釣りの世界では、「鮒(ふな)に始まり、鮒で終わる」と言う諺があります。
同様に陶芸の世界でも、「茶碗に始まり、茶碗で終わる」と言う諺があります。
陶芸で最初に手掛ける作品は、茶碗であり、長い間陶芸の世界で色々な作品を手掛けていても、
最後に行く着く先は、やはり茶碗を作る事に成って仕舞がちに成ると述べた言葉です。
1) 茶碗の種類: 茶碗と一言と言っても以下の様に分類できます。
① ご飯茶碗(飯茶碗): ご飯を盛る為の茶碗です。わが国に於いて、家庭内では必ず自分専用の
茶碗を持っているのが普通です。男性用、女性用、子供用とあり、大きさに差があります。
毎日の様に使いますので、使い勝手が良く、絵柄などの好みが出る茶碗で、同じ絵柄で
大小のある夫婦茶碗(めおとちゃわん)もあります。
② 湯呑み茶碗(含、汲出し茶碗): お湯やお茶(煎茶)を飲む為の茶碗で、コップ状の物です。
片手で使いますので、持ち易い縦長の器が多いです。家庭内では、自分専用の湯呑み茶碗が
あると思います。
又、寿司屋の湯呑み茶碗の様に、容量が大きくたっぷり入る器もあります。
・ 汲出し茶碗: 高さが低い湯呑み茶碗で、一般にお客さん用に使う事が多いです。
又、目出度い席での、桜茶等には容量が極少ない器に成っています。
③ コーヒー又は、紅茶用の茶碗: 一般に、持ち手(取っ手)の付いた器で、受け皿(ソーサー)
とセットに成っている場合が多いです。
紅茶用は、コーヒー用に比べ、口径が大きく開き、高さはやや低く成っています。
④ 抹茶々碗: 茶道具の主要な道具で、抹茶を飲む器です。
作者によって、個性豊かな作品となり、代々伝わる由緒ある天下の名茶碗と謳われる
茶碗も多く存在します。わが国へ渡来した名器も多いです。
多くの作家が造る茶碗は主にこの種の器で、数万円~数百万円もする茶碗も、珍しくは、
ありませんす。
2) 最初に手掛ける作品。
① 手捻りで作る場合には、抹茶々碗を作る事が多いです。
作り方は、塊(かたまり)作り(玉作りとも言います)や、紐作りの方法を採ります。
② 轆轤で作る場合は、湯呑みを作るのが一般的です。
湯呑みが轆轤挽きの基本ですので、最初の作品は必然的に湯呑みになります。
3) 「茶碗で終わる」の茶碗は、抹茶々碗の事です。
茶碗の形にする事は、さほど難しい事ではありませんが、良い茶碗を作ると成ると大変難しく
成ります。形のみでなく、土、焼き、色(器肌)、手取りの良さ(使い勝手)、約束事など多くの
要素が絡んできますので、満足する作品が、生涯に1~2個出来れば良い方だとも言われる程
難しく、又「やりがい」のある仕事かも知れません。
今後は抹茶々碗を中心に、茶碗の話をしたいと思います。
以下次回に続きます。