4) その他の健康被害に付いて。
① 怪我(けが)に付いて。以上までが前回のお話です。
② 窯の爆発事故。
窯での爆発事故は、作品自体が爆発する場合と、ガス漏れなどで窯自体が爆発する場合が
あります。前者の場合は主に素焼き時に起き、後者の場合は主にガス窯などで起こり易いです。
ⅰ) 作品自体が爆発する場合。
長年窯焚きをされた多くの方は、素焼きの際に爆発事故を何度か経験しているはずです。
それ程一般的な事故とも言えます。
この場合は、窯の一部が壊れたとしても、人を傷つける事は少ないです。主に乾燥の不十分な
作品を急激に加熱した事が原因です。但し、素焼き後に施釉した作品では、急激な加熱によって
爆発する事はほとんどありません。又、作品の中に空気の塊がある場合には、加熱と共に
空気も膨張し爆発を引き起こします。これも素焼きの時に起きる事故です。
a) 爆発はおよそ窯の温度が230~280℃で起こります。
それ故この温度範囲内では、出来るだけゆっくり温度を上げていく事が大切です。
この間は30分~1時間程度の時間を掛けて昇温させれば安全です。(窯の容量や作品の
肉厚、乾燥具合によって時間が異なります。)
300℃を超えれば、ある程度急速に昇温させても、爆発の危険性は低くなります。
爆発は主に水蒸気爆発です。加熱と共に水分は蒸発し作品の表面より抜けていきます。
表面より抜ける量が発生する量よりも多い場合には、爆発は起こりません。逆に発生量が多く
なると、水蒸気が作品内に貯まり続け、圧力が上がりますので、最終的には爆発します。
b) 一見完全に乾燥している様に見える作品でも、肉が厚い作品は中心付近が乾燥不十分な
事が多いです。窯入れ前に天日乾燥させても安心と言う訳ではありません。
又、当然ですが作品完成から時間が短い程、又気候によっても乾燥は遅れます。この乾燥の
遅い作品を中心にして、素焼きを行う必要があります。
c) 乾燥の不十分な作品は、約200℃程度で一晩窯に放置すれば、完全に乾燥すると言われ
ています。 素焼きを急ぎたい場合には、便利な方法です。
d) 空気の塊の場合には、肌理(きめ)の細かい素地の方が危険が大きいです。素地が荒い
場合土の粒子間に隙間が出来、そこから空気が逃げて行き易いからです。
菊練を十分行う事で爆発は防ぐ事は出来ます。轆轤作業では、空気の存在は簡単に見付ける
事は可能ですが、その場所と空気を潰す事は慣れない方には、結構難事です。手捻りの場合
誤って空気を閉じ込めてしまうと発見し難いのですが、空気の塊は肉厚の厚い部分に集り
ますので、肉厚の部分には注意が必要です。針などで小さな穴を開けるだけで、爆発を防ぐ
事も可能です。
e) 作品が爆発すると、作品が粉々になるだけでなく、破片が周囲に飛び散り、周辺の作品に
当たり、他の作品を傷つける事になります。電気窯の場合、電熱線に当たり断線する恐れも
でます。又、破片が焚口周辺に飛び、焚口を塞ぐ恐れもあります。それ故、爆発の恐れの
ある作品の周囲には、なるべく作品を置かない事と、周囲を支柱などで囲む事です。
例え爆発しても周囲に破片が飛び散らない様に予防する事が大切です。
f) 爆発は鈍い「ボッコ」と言う低い音を発します。窯の近くに居れば聞こえる音です。
この音を聞いたら、電流の変化や焚口の炎や音の変化に注意する必要があります。
大きな変化が無ければ、そのまま続行しても多くの場合問題ありません。
心配であれば、窯焚きを中断し中を確認する事です。素焼きの温度もまだ低いですから、
エネルギーの消費(無駄)は少ないはずです。それ故、爆発の危険性がある作品はなるべく
確認し易い、窯の扉の近くに窯詰めする事です。
ⅱ) 窯自体が爆発する場合。
以下次回に続きます。
① 怪我(けが)に付いて。以上までが前回のお話です。
② 窯の爆発事故。
窯での爆発事故は、作品自体が爆発する場合と、ガス漏れなどで窯自体が爆発する場合が
あります。前者の場合は主に素焼き時に起き、後者の場合は主にガス窯などで起こり易いです。
ⅰ) 作品自体が爆発する場合。
長年窯焚きをされた多くの方は、素焼きの際に爆発事故を何度か経験しているはずです。
それ程一般的な事故とも言えます。
この場合は、窯の一部が壊れたとしても、人を傷つける事は少ないです。主に乾燥の不十分な
作品を急激に加熱した事が原因です。但し、素焼き後に施釉した作品では、急激な加熱によって
爆発する事はほとんどありません。又、作品の中に空気の塊がある場合には、加熱と共に
空気も膨張し爆発を引き起こします。これも素焼きの時に起きる事故です。
a) 爆発はおよそ窯の温度が230~280℃で起こります。
それ故この温度範囲内では、出来るだけゆっくり温度を上げていく事が大切です。
この間は30分~1時間程度の時間を掛けて昇温させれば安全です。(窯の容量や作品の
肉厚、乾燥具合によって時間が異なります。)
300℃を超えれば、ある程度急速に昇温させても、爆発の危険性は低くなります。
爆発は主に水蒸気爆発です。加熱と共に水分は蒸発し作品の表面より抜けていきます。
表面より抜ける量が発生する量よりも多い場合には、爆発は起こりません。逆に発生量が多く
なると、水蒸気が作品内に貯まり続け、圧力が上がりますので、最終的には爆発します。
b) 一見完全に乾燥している様に見える作品でも、肉が厚い作品は中心付近が乾燥不十分な
事が多いです。窯入れ前に天日乾燥させても安心と言う訳ではありません。
又、当然ですが作品完成から時間が短い程、又気候によっても乾燥は遅れます。この乾燥の
遅い作品を中心にして、素焼きを行う必要があります。
c) 乾燥の不十分な作品は、約200℃程度で一晩窯に放置すれば、完全に乾燥すると言われ
ています。 素焼きを急ぎたい場合には、便利な方法です。
d) 空気の塊の場合には、肌理(きめ)の細かい素地の方が危険が大きいです。素地が荒い
場合土の粒子間に隙間が出来、そこから空気が逃げて行き易いからです。
菊練を十分行う事で爆発は防ぐ事は出来ます。轆轤作業では、空気の存在は簡単に見付ける
事は可能ですが、その場所と空気を潰す事は慣れない方には、結構難事です。手捻りの場合
誤って空気を閉じ込めてしまうと発見し難いのですが、空気の塊は肉厚の厚い部分に集り
ますので、肉厚の部分には注意が必要です。針などで小さな穴を開けるだけで、爆発を防ぐ
事も可能です。
e) 作品が爆発すると、作品が粉々になるだけでなく、破片が周囲に飛び散り、周辺の作品に
当たり、他の作品を傷つける事になります。電気窯の場合、電熱線に当たり断線する恐れも
でます。又、破片が焚口周辺に飛び、焚口を塞ぐ恐れもあります。それ故、爆発の恐れの
ある作品の周囲には、なるべく作品を置かない事と、周囲を支柱などで囲む事です。
例え爆発しても周囲に破片が飛び散らない様に予防する事が大切です。
f) 爆発は鈍い「ボッコ」と言う低い音を発します。窯の近くに居れば聞こえる音です。
この音を聞いたら、電流の変化や焚口の炎や音の変化に注意する必要があります。
大きな変化が無ければ、そのまま続行しても多くの場合問題ありません。
心配であれば、窯焚きを中断し中を確認する事です。素焼きの温度もまだ低いですから、
エネルギーの消費(無駄)は少ないはずです。それ故、爆発の危険性がある作品はなるべく
確認し易い、窯の扉の近くに窯詰めする事です。
ⅱ) 窯自体が爆発する場合。
以下次回に続きます。