2)コテ(鏝)類
コテは手(指)の替りに使用する用具ですので、必ずしも必要な用具ではありません
が、広い面積を一様な力で押さえ付け、形を整えたり、表面を滑らかにする働きり、
あると便利ですので、使用したい用具です。コテ類には、万能コテ、ダンゴコテ、
仕上げコテ、柄ゴテ、牛ベラ等、多くの種類があります。
使いう場所は、轆轤作業では、器の内にコテを押し当てて使うのが一般的です。
以上が前回までの話しです。
前にもお話しましたが、最良の道具は人間の手(指)です。粘土(素材)の硬さや
柔らかさ、形(形状)の違和感(凸凹度合い)等指又は手の触感で知る事が出来、
形の修正も可能です。それ故コテに頼り過ぎずに、ご自分の手(指)の感触で作陶
する事が大切です。ある程度指の感触を会得してから、コテ類を使用した方が良い
場合もありますので、急いで使う必要はありません。 勿論、手ひねりでも使する事
も多いです。
① 万能コテ
使い方によって、このコテ一つ有れば、ダンゴコテや仕上げコテ、牛ベラ等の代用
品として使用できるコテですが、専用コテよりも使い勝手が悪くなる場合がありま
す。多くは木製で、市販されていますが、ご自分で制作するとより便利です。
使用する工具類は、木片(暑さ5~10mm程度)、鋸(又は糸のこ)、カッター
木工ヤスリ、紙ヤスリ等を用意すれば十分です。
ⅰ) コテは、刃(エッジ)の部分と、面を使う方法があります。
即ち刃の部分を使うとは、コテの薄く成った側面を、線状に使う事になり、
面を使う場合は、広い面積を当てて使う事になります。
ⅱ) コテを使う場合、コテは水で濡らし、良く滑るよ様にし、やや手前に傾けて
(回転方向と反対側)使用します。コテを持たない手の親指をコテの一部に当て、
コテが振れない様に保持します。コテを当てた粘土(素材)の反対側(器の外
側)に手(指)を当てて、極端に変形しない様に、力を抑えながら、土を支え
る必要があります。即ちコテと手指で挿みます。外側の手の力の入れ方も、
作品の形状や形の変更に合わせて、強~弱と場面に応じて変化させます。
② 仕上げコテ
作りたい器の断面と同じカーブを持つコテです。当然、器毎にカーブの異なる
数種のコテが必要でっす。勿論湯呑の様に垂直でカーブが無いコテも存在します
ある程度予定の形に仕上げた後に、仕上げとして形を整える役目になります。
③ 柄コテ
棒状の先端部近くに半円形の突起のある形のコテです。
袋物と呼ばれる、口が小さく手指が器の内側に入らない場合に、指替りに使いま
す。棒部分の長さや、突起部の出っ張り具合も、千差万別です。背の高い作品
では、柄の長さも長くなります。
ⅰ)コテは水に濡らしてから使います。その際突起部分に布切れを巻き付けて
使う場合と、布を使わない方法があります。違いは作品の柔らかさ(乾いて
いるか)によって作用します。やや乾燥している場合では、布を使います。
但し布を巻く方向にも注意が必要です。即ち轆轤の回転と共に、巻きが解ける
方向では、布が取れてしまいますので、轆轤の回転と同じ方向に巻けば解ける
恐れは少なくなります。
ⅱ) 使い方は柄の部分を鷲掴みにし、しっかり握ります。
出来れば持ち手の肘は太もも等に当てると、より安定します。
コテの突起部分(半円状の外側)のみを器の内側に当て、反対の手指を器の
外側に当て、コテの突起部分と手指で挿み込みます。
ⅲ) 柄コテは土を薄く延ばす(背を高くする)、直径を大きく又は小さくして
形を整える(凸凹を無くす)などの使い方があります。
土を薄く延ばすには、コテを下から上に滑らしながら肉薄にします。その際
外側の手を強く押し当てながら薄くします。特に鶴首に様に作品では、直径
を小さくすると、肉厚に成ってしまい、そのまま続行すると撚れが発生しま
すので、土を薄く延ばす必要があります。その分首も長くなります。
コテと外側の手指の力の差によって、直径が大きくなったり小さく成ったり
します。
④ コテに類する用具類
ⅰ)牛ベラ
牛の舌の形をした木製、ゴム製、樹脂製のやや幅広の道具です。
主に九州地方で見られる用具で、器の底から腰の形を造る際に、内側から
器に押し当て形を整えながら土をも伸ばす用具です。
ⅱ) 布又は粘土玉と布
布を丸めてコテ状態で使います。布のみでは柔らか過ぎて思うように
形を造る事が出来ない場合には、やや硬めの粘土玉に布を巻いて使います。
ある程度コテの形を変化させる事が出来ますので、使い易い場合もあります
以下次回に続きます。