わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

電動ろくろのコツ(問題と対策2)

2008-06-30 06:16:40 | 電動ロクロの技法
 土を挽き上げた場合の問題と対策

 1) 土が中々高く延びない。原因は

   イ) 両手の指の挟む力が弱い。

     ・ 何度も述べる様に、土を延ばす作業は、一種の力仕事です。
    
     ・ 特に左手(外側の手)の指を若干強くし、中央部をやや細くます。

        手が上まで上がったら、右手の四本の指を筒の内側に

       入れて、中央を膨らませ、全体を同じ太さにします。

     ・ 手の上昇スピードは、一定にしてください。最上部でややゆっくり

       にします。
   
 2) 粘土の高さに差が出る。 原因は、

   イ) 土に穴を開ける際、穴が中心から、ずれている為。

    ・手がしっかり固定されずに、穴を開けた為、円周上の肉厚に差が出た。

     肉の厚い所の土が高くなる。(薄い所は土が延びず、背が低い)

   ロ) 土に空気が入っていた為。

    ・ 空気が入っていると、その部分の土は延びません。

       それ故、高さに差がでます。

    ・ 土練を(菊練り)をしっかりする事です。

  ハ) 土の一部に固い土が混ざっていた為

    ・ 新しい土と、古い土を一緒に混ぜたり、二種類以上の土を混ぜた場合

      硬さに差があると、硬い部分が残り易く、その土が延びません。

    ・ 土殺し前に、土の固さを十分確認し、調整する事。

  ニ) 土が振れている状態で、土を挽き上げた為。

    ・ 土が振れて、外に傾いた側では、他の部分より外からの力が強く掛

       かります。力が強く掛かった部分の場所は、上に延びます。

    ・ 土を挽き上げた後は、必ず両手に水を付け、抱える様にして、振ら

       つきを止めて下さい。

  ホ) 土を挽き上げる際、強く「ろくろ目」をつけた為。

    ・ ろくろ目は、土の内、外にらせん状の凹凸を付ける作業です。

     (意識しなくとも、両手の指に力を加え、速めに手を上げて行くと、

      自然に、ろくろ目がつきます。)

    ・ ろくろ目は、表面が凹凸の部分で、肉厚が変化しています。

      それ故 土の上部で高さに差が出ます。

   尚 高さに差が出た場合、弓や針で上部の高さを揃えて、切ります。

    (切らずに、高さを調整する事は、困難です。)

 3) 粘土の肉厚が、円周上で差が出る。(段々が出来る) 原因は、

  イ) 土は下部ほど肉は厚くなっています。

    ・ それ故、指先に入れる力は、肉の厚み応じて連続的に弱めていく必

       要が有ります。

    ・ 力は不連続に変化すると、段々が出来る可能性があります。

 4) 粘土が「よじれ」る。 原因は、

   イ) 土は部分的に、肉厚が薄くなると、回転に合わせて引っ張られ、

    上の重みで、「よじれ」が出ます。

    又 肉が厚い場合、直径を細くすると、更に肉が厚くなり、「よじれ」や

     「ひだ」が出来ます。

    ・ 肉厚に差がで無い様にします。

    ・ 径を細くする際、厚くなった肉を薄く延ばしながら、数回に分けて

      径を絞ってください。

 5) 粘土が振らつく。 原因は、

  イ) 土の振れ止めが不十分な為。

     ・ 土が振らついたら、振れを止めるのでは無く、土を挽き上げる度に

       振れ止めの作業をして下さい。

     ・ 振れを止める方法は、両手で抱え込んで、やや径を細くする。

      又、一度やや径を外に拡げて、振らつきを止めてから、径を絞る

      方法が、有ります。
 
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電動ろくろのコツ(問題と対策1)

2008-06-29 12:11:32 | 電動ロクロの技法
 電動ろくろで、土を挽き上げる際、色々問題が発生します。

  その原因と対策をお話したいと思います。

 1) 土殺しで、土が途中で千切れた。 原因は、

   イ) 手の滑りが悪い。 (水切れ)

      ・土の表面の「ドベ」が十分ではない。(少ない、乾き気味である)

      ・手に付ける水が少ない。(初心者は、やや多目に水を使う事)

      ・参考までに、左手に濡らした布を巻き付けて使う方法もあります。

      尚 千切れた土は、下の土に付きません。もう一度土練りからやり直

      して下さい。

   ロ) 力の入れ方に問題がある。

      ・ 菊練りされた土の形は、砲弾型(又は円錐状)になっています。

       即ち、下部が太く、上部がやや細くなっています。

       それ故、下部では強い力で、上部にいくに従い、若干力を弱くしま

       す。下から上まで、同じ力を入れて土殺しをすると、上部に行くほ

       ど細長くなり、千切れる原因になります。

      ・ 土殺しの際、手に掛かる力(粘土が押し返す力)を常に感じて、

       力を調整してください。

      ・ 千切れそうになったら、速めに、力を弱めて下さい。

 2) 土殺しで、土を上に上げる際、土が振らつく。 原因は

   イ) 両手の肘が、体(太もも)から離れている。

      ・ 両手の手の位置を固定して下さい。

       (ろくろの回転に、負けない様に)

      ・ 土をろくろの中心に置いてから、土殺しを始める。

       (中心に置いたように見えますが、ろくろを回転すると、ずれてい

        る事が解かります。実際には少々ずれていつのが、普通です。)

       それ故 一回目の土殺しは、強い力で行わない事です。
    
   ロ) 手の一部分しか使っていない。

      ・ 力を入れる場所は、両手の小指の付け根ですが、手のひら全体
 
        で、土を包む様にして下さい。

      ・ 土の量が多い場合や、土が硬い場合などの時は、両親指の付け根

        付近を使い、土殺しをする場合も有ります。

      ・ 左右の手は、均等に力を入れる事。

  ハ) 最上部まで、力が入ったままの為。

      ・ 上部にいくに従い、手の力を、若干抜いて下さい。

      ・ 最後は、両手で拝むようにして、ゆっくり手を離します。

 3) 土を下げると、土の外周が不規則な円となる。 原因は、

   イ) 土を上から、力で潰そうとする為。

      ・ 土の上部を右手で抱え込み、斜め左前に土を倒す様にする。

      ・ すると、土の上部が螺旋上に回転しながら、下に下がって行きま

        す。力はそれほどいりません。

   ロ) 土の外側の押さえが弱い為

      ・ ある程度土が、下がったら、左手を添えて、右手の掌で、外周を

        押さえて下さい。

      ・ どうしても外周が振ら付く場合には、スッポンジなどを、左手で

        持ち、最下部の外周を、中心に押し付け、綺麗な円を出して下さ

        い。
     
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電動ろくろのコツ(土を延ばす3)

2008-06-28 11:16:17 | 電動ロクロの技法
 では実際に土を延ばして見ましょう

 前々回、底作りまでお話しました。その続きを述べたいと思います。

 尚 ろくろの技法は、標準的な方法は有りません。陶器の産地(土の種類)、

   指導者(先生)に拠って、その方法は、バラバラです。

  ここでは、私の方法ですので、何の役にも立たないかも知れませんが、参考に

  して頂ければ有難いです。

   (ここでは、ろくろ回転を右=時計回転方向とします)

 1) 土の外側の手(左手)が基準になる手です。

  イ) 左手の肘を体(太もも)に固定し、人差し指、中指、薬指の三本を揃え

    その指先を、土の外側を触れます。

  ロ) 右手の肘は固定せず、自由にします。右手人差し指の側面を、土の内側

    に当てます。

  ハ) 左右の親指は組んで下さい。

   (但し、筒状の土が深くなり、左右の手が組み合わせ出来ない場合は、左右

    の手は、バラバラに成ります。それ以外は、指を組んで下さい。)

  ニ) 左右の手の指で、内、外から土を締め付けます。

    すると、土は上に延びて来ます。

    その際、手が滑る様に、両手又は土に水(ドベ)を付けて下さい。

  ホ) 締め付ける際、外側の手(左手)を強く中心に押し、土が外に広がらな

    い様にします。(土が太鼓型に成らない様に注意)

    又 最上部に手が移動し、手を離す際には、回転スピードをやや遅くし、

    手をゆっくり離して下さい。最上部でない所では、土から手を離さないで

    下さい。(振らつきの原因になります。)

 2) 土を一度に上まで挽き上げず、2~3段に分けて挽く。

   (小さな作品では、一度に挽き上げる)

  イ) 下から土を薄く延ばして行くと、上部に肉の厚い土が乗っかり、手が

    スムーズに上に移動できず、手が止まり易くなり、止まった部分の土が

    どんどん薄くなり、千切れてしまう恐れが有ります。

    又「よれ」の原因にもなり易いです。

  ロ) そこで3段(又は2段)に分けて、挽くと上部が薄くなるので、手が止

    まらず、スムーズに挽き上げられます。

   ・ まずドーナツ状の土の上部1/3を、薄く延ばします。

     次に、中段の1/3の土を延ばす。最後に下段の1/3の土を延ばします

   ・ 3段挽き上げたら、最下段から上まで、もう一度挽き上げ、段差を無く

     します。

  ハ) 土を上に挽き上げる作業は、力仕事に成ります。

   ・ 表面を撫ぜる様ですと、土は上がって来ません。

     両手の指に力を入れて、挟み込みます。(かなり強い力が必要です)

   ・ 慣れない内は、力の入れ具合がどの位なのか解かりません。

     指導者(先生)に手を取って教えてもらう必要が有ります。

   ・ 土が軟らかいと、力は若干弱くても、土は延びますが、肉が薄くなりま

     せん。(初心者は、やや柔らか土を使い、延びる触覚を味わて下さい)

 ニ) 土延ばしは、スピディーに行う事

   ・ 時間が掛かると、土に水が回り、軟らかくなり、幾ら頑張っても、土が

     延びません。(短時間で土を延ばす様に、心掛けて下さい。)

  

  
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電動ろくろのコツ(土を延ばす2)

2008-06-27 17:47:15 | 電動ロクロの技法
 電動ろくろで難しい作業は、土を如何に薄く、上に延ばせるかと言う事です。

 1) 薄く延びるには、幾つかの要素が有ります。

  イ) 粘土の種類 何処で採れた粘土かに拠って、土の延び具合が変わります。  

    (延びやすい土、延びにくい土と、土にも個性が有ります)

  ロ) 土の水分の含有量。(土が硬い方が、上に良く延びる)

  ハ) 土の粒子の荒さ。(粒子の細かい土は、延びずらい)

  ニ) 最大の要素は、その人の技量に拠って、左右されます。

 2) 実際に土は、どの位上に延びる物でしょうか。

    勿論、土の量が或る程度多い程、土は高く延びます。

   ・ 例として、ごく一般的な「信楽の並漉し」で見てみましょう。

   ・ 底の肉厚を、1.0 Cm にし、内側に5本の指(親指は内側に折る)が入

     る口縁の太さの円柱にすると、最大高さは(およそ)

    a) 0.5Kgの土で、高さ約14~15Cm程度です。

    b) 1.0Kgの土で、高さ約22~23Cm程度です。

     (因みに、目標を20Cm以上延ばせる様にしたい物です)

    c) 手の入らない程、細くした場合には、約30Cm程度まで、土が上が

      ります。(この場合、内側に柄コテを使います)

  以上の様に、土が2倍になっても、高さは2倍にはなりません。

  上の土を支える為、下の土の肉厚を、どんどん厚くしなければならない為です。

  ・ 土の量を幾ら増やしても、ある一定以上の高さにはなりません。

    上部の土を切り取っても、同じ高さまで、土を延ばす事ができます。

   尚 紐作りで、どんどん巻いて高くし、その後電動ろくろで挽く方法ですと

    割合高く上げる事が出来ます。

 3) 土を上に延ばす時の注意点

   イ) 触覚を大事にする。

    ・ 人間は、視覚が特に発達していて、視覚に囚われ勝ちですが、錯覚と

      言う言葉も有るように、だまされ易いものです。

    ・ 指の触覚は、視覚以上に、物事を正確に把握出来ます。

    ・ 特に、肉厚、全体の形、表面の凹凸など手で触ると、その様子が解か

      ります。

   ロ) 指の位置に注意

     土を両手の指で挟み、土を延ばしますが、その際、土を押す位置は、

     時計の8時又は9時の位置に置いて下さい。(ろくろは時計回転)

     (この位置が、一番力が入る位置で、10時、11時となるに従い、

      体が伸びて、力が指先に入りません)

   ハ) 土は手だけで挽き上げず、体で挽き上げる様にする。

     ・ 手だけで挽く場合、目と手との距離がどんどん短くなってきます。

     ・ 手を上に上げながら、手に合わせて、背筋を延ばし、目と手の距離

       を一定に保つ様にして下さい。

   ニ) ろくろ作業は、腰を折り前屈みになり、腰を痛め易い姿勢です。

     特に時間を忘れて作業に没頭しがちです。なるべく同じ姿勢を長く取ら

     ずに、ちょくちょく、立ち上がり、腰を伸ばしてください。

      (1~2分程度でも有効です。)

     
  



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電動ろくろのコツ(土を延ばす1)

2008-06-26 17:02:51 | 電動ロクロの技法
 土殺し、(土取り)が終わればいよいよ、土を薄く延ばして行きます。

  薄く延ばす前に、必要な作業が有ります。

 1) 粘土の中心に、穴を掘ります。

  ・ 掘る方法は、作品が小さい場合(土の量が少ない)には、水で塗らした左

    手の親指を差し込んで、深く掘り込みます。

  ・ 土の量が多い場合には、両手の親指を揃えて、土の中心に置き、掘り込み

    ます。この際、口縁部分をやや広く拡げる。

  ・ 掘り込んで行くと、水切れの状態になりますので、水を手で救い、穴の中

    に流し込みます。

  ・ 次に、右手人差し指、中指、薬指を3本を揃え、中指を穴の中心に置き

    更に堀進みます。

  ・ 掘り込む際、親指が常に中心に有るようにし、中心からずれない様にする。
 
   手の肘を体に固定し、手が振れない様にします。

   (手が振れると、ドーナツ状の土の肉厚に差が出て、土を延ばす際、部分的

    に土が延びる所と、延びない所が出てしまいます。)

  ・ 底の厚みを残し、掘り込みます。 底の厚みは、削り高台では約1Cm、

    ベタ高台では約0.5Cm程度です。作品に拠って各自決めてください。

 2) 底を作る。底を締める。

  ・ 底の厚みが決まったら、底の部分を拡げます。

     (当然作品に拠って、その広さは決まります)

  ・ 底の土を締める。指を底に押し付ける様にして、中心から外側に、外側か

    ら中心へと2~3度繰り返します。

    (土締めが弱いと、底割れの原因になります。必ず実行して下さい)

  ・ 底を作る場合、作品の底から腰にかけての形状によって、内側の角を、丸

    くしたり、角ばる様にします。
   
   器の外側が角ばり、内側が丸いと、腰の部分が肉厚になり、作品が重くなる

   逆に、外が丸、内が角の場合、肉厚が薄くなり、底削りで穴が開く場合も有

   ります。

   外が丸なら、内も丸。外が角なら、内も角にし、形を合わしてて下さい。

 3) 肉厚の調整、振らつきを止める。

   土を薄く延ばす前にする、必要な作業です。忘れずにして下さい。

   ・穴を開ける際、肉厚に差が出た場合、又 振らつきを止める為に行います

    (土が振らついた状態で、次の作業を進めると、振れはどんどん大きくな

     ります。)

   ・ ドーナツ状の土の内側、外側、上を押さえ込みます。

   ・ やり方は、両手の親指が内側、人差し指と中指で外側を、親指と人差し

     指の間の根元で上を押さえ込みます。若干ドーナツ部分の肉を厚くする。


 私のHP明窓窯です。

   興味が有りましたら、御覧下さい。
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電動ろくろのコツ(4 一個作り他)

2008-06-25 23:04:16 | 電動ロクロの技法
電動ろくろで作品を作る場合

 1) 作品一個分の粘土を、ろくろ上に用意する方法

 2) 多量の粘土を用意し、上部から順に一個一個作品を作る方法

  があります。

 前回は1)の場合の土殺しをお話しましたが、2)の場合の土殺しに付いて述べ

  ます。

 土殺しの方法は、1)の場合と同じですが、違いは、土殺しの量の違いです。

 即ち、2)の場合は、作品に必要な粘土の量の1.5倍程度の量の土殺しをすれ

  ば良いのです。それ故 多量の粘土の下部は、綺麗に中心が出て、回転してい

  る必要は有りません。

  一個の作品が挽けたら、糸で切り離し、取上げます。

  そして又、上部を土殺しします。

  常に必要な量の1.5倍程度の粘土の土を殺して下さい。

 
1)の方法と2)の方法の比較

  (以前この事に関して述べたと思いますが、再度お話いたします)

 イ)土を練る(菊練)の場合は、粘土が多過ぎると(2㎏以上)初心者は難し

  いです。 (逆に、500g以下の粘土を練るのも難しいです。)

    それ故、多量の粘土を取り扱うのは、初心者には向きません。

 ロ)1)の方法では、作品の必要量のみ秤で計ります。それ故 同じ寸法の作品

   を作る場合、粘土の過不足が有りません。

  ・2)の方法では、多量の土から「土取り」と言う方法で、必要量を決めます

  ・「土取り」は、土をある太さの円柱形にし、土の上部を左手で抱え、作品が

   小さい順に、中指、薬指、小指の何れかを使い、その指に力を加え、円柱形

   に溝を付け、その溝より上の土を使い、一個の作品を作ります。

  ・「土取り」は初心者に取って、難しい作業です。

   (円柱の太さ、どの指を選べば良いか、等判断に迷い気味です。)

 ハ)挽き上げた作品を、ろくろ上から取り上げる際、まだ軟らかいので、歪みま

   す。特に直径が大きな作品(皿など)は、歪みが大きくなります。

   2)の方法では、出来た作品を速く取上げないと、次の作品が出来ません。

  ・ この場合、少々歪んでも良いから取り上げ、後で歪みを無くす様に、作品

    の腰で調整する方法。(決して、口縁で直さない事)

  ・ ドライヤーなどで、作品を1~2分乾燥してから、糸で切り離して、取り

    上げると、作品の歪みは少ない。

  ・ 理想的には、ろくろの上に、もう一枚の着脱自在の板(亀板)を載せ、

    その上で一個の作品を作り、亀板ごと取上げれば、作品が歪む事はありま

    せん。(市販されてもいますが、自作する事をお勧めします。数枚用意

     できれば、便利です。)

 ニ) 1)の方法では、底の肉厚を針を刺して計る。

   (肉厚を測定する針を自作してください。針先が0.5、0,8、1,0、1,2、cm

     の針を用意できれば充分です)

     2)の方法では、底の肉厚を計る方法は、

    ・粘土の中心に開けた親指と、「土取り」時の他の指との、位置関係から

     推測する方法

    ・「トンボ」を使い、内側と外側の差から、肉厚を計る方法

 ホ) 尚 ろくろに慣れた方、作品を大量に作る職人さんは、2)の方法で作陶

   するのが普通です。(作品を速く、大量に作るのに適します。)
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電動ろくろのコツ(3)

2008-06-23 22:28:10 | 電動ロクロの技法
 電動ろくろは、どの位(年数、時間)やれば技術が習得できますか?

 と聞かれる場合が、多々あります。

ろくろ6年(ろくろ10年)と言う「ことわざ」があります。

 これは、電動ろくろの無い時代から、言われている「ことわざ」です。

 ・ ろくろを手(又は足)で回転させていました。

 ・ ろくろの回転スピードが急激に変化しないように、回転盤(ろくろ面)が

   重く作られていた。それ故 ろくろ挽きは、主に男性に限られていました。

 ・ それでも、最初は速く、そしてどんどん遅くなるを、繰り返す。

   (回転スピードが、刻々変化するし、軸受けも悪く、ガタガタし振れ易い)

 ・ 趣味でろくろを挽く人は、ほとんど居なかった。

  (窯元などの下働きとして働き、自分の仕事が終わった後、初めてろくろの

   練習ができるが、教えてくれる人も無く、先輩の仕方を見よう見真似で覚え

   るのが、一般的でした。)

この様な条件で、技術取得に6年(10年)掛かると言われているのです。

現在では、割合簡単に電動ろくろを操作する事が、出来る様になりました。

 又、技術を教えてくれる所も多く、女性でも取り組める様になり、技術取得に

 以前ほど、時間は掛からなく成りました。


 では最初の質問に答えたいと思います。

 ・ 一通り電動ろくろが出来る様になるのに、 約500時間

 ・ ほとんどの作品を作れる様になるのに、 約1000時間

 ・ 人に教える事が出来る様になるのに、  約1500時間

 以上は、あくまでも目安です。

  物覚えの良(悪)い方、器用(不器用)な方、年齢の若い(高齢者)方、

  力の強い(弱い)方、男女の差、熱心差(意欲の差)、継続性の有無など

  色々な条件で、取得までの時間に差が出ます。

例えば  4回/月 1回3時間のろくろ作業では

     4(回)x 3(時間)x 12(月)= 144(時間)/年

     それ故 500時間までには、約3年半程度 掛かると言う事です。

 
 電動ろくろのコツの続きを述べます。

  ろくろ作業は、土殺しから始めます。

   一つの塊の粘土から、1作品を作る方法と、多量の粘土の上部から、順次

   1個1個の作品を作っていく方法とが有ります。

 1) 土殺しのコツ(1作品を作る場合)

  イ) 粘土をろくろの中心に置く。ろくろ面に円が書かれている場合は、その

    中心に菊練をした土を、両手で叩き付ける。

    叩き付けると、まず中心にきません。根元(ろくろと粘土の接する所)を

    横から叩いて調整し、中心に持って行く。

  ロ) 根元が円の中心に有れば、その上部が狂っていても、土殺しは容易に出
   
     来ます。

    根元を中心にする他の方法は、ろくろを回転しながら、根元を竹ヘラ等で

    円からはみ出した部分を、切り取ります。

  ハ) 手に水を付け、3回程度粘土を撫ぜ、「ドベ」を発生させて、手が滑る

    様にします。

  ニ)  土殺しは、両手で土を強く挟み、上に移動します。

   ・ 両手の肘は、両太ももに固定します。

   ・ 水切れに注意し、手を濡らして、「ドベ」が常に土の表面にある様にし

    ます。(手が上まで良くと「ドベ」を取ってしまうので、手を濡らす。)

   ・ 両手の挟み付けが弱いと、土の表面だけが上に移動し、土の中心が凹み

    ます。

   ・ 手の移動スピードは、ゆっくりで、一定速度で上に上げます。

     最上部で粘土から手が離れる時は、力を弱め、ゆっくり離してください

   ・ 手が滑らず、力を入れたままですと、途中で土が「ネジ切れ」ます。

  ホ) 上げた粘土を、右手で包み込み、斜め前に倒す様にすると、強く力を

     加えなくとも、最上部が螺旋状に回転しながら、下に降りて行きます。

   ・ この様にして、土の上げ下げを、繰り返します。

  ヘ) 土殺しが出来ているかは、土の上部を、左手(時計回転の場合)で抱え

     込み、その手が固定されていれば(手が振れ無い)、十分です。

  ト) 土殺しは、出来るだけ、速く(回数を少なく)終わらせて下さい。

    (土が水を吸わない様に、出来れば3回程度の、上げ下げで終わらすの

     が理想的です。)

  尚、初心者の方は、硬い土より、やや軟らかい土を使うと「コツ」が、飲み込

   み易いと思います。
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電動ろくろのコツ(2)

2008-06-22 17:22:19 | 電動ロクロの技法
 電動ろくろは、丸(円)形の作品を作るのが、得意な道具です。

電動ろくろで、出来る事は、以下の3点です。

 1)直径を広げる。

 2)直径を狭める。

 3)高く上に延ばす。

この3点の組み合わせで、作品を作ります。

 更に手を加える事により、丸でない形の作品を作る事が出来ます。

  イ) 丸のままの形の「パーツ」を組み合わせる。(急須など)

  ロ) 変形する。(徳利の注ぎ口、花びら型の皿、四角形にするなど)

  ハ) 丸の一部を切る。(多角形に切る、縦に裂き平らにし、俎板皿を作る)

  ニ) 型に入れて変形する。(皿などの表面に、凹凸模様を入れる場合、模様

     の入った型に、ろくろで挽いた作品を押し付け、模様を付ける)

話を元に戻します。

 電動ろくろで出来る3点の中で、一番容易なのは、

 1) 直径を広げる事です。 ろくろは回転している為、常に遠心力が働き、外

   に拡がろうとしています。それ故、径を拡げる事は、一番容易な事です。

  ・ 径を拡げるには、外側の手(左手)より内側の手(右手)の力を強くする

    事です。

  ・ 右手で外に押し出したら、左手はそれに合わせて、外に逃げて行かなけれ

    ばなりません。初心者の方は、左手(外側の手)が頑張り、径が中々拡が

    らない傾向が見受けられます。(左手が基準の教えを守った為か?)

  ・ 当然ですが、径を拡げる事は、高さを低くする事になります。

  ・ 「石ハゼ」などの入った粗めの土の場合、皿のように極端に径を拡げた時

    縁の部分が切れ易くなります。縁の土を締めながら、縁を拡げる事。

 次に容易なのは

 2) 径を狭める事です。

  ・ 1)とは逆に外側の手(左手)で強く押す事です。

  ・ 内側に手が入らない程狭い場合には、両手で外から力を加えて細くします

    作品の直径の太さに拠って、細くする方法が違います。径が太い順に、

   イ) 両手の手のひら全体で抱え込み細くする方法。

   ロ) 両手の親指と人差し指の間で、細く締める方法。

   ハ) 両手の親指、人差し指、折った中指の関節の6点で、細くする方法。

   ニ) 両手の親指、人差し指の腹の4点で、細くする方法。

  ・ 指の使い方で注意する事は、細く締めて行く段階で、部分的に土が逃げな

    い様にする事です。指と指の隙間を均一にして下さい。

  ・ 径を細くして行くと、肉が厚くなります。 そのまま更に細くすると、

    「よれ」が生じます。これを防ぐには、厚くなった肉厚を、やや薄く上に

    延ばしてから、更に細くする事です。

  ・ 細くする上で大事な事は、肉厚が薄過ぎると、細くならない事です。

    薄いと「よれ」が生じるだけで、細くする事は困難です。

以下次回に続きます。


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電動ろくろのコツ(1)

2008-06-21 18:08:54 | 電動ロクロの技法
 前にも述べましたが、電動ろくろには、統一した(標準的な)技術は有りません

 個々の陶器の産地や、指導者(先生)に拠って、その技術(指導方法)は色々

 異なります。

  ここでは、一般的な事を述べたいと思います。

 1) ろくろの回転方向 (電動なので、左右どちら回転でも可能ですが)

  ・ 日本では一般的に右(時計方向)回転です。欧州や南北アメリカ等では左

    回転です。

  ・ 理由は電気の無かった頃から、ろくろは存在していました。

    その頃からの伝統が、現在も続いているものです。

    (あくまで、習慣ですので、必ずしも伝統に従う必要はありませんが)

    日本では、手(右手)で回転させていました。

     (右手に、回転させる為の棒を持ち、ろくろ面の端にある穴に棒を差込

      回転させます。すると、右回転の方が回転し易いです)

     それ故、右回転になります。

    西洋では、足(右足)で蹴って回転させていました。 

    (蹴りろくろの様に、ろくろ面と同軸の下部の回転盤を蹴る)

     それ故、左回転になる。と言われています。

  ・ 回転方向が、左右逆だと右、左の手の位置が逆になります。

    即ち、右回転の場合、右手が作品の内側を、左手が外側を触る事になりま

    す。左回転の場合には、左右の手の関係が逆になります。

  ・ 基準になる手は、作品の外側を触っている手です。

    (右回転では、左手が基準になる手となります。)

    基準の手の肘は、体に付けてしっかり固定します。

  ・ 回転方向は以下の3通りになります。

    イ)作陶も、底削りも、右回転

    ロ)作陶は右、底削りは左回転

    ハ)作陶も、底削りも左回転

    先にも述べました様に、あくまで習慣ですので、自分に合った方法でして

    下さい。 (最初に学んだ方法が、その人の方法になるのが一般的です)

 2) 回転速度(スピード)

   ・ 回転速度は人により、速いほうが好きな方、逆に遅い方が好きな方と

     人により異なります。一般的には言えることは、

   ・ 直径が大きい作品の場合は、回転速度は遅く

   ・ 直径が小さい作品の場合は、回転速度は速くする。

   即ち 手に触れる粘土の速度を一定にする、と言う事です。

   ・ 土殺しはやや早め、 土から手が離れる時はやや遅めにします。

 

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手捻りと電動ろくろ(3)

2008-06-20 20:37:35 | 電動ロクロの技法
 手捻りを長くやってた方が、電動ろくろの技術を習得しようとすると、その経験

が害になる理由を述べたいと思います。

 1) 電動ろくろの長所は、作品を速く、成型出来る事です。

   逆に 「速く作らないといけない」と言う事でもあります。

  ・ 電動ろくろは、別名「水挽き」と呼ばれ、水を多量に使った作り方です。

    手捻りは、粘土表面の乾きを押さえる程度の、少量の水で済みます。

  ・ 速く作らないと、粘土に水が入り込み、軟らかくなり、中々形にならず、

    場合によっては「土がヘタリ」、作品が崩れます。

  ・  手捻りでは、必ずしも急いで作陶する、必要は有りません。

    それ故 手捻りの感覚で、作陶すると失敗する事に成ります。

  ・ 但し、初心者が、電動ろくろで速く作る事は、かなり難しい事です。

 2) 手捻りでは、作陶中に手を休めて、考えながら作業を進める事が、可能

    ですが、電動ろくろの場合には、途中考える時間は、ほとんど取れません

    すばやく作らなければならない、からです。

 3) 電動ろくろでは、制作途中での設計変更が、難しいです。

    (手捻りでは、比較的簡単に、設計変更が可能です。)

    それ故 作品に取り掛かる前に、大きさ、形、装飾(細工)等を十分に

    検討(設計)して置く必要があります。

 4) 電動ろくろでは、制作途中で粘土を足す事は、ほとんど不可能です。

    途中土が足りないと解かったら、土の量を増やして、最初からやり直した

    方が、時間的にも速く、作品も綺麗に出来上がります。

    (勿論、土を乾燥すれば、その上に土を足す事も可能ですが)

 以上の理由に拠って、手捻りの習慣を、電動ろくろの場合に持ち込まない事です

 そして、経験に囚われず、臨機応変に頭を切り替えて下さい。


 前にも述べましたが、もし電動ろくろを習いたいのなら、最初から教えてくれる

 指導者や、陶芸教室などを探す事です。

   どうしても、手捻りをやってから教えると言う所ならば(大部分の所はこの

  タイプです)、なるべく速く、電動ろくろを教えてもらう様に頼む事です。


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