釉の中には、金色を呈する物も存在します。勿論、本物の金が存在するのでは無く、あくまで金色
又は、金色に類似した色を呈する釉の事です。ほとんどが結晶釉です。例えば、金結晶釉や朱金結晶
釉、金ラスター釉、マンガン窯変釉、金茶釉、金砂釉の様に、釉全体の表面に面状や筋状に浮き出て
くる場合と、そば釉(黒そば釉)の様に、点々と金色(緑黄の場合も有る)が現れる場合があります
いずれも金属の化合物が金色を呈しますが、全く異なる金属や釉の組成成分との組み合わせ
(化学反応)で起こる事が、判明して来ました。
又、金色以外に油滴天目の様に、銀白色が点々と呈する釉が存在します。これは、金属の化合物では
無く、釉の鉄分が結晶として、点々と析出した物で、光線の加減によっては金色に輝く場合もあります
但し、ここでは金色を模したとされる、黄瀬戸釉の話では有りません。
1) 多量のマンガンと少量の銅で金色を呈する。
マンガンに無鉛フリットを加える事でより金色の結晶が発生し易くなります。結晶は熔けた釉が
移動する事で発生しますので、平たい器形より縦に長い形の作品に出易い傾向にあります。
尚、マンガンは色の役目の他に、熔かす役目もあります。
① マンガン結晶釉: 光沢の乏しい黒っぽい釉肌に、金色っぽい結晶の出る釉です。
ⅰ) 酸化、還元焼成でも金属光沢が出ます。但し還元焼成の方が、大きな結晶が出易いです。
ⅱ) 焼成温度が低過ぎた場合は、金属成分が熔け込まず、黒っぽくなり易いです。
焼成温度が高過ぎる場合、釉が流動し過ぎて、結晶が出難くなります。
ⅲ) 釉が薄過ぎても、濃過ぎても金色が出難くなります。
② 金ラスター釉: 釉の表面に金属光沢が出る釉です。酸化焼成で光沢のある大きな金色の結晶
を作り、還元では細かい結晶ととなり、黒っぽい茶色になります。高温になると燻し(いぶし)
金の様に発色します。
2) 二酸化チタン、酸化第二鉄、骨灰の配合で金色を呈する釉となる。
① 金結晶釉: すこぶる流れ易い釉ですので、施釉に注意が必要です。
施釉した全面に金色(風)に現れます。
調合例: 配合は外割りです。即ち基礎釉を100%とし、他の素材を添加します。
基礎釉に、二酸化チタニウム11%、酸化第二鉄(弁柄)7%、骨灰2%
② 金茶釉: 茶色系の釉の一部が金色(風)に発色します。
調合例: 基礎釉100%、酸化第二鉄(弁柄)12%、二酸化チタニウム6%
カオリンマットと鉄の反応でも発生します。
③ 金砂釉: ややマット系の黒の釉に、金色(又はそれに近い金色)が流れ落ちます。
3) 亜鉛華、炭酸バリウム、酸化第二鉄(弁柄)、酸化チタンを添加して発色する。
① 朱金結晶釉(ルチール結晶釉): 金色よりも朱色が強く出る釉です。
ルチール結晶釉または朱金地釉と呼ばれる、朱赤の地に金色の結晶が生まれる釉です。
亜鉛華、炭酸バリウム、酸化第二鉄(弁柄)、酸化チタンを添加して発色させます。
調合例: 基礎釉100%に対し、亜鉛華 3.95% 炭酸バリウム 6.45%、弁柄8% 酸化
チタン10%を添加。
4) マグネシア成分を添加し、黄色や緑などの細かい結晶釉。
① そば釉; 飴釉や黒い地に緑色や黄色の細かな結晶が析出する釉です。
基礎釉に100%に、マグネサイトを6~9%程度添加します。
マグネサイトが多くなるに従って色調が暗くなり、多過ぎると結晶の析出が多く、艶消し状
の釉となります。
② 黒そば釉: 上記そば釉に酸化鉄(弁柄)を添加すると、釉は飴色から黒色に変化します。
上記の釉は、ご自分で調合する事も可能ですが、焼成具合や各種の配合条件等で、思う様に発色し
ない事も多いです。
類似の釉が各メーカーから市販されていますので、興味のある方は、取り寄せて試す事をお勧め
します。
参考資料;藤原寛著「陶芸釉薬見本帖Ⅱ」(株)ナガジンランド発行
又は、金色に類似した色を呈する釉の事です。ほとんどが結晶釉です。例えば、金結晶釉や朱金結晶
釉、金ラスター釉、マンガン窯変釉、金茶釉、金砂釉の様に、釉全体の表面に面状や筋状に浮き出て
くる場合と、そば釉(黒そば釉)の様に、点々と金色(緑黄の場合も有る)が現れる場合があります
いずれも金属の化合物が金色を呈しますが、全く異なる金属や釉の組成成分との組み合わせ
(化学反応)で起こる事が、判明して来ました。
又、金色以外に油滴天目の様に、銀白色が点々と呈する釉が存在します。これは、金属の化合物では
無く、釉の鉄分が結晶として、点々と析出した物で、光線の加減によっては金色に輝く場合もあります
但し、ここでは金色を模したとされる、黄瀬戸釉の話では有りません。
1) 多量のマンガンと少量の銅で金色を呈する。
マンガンに無鉛フリットを加える事でより金色の結晶が発生し易くなります。結晶は熔けた釉が
移動する事で発生しますので、平たい器形より縦に長い形の作品に出易い傾向にあります。
尚、マンガンは色の役目の他に、熔かす役目もあります。
① マンガン結晶釉: 光沢の乏しい黒っぽい釉肌に、金色っぽい結晶の出る釉です。
ⅰ) 酸化、還元焼成でも金属光沢が出ます。但し還元焼成の方が、大きな結晶が出易いです。
ⅱ) 焼成温度が低過ぎた場合は、金属成分が熔け込まず、黒っぽくなり易いです。
焼成温度が高過ぎる場合、釉が流動し過ぎて、結晶が出難くなります。
ⅲ) 釉が薄過ぎても、濃過ぎても金色が出難くなります。
② 金ラスター釉: 釉の表面に金属光沢が出る釉です。酸化焼成で光沢のある大きな金色の結晶
を作り、還元では細かい結晶ととなり、黒っぽい茶色になります。高温になると燻し(いぶし)
金の様に発色します。
2) 二酸化チタン、酸化第二鉄、骨灰の配合で金色を呈する釉となる。
① 金結晶釉: すこぶる流れ易い釉ですので、施釉に注意が必要です。
施釉した全面に金色(風)に現れます。
調合例: 配合は外割りです。即ち基礎釉を100%とし、他の素材を添加します。
基礎釉に、二酸化チタニウム11%、酸化第二鉄(弁柄)7%、骨灰2%
② 金茶釉: 茶色系の釉の一部が金色(風)に発色します。
調合例: 基礎釉100%、酸化第二鉄(弁柄)12%、二酸化チタニウム6%
カオリンマットと鉄の反応でも発生します。
③ 金砂釉: ややマット系の黒の釉に、金色(又はそれに近い金色)が流れ落ちます。
3) 亜鉛華、炭酸バリウム、酸化第二鉄(弁柄)、酸化チタンを添加して発色する。
① 朱金結晶釉(ルチール結晶釉): 金色よりも朱色が強く出る釉です。
ルチール結晶釉または朱金地釉と呼ばれる、朱赤の地に金色の結晶が生まれる釉です。
亜鉛華、炭酸バリウム、酸化第二鉄(弁柄)、酸化チタンを添加して発色させます。
調合例: 基礎釉100%に対し、亜鉛華 3.95% 炭酸バリウム 6.45%、弁柄8% 酸化
チタン10%を添加。
4) マグネシア成分を添加し、黄色や緑などの細かい結晶釉。
① そば釉; 飴釉や黒い地に緑色や黄色の細かな結晶が析出する釉です。
基礎釉に100%に、マグネサイトを6~9%程度添加します。
マグネサイトが多くなるに従って色調が暗くなり、多過ぎると結晶の析出が多く、艶消し状
の釉となります。
② 黒そば釉: 上記そば釉に酸化鉄(弁柄)を添加すると、釉は飴色から黒色に変化します。
上記の釉は、ご自分で調合する事も可能ですが、焼成具合や各種の配合条件等で、思う様に発色し
ない事も多いです。
類似の釉が各メーカーから市販されていますので、興味のある方は、取り寄せて試す事をお勧め
します。
参考資料;藤原寛著「陶芸釉薬見本帖Ⅱ」(株)ナガジンランド発行