市販されている青、紫、紺系の釉には以下の様な種類があります。
1) 青い釉の代表的な釉は、トルコ・ブルー(トルコ青)が上げられます。その他トルコ青マット釉、
空色釉、灰マット空色、青白磁釉、月白(げっぱく)釉などがあります。
2) 紫色の釉には、紫釉、紫なまこ釉、薄紫なまこ釉、鈞窯(きんよう)釉などがあります。
3) 紺系の釉として、瑠璃(るり)釉、なまこ釉、瑠璃なまこ釉、群青なまこ釉、灰マット群青釉、呉須釉
紺碧釉などがあります。
注: 群青(ぐんじょう)色とは、やや紺味を帯びた深い青色です。
紺碧(こんぺき)色とは、深い青空の色をさします。
瑠璃色は、紫掛かった青色で、古代インドや中国で珍重された宝石の名前との事です。
青や紫、紺色などの色を出すのは、銅、マンガン、コバルトなどの金属元素です。
但し、釉の熔融剤により発色に違いがでます。
・ ナトリウムを主な熔融剤として使う場合には、酸化焼成で、銅で空色、マンガンで暗い黄色、
コバルトで濃い青となります。
・ カリウムを主たる熔融剤の場合には、銅でトルコ青、マンガンで紫、コバルトで青色を発色します
1) 青色の釉。
① トルコ青釉: 光沢があり、不透明で濃い青色を呈します。酸化、還元でもさほど変化が
ありません。メーカーによって焼成温度範囲が異なりますので、注意して下さい。
② トルコ青マット釉: 酸化焼成すると、綺麗な青に発色します。還元焼成では「くすんだ青」に
なります。
③ 空色釉: 明るく白味の強い青い釉です。水色とも称されます。
④ 灰マット空色釉:上記空色のマット釉です。
⑤ 青白磁釉: 還元で焼成すると、淡い青色で光沢のある透明系の釉となります。
⑥ 月白釉: 酸化焼成では青白色の乳濁に成りますが、還元焼成では、鈞窯風の青紫色に
なります。
2) 紫色の釉。
① 紫釉: 酸化焼成で紫色を呈する釉です。
② 紫海鼠(なまこ)釉、薄紫なまこ釉:
③ 鈞窯(きんよう)釉: 酸化焼成で明るい青色に、還元焼成で紫色の乳濁釉になります。
やや厚目に施釉し、1230~1250℃で焼成します。
3) 紺色の釉。
酸化コバルトは1%を添加するだけで、濃い紺色に発色します。
基礎釉を代える事で、色が変化します。
・ BaO(バリウム)釉に添加すると、やや明るい色になります。
・ MgO(マグネシウム)釉に添加すると、濃い目(黒っぽくなる)に発色します。
・ ZnO(亜鉛華)釉に添加すると、上記の中間の色になります。
① 瑠璃(るり)釉、群青釉 : コバルトを5%程添加すると、酸化、還元共美しい群青色をした
瑠璃釉になります。
灰マット瑠璃釉: 上記瑠璃釉にアルミナを添加し、マット状した釉です。
② 海鼠(なまこ)釉、瑠璃なまこ釉薬、群青(なまこ)釉 :
注: なまこ(海鼠)釉とは、元来施釉した上に、流れ易い釉を二重掛けして焼成した釉で、
流紋になりますが、二度手間を一度で済ます様にした釉です。
例えば、藍紫色を主体とする失透釉の瑠璃に、斑文(はんもん)や流文などが現れた
釉が、瑠璃海鼠釉です。
③ 呉須釉 : 下絵付けに使う呉須を添加した光沢ある紺色の釉です。
呉須にもコバルトが多量に含まれていますので、瑠璃釉の様な感じの釉になります。
④ コバルトを15%添加すると、ピンクからオレンジ色の結晶が析出した、光沢のある黒釉となり
瑠璃釉とは全く異なる釉となります。
以下次回(茶系、褐色系、赤系)に続きます。