4) 手捻りで徳利を作る。
④ タタラつくり2。
タタラ作りは、塊作りや紐作りよりも容易に大きな作品や、背の高い作品を作る事が出来る
利点が有ります。更に肉厚を均等に出来る為、比較的軽量に作れます。
但し、タタラ作りにも欠点があります。
) タタラを若干乾燥させなければ、自立出来ない事で、乾燥し過ぎると加工がし難くなります。
) タタラで円形にした場合、直径を大きくすると「ひび」が入り易くなります。それ故、径を広げる
量は少ししか出来ません。径を細める事は広げる事より比較的容易ですが、それでも限界が
有ります。
) タタラ作りでは、必ず何処かに繋ぎ目が生じます。土同士が軟らかい場合には、水のみで
繋げる事も可能ですが、乾燥が進むに従い、「ドベ(泥)」で接着する事に成り、補強を
土紐でタタラの両側(内外)に行いますが、手の届かない場合は片側のみと成ります。
この繋ぎ目部分は剥がれ易く、更には他の場所より乾燥や焼成などで変形し易いですし
強度的にも、若干弱くなりがちです。
◎ 比較的背の高い徳利を作る。
高さが出来上がりで、20cm以上の徳利となると手捻りでは意外と大変ですが、タタラを筒に
巻いて作る方法ならば、割合容易に作る事が出来ます。
a) タタラの厚みは5~7mm程度が最適です。(作品の大きさや高さに応じて厚みを変化させ
ます。)
b) 徳利の最大径に合わせた筒を用意します。(広げる事が苦手の為です。)
適当な筒が無い場合には、ガラスビンなを使います。筒には紙を巻いて、土が筒に
くっつくのを防ぎます。
c) タタラを筒に一回りする幅と、必要な高さを切出します。
d) タタラを筒に巻きつけます。径が大きい時には、日本手拭(てぬぐい)の上にタタラを載せ、
手拭ごと筒に巻きつければ、指跡も着けなくてすみ、巻きつけ易いです。
巻き付けたら、繋ぎ目を圧着させて、直ぐに垂直に立てる事が可能です。
e) 繋ぎ合わせ目に縦線が入りますので、手の指を使い外側の繋ぎ目を消します。
たぶん繋ぎ目は凸凹が生じるはすです。この凸凹を消すには、平らな台の上にやや濡ら
した布を皺の無い様に伸ばし、その上で繋ぎ目が真下に来る様に筒を横にし、数回前後に
転がします。こうすると繋ぎ目を目立たなくさせる事が出来ます。
f) 底になる部分の土を切り出します。筒に巻い土の径より若干大きく取ります。
水を底の土の周囲に筆で濡らし、筒を載せます。底板が大きいですのではみ出します。
このはみ出した土を下から上に、竹ヘラでなすり上げる様にして接着させます。
竹ヘラの跡が残りますので、皮を使い綺麗に仕上げます。
g) 筒を抜きます。但し筒に巻いた紙は、しばらくの間そのままの状態にしておきます。
急いで紙を取り除くと、形が歪む事があります。紙一枚の効果は抜群に良いです。
h) 紙を簡単に取り除く方法。
底を着けた筒を手轆轤上に載せ、紙の上部の一端を持ち轆轤を回転すると、紙はくるくると
周りながら筒から離れます。
i) 内側にも貼り合せた繋ぎ目の線が入りますが、手が届く範囲又は、竹ベラで届く範囲内と
して、無理して底までで繋ぎ目を取り除く必要は有りません。
j) 肩から首に掛けて細くします。土を摘みながら徐々に細くし、急激に細くしない事です。
k) 注ぎ口は首より上の土を使い広げて形作る事も可能ですが、むしろ別の土でドーナツ状の
土を作り、接着した方が上手くいきます。滑らかに成る様に指や皮で拭き仕上げます。
l) 底の径を細くして胴部を丸くする。
直線的な場合には底の径を変更する必要もありませんが、胴部を丸く張り出す形の徳利
では、底を絞り丸味を出します。但し絞り過ぎると、底板の中央が盛り上がりますので、
内側から棒などで押し下げ、平らにします。
m) 高台を付ける場合には、付け高台にした方が良いでしょう。
タタラで作る場合、素焼き前では綺麗に平滑になっている繋ぎ目も、素焼き、本焼きと進む内に、
目立つ様に成ります。これは、土の記憶性の為で、繋ぎ目を圧着し密度を増した結果、素焼きや
本焼きで、圧着を開放する働きが生じ、その部分が若干盛り上がる為です。
以下次回(杯、盃、ぐい吞、ジョッキ類を作る。)に続きます。