美濃は岐阜県多治見市から土岐(とき)市一帯が焼き物の産地です。現在では高田、市之倉、笠原、
瀧呂などにも窯元があります。
美濃の焼き物には、志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸の四種類があります。
桃山から江戸時代は主に、抹茶々碗、向付け、皿、小鉢などの懐石料理用の茶器が作られている
のが特徴です。尚、志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸の名前は主に釉の名前に由来します。
1)志野の土。
志野は我が国で最初に作られた白い焼き物と言われています。白い素地の上に長石系の白い釉
が掛かった焼き物です。
ⅰ) 志野土(荒目、細目): 真っ白な粘土で、耐火性が高く、土味の良い土です。
a) 荒目の土は、やや粘りが欠けた感じのする土です。焼き上がると表面に「ザラザラ感」が
残ります。即ち、素地中の気泡が表面に出、釉の表面に小さなボツボツがある、いわゆる
「柚子肌」が特徴です。又、収縮率が低い(焼き締りが弱い)為か、食器類の口縁が欠け易い
傾向にあります。但し作品は比較的軽く出来上がります。
b) 細目の土は、志野独特の粘りのある、純白に焼きあがる土です。
c) 志野土の特徴は、幾ら長い時間焼いても、形が崩れない事とです。又、施釉の際生掛けが
可能な事です。志野特有の厚い釉をドップリ付ける行為もある程度安心して行う事があ出来
ます。
ⅱ) 志野赤土: 赤土が混じっていますので、白さは少なくなりますが、素地の色の関係で、
釉が赤っぽい色や、鼠色になる場合があります。
ⅲ) 五斗蒔(ごとまき)土:土岐市泉町の五斗蒔に産出する、耐火性が高く、土味の良い土です。
五斗蒔陶土は、主に石英分とカオリン質粘土と長石です。それぞれの、粒子が粗いものと
細かいものが自然的に粒度配合がなされています。水簸はしますが、粉砕加工はせず、自然の
ままで使用する事で、五斗蒔土特有の土味が出る様に調整されているとの事です。
現在では、産出量が少なく、各種鉱物を調合し合成された土が使われているとの事です。
白色と黄色(赤土)があります。
ⅳ) もぐさ土、もぐさ白粘土、もぎさ白原土、もぐさ赤土: 白色でカオリン成分が多く耐火度
が高い粘土です。お灸に使う「もぐさ(艾)」の様にモコモコした珪砂の混じった蛙目質で、
若干粘りに欠けたの土です。焼き上がりは白く、土味はザックリしていて、抹茶々碗や大物に
適しています。 もぐさ土100%では、成形難しく他の土20%程度混入させると使い勝手も良く
なります。赤土には少量の鉄分が含まれています。現在ではほぼ取り尽くし、市販されてい土
は、他の志野土と混ぜ、もぐさ土風に仕上げています。
・ 本場(本物)の「もぐさ土」は、入手困難との事です。
ⅴ) 志野織部土: 美濃の蛙目で作られた粘土です。志野や織部に使われ、織部の発色も良い
土です。
2) 織部焼きに適した土。織部とは、主に釉を指す事が多く、織部釉を掛けた作品は、土の種類に
寄らず、織部焼きと呼ぶ事が多いです。
① 織部粘土: 白い粘土で織部色の発色が良いです。
織部焼きには、一般的な青織部(酸化銅を酸化焼成した物)の他、黒織部、鳴海織部などの技法
がります。鳴海織部は白い土と赤土を適度に、貼り合わせて土の色の違いと、釉の面白さを加味
した技法で、主に手捻りで作ります。
② 伊賀土(水簸、原土): 粘りの強い土です。
3) 黄瀬戸に適する土。黄瀬戸焼きと呼ぶとき、織部焼きと同様に黄色い釉が掛かった作品を呼ぶ
事が多いです。
① 黄瀬戸粘土: 黄瀬戸の発色の良い土です。
② 赤津粘土: 黄瀬戸の産地のある赤津地方に産する土です。
4) 瀬戸黒に適する土。
水冷や空冷(窯から引き出したらそのまま放置)などで、急冷する事で漆黒になると言われて
います。その為、急冷出来る土が必要です。又、黒釉を掛けますので、土の色は余り拘る必要は
ありません。一般に急冷に適した土は、粒子が荒目の場合が多いです。
尚、楽焼に使える土であれば、瀬戸黒にも利用できます。
以下次回に続きます。
瀧呂などにも窯元があります。
美濃の焼き物には、志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸の四種類があります。
桃山から江戸時代は主に、抹茶々碗、向付け、皿、小鉢などの懐石料理用の茶器が作られている
のが特徴です。尚、志野、織部、瀬戸黒、黄瀬戸の名前は主に釉の名前に由来します。
1)志野の土。
志野は我が国で最初に作られた白い焼き物と言われています。白い素地の上に長石系の白い釉
が掛かった焼き物です。
ⅰ) 志野土(荒目、細目): 真っ白な粘土で、耐火性が高く、土味の良い土です。
a) 荒目の土は、やや粘りが欠けた感じのする土です。焼き上がると表面に「ザラザラ感」が
残ります。即ち、素地中の気泡が表面に出、釉の表面に小さなボツボツがある、いわゆる
「柚子肌」が特徴です。又、収縮率が低い(焼き締りが弱い)為か、食器類の口縁が欠け易い
傾向にあります。但し作品は比較的軽く出来上がります。
b) 細目の土は、志野独特の粘りのある、純白に焼きあがる土です。
c) 志野土の特徴は、幾ら長い時間焼いても、形が崩れない事とです。又、施釉の際生掛けが
可能な事です。志野特有の厚い釉をドップリ付ける行為もある程度安心して行う事があ出来
ます。
ⅱ) 志野赤土: 赤土が混じっていますので、白さは少なくなりますが、素地の色の関係で、
釉が赤っぽい色や、鼠色になる場合があります。
ⅲ) 五斗蒔(ごとまき)土:土岐市泉町の五斗蒔に産出する、耐火性が高く、土味の良い土です。
五斗蒔陶土は、主に石英分とカオリン質粘土と長石です。それぞれの、粒子が粗いものと
細かいものが自然的に粒度配合がなされています。水簸はしますが、粉砕加工はせず、自然の
ままで使用する事で、五斗蒔土特有の土味が出る様に調整されているとの事です。
現在では、産出量が少なく、各種鉱物を調合し合成された土が使われているとの事です。
白色と黄色(赤土)があります。
ⅳ) もぐさ土、もぐさ白粘土、もぎさ白原土、もぐさ赤土: 白色でカオリン成分が多く耐火度
が高い粘土です。お灸に使う「もぐさ(艾)」の様にモコモコした珪砂の混じった蛙目質で、
若干粘りに欠けたの土です。焼き上がりは白く、土味はザックリしていて、抹茶々碗や大物に
適しています。 もぐさ土100%では、成形難しく他の土20%程度混入させると使い勝手も良く
なります。赤土には少量の鉄分が含まれています。現在ではほぼ取り尽くし、市販されてい土
は、他の志野土と混ぜ、もぐさ土風に仕上げています。
・ 本場(本物)の「もぐさ土」は、入手困難との事です。
ⅴ) 志野織部土: 美濃の蛙目で作られた粘土です。志野や織部に使われ、織部の発色も良い
土です。
2) 織部焼きに適した土。織部とは、主に釉を指す事が多く、織部釉を掛けた作品は、土の種類に
寄らず、織部焼きと呼ぶ事が多いです。
① 織部粘土: 白い粘土で織部色の発色が良いです。
織部焼きには、一般的な青織部(酸化銅を酸化焼成した物)の他、黒織部、鳴海織部などの技法
がります。鳴海織部は白い土と赤土を適度に、貼り合わせて土の色の違いと、釉の面白さを加味
した技法で、主に手捻りで作ります。
② 伊賀土(水簸、原土): 粘りの強い土です。
3) 黄瀬戸に適する土。黄瀬戸焼きと呼ぶとき、織部焼きと同様に黄色い釉が掛かった作品を呼ぶ
事が多いです。
① 黄瀬戸粘土: 黄瀬戸の発色の良い土です。
② 赤津粘土: 黄瀬戸の産地のある赤津地方に産する土です。
4) 瀬戸黒に適する土。
水冷や空冷(窯から引き出したらそのまま放置)などで、急冷する事で漆黒になると言われて
います。その為、急冷出来る土が必要です。又、黒釉を掛けますので、土の色は余り拘る必要は
ありません。一般に急冷に適した土は、粒子が荒目の場合が多いです。
尚、楽焼に使える土であれば、瀬戸黒にも利用できます。
以下次回に続きます。