前回の続きです。
② 削り途中で作品が移動してしまう事。
底削りの際作品が轆轤の中央より移動してしまう事は度々ありるトラブルです。
移動する要因として作品が轆轤面やシイタ(湿台)に密着せず、何らかの原因で移動して
しまう事です。
ⅰ) 作品が乾き過ぎると、柔らかい粘土の止め土が、作品を留める力が弱くなりなり、轆轤
の遠心力に負けて移動する場合もあります。回転スピードを極端に早くしない事です。
当然ですが、作品が轆轤の中心にないと、作品に均等な遠心力が働かず作品は移動します
ⅱ) カンナ等の刃物が作品に食い込み、その結果作品に余分な力が働き、作品が移動する
場合もあります。原因は作品の表面に凹凸が有り、その部分に引か掛かるか事、更に刃物
との角度が合わない事、刃物の切れ味や作品の乾燥具合に関係してきます。
早急に一度に厚く削ると刃先が食い込み易いです。
ⅲ)一度作品が移動すると再度同じ位置にセットする事は難しく成ります。
その為、再度セットし直す時は、ある程度中心が出れば良いとする事です。
③ カンナ(又は掻ベラ)の刃が作品に食い込み傷を付けて仕舞う事です。
作品を移動する程度では、大きな傷には成りませんが、食い込むと成ると大きな傷になりま
す。食い込む程に成ると、作品が轆轤上より転げ落ちて仕舞勝ちです。
④ その結果 作品が轆轤とドベ受けの間に落ち、作品が壊れたり、傷付く事があります。
この状態では、作品を没にする事が多いです。
⑤ カンナの刃と作品の角度が合わず、削りがスムーズに運ばない事。
刃物は刃を立てないと削れません。削る為の最適な角度を見つける事です。
最適な角度とは、削り滓(かす)が一定の量連続して出る状態です。
削り作業を行う前に、刃物を研石等で研ぎ、切れ易くした状態で使う様にします。
⑥ 作品によって削り痕が残り見苦しく成る事もあります。
特別な時以外は、作品の表面の肌は粗くする事は有りません。滑らかな肌の方が見た目
にも穏やかな表情を呈します。刃物で削った後に水で濡らした「なめし革」で「一拭き」
したりドベを擦り付けて、表面を整える方法を採る場合もあります。特に高台の畳付き
の部分は、テーブルを傷付ける恐れがあるので行う人もいます。
⑦ 勿論素地の肌理の細かさによって、表面が荒れたり滑らかに成ったりし、作品の出来を左
右する事も稀ではありません。即ち、男性的な豪快さを出す事も可能ですが、女性の体の
線の様に滑らかな表面に仕上げる事も可能です。
その為、あえて削り痕を残すことも珍しくは有りません。
⑧ 三日月高台の様にあえて、作品を中心からずらしてセットする場合も有ります。
電動轆轤上で削れるのは、作品が円形で凸凹の無い状態の作品です。楕円形や歪(イビツ)な
作品は、手轆轤等を使用しゆっくり回転させながら削る事になります。