陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
5) 窯の温度を上げる。
⑤ 燃料を使用する窯では、温度が上昇し易い窯の雰囲気は、中性炎又は弱酸化炎(又は弱還元
炎)と言われています。(以上が前回までの話です。)
ⅴ) 温度の上昇スピードは徐々に落ちていきます。
最終目的温度近辺に成ると、温度上昇は極端に遅くなります。最後の10℃、5℃を上げるのに
30~1時間程度要する事も稀ではありません。勿論最高温度近くで長い時間を要する事は釉を
安定的に熔かす作用もありますので、必ずしも悪い事では有りませんが、燃料を多く消費しま
すので経済的ではありません。
尚、釉はガラス質ですので、決まった融点は存在しません。あくまでもこの近辺で溶けると言う
事です。更に言えば目的の温度より数℃~十数℃以前に完全に熔けている場合が多いですので
若干低めの温度であっても、寝らし時間(一定温度で数十分保持する事)を長く取ればより
安全です。
ⅵ) 焼き上がり直前では酸化炎にする。
還元焼成の場合でも、酸化炎にする必要があります。還元炎は炭素分(一酸化炭素))を
多く含みますので、そのまま続けると釉に炭素成分が残り、釉を汚す事になります。
それ故、速めに炭素成分を無くす為に酸化炎にする必要があります。
尚、還元焼成が有効なのは、釉の表面がガラス化する迄です。表面がガラス化すると釉の中に
まで炎の影響が届かなくなりますので、還元焼成の効果はなくなります。
又、煙突の挽きが強くなる酸化焼成をする事で、窯内の上下の温度差を無くす事にもなります。
⑥ 所定の温度まで上昇したら、「寝らし焼成」に移ります。
温度変化がない様に、ドラフトやダンパーを微調整し、燃料の供給と空気量を整えます
寝らし時間は10分程度から1時間程度まで窯によって違いがあります。一般的には数十分程度が
多い様です。
6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。
窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、
釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します
ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。
ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。
黒系の釉は急冷が良く、結晶釉では徐冷が良いと言われています。
a) 黒天目などの黒釉では、徐冷すつと赤味のある釉に成ってしまい、真っ黒には成りません。
当然、燃料を停止し、即消火する事に成ります(自然冷却)。高温では急激に温度が下がりま
すが、温度の低下具合は徐々に鈍くなります。
尚、ガス窯や灯油窯の場合、消火するには、最初に燃料の元栓を閉め、配管内やバーナー内に
残さない方法と、バーナー内に残す方法(最後に元栓を閉める方法)があります。前者は何ら
かの理由で、バーナー栓が開いても燃料の漏れを防ぐ利点があります。欠点として、次に点火
する際バーナーまで燃料が届くのが遅れ、中々点火出来ない事です。点火に失敗したと感じ
易いですので注意が必要です。
b) 結晶釉の場合、釉内の結晶を発達させ、大きな結晶を析出させる為にも、ゆっくり温度を下
げるか、ある一定温度を数十分保持する事が有効です。一定温度に保つ為に数本のバーナー
を点火状態にして置く事です。その他、燃料の供給量を減らす方法もあります。
釉は1100℃程度より温度が低下すると、凝固が始まると言われています。温度を下げるに従い
結晶が発達し析出します。結晶釉の種類によって、一番結晶が発達する温度は、微妙に異なり
ますが、辰砂釉の場合900℃程度で一番結晶が発達するとも言われています。
それ故1100℃~800℃程度の範囲で徐冷すのが理想的です。実際には経験から温度を割り出す
事に成ります。温度と徐冷時間が関係します。
ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
5) 窯の温度を上げる。
⑤ 燃料を使用する窯では、温度が上昇し易い窯の雰囲気は、中性炎又は弱酸化炎(又は弱還元
炎)と言われています。(以上が前回までの話です。)
ⅴ) 温度の上昇スピードは徐々に落ちていきます。
最終目的温度近辺に成ると、温度上昇は極端に遅くなります。最後の10℃、5℃を上げるのに
30~1時間程度要する事も稀ではありません。勿論最高温度近くで長い時間を要する事は釉を
安定的に熔かす作用もありますので、必ずしも悪い事では有りませんが、燃料を多く消費しま
すので経済的ではありません。
尚、釉はガラス質ですので、決まった融点は存在しません。あくまでもこの近辺で溶けると言う
事です。更に言えば目的の温度より数℃~十数℃以前に完全に熔けている場合が多いですので
若干低めの温度であっても、寝らし時間(一定温度で数十分保持する事)を長く取ればより
安全です。
ⅵ) 焼き上がり直前では酸化炎にする。
還元焼成の場合でも、酸化炎にする必要があります。還元炎は炭素分(一酸化炭素))を
多く含みますので、そのまま続けると釉に炭素成分が残り、釉を汚す事になります。
それ故、速めに炭素成分を無くす為に酸化炎にする必要があります。
尚、還元焼成が有効なのは、釉の表面がガラス化する迄です。表面がガラス化すると釉の中に
まで炎の影響が届かなくなりますので、還元焼成の効果はなくなります。
又、煙突の挽きが強くなる酸化焼成をする事で、窯内の上下の温度差を無くす事にもなります。
⑥ 所定の温度まで上昇したら、「寝らし焼成」に移ります。
温度変化がない様に、ドラフトやダンパーを微調整し、燃料の供給と空気量を整えます
寝らし時間は10分程度から1時間程度まで窯によって違いがあります。一般的には数十分程度が
多い様です。
6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。
窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、
釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します
ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。
ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。
黒系の釉は急冷が良く、結晶釉では徐冷が良いと言われています。
a) 黒天目などの黒釉では、徐冷すつと赤味のある釉に成ってしまい、真っ黒には成りません。
当然、燃料を停止し、即消火する事に成ります(自然冷却)。高温では急激に温度が下がりま
すが、温度の低下具合は徐々に鈍くなります。
尚、ガス窯や灯油窯の場合、消火するには、最初に燃料の元栓を閉め、配管内やバーナー内に
残さない方法と、バーナー内に残す方法(最後に元栓を閉める方法)があります。前者は何ら
かの理由で、バーナー栓が開いても燃料の漏れを防ぐ利点があります。欠点として、次に点火
する際バーナーまで燃料が届くのが遅れ、中々点火出来ない事です。点火に失敗したと感じ
易いですので注意が必要です。
b) 結晶釉の場合、釉内の結晶を発達させ、大きな結晶を析出させる為にも、ゆっくり温度を下
げるか、ある一定温度を数十分保持する事が有効です。一定温度に保つ為に数本のバーナー
を点火状態にして置く事です。その他、燃料の供給量を減らす方法もあります。
釉は1100℃程度より温度が低下すると、凝固が始まると言われています。温度を下げるに従い
結晶が発達し析出します。結晶釉の種類によって、一番結晶が発達する温度は、微妙に異なり
ますが、辰砂釉の場合900℃程度で一番結晶が発達するとも言われています。
それ故1100℃~800℃程度の範囲で徐冷すのが理想的です。実際には経験から温度を割り出す
事に成ります。温度と徐冷時間が関係します。
ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。
以下次回に続きます。