前回に続き、井戸茶碗の話をします。
2) 井戸茶碗を造る。
④ 歪み(ゆがみ)について
井戸茶碗の口縁部は、僅かに歪んでいます。この歪みも、茶碗の魅力を、引き立てています。
但し、この歪みは、故意では無く、自然に出来た物と思われます。
歪みが発生する原因は、色々な段階であります。
) 轆轤作業中に起こる。
井戸茶碗は、高台径が小さく、且つ削る量を、少なくする為、高台脇や腰の部分を、
薄く造ります。更に、轆轤目を付ける為に、側面に不規則な、力を加えます。
それ故、作品が振れ易いです。この振れが歪みの、原因に成ります。
) 切り離す際に歪む。
轆轤挽き後、作品を糸(しっぴき)で、切り離す際、水平に成らないと、手板に移した際、
作品の口縁が、歪みます。
) 取上げる際歪む。
作品を、両手の人差し指と、中指を使い、轆轤上より、取上げる際、土が軟らかい為、
作品の口が、歪む事が多いです。その際、口をいじらずに、腰の部分で直します。
) 乾燥中に歪む。
・ 削り前の乾燥で歪む。轆轤挽き直後から、土は縮み始めます。
急激な乾燥や、不均一な乾燥では、作品が歪みます。
・ 素焼前までの乾燥も、上記と同様に、歪みが発生する場合が有ります。
) 焼成中の歪み
窯の中で、作品に、焔が不均一に当り、熱の温度差が出る場合も、作品は歪みます。
その他、「トチ」や「目」を立てて、棚板より、浮かせて焼きますので、「狂い」が
発生する場合も、あります。更に、上記の複数の、要因により、歪みや狂いが発生します。
好ましい歪みと、好ましく無い歪みが、有りますが、なるべく歪む原因は、取り除く事が、
大切です。優雅に歪む方法は、作者が苦心する所です。
尚、和物(我が国で作られた、陶磁器類)では、沓茶碗の様に、故意に歪ませたり、変形させた、
茶碗が多いです。その歪ませ方に付いては、後日述べます。
⑤ 高台際と高台脇を削る
) 畳付きは、一皮削るだけで済ましす。
) 高台は、竹の節(ふし)高台で、高台中央が、外側に出っ張っている形ですが、
意識しなくても、この様に、削れてしまうとの事です。
) 高台脇を鋭角に、一気に削ります。削った所が、梅花皮(かいらぎ)になります。
高台脇は、「喜左衛門」と「筒井筒」では、違いが有り、それぞれの典型になっています。
「喜左衛門」の高台脇は、他よりも広く、傾斜が緩やかで、軟らかさが、出ています。
「筒井筒」の高台脇は激しく、深く、えぐられている様に感じで、厳しい雰囲気が、有ります。
) 腰から胴に掛けては、轆轤目が有りますので、削りは行わず、水挽きのままにして置きます。
) 高台内を削る
高台内にカンナの角を当て、轆轤をゆっくり回転させて、中央が出ている、兜巾(ときん)高台に
削ります。 回転方向は、水挽きとは逆方向で、作業する人もいます。
尚、削り痕も、見所の一つですので、残しておきます。
⑥ 井戸茶碗の、釉と焼成に付いて
以下次回に続きます。
2) 井戸茶碗を造る。
④ 歪み(ゆがみ)について
井戸茶碗の口縁部は、僅かに歪んでいます。この歪みも、茶碗の魅力を、引き立てています。
但し、この歪みは、故意では無く、自然に出来た物と思われます。
歪みが発生する原因は、色々な段階であります。
) 轆轤作業中に起こる。
井戸茶碗は、高台径が小さく、且つ削る量を、少なくする為、高台脇や腰の部分を、
薄く造ります。更に、轆轤目を付ける為に、側面に不規則な、力を加えます。
それ故、作品が振れ易いです。この振れが歪みの、原因に成ります。
) 切り離す際に歪む。
轆轤挽き後、作品を糸(しっぴき)で、切り離す際、水平に成らないと、手板に移した際、
作品の口縁が、歪みます。
) 取上げる際歪む。
作品を、両手の人差し指と、中指を使い、轆轤上より、取上げる際、土が軟らかい為、
作品の口が、歪む事が多いです。その際、口をいじらずに、腰の部分で直します。
) 乾燥中に歪む。
・ 削り前の乾燥で歪む。轆轤挽き直後から、土は縮み始めます。
急激な乾燥や、不均一な乾燥では、作品が歪みます。
・ 素焼前までの乾燥も、上記と同様に、歪みが発生する場合が有ります。
) 焼成中の歪み
窯の中で、作品に、焔が不均一に当り、熱の温度差が出る場合も、作品は歪みます。
その他、「トチ」や「目」を立てて、棚板より、浮かせて焼きますので、「狂い」が
発生する場合も、あります。更に、上記の複数の、要因により、歪みや狂いが発生します。
好ましい歪みと、好ましく無い歪みが、有りますが、なるべく歪む原因は、取り除く事が、
大切です。優雅に歪む方法は、作者が苦心する所です。
尚、和物(我が国で作られた、陶磁器類)では、沓茶碗の様に、故意に歪ませたり、変形させた、
茶碗が多いです。その歪ませ方に付いては、後日述べます。
⑤ 高台際と高台脇を削る
) 畳付きは、一皮削るだけで済ましす。
) 高台は、竹の節(ふし)高台で、高台中央が、外側に出っ張っている形ですが、
意識しなくても、この様に、削れてしまうとの事です。
) 高台脇を鋭角に、一気に削ります。削った所が、梅花皮(かいらぎ)になります。
高台脇は、「喜左衛門」と「筒井筒」では、違いが有り、それぞれの典型になっています。
「喜左衛門」の高台脇は、他よりも広く、傾斜が緩やかで、軟らかさが、出ています。
「筒井筒」の高台脇は激しく、深く、えぐられている様に感じで、厳しい雰囲気が、有ります。
) 腰から胴に掛けては、轆轤目が有りますので、削りは行わず、水挽きのままにして置きます。
) 高台内を削る
高台内にカンナの角を当て、轆轤をゆっくり回転させて、中央が出ている、兜巾(ときん)高台に
削ります。 回転方向は、水挽きとは逆方向で、作業する人もいます。
尚、削り痕も、見所の一つですので、残しておきます。
⑥ 井戸茶碗の、釉と焼成に付いて
以下次回に続きます。