで置いていきます。但し振り掛ける方法では、匣鉢詰めまでに灰が
剥がれ易いですから、多目に掛ける事と、灰の掛かった所は持たない事です。
2) 匣鉢に詰める。
① 珪砂と藁(わら)を敷く。
) 使用するのは、匣鉢の他、珪砂(3号など)、木炭、藁、道具土です。
) 匣鉢に珪砂を敷き詰めます。平らに均し作品が安定した状態で置ける様にします。
) 更に藁を敷きます。 藁は緋色を出す為に入れますが、緋色は灰の掛からない場所に
出易いですので、灰の無い部分を中心に置きます。
) 作品を匣鉢に入れます。入れる際、匣鉢に当たると灰が剥がれる場合が多いですので、
慎重に扱います。なるべく灰を塗った所は持たない事です。
② 木炭を入れる。
) 作品と、匣鉢の隙間に木炭を入れます。隙間が狭いですので、木炭は平たい形状にすると
入り易いです。
) 灰を塗った部分は木炭を多目に入れます。これは灰を熔かす為には、高温が必要だから
です。更に作品の底の部分にも多く入れ、焦げを出します。
) 作品の外側や首や肩に、藁を巻き緋色が出る様にします。
) 匣鉢に蓋をしますが、蓋との間に空気穴を設けます。 即ち、2~3cmの道具土を紐
(又は団子)状にし、蓋と匣鉢の間に詰めて空気が通る道を設けます。紐などにアルミナを
塗ると匣鉢との癒着を防ぎます。空気の通る場所を設ける事で、木炭が良く燃焼させ高温に
する事ができます。
3) 窯出し。必ず軍手などの手袋を使います。
① 蓋と道具土を取り除きます。
② 作品の表面にある藁の燃えカスを取り除き、作品を匣鉢の外に出します。
③ 作品の表面や底には燃えカスの他、「バリ」など異物が付いている場合が多いですので、
紙ヤスリ等で擦り仕上げます。
④ 温度が十分上昇していれば、灰は熔けて流れ落ちているはずです。
⑤ 作品の表情は、灰が熔け緑や黄色の部分、藁で巻かれた緋色の部分。更に空気が良く入った
白い部分(素地の色)などに分かれ、独特の景色(表情)が現れているはずです。