陶芸はある意味、予測不可能な芸術とも言えます。その為、「芸術では無い」と言う人がいる一方、
全てが見通せない事が、最大の魅力であると思っている方も多いのも事実です。
主に焼成する事による、不確かさの事が多いのですが、その他にも予測不可能な事があります。
2) マーブル(大理石)文様の作品を作る場合も、予測不可能な文様が出現します。
その文様がどの様に成っているかの確認は、表面を一皮削り取った後に判明します。
マーブル文様の細かさは、轆轤挽きする前の土練の回数によって決まります。
回数が多いと細かく成り、回数が少ないと、粗めの文様になります。
2~3種類の土を使う事が多いですが、その割合も大切です。黒っぽい土は見た目以上に
広い面積として表れますので、少な目にした方が、綺麗に仕上がります。
① 轆轤作業では土は螺旋状に上に伸びますが、轆轤挽き時には、表面に泥が付いている為
全く文様を確認する事は出来ません。又内外の削り作業で文様が確認するのですが、色土の
種類によっては、素地土との色の差が少なく、本焼きするまで文様が確認出来ない場合も
あります。
② 練り上げ手の技法:偶然性を取り除いて、色土で文様を作る方法です。
) 轆轤を使わずに、色土を文様に合わせて重ね上げる方法です。
電動轆轤などを使うと、自分の意図した文様にはなりません。それ故、意図した文様にする
為には、色土を一つずつ積み上げて行く必要うがあります。この技法を「練り上げ」といいます。
) ご自分の計画通りに仕上げる為には、最初の構想から実行方法、積み上げる順序などを
十分計算し、手間隙掛けて作業する必要があります。また色土の境目は、剥がれ易いです
から、しっかり接着します。
3) 墨流しの文様:絵画の分野では以前からある技法ですが、陶芸に取り入れ予測不能の文様を
作り出す技法です。
① 一般に絵画的方法は、水面に墨を垂らして浮かべ、適度にかき回して水流を作り、
墨で不定形の文様を作ります。これを紙(和紙)を上から被せて、文様を吸い取り転写する
方法をとります。
② 陶芸の方法は、上記の方法とは異なり、器に直接文様を付けます。
色化粧による墨流しと、釉による墨流しの方法があります。
) 器はなるたけ皿の様な平板の物が作業がし易いです。遠心力を利用しますので、ある程度
面積の広い器が向いています。
) 色土による墨流し。色の対比が鮮明な物ほど、模様がしっかり出ます。
黒地に白(白化粧土)の墨流しや、その逆の配色なども向いています。
a) 作品は生渇きの方が、化粧土を吸い込まず流動を与える事になります。
その為、作品は亀板に載せておくと良い様です。化粧土も流動性を持つ様に、水分をやや
多目にしておきます。
b) 器に化粧土を適度に流し込み、直ぐに亀板を持って、作品を強く揺さ振ります。
器の傾き具合や、流し込みの量、揺さ振る方向と強さによって、化粧土が移動し文様を
作ります。又、轆轤上に器を置き、轆轤の遠心力を利用する手もあります。
c) 化粧土が乾燥したら、亀板から切り離し、高台を削り出します。
) 釉による墨流し。 一般に素焼き後の器に施します。
a) 基本的には、化粧土の場合と同じ方法ですが、素焼きした器は水の吸収が強く、釉の
流動性を阻害します。
b) そこで素焼きした器は、ある程度水を吸収してから、作業に取り掛かります。
作業は手早く行う事です。何種類かの釉を使うと、見栄えも良くなります。
) 何れの方法でも、一発勝負に成りますので、慎重に且つ大胆に作業を進める事です。
以上にて、「陶芸の心得」の話を終わります。次回から別のテーマでお話します。