作品を作る際、素地が原因で色々トラブルを起こす事は稀ではありません。
1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。
2) 乾燥時に切れが発生する場合。
3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。
4) 焼成時の変形。
5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。
6) 機械的、熱的強度について。(以上までが前回の話です。)
7) 水漏れ現象の場合。
施釉陶器では、本来水漏れを起こさないのですが、作品容器に水(汁)などを入れた時、
水漏れを起こす事があります。勿論一見して穴が空いた物では水漏れは当然ですが、見
た目には完全と思われる作品でも、実際に水を入れると漏る場合があります。その場合、
素地に問題がある場合と、釉に問題がある場合があります。ここでは、前者に付いて述べ
ます。後者に付いては後日述べる予定です。
特に顕著なのは、水を長期間貯めておく花瓶(花器)などです。水が漏る部分は、主に
底からですが器の表面から、汗の様に吹き出てくる事もあります。但し表面から吹き出る
場合でも、大量でない時には、自然に蒸発してしまいますので、気が付かない場合もあり
ます。しかし底の場合、底面と同じ形の水滴の水漏れになります。多くの場合、器を移動
した時に発見します。
① 漏る原因は、素地の焼締まりが甘い為です。
ⅰ) 焼成温度が低すぎる場合。
低い温度ですと、素地は十分焼き締まらず、ガラス質も少なく凝固しません。
それ故水漏れを起こし易くなるのは、当然と思われます。但し、焼固温度と軟化温度
との差が少ない場合には、温度を上げる事は難しくなります。
ⅱ) 素地の粒子の粗さに問題がある場合。
焼成温度が所定の温度まで上昇したにもかかわらず、水漏れを起こす事もあります。
この原因は、主に素地の粒子が粗い事が上げられます。荒めの粒子は素地同士間に隙間
が生じ易く水を透す事になります。そこで、素地を微粉末にするか、微粉末化した素材
を加える様にします。
ⅲ) 素地成分の中にガラス質などの、焼き固める素材が少ない場合です。
例えば、砂成分を多く含む素地では、十分焼き締める事は出来ません。必要な成分
は媒溶材質(ばいようざいしつ)と言われる、陶石、長石、絹雲母(セリサイト)等
です。
尚、長石の一部を石灰石やドロマイト(白雲石)、骨灰などに置き換える事も可能です
8) 塩類による「ブク」の発生。
「ブク」とは、表面にピンホール(細かい穴)が多数出た物で、素地に有害物資である水
溶性のナトリウム、カリウム、石灰、マグネシウム、硫酸塩(鉄分、アルミ成分を含む)
を多く含む場合に出易いです。これらを除くには、水に長時間浸し、洗い流します。
その他にバナジウム塩は、焼成で黄色や緑色の斑点と成って現れます。
有害な物質に硫酸石灰があります。石灰と硫酸鉄を含む粘土は、長い間風雨に晒され、
石灰と硫酸石灰、水酸化鉄に分解します。硫酸石灰は乾燥すると、薄い層になり作品の
端部に集まり易く、これが釉飛の原因になります。硫酸塩を除くには、素地に0.25~0.5%
の炭酸バリウムを添加し、良く練れば良いと言われています。
9) 焼成後作品が粉々になる現象の場合。
窯出し後ある期間経て、明確な原因が無いのに突然、壊れる場合があります。
これは、作品内部の歪(ひずみ)が何らかの理由で、解放された際に起こる現象とされて
います。微粉末の石英を多く含む素地では、素地内に非常に強い引力が働くと言われて
います。
一寸した衝撃や熱衝撃で起こる事もありますが、現在明確な原因は不明との事です。
以上で、粘土についての話を終わります。
1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。
2) 乾燥時に切れが発生する場合。
3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。
4) 焼成時の変形。
5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。
6) 機械的、熱的強度について。(以上までが前回の話です。)
7) 水漏れ現象の場合。
施釉陶器では、本来水漏れを起こさないのですが、作品容器に水(汁)などを入れた時、
水漏れを起こす事があります。勿論一見して穴が空いた物では水漏れは当然ですが、見
た目には完全と思われる作品でも、実際に水を入れると漏る場合があります。その場合、
素地に問題がある場合と、釉に問題がある場合があります。ここでは、前者に付いて述べ
ます。後者に付いては後日述べる予定です。
特に顕著なのは、水を長期間貯めておく花瓶(花器)などです。水が漏る部分は、主に
底からですが器の表面から、汗の様に吹き出てくる事もあります。但し表面から吹き出る
場合でも、大量でない時には、自然に蒸発してしまいますので、気が付かない場合もあり
ます。しかし底の場合、底面と同じ形の水滴の水漏れになります。多くの場合、器を移動
した時に発見します。
① 漏る原因は、素地の焼締まりが甘い為です。
ⅰ) 焼成温度が低すぎる場合。
低い温度ですと、素地は十分焼き締まらず、ガラス質も少なく凝固しません。
それ故水漏れを起こし易くなるのは、当然と思われます。但し、焼固温度と軟化温度
との差が少ない場合には、温度を上げる事は難しくなります。
ⅱ) 素地の粒子の粗さに問題がある場合。
焼成温度が所定の温度まで上昇したにもかかわらず、水漏れを起こす事もあります。
この原因は、主に素地の粒子が粗い事が上げられます。荒めの粒子は素地同士間に隙間
が生じ易く水を透す事になります。そこで、素地を微粉末にするか、微粉末化した素材
を加える様にします。
ⅲ) 素地成分の中にガラス質などの、焼き固める素材が少ない場合です。
例えば、砂成分を多く含む素地では、十分焼き締める事は出来ません。必要な成分
は媒溶材質(ばいようざいしつ)と言われる、陶石、長石、絹雲母(セリサイト)等
です。
尚、長石の一部を石灰石やドロマイト(白雲石)、骨灰などに置き換える事も可能です
8) 塩類による「ブク」の発生。
「ブク」とは、表面にピンホール(細かい穴)が多数出た物で、素地に有害物資である水
溶性のナトリウム、カリウム、石灰、マグネシウム、硫酸塩(鉄分、アルミ成分を含む)
を多く含む場合に出易いです。これらを除くには、水に長時間浸し、洗い流します。
その他にバナジウム塩は、焼成で黄色や緑色の斑点と成って現れます。
有害な物質に硫酸石灰があります。石灰と硫酸鉄を含む粘土は、長い間風雨に晒され、
石灰と硫酸石灰、水酸化鉄に分解します。硫酸石灰は乾燥すると、薄い層になり作品の
端部に集まり易く、これが釉飛の原因になります。硫酸塩を除くには、素地に0.25~0.5%
の炭酸バリウムを添加し、良く練れば良いと言われています。
9) 焼成後作品が粉々になる現象の場合。
窯出し後ある期間経て、明確な原因が無いのに突然、壊れる場合があります。
これは、作品内部の歪(ひずみ)が何らかの理由で、解放された際に起こる現象とされて
います。微粉末の石英を多く含む素地では、素地内に非常に強い引力が働くと言われて
います。
一寸した衝撃や熱衝撃で起こる事もありますが、現在明確な原因は不明との事です。
以上で、粘土についての話を終わります。