1) 掻き落とし技法。
掻き落とし技法には、化粧掛けの方法と、釉の掻き落としの技法がありまが、ここでは前者の話を
取り上げています。
① 素地の色と、化粧土の色の対比で模様を描き出す方法。(前回の続き)
f) 線で囲まれた内側又は、外側を掻き落とす。
掻き落としに使う用具は、特別決った物はありません。幅広に掻き落とす場合や、狭い
範囲を掻き落とす場合など、作業状態によって好みの形の削る用具を自作する方も 多い
様です。一般に切れ味の鋭い、カンナや掻きへら、又は松の薪を割ったナイフ状の物等の
刃物を使う事が多いですが、あえて切れ味の鈍い刃物を使って、削り跡を残したり、毛羽立つ
様に削る事もあります。
イ) 素地と化粧土の色で表現する場合、深く削り取っても、模様にさほどの影響を与える事が
有りませんので、安心して作業が出来ます。
ロ) 模様の輪郭をハッキリさせると、模様が硬い感じになりますが、力強さが表現できます。
その際境目はやや深く溝を設けると、作業が楽になります。
ハ) 模様の輪郭をやや「ぼかした」感じすると、軟らかい雰囲気を作る事が出来ます。
即ち、薄く滑らかに削る事で、化粧土色から素地の色へと徐々に色が変化させる事が
出来ます。
ニ) 掻き落としは面又は線状に掻き取るのが普通ですが、点状に掻き取る技法もあります。
掻き取る方法は、竹串などで小さい丸い点状のものや、「くさび形」などに掘り込み表面の
化粧土を取り除きます。逆に白化粧土で小さい点を残す方が難しいですので、その際
にはその範囲内の全て化粧土を取り除いたあと、筆やスポイトで化粧土を描いた方が
作業が簡単です。背景文様にしたり、模様内に変化を持たせる為に行いまっす。
ホ) 掻き落とすタイミングも大切です。ある程度化粧土が乾燥していないと、掻き落とす事が
出来ませんし、乾き過ぎると化粧土が素地から剥がれ落ち易くなります。
② 二色以上の化粧土を重ね塗りした後、一方の色化粧土を出現させ、模様にする方法。
下に塗った色化粧土を「地」にする方法と、上に塗った色化粧土を「地」にする方法があります
これも「ネガとポジ」の関係で、色が逆転します。
) 化粧土を塗り重ねる際、下の化粧土が手に「ベトツク」事が無い程度に乾燥したら上に
塗る事が出来ます。塗り方は刷毛が多く、部分的又は全体に行ないます。
) 素地を全く表に出さない方法と、ある程度素地が表に出る方法が有りますが、前者の場合
はより困難な作業と成ります。素地に密着する最下段の化粧土はその上の化粧土よりも
やや肉厚に塗っておく必要があります。後者の場合には、最下段の素地まで掻き落とし
しても、安全です。
) 素地にまで影響しない様に、化粧土は薄く掻き落とす必要があります。
何層にも重ね塗りしてあれば、どの層の化粧土を表すかによって、色も変化します。
③ 多種類の化粧土を塗り重ね、一部を削り取り樹木の年輪の様に、模様の縁取りを色土で
表現する方法。
以下次回に続きます。