陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
⑤ 窯詰めの実際。(前回の続きです)
ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。
ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。
ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。
ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に
積み上げる方法があります。(以上が前回の話です)
ⅴ) 横扉型の窯では、上部に行く程作業がやり難くなります。
窯の天井部との隙間が段々狭くなる為で、作品の置く位置も前方方向から見える程度で、次第
に不明瞭に成り易いです。注意する事は常に周囲の作品との間隔で、隣と接触しない隙間が
必要です。天井部との隙間も多めに取ります。出来れば10cm程度空けると良いでしょう。
隙間が狭すぎる場合、天井に当った炎が反転し下に向かう隙間が不足し、窯全体に熱が伝わり
難くなります。この状態では温度上昇も「はかばかしく」ありません。
尚、作品を手に持つ場合、釉によっては釉が薄く成ったり、剥がれてしまう場合があります。
それ故、作品の何処を持つかも重要になる場合もあります。勿論触れる場所が狭い程良いの
ですが・・・。
ⅵ) 棚板を支える各支柱は下から上まで、一本の線状に成る様にします。
これは、作品の重量や揺れを安定的に支える為です。支柱が「アチコチばらばら」では、
十分支える事は出来ません。
ⅶ) 窯積めで注意する事は、不安定な作品は出来るだけ、据わりを良くする処置をとる必要が
あります。下面(底)が狭い作品は重心も高く、不安定になります。作業途中で隣同士が接触
し、釉剥がれの原因にもなります。窯積め時には安定していても、窯の中での不測な爆発事故
や、窯焚き中の地震などで、不安定な作品が倒れる恐れも起こります。底が不安定の場合には
楔(くさび)状の粘土片を差込み安定させる事もできます。隣の作品に倒れ掛かった作品は、
「ひっつき」と呼ばれ珍重される事も稀にはありますが、多くの場合、一方の作品を破壊し、
他の一方を救う事が多いです。
ⅷ) 織部釉の様に、銅を使った釉では銅が揮発する現象が見られます。揮発した銅が隣の作品に
転写する事があります。その為、直ぐ隣の作品の表面が汚れます。酸化銅を広い面に釉として
使用する場合には、いつもより距離を多くとるか、同じ釉の作品を並べる必要があります。
尚、釉の揮発現象は、おおむね酸化銅を使った釉に限られます。
ⅸ) 割れた棚板も使い方によっては重宝します。
棚板が割れる主な原因は、立て掛けて保管した棚板が何らかの原因で倒れる事です。
割れ方も千差万別ですが、おおむね棚板に刻まれた線に沿う事が多いです。即ち二分されるか
三分割される事になります。但し割れた端面はギザキザに成っていますので、砥石やダイヤ
モンドやすり等で、滑らかにします。大小異なる作品を同じ棚板に載せる必要が出る場合も
珍しくありません。その際、施の低い作品の上に割れた棚板を載せ、その上に他の背の低い
作品を載せ背の高い作品とバランスを取る事ができます。同時に無駄なスペースを無くす事に
なります。
◎ 最後に窯詰め忘れに注意の事。
何らかの理由で窯に入れるべき作品を、入れ忘れる事があります。忘れる理由は色々あると思い
ますが、窯焚きが始まってから気が付く事もあり、窯出し終了後に気が付く事もあります。
いづれにしても、次の窯焚きまで約1ヶ月以上待たねば成らなくなります。急いでいる作品では
間に合いません。それ故、窯詰めが終了した段階で、作品置き場などを再度点検し忘れ物が無い
事を確認する事が大切です。多くの場合他の物の陰に隠れているか、忘れない様に特別な場所に
保管して、うっかり忘れる場合さえもあります。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
⑤ 窯詰めの実際。(前回の続きです)
ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。
ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。
ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。
ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に
積み上げる方法があります。(以上が前回の話です)
ⅴ) 横扉型の窯では、上部に行く程作業がやり難くなります。
窯の天井部との隙間が段々狭くなる為で、作品の置く位置も前方方向から見える程度で、次第
に不明瞭に成り易いです。注意する事は常に周囲の作品との間隔で、隣と接触しない隙間が
必要です。天井部との隙間も多めに取ります。出来れば10cm程度空けると良いでしょう。
隙間が狭すぎる場合、天井に当った炎が反転し下に向かう隙間が不足し、窯全体に熱が伝わり
難くなります。この状態では温度上昇も「はかばかしく」ありません。
尚、作品を手に持つ場合、釉によっては釉が薄く成ったり、剥がれてしまう場合があります。
それ故、作品の何処を持つかも重要になる場合もあります。勿論触れる場所が狭い程良いの
ですが・・・。
ⅵ) 棚板を支える各支柱は下から上まで、一本の線状に成る様にします。
これは、作品の重量や揺れを安定的に支える為です。支柱が「アチコチばらばら」では、
十分支える事は出来ません。
ⅶ) 窯積めで注意する事は、不安定な作品は出来るだけ、据わりを良くする処置をとる必要が
あります。下面(底)が狭い作品は重心も高く、不安定になります。作業途中で隣同士が接触
し、釉剥がれの原因にもなります。窯積め時には安定していても、窯の中での不測な爆発事故
や、窯焚き中の地震などで、不安定な作品が倒れる恐れも起こります。底が不安定の場合には
楔(くさび)状の粘土片を差込み安定させる事もできます。隣の作品に倒れ掛かった作品は、
「ひっつき」と呼ばれ珍重される事も稀にはありますが、多くの場合、一方の作品を破壊し、
他の一方を救う事が多いです。
ⅷ) 織部釉の様に、銅を使った釉では銅が揮発する現象が見られます。揮発した銅が隣の作品に
転写する事があります。その為、直ぐ隣の作品の表面が汚れます。酸化銅を広い面に釉として
使用する場合には、いつもより距離を多くとるか、同じ釉の作品を並べる必要があります。
尚、釉の揮発現象は、おおむね酸化銅を使った釉に限られます。
ⅸ) 割れた棚板も使い方によっては重宝します。
棚板が割れる主な原因は、立て掛けて保管した棚板が何らかの原因で倒れる事です。
割れ方も千差万別ですが、おおむね棚板に刻まれた線に沿う事が多いです。即ち二分されるか
三分割される事になります。但し割れた端面はギザキザに成っていますので、砥石やダイヤ
モンドやすり等で、滑らかにします。大小異なる作品を同じ棚板に載せる必要が出る場合も
珍しくありません。その際、施の低い作品の上に割れた棚板を載せ、その上に他の背の低い
作品を載せ背の高い作品とバランスを取る事ができます。同時に無駄なスペースを無くす事に
なります。
◎ 最後に窯詰め忘れに注意の事。
何らかの理由で窯に入れるべき作品を、入れ忘れる事があります。忘れる理由は色々あると思い
ますが、窯焚きが始まってから気が付く事もあり、窯出し終了後に気が付く事もあります。
いづれにしても、次の窯焚きまで約1ヶ月以上待たねば成らなくなります。急いでいる作品では
間に合いません。それ故、窯詰めが終了した段階で、作品置き場などを再度点検し忘れ物が無い
事を確認する事が大切です。多くの場合他の物の陰に隠れているか、忘れない様に特別な場所に
保管して、うっかり忘れる場合さえもあります。
以下次回に続きます。