わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

2 色の名前について

2018-12-26 09:36:23 | 色と陶芸
2) 基本的な色の分類

 JIS(日本工業規格)では「現代社会で必要とされる基本的な色の分類」として、「物体色

 の色名」が定められています。

 ① 「基本色名」は13種類です。

  赤、黄、緑、青、紫とその中間色の、黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫の10種類と無彩色

  の白、黒、灰色の3種類、計13種です。

 ② 「系統色名」は上記「基本色名」に、一定のルールで修飾語を付けた言葉です。

  ⅰ) 色彩や明度に付けられた修飾語は以下の13種類です。

   鮮やかな、明るい、強い、濃い、薄い、柔らかい、くすんだ、暗い、ごく薄い、明るい

   灰味の、灰味の、暗い灰味のある色と表現します。

  ⅱ) 無彩色の明度に関する修飾語は以下の4種類です。

   薄い、明るい、中位の、暗い。

  ⅲ) 色相に関する修飾語は以下の5種類です。

   赤味の、黄味の、緑味の、青味の、紫味の。

 ③ 「固有色名」は顔料や染料等の原料名や、動物、植物、鉱物、地名等から転用された名

  又はそれより連想される名前を現した物です。

  例えば顔料であれば、「朱色、緑青、群青」等で、染料ならば、「紅、茜、藍」等です

  植物であれば、「桜色、山吹色」等で、動物では「鶯色、鴇(とき)色」で、自然界では

  「空色、水色、草色」等があります。

 ④ 「慣用色名」は「固有色名」の中で一般的に広く使われ、知名度があり社会的利用度も

  高い色名です。JIS規格にも和名147種、欧米色名122種が採用されれています。

  例えば、薔薇(バラ)色、桃色、小豆(あずき)色、海老茶色、レンガ色、錆(さび)色

  駱駝(ラクダ)色、栗色、土色、茶色、山吹色、萌黄(モエギ)色、瑠璃(ルリ)色、

  鉛色、菫(すみれ)色などです。

 ⑤ 「伝統色名」は、我が国で古来から使われ続けている伝統的な色名です。

  「和名大辞典」では日本の伝統色として、465色が掲載されているそうです。

  万葉の時代や江戸文化に生まれた名前や、明治以降の化学染料から付けられた名もありま

  す。身近な動植物から採用した物などが多いです。

  例えば、桜色、薄紅色、臙脂(えんじ)、韓紅花(からくれない)、浅葱色、小麦色、

  弁柄色、緋色、象牙色、黄金色、檜皮(ひわだ)色、亜麻(あま)色、鳶(とび)色、

  紺色、濃紺、狐色、玉子色、利休鼠、江戸紫など多数知られています。

   注;利休鼠:千利休に因み抹茶の色からの連想で、茶色を帯びた鼠色を言います。

     江戸紫: 武蔵野に自生する紫草で染められた紫色です。

 ⑥ 「基本色彩語」とは、どの民族でも小さい頃より経験より、自然に覚える基本色があり

   これらを表す言葉を言います。

   我が国では、白、黒、赤、青、緑、黄、茶色、紫、灰色、ピンク、オレンジ色の11

   種類を基本色彩語と言います。別名「経験の言語」とも呼ばれています。

 ⑦ マンセル記号で、色を指定する事があります。

   1905年にアメリカのアルパート・H・マンセルによって創案された物です。

   色彩を色の3属性(色相・明度・彩度)によって表現します。

   主に、塗装関係や、デザイン関係者、建材の見本色等を万国共通の色番号で指定する

   方法です。所定のカラーチップや番号(マンセル記号)で表示します。

   ここではも陶芸とはあまり、関係がないので詳しい事は省きますが、興味のある方は調

   べて下さい。

   マンセル色見本表(マンセル表色系)は市販されていますので、容易に入手可能です。

以下次回に続きます。


  参考文献: 「色の化学」日刊工業新聞社発行:五感教育研究所編著

  
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1 初めに 色に付いて

2018-12-24 11:39:04 | 色と陶芸
この世の中には、色が溢れています。色を感じる事の出来る人なら、何万種類の色を見る事が

出来る(識別出来る)とも言われています。各々の物には、それぞれ特有の色があり、又色が

付けられています。

色は人の心に何かを訴える場合も多く、心理的に色々影響を及ぼすからです。更に色の好みも

十人十色と言われています。単に一色のみでなく、複数の色を使い分ける事でより複雑に変

化します。


陶芸であっても、土の色を始めとして、釉の色、焼き上がりの色、炎の色等色に関する事項も

多いです。食器の色も食材を引き立て、更には食欲を増す効果があります。逆に色によっては

食欲を無くす事すら起こりえます。

特に施釉が必要な焼き物では、慣れない方だけでなく、長らく陶芸を楽しんでいる方も、どの

様な色を塗ったら良いか迷う事も多いです。

なぜなら、色の使い方によってその焼き物自体の良し悪しを左右する事も稀ではありません。

昔より、着物を着せる行為と言われています。即ち、「馬子にも衣装」と言う訳です。

今回からは、この色に付いて考え、私なりに述べたいと思います。

1) 色とは光である。

 ① 物に光が当たると、その一部は反射して我々の目に入ります。どの程度反射するかは

  その物質によって異なります。その反射した光が、目の網膜に当たり、光を受容する神経

  細胞によって、電気信号(神経信号)に変換され脳中枢部に送られ色を認識していると言

  われています。

 ② 光が何であるかはしっかり(はっきり)判っていません。

  昔より、ニュートンやホイヘンス、更にはアインシュタイン等の高名な物理学者が色々

  説明しています。例えば粒子でるとか、波であるとか、その両方の性質を持つ物とか等

  ですが、「いまだに明確な論理付けがなされていない」のが実情です。

 ③ 光の三原色と色の三原色(加法混色と減法混色)

  ⅰ)赤、緑、青が光の三原色と言われ、その三原色の混ざり具合によって多くの色が出来る

   事になります。この三原色が等分に混ざりあえば、「白」になります。即ち混ぜれば

   混ぜる程明るくなります。

   尚、色の三原色はマゼンタ(M=赤紫)、Y(黄=イエロー)、C(青=シアン)で印刷

   物で利用されています。等分に配合されると黒になります。即ち全ての光が塗った物質

   に吸収され黒色にまなります。混ぜれば混ぜる程、色は暗く「くすむ」できます。

   陶芸で使用する釉も色の三原色の範囲ですが、インクが主体の印刷物とは、異なる事も

   多いです。

  ⅱ)網膜には光(色)に共鳴する錘体(すいたい)があります。

   但し、人が見える光は、可視光線と言われ波長が360-400 nm~760-830 nmです。

    注:nm(ナノメータ)=ナノは10の-6乗です(10億分の1m)。

   赤(L)錘体(620~750nm)、緑(M)錘体(495~570nm)、青(S)錘体(450~495nm)

   で色を感知します。

   上記の様に同じ赤、緑、黄と言っても、感知する範囲に幅が有りますので、色には色

   各種存在する訳です。

   更に、万人が同じ色を同じ様に見ている訳では無く、個人によって見え方も若干異なる

   と言われています。画家の様に色に敏感な人がいても、不思議ではありません。

  ⅲ) 明度、彩度と色調について

   我々が色を表現する際、色の濃淡、明暗、鮮やかさ等を大まかな言葉で言い表します。

   これら明度と彩度をひっくるめて、色調(トーン)と呼びます。  

   尚、明度とは明るさの度合いで、彩度とは鮮やかさの度合いです。

以下次回に続きます。
 
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