-
- 「あべ様」 より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。
電気窯の還元焼成で青磁は焼けますか?
東京で開催されている国宝展で、青磁の磁器を見て陶芸に興味を持ちました。
自分で青磁を作ってみたいと思うようになりました。
まず、陶芸教室なりに通って始めてみることが大事とは思っていますが、- まず情報収集というとこでインターネットを見ていましたところ明窓窯さんのブログを見つけ勉強させてもらっています。
1.青磁は、還元焼成という焼き方が必要で、電気窯では普通出来ない。
2.電気窯でもガスバーナーを使い、還元焼成できるものがある。
を知りました。
陶芸を始めたい目的は、「青磁を焼く」です。
電気窯の還元焼成対応品の情報は沢山あるのですが、「電気窯の還元焼成で青磁を焼いた」という情報はありません。
見つかったのは、「電気窯の還元焼成で青磁を焼くのは難しい」、「フチが黒ずんだりする」という情報です。
具体的な質問としては
「小型電気窯に還元用ガスバーナーを付けたもので、青磁や白磁は焼けるのか?」
「青磁を焼いてフチが黒くなるとはどういうことか」
です。
還元焼成により酸素不足の状態を作って、焼いている磁器にある酸素を取り出そうという考えはわかります。
そのためにガスバーナーで炎を送り、燃焼させることで酸素を吸い出そうという考えも理解できます。
しかし、なぜ「電気炉に突っ込んだバーナーの燃焼では青磁が焼けないか」の理由がわかりません。
もちろん陶芸教室に通って少しずつ覚えてというのも判りますが、ゴールを決めて進みたいのです。
もしガス窯でしや焼けないのならガス窯を持っている教室を選ばなければなしません。
自作青磁への路はどの程度厳しいのか知りたいのです。
インターネットには自作青磁と小型電気窯での還元焼成についての情報が少ないのは、結局それは出来ないからなのでしょうか?
お教え下さい。
よろしくお願いいたします。
明窓窯より
1)一口に陶磁器と呼びますが、陶器と磁器は材料や釉及び焼く温度が全く違 います。
磁器は磁土(石の粉)で、陶器は粘土です、前者は石物、後者は土物と呼び区別します。
石の粉のため、粘りも少なく制作に熟練を要します。
2)磁器の制作を伝授してくれる陶芸教室の存在は私は知りません。
多分見つける事は困難かと思われます。一般に陶芸教室は陶器のみです。
3)磁器製作(形作り)は陶器と比べても大変難しく、又焼成温度も1300℃程 必要です。
但し、半磁器土と言う材料を使えば、制作も磁器より容易で、焼成温度も低く抑える事ができます。白磁に近い色合いを出す事もできます。
4)一般の陶器であれば、1230~1250℃程度ですのが、磁器を焼くには、大変 な時間的な労力を必要とします。
最後の50℃の温度上昇は大変です。
尚、焼成時には、状況に応じて、酸化、中性炎、還元焼成に切り変える必要があります。
最終時には酸化炎にします。いつまでも還元焼成が続と、釉に炭素分が残り、作品が黒くる場合が有ります。
5)又青磁は本来、鉄分を含む(数パーセント)釉を使い、鉄分を還元させて、発色させています。
あの青は鉄の色です。
釉の研究も大切で、自分なりの釉を作るには、無限の時間が必要かも知れません。
(例え良い先生に出会えても、秘伝の釉は教えってもらえないでしょうから)
但し、陶器用の青磁釉は市販されています。この釉を使っても必ずしも良い色が出るとは限りません。
ご質問の件ですが、電気窯で還元焼成が不可能とは言いませんが、かなりの努力が必要です。
外部からガスバーナーが挿入する装置が付いた小型の電気窯が有るのかも不確かです。
尚、ガスバーナーで焼成するとの記事は、陶器の場合が多いと思われます。
◎ 還元焼成を室内で行う事は、命に係わる危険性がります。
換気を十分にしないと、一酸化中毒を起こします。
又、電熱線は還元焼成に弱く、寿命を縮めます。
国宝展を見たからと言って、作品は簡単には真似する事も出来ません。
又、磁器の制作を伝授してくれる人や、焼成してくれるひ人を見つける事が出来れば幸運です。
以上 参考にして下さい。