2) 中国の色絵磁器の写しと贋作。
景徳鎮の官窯で作られた優れた作品類(南京赤絵)は、オランダの東インド会社により、17世紀
に福建省南部の漳州の港から積み出され、現在のジャカルタ(当時のバタビア)を中継して、
スマトラ、イランの他、ヨーロッパ各地に輸出されています。
① 我が国では、民窯系の窯で作られた、「古赤絵」や「呉須赤絵」が人気があります。
我が国には、官窯の精巧で上手(じょうて)の作品ではなく、やや砕けた感じのする赤絵が
多く渡来しています。これは我が国の好みにあっていた為と思われます。
) 古赤絵に付いては、前回紹介しましたので参考にして下さい。
) 呉須赤絵(赤呉須とも言います)に付いて。
現在の中国福建省から広東省にかけての民窯で生産された、明中期~末期の色絵半磁器
(または磁器)です。但し、下絵付けの呉須の意味ではありません。
a) 素地は 灰白色です。厚手の造りで、砂高台が特徴です。
注: 砂高台とは: 轆轤上に砂を撒いて、土離れを良くする方法で、作品の底に砂粒の
跡が残っています。
b) 濃い赤を主体として黄、緑、青の上絵付けされています。
五彩の他に、染付、柿釉、瑠璃釉、白釉が施釉された作品も「呉須手」と呼ぶ事も
あります。
c) 図柄は奔放(粗雑と見る向きもあります)で、牡丹、椿、菊などの文様があります。
我が国では特に茶人に好まれ、茶碗、皿、水指、鉢、香合、火入などが、輸入されました
呉須赤絵の名品はほとんど日本に伝世しています。
d)茶道では赤玉香合、玉取獅子鉢、魁手鉢、呉須菊竹鉢、尾長鳥鉢、魚手鉢、骸麟手鉢、
青呉須竜手鉢なの呉須赤絵が人気があり、大皿は人気が低い様です。
e) 呉須赤絵の大皿には、よく「富貴栄華」とか「招財進宝」などの吉祥文字が配されている
物も多いです。中皿の見込みに「福」の一字が描かれている場合もあります。
② 赤絵の贋作で多いのは、後絵と呼ばれる焼き物です。
但し、同じ時期に作られた作品に、同じ窯での後絵を付けているのは、贋作とはいえません。
異なる時代に後絵を付けすれば、例え本体が本物であっても、贋作と見なされる場合が多い
です。
) 後絵を見分ける。
a) 無地の状態の白磁に、時代を経て絵付けすると、白磁には少ないながらも使用傷や古色が
付くのが普通です。しかし絵付けの部分には、傷や古色の跡はありません。但し古色を
付ける偽装もありますので、必ずしも確かな見分け方法とはいえません。
b) 染付などが施された磁器に後から、色絵を加筆した場合。
全体の絵の構図から判断します。即ち、染付の状態で絵(文様)が完成しているはずです。
後絵を施す事で、模様や構図に不自然さが出易いです。
c) 磁器は陶器に比べ、汚れ難い性質がありますので、「かせ」等の釉肌の変化も少なく、
古色も付き難いですので、当時の絵の具と同じ物を使うと、真偽の判定は難しくなります
③ 現代の写し。
) 現代の景徳鎮でも、明の赤絵磁器の写しが製造されています。
当然出来栄えの良い作品もあり、現代作として販売されているので、問題ではありませんが
これが、贋作として紛れ込まないとは限りません。
) 我が国でも赤絵の写しが多く作られています。
a) 明治以降に呉須赤絵の作品が、作られています。
b) 著名な作家も、呉須赤絵等の写しを作っています。
・ 北大路魯山人: 呉須赤絵鉢。見込みに「福」の字が描かれています。
・ 加藤土師萌: 嘉靖写しの壷。
以下次回に続きます。
景徳鎮の官窯で作られた優れた作品類(南京赤絵)は、オランダの東インド会社により、17世紀
に福建省南部の漳州の港から積み出され、現在のジャカルタ(当時のバタビア)を中継して、
スマトラ、イランの他、ヨーロッパ各地に輸出されています。
① 我が国では、民窯系の窯で作られた、「古赤絵」や「呉須赤絵」が人気があります。
我が国には、官窯の精巧で上手(じょうて)の作品ではなく、やや砕けた感じのする赤絵が
多く渡来しています。これは我が国の好みにあっていた為と思われます。
) 古赤絵に付いては、前回紹介しましたので参考にして下さい。
) 呉須赤絵(赤呉須とも言います)に付いて。
現在の中国福建省から広東省にかけての民窯で生産された、明中期~末期の色絵半磁器
(または磁器)です。但し、下絵付けの呉須の意味ではありません。
a) 素地は 灰白色です。厚手の造りで、砂高台が特徴です。
注: 砂高台とは: 轆轤上に砂を撒いて、土離れを良くする方法で、作品の底に砂粒の
跡が残っています。
b) 濃い赤を主体として黄、緑、青の上絵付けされています。
五彩の他に、染付、柿釉、瑠璃釉、白釉が施釉された作品も「呉須手」と呼ぶ事も
あります。
c) 図柄は奔放(粗雑と見る向きもあります)で、牡丹、椿、菊などの文様があります。
我が国では特に茶人に好まれ、茶碗、皿、水指、鉢、香合、火入などが、輸入されました
呉須赤絵の名品はほとんど日本に伝世しています。
d)茶道では赤玉香合、玉取獅子鉢、魁手鉢、呉須菊竹鉢、尾長鳥鉢、魚手鉢、骸麟手鉢、
青呉須竜手鉢なの呉須赤絵が人気があり、大皿は人気が低い様です。
e) 呉須赤絵の大皿には、よく「富貴栄華」とか「招財進宝」などの吉祥文字が配されている
物も多いです。中皿の見込みに「福」の一字が描かれている場合もあります。
② 赤絵の贋作で多いのは、後絵と呼ばれる焼き物です。
但し、同じ時期に作られた作品に、同じ窯での後絵を付けているのは、贋作とはいえません。
異なる時代に後絵を付けすれば、例え本体が本物であっても、贋作と見なされる場合が多い
です。
) 後絵を見分ける。
a) 無地の状態の白磁に、時代を経て絵付けすると、白磁には少ないながらも使用傷や古色が
付くのが普通です。しかし絵付けの部分には、傷や古色の跡はありません。但し古色を
付ける偽装もありますので、必ずしも確かな見分け方法とはいえません。
b) 染付などが施された磁器に後から、色絵を加筆した場合。
全体の絵の構図から判断します。即ち、染付の状態で絵(文様)が完成しているはずです。
後絵を施す事で、模様や構図に不自然さが出易いです。
c) 磁器は陶器に比べ、汚れ難い性質がありますので、「かせ」等の釉肌の変化も少なく、
古色も付き難いですので、当時の絵の具と同じ物を使うと、真偽の判定は難しくなります
③ 現代の写し。
) 現代の景徳鎮でも、明の赤絵磁器の写しが製造されています。
当然出来栄えの良い作品もあり、現代作として販売されているので、問題ではありませんが
これが、贋作として紛れ込まないとは限りません。
) 我が国でも赤絵の写しが多く作られています。
a) 明治以降に呉須赤絵の作品が、作られています。
b) 著名な作家も、呉須赤絵等の写しを作っています。
・ 北大路魯山人: 呉須赤絵鉢。見込みに「福」の字が描かれています。
・ 加藤土師萌: 嘉靖写しの壷。
以下次回に続きます。