現代陶芸の、最も有望な若手の一人として注目を集め、人気のある作品を次々に発表しているのが、
三重県四日市市在住の内田鋼一氏です。
1) 内田鋼一(うちだ こういち): 1969年(昭和44) ~
① 経歴
1969年 愛知県名古屋市に生まれます。
1990年 愛知県立瀬戸窯業高等学校 陶芸専攻科を卒業します。
三重県の製陶所に勤務し、更に修行を重ねます。
1992年 三重県四日市に独立します。
2000年 「うつわをみる 暮らしに息づく工芸展」に出品。(東京国立近代美術館)
2004年 静謐なかたち「内田鋼一 Uchida Kouichi works : 2003-2004展」
4th MUSEUM リバーリトリート雅樂倶 (富山)
2006年 「陶芸の現在、そして未来へ Ceramic NOW+」(兵庫 陶芸美術館)
「SOFAニューヨーク2006」出展
2008年 「メルボルンアートフェア2008」(オーストラリア)へ 出展
「Rosso : Uchida Kouichi」Daniela Gregis (ベルガモ、イタリア)
2012年 新窖窯を築窯:「お茶のこといろいろ、小壷 いろいろ」内田鋼一作品展を開催。
個展: 三重パラミタミュージアム。「内田鋼一 Uchida Kouichi works : 2003-2004展」。
その他多数。
② 内田氏の陶芸
窯を築き、独立後には、日本各地は元よりイタリア・アフリカ・スペイン・オーストラリア・韓国・
インド・東南アジア・アメリカなど、世界各国の窯場に住み込み修行を重ね、当地で作品を
発表しています。 その為、特定の師と呼ぶ方はいなかったそうです。
更に、公募展にも応募せずに、主に個展を中心に作品を発表しています。
) 作品は、窖窯、ガス窯、灯油窯を駆使して、鉢、瓶子、茶碗、花入、大壺、ぐい呑、急須など
茶道具や食器類や壷、花器などが多い様です。
) 土は地元の山や近隣の山から掘り出し、轆轤挽き、紐作り、そして叩き技法と多くの方法を
用いて制作しています。
) 釉は黒陶や紅陶、緑青彩、銀彩、錫白釉、そして最近ではプラチナ彩まで創っています。
世界各地で修行した事が、彼の釉に強く影響している様です。
「黒陶」は東南アジアやアフリカにいた頃の技術の応用だそうで。
「緑青」はインドいた時に体験した、原始的な蜜蝋を使う鋳造方法を参考にしたそうです。
更に、「白錫釉」はヨーロッパの低火度焼成ではなく、1100度に上げて焼成しています。
) 古いシンプルな土器や須恵器などで、大きな壷や大甕(かめ)も作っています。
③ 内田しの作品
) ブラチナ彩: ブラチナ彩線刻文鉢、ブラチナ彩線刻文盃、プラチナ彩碗皿など。
) 加彩: ざらっとした化粧土に鉄分を混ぜ、赤茶けた肌に仕上げる方法。
加彩瓶子。加彩高大台皿。加彩線刻文壷などの作品。
) 焼締:無釉の焼締陶器で、茶注(急須)は独立後から、長年手掛けている作品です。
「茶注は使い勝手が良くなければとは思うが、それだけでなく形や土の質感や焼きにも
自分が見て『心地いい』と思える処を入れていきたい」と述べています。
) 内田氏は、見る人にも心地よいシンプルな作品を、心がけて作陶しているとの事です。
それが「用の美」となり、内田作品の人気の元と成っています。
次回(中川自然坊氏)に続きます。