陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
2) 施釉の手順。
⑦ 施釉を行う。(前回からの続きです。)
ⅵ) 施釉の実際。 以下は当方のやり方ですので、皆様とは異なるかも知れません。
a) 漬け(浸し)掛けの場合、施釉時間は最短で3秒、最長でも5秒で終わらせます。
即ち濃い目(厚掛け)で5秒、薄目で3秒となります。4秒が中間の厚みです。
これ以下でもこれ以上でも、釉の厚みは薄くなります。但し時間を置いて二重掛けした場合は
この限りではありません。
b) 袋物と呼ばれる壷や徳利の様な場合、先に内側を塗り、その後外側を施釉します。
内側は柄杓で釉を2~3割程度流し込み、作品の口を掌で蓋をし逆さにして5回程上下に振り
内側を塗り、口を真上にしてから、傾け容器に中の釉を外に出します。手で蓋が出来ない程度
口が大きい場合には、跡で述べる流し掛けとなります。10秒程で釉の滴が切れますので、
真上に向けて机に置きます。その際口縁周辺に釉が飛び跳ねたり、流れ出したりした場合、
釉剥がしやブラシ等で取り去ります。外側に施釉する以前ですので、容易に気兼ねなく取り
除く事ができます。尚、袋物は内部が見えませんので、釉であれば何でも良い訳です。
一般には畳み付き(糸尻)に塗られた釉を剥ぎ取った際に集めた物を用います。
即ち、釉の廃物利用です。色々の釉が混じり合いますので、一概に言えませんが、グリーン
掛かった色に発色する事が多いです。
c) 漬け掛けの一種に「ガバ漬け」があります。
茶碗など口縁がやや広く、さほど深みの無い作品を施釉するのに向いたやり方です。
作品の内側と外側を同時に施釉する方法です。作品を次々に施釉しますので効率が良いです。
慣れないとかなり難しい技法ですが、慣れた方には、便利な方法です。作品の高台を持ち、
釉の入った容器に逆さにし、高台内まで沈め急に引き上げ、内側の気圧を下げ内側に釉を引き
込む方法です。引き上げる際、作品の口縁が釉から離れる瞬間に激しく作品を上下するのが
「コツ」です。内側が上手に施釉出来ていれば「パカ」と良い音がします。但し内側の施釉
時間は1秒以下ですので、釉は少し濃い目にして置かなければ成りません。失敗すると内側
の底周辺が施釉出来ません。その際には内側を柄杓で施釉して下さい。
d) 一般的な漬け掛けによる方法。
作品全体が入る、大きな容器に釉を満たす様に準備します。茶碗などの小物の場合には、
高台を持ち、作品をやや斜めにし、口縁を釉の中に沈めます。その際右ないし左回転に強く
捻りを与え、釉に漬けた状態で、捻りを解く方向に回転を戻す様にして、作品の内外を一度に
塗ります。一回転したら引き上げ、滴を切り手板に取り(載せ)ます。
皿等の場合、高台が持てる物では、上記と同様な方法をとりますが、大皿の様に高台が持て
ない場合には、釉の中を通り抜ける様に施釉します。即ち、先に釉に触れた部分から釉の
外に出します。即ち、先に入れた部分が先に出る事で、施の厚みを均等にします。
出来れば、大皿の縁周辺を両手で摘む様に持ち、釉をくぐらせる段階で両手を離し、次いで
引き上げる手のみの片手で吊るす様に引き上げます。吊るした状態で底に手板を被せ手板を
水平にしながら取り上げます。この方法で指跡は一箇所で済みます。
尚、注意する事は、皿の中に釉を貯めた状態で持ち上げない事です。釉の重みで指で持った
縁部分が割れる事もあるからです。
e) 小さな手板を用いると、濡れた作品を触らずにテーブルに置く事ができます。
施釉した直後は作品に触れる事は出来ません。触れた部分の釉が剥がれたり、指跡となって
しまいます。釉が乾き手に持てる様になるには、約一分程度係ります。
そこで手板が必要になります。大きさは横幅5~7、長さ10~15cm程度の一枚板で、
足は付けません。足があると板がスムーズに入らず邪魔になります。
使い方は、作品の高台を三本の指で支え施釉した後、滴を切る為10秒程そのまま保持して
から作品を真上に上げます。親指と中指の間に、上記手板の角を斜めに差し込み、高台の下
を支えます。高台の三分の二が板に載れば安全です。三本の指を離し、手板に載せ手板ごと
テーブルの端に移動します。その際、手板を持った手はテーブルの外にあり、板が水平で
ある事が大切です。板が傾くと、作品も傾き板から転げ落ちます。テーブルの上に載ったら
板をスライドさせ、より安全な場所に移動させます。
f) 流し掛けの方法。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
2) 施釉の手順。
⑦ 施釉を行う。(前回からの続きです。)
ⅵ) 施釉の実際。 以下は当方のやり方ですので、皆様とは異なるかも知れません。
a) 漬け(浸し)掛けの場合、施釉時間は最短で3秒、最長でも5秒で終わらせます。
即ち濃い目(厚掛け)で5秒、薄目で3秒となります。4秒が中間の厚みです。
これ以下でもこれ以上でも、釉の厚みは薄くなります。但し時間を置いて二重掛けした場合は
この限りではありません。
b) 袋物と呼ばれる壷や徳利の様な場合、先に内側を塗り、その後外側を施釉します。
内側は柄杓で釉を2~3割程度流し込み、作品の口を掌で蓋をし逆さにして5回程上下に振り
内側を塗り、口を真上にしてから、傾け容器に中の釉を外に出します。手で蓋が出来ない程度
口が大きい場合には、跡で述べる流し掛けとなります。10秒程で釉の滴が切れますので、
真上に向けて机に置きます。その際口縁周辺に釉が飛び跳ねたり、流れ出したりした場合、
釉剥がしやブラシ等で取り去ります。外側に施釉する以前ですので、容易に気兼ねなく取り
除く事ができます。尚、袋物は内部が見えませんので、釉であれば何でも良い訳です。
一般には畳み付き(糸尻)に塗られた釉を剥ぎ取った際に集めた物を用います。
即ち、釉の廃物利用です。色々の釉が混じり合いますので、一概に言えませんが、グリーン
掛かった色に発色する事が多いです。
c) 漬け掛けの一種に「ガバ漬け」があります。
茶碗など口縁がやや広く、さほど深みの無い作品を施釉するのに向いたやり方です。
作品の内側と外側を同時に施釉する方法です。作品を次々に施釉しますので効率が良いです。
慣れないとかなり難しい技法ですが、慣れた方には、便利な方法です。作品の高台を持ち、
釉の入った容器に逆さにし、高台内まで沈め急に引き上げ、内側の気圧を下げ内側に釉を引き
込む方法です。引き上げる際、作品の口縁が釉から離れる瞬間に激しく作品を上下するのが
「コツ」です。内側が上手に施釉出来ていれば「パカ」と良い音がします。但し内側の施釉
時間は1秒以下ですので、釉は少し濃い目にして置かなければ成りません。失敗すると内側
の底周辺が施釉出来ません。その際には内側を柄杓で施釉して下さい。
d) 一般的な漬け掛けによる方法。
作品全体が入る、大きな容器に釉を満たす様に準備します。茶碗などの小物の場合には、
高台を持ち、作品をやや斜めにし、口縁を釉の中に沈めます。その際右ないし左回転に強く
捻りを与え、釉に漬けた状態で、捻りを解く方向に回転を戻す様にして、作品の内外を一度に
塗ります。一回転したら引き上げ、滴を切り手板に取り(載せ)ます。
皿等の場合、高台が持てる物では、上記と同様な方法をとりますが、大皿の様に高台が持て
ない場合には、釉の中を通り抜ける様に施釉します。即ち、先に釉に触れた部分から釉の
外に出します。即ち、先に入れた部分が先に出る事で、施の厚みを均等にします。
出来れば、大皿の縁周辺を両手で摘む様に持ち、釉をくぐらせる段階で両手を離し、次いで
引き上げる手のみの片手で吊るす様に引き上げます。吊るした状態で底に手板を被せ手板を
水平にしながら取り上げます。この方法で指跡は一箇所で済みます。
尚、注意する事は、皿の中に釉を貯めた状態で持ち上げない事です。釉の重みで指で持った
縁部分が割れる事もあるからです。
e) 小さな手板を用いると、濡れた作品を触らずにテーブルに置く事ができます。
施釉した直後は作品に触れる事は出来ません。触れた部分の釉が剥がれたり、指跡となって
しまいます。釉が乾き手に持てる様になるには、約一分程度係ります。
そこで手板が必要になります。大きさは横幅5~7、長さ10~15cm程度の一枚板で、
足は付けません。足があると板がスムーズに入らず邪魔になります。
使い方は、作品の高台を三本の指で支え施釉した後、滴を切る為10秒程そのまま保持して
から作品を真上に上げます。親指と中指の間に、上記手板の角を斜めに差し込み、高台の下
を支えます。高台の三分の二が板に載れば安全です。三本の指を離し、手板に載せ手板ごと
テーブルの端に移動します。その際、手板を持った手はテーブルの外にあり、板が水平で
ある事が大切です。板が傾くと、作品も傾き板から転げ落ちます。テーブルの上に載ったら
板をスライドさせ、より安全な場所に移動させます。
f) 流し掛けの方法。
以下次回に続きます。