釉裏金彩(ゆうり、きんさい)
金液ではなく、金箔を使った、装飾方法に、釉裏金彩と言う、技法が有ります。
① 厚さの異なった金箔を、切り取って、模様をつくり、その上から、透明度の高い釉薬を、掛けて
焼き上げる方法で、絵の具を使って筆で描く、金襴手とは、大きく異なります。
② 釉裏金彩の技法は、昭和30年代、竹田有恒(たけだ、ありつね、1896~1976年)氏によって、
生み出された技法です。
その後、石川県小松市高堂町の、錦山窯の三代目、吉田美統(みのり)氏により、30年以上に渡り、
釉裏金彩の研究が、続けられます。
釉裏金彩は、九谷焼と、金箔の技術を融合して出来た、加賀地方ならではの、独特の技法です。
吉田美統氏の、釉裏金彩の技法は、平成13年に、国の無形文化財(人間国宝)に、認定されます。
③ 釉裏金彩は、釉薬の下に、金箔を置くことで、金箔が透明の釉薬によって、柔らか味が出ます。
又、従来の金彩は、本焼き後に、金を塗るので、使ううちに、剥がれるという、欠点がありました。
釉裏金彩は、釉を金箔の上に施すので、金箔が剥がれるのを、防ぐ役割もあります。
④ 吉田氏の釉裏金彩では、2種類の厚さの金箔が、使われています。
薄い金箔(薄箔)と、厚い金箔(厚箔)を、場面ごとに使い分けることで、立体感が出ます。
薄箔は、出来上がると、釉に溶け込む様に、薄く透けて、見える様になります。
一方、厚箔は金箔が、はっきりと現れれます。
⑤ 釉裏金彩は、多くの作業工程を要し、難しい作業と、手間が掛かります。
窯焚も、5回は必要で、本焼きした後、漆を塗り、金箔を模様通りに、切り取り、
漆の乾き具合を見て、丁寧に貼っていきます。
本焼きした釉面は、金箔の背景色になり、金箔の表情も、大きく変わります。
⑥ 吉田氏の、釉裏金彩の、作業工程の概要
) 作品(磁器)を、成形し、素焼、本焼の2回焼くと、真っ白な磁器が、出来上がります。
) 白い磁器全面に、釉(上絵の具)を掛けます。吉田氏の作品にはグレー、紫、黄、緑、赤等の、
背景の色によって、金箔の雰囲気が、異なって表現されます。
) 3回目の窯入れで、背景色を器に、焼き付けます。
) トレーシングペーパーにつけた、デザインを、ペーパーの上から、なぞり器に移します。
器に付けた、下絵に合わせて、金箔を、鋏で一枚ずつ、切り取ります。
細かいデザインでは、100枚以上の金箔を、用いる事もあります。
) 金箔の型が、全て切り揃ったら、一枚づつ、のりで貼り付けます。
下絵の上に、金箔をピンセットで、置いていきます。
薄い金箔に、皺がよったり、重なったりし無い様にします。
) 金箔を載せた後、軽く真綿で叩いて、金箔を器の面に、ぴったり合う様に、伸ばします。
) 金箔を貼り終えると、低温で金箔を焼き付けます。
この4度目の窯入れで、器の表面にある、不純物を取り除く、効果もあります。
) 最後に、透明釉を掛けます。筆で丁寧に金箔の上から、器全体に掛けます。
) 5回目の焼成で、完成です。
薄箔、厚箔が、はっきりと現れ、作品自体に、金箔によるコントラストが、できます。
尚、釉裏金彩の技法は、手間隙の掛かる、手作業です。 現在この技法を使い、活躍している方に、
佐賀県嬉野町の、小野次郎氏がいます。
・ 吉田美統氏や、小野次郎氏の作品は、インターネット上でも、見る事が出来ます。
興味の有る方は、吉田美統、又は、小野次郎、釉裏金彩で、検索して下さい。
以下次回に続きます。
釉裏金彩
金液ではなく、金箔を使った、装飾方法に、釉裏金彩と言う、技法が有ります。
① 厚さの異なった金箔を、切り取って、模様をつくり、その上から、透明度の高い釉薬を、掛けて
焼き上げる方法で、絵の具を使って筆で描く、金襴手とは、大きく異なります。
② 釉裏金彩の技法は、昭和30年代、竹田有恒(たけだ、ありつね、1896~1976年)氏によって、
生み出された技法です。
その後、石川県小松市高堂町の、錦山窯の三代目、吉田美統(みのり)氏により、30年以上に渡り、
釉裏金彩の研究が、続けられます。
釉裏金彩は、九谷焼と、金箔の技術を融合して出来た、加賀地方ならではの、独特の技法です。
吉田美統氏の、釉裏金彩の技法は、平成13年に、国の無形文化財(人間国宝)に、認定されます。
③ 釉裏金彩は、釉薬の下に、金箔を置くことで、金箔が透明の釉薬によって、柔らか味が出ます。
又、従来の金彩は、本焼き後に、金を塗るので、使ううちに、剥がれるという、欠点がありました。
釉裏金彩は、釉を金箔の上に施すので、金箔が剥がれるのを、防ぐ役割もあります。
④ 吉田氏の釉裏金彩では、2種類の厚さの金箔が、使われています。
薄い金箔(薄箔)と、厚い金箔(厚箔)を、場面ごとに使い分けることで、立体感が出ます。
薄箔は、出来上がると、釉に溶け込む様に、薄く透けて、見える様になります。
一方、厚箔は金箔が、はっきりと現れれます。
⑤ 釉裏金彩は、多くの作業工程を要し、難しい作業と、手間が掛かります。
窯焚も、5回は必要で、本焼きした後、漆を塗り、金箔を模様通りに、切り取り、
漆の乾き具合を見て、丁寧に貼っていきます。
本焼きした釉面は、金箔の背景色になり、金箔の表情も、大きく変わります。
⑥ 吉田氏の、釉裏金彩の、作業工程の概要
) 作品(磁器)を、成形し、素焼、本焼の2回焼くと、真っ白な磁器が、出来上がります。
) 白い磁器全面に、釉(上絵の具)を掛けます。吉田氏の作品にはグレー、紫、黄、緑、赤等の、
背景の色によって、金箔の雰囲気が、異なって表現されます。
) 3回目の窯入れで、背景色を器に、焼き付けます。
) トレーシングペーパーにつけた、デザインを、ペーパーの上から、なぞり器に移します。
器に付けた、下絵に合わせて、金箔を、鋏で一枚ずつ、切り取ります。
細かいデザインでは、100枚以上の金箔を、用いる事もあります。
) 金箔の型が、全て切り揃ったら、一枚づつ、のりで貼り付けます。
下絵の上に、金箔をピンセットで、置いていきます。
薄い金箔に、皺がよったり、重なったりし無い様にします。
) 金箔を載せた後、軽く真綿で叩いて、金箔を器の面に、ぴったり合う様に、伸ばします。
) 金箔を貼り終えると、低温で金箔を焼き付けます。
この4度目の窯入れで、器の表面にある、不純物を取り除く、効果もあります。
) 最後に、透明釉を掛けます。筆で丁寧に金箔の上から、器全体に掛けます。
) 5回目の焼成で、完成です。
薄箔、厚箔が、はっきりと現れ、作品自体に、金箔によるコントラストが、できます。
尚、釉裏金彩の技法は、手間隙の掛かる、手作業です。 現在この技法を使い、活躍している方に、
佐賀県嬉野町の、小野次郎氏がいます。
・ 吉田美統氏や、小野次郎氏の作品は、インターネット上でも、見る事が出来ます。
興味の有る方は、吉田美統、又は、小野次郎、釉裏金彩で、検索して下さい。
以下次回に続きます。
釉裏金彩
質問を受け付けているとの事で
お聞きしたいことがございます。
釉裏金彩(といっても、金粉を振る程度ですが)をしたいと思っています。
・高温だと溶けてしまうので、1000度以下の透明釉薬を探しています。市販では、楽焼き用の釉薬しか見つかりませんでしたが、かけてみると少し白濁していました。
どのような釉薬を1番上にかければ良いと思いますか。
○○系の釉薬を手作りするべき、等ご教授ください。
また、弁柄について
ベンガラの粉末で鉄絵をし、高光沢透明釉というのをかけ、1230度で焼成しました。
すると鉄絵が完全に消えてしまいました。透明釉の材料が良くなかったのでしょうか。(商品ページを見ても、材料が何なのか書いていませんでした……。)それとも、温度が高すぎたのでしょうか。
もしよろしければ、ご教授ください。