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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る2(手捻りで作る1)

2011-06-14 22:33:15 | 失敗と対策
大きな作品(大物)は、作品完成時までに、大幅に収縮します。

縮み率は一定でも、作品が大きければ大きい程、縮む寸法は大きく成ります。

又、作品が大きければ、大きい程「割れやヒビ」が入り易く、失敗も多く成ります。

その最大の原因が、作品が縮む事によって起こります。収縮は、色々な場面で起こります。

特に、作品を作り上げた直後が最大で、乾燥と共に除々に縮みが進みます。素焼直前と素焼後では、

ほとんど縮みの差は見られません。

ここまでで、全体の収縮率の、約半分ほど縮み、後の半分は、本焼きによって縮みます。

1) 土を選ぶ

  大きな作品を作る場合、なるべく粒子が荒い土の方が、向いています。

  又、素地土に、シャモット(焼き粉)を入れる場合もあります。

  (縄文土器では、砂を20~30%も、入れていた様です。)

  何れも、収縮に対して、強くする為と、若干収縮率を、小さくする働きがあります。

2) 作り方を選ぶ

  作品に応じて、作り方を選択します。作り方は、以下の如くです。

 ① 手捻りで作る。

 ② 轆轤(電動など)で作る。

 ③ 手捻りと轆轤を使って作る。(手捻りで作り、轆轤で仕上げる)

 ④ 型を使って作る。

 ⑤ その他の方法で作る。

3) 手捻りで作る。

   昔より、「人間の手に、優る道具は無い」と言われています。

   それ故、陶芸では、大きな物から、小さな物まで、どんな形の作品でも、作る事が出来ます。

   手作業で作た作品は、何処かいびつ(歪んだ)になり易いですが、温か味が感じられます。

   勿論、轆轤で作陶したかの様に、歪みも無く、綺麗な円を出す事も、可能です。

   欠点は、手間隙が掛かる(制作に時間が掛かる)事です。

  ① 皿や、陶板の様に、背の低く面積の大きな作品の場合

   a) 大きな作品に成ると、厚みが必要に成ります。最低でも1cm以上は必要です。

     更に、土をしっかり締めて、「割れやひび」を防ぎます。

   b) 形は、円形、正方形、長方形、不定形など、千差万別ですが、自由に選ぶことが出来ます。

   c) 注意する事は、大きくて平らな作品は、反り易い事です。特に乾燥途中で、反りが発生します。

     平たい板状の土は、中央部分が、乾燥と伴に、盛り上がります。

    ・ これを防ぐには、裏表を度々ひっくり返すか、盛り上がった部分を、押して矯正します。

   d) 大皿の場合には、脚を付ける位置が、問題に成ります。

     素焼までは、ほとんど問題になりませんが、本焼きでは、高温で粘土が、やや軟らかく成り

     下から支えが無いと、垂れ下がって来ます。(鉄分の多い、赤土などは、顕著です。)

     又、脚の数を増やすと、作品をテーブルなどに置くと、「ガタ付」が出易いです。

     (全ての脚が、接地しているとは、限り無いからです。)

   ・ 本焼きの際、落ちそうな場所には、貝殻などを置いて、後ろから支えます。

  ② 板状の土を、貼り合わせて、(積み上げて、又は、組み合わせて)大きな作品を、作る。 

 以下次回に、続きます。
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大物を作る1(焼く窯が有る事)

2011-06-13 21:48:37 | 失敗と対策
ある程度、陶芸をやっていると、大物を作りたくなるものです。

但し、大物の定義が人により、曖昧ですので、ここでは、便宜的に決たいと思います。

(くれぐれも、私が勝手に決させて頂いた寸法ですので、御了承下さい。)

以下は、出来上がり(完成)寸法です。

( )内は作た時の大よその寸法です。収縮率を12~14%として、計算しています。

1) 高さ: 30cm以上。(35cm程度以上)

2) 横幅: 最大胴径で20cm以上。(23cm程度以上)

3) 皿などの平たい物: 径で30cm以上(35cm程度以上)

   手捻りで作た、板状の皿の場合: 長径で40cm以上。(46cm程度以上)

大物を作る際に、一番の問題は、作品が製作できるかよりも、作た作品を焼ける窯があるかどうかです。

折角製作した作品も、焼成が出来なければ、完成品にはなりません。

◎ それ故、窯で焼ける最大の寸法で、作品の作れる寸法が、決まってしまいます。

 ① ご自分で窯を持っていられる方は、窯の内寸法を知っているはずですので、容易に大きさが割り出せ

  ますが、公民館活動や、陶芸教室などで、共同で使用する場合には、予め、どの位の大きさの作品が、

  焼成可能かも、知っておく必要があります。(不明な時は、窯を焚く人に、聞く事です。)

 ② 但し、大きな作品が1個しか入らない場合は、貸切に成りますので、他の人に迷惑が掛からない様に、

   十分打ち合わせをして下さい。

   又、細くて縦長の作品では、なるべく同じ様な作品を同時に焼成すれば、窯の効率が良くなります。

  ・ 窯に十分な量の作品がないと、設定の最高温度まで、昇温し無い場合があります。

    高温状態で温度を、更に上昇させるには、蓄熱が必要に成ります。即ち、高温を保持する為に、

    熱を蓄える作品の量が必要に成り、作品が少ないと、一見温度が上昇しそうですが、逆に、

    加えられた熱は、どんどん廃熱されるだけで、一向に温度が上がりません。

 ③  作品は焼成時に棚板から、はみ出ない様に窯詰めするのが、基本ですが、大皿の場合には、

    1枚の棚板では、収まらない事が多いはずです。棚板も窯の大きさによって、1枚敷き、2枚敷き、

    4枚敷き、6枚敷きと、棚板の枚数が増えていきます。

  ・ 1枚の棚板に載らない、大皿等は、数枚の棚板にまたがって、窯詰めする事になりますが、

    置ける位置は、最上段しかありません。(但し、本焼きでの話で、素焼では、幾らでも重ね焼きが

    可能です。)途中の段では、それより上に、棚板を支える支柱を、立てる事が出来ない為です。

   (支柱は最低で3本必要で、3本を立てる事が出来ません。)

    それ故、窯に十分なスペースが有っても、大皿は、1枚しか入らない事に成ります。

 以上の様に、例え窯に入る大きさであっても、色々障害が発生しますので、予め確認してから、

 作業に取り掛かる必要があります。

前置きが長くなりましたが、次回より、実際の製作方法などを、お話したいと思います。
  
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素焼き前の装飾(貼り付け、押し付け)

2011-06-12 23:19:10 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ) 貼り付けによる装飾 

     本体に、他の土を貼り付ける事により、作品の表面が凹凸して、立体感が出ます。

     貼り付ける部材は、板状の場合や、盛り上がった小さな半球状の場合、及び、紐状の場合等が

     有ります。 基本的には、本体と貼り付ける素材は、同じ物である事が、望ましいです。

     (色土を使う場合には、練り込み用の顔料を、混入させます。)

   a) 板状の場合は、レリーフ紋様に成ります。

     厚さ1.5~3mm程度に、薄く延ばした土に紋様を付け、切り取ってから、本体に、「どべ」で

     貼り付けます。土に付ける文様は、本物の葉っぱ(ぶどうの葉、あじさいの葉など)で、

     葉脈がしっかり出る物を、薄い粘土上に置き、上から押し付けて、葉脈を、写し取ります。

     又、紋貼りと言って、石膏型に刻まれた文様に、土を押し込み、薄い模様の板を作ります。

    ・ 貼り付ける際には、本体と装飾土の乾燥度が、同じに成る様にします。

    ・ 貼り付け位置が決まったら、針や竹箆(たけべら)で刻みを付け、「どべ」を両方に塗って

      貼り付けます。

    ・ 本体と貼り付け板の間に、空気が入らない様に、注意します。空気が閉じ込められると、

      窯の中で、爆発する危険性があります。即ち、中心から、外周方向に、力を加えて、

      貼り付けて行きます。

   b) 半球状の部材を、貼り付ける

     仏像の螺髪(らはつ)の様に、細かい半円球ならば、問題有りませんが、大きめな半球の時、

     その重さで、作品が歪む事があります、特に口縁近くに、大きな物を張ると、顕著です。

   c) 筋貼り: 紐状の粘土を貼って行く方法です。

     紐には、断面が丸い物、三角の物の他、二本線や刻印が押された物など、色々工夫を凝らす事が

     出来ます。貼り方も、横線、縦線、斜め線などを、どの様に貼るかによっても、表情が変化します。

  何れの場合でも、刻みと「どべ」が必要で、貼り付ける際には、しっかり本体に押し付け、

  竹ベら等を使い、繋ぎ目を目立たなくさせる、必要があります。

 ) 押し付け紋様

   半乾燥時に、石膏印、素焼印、木印などで、軟らかい表面に押し付け、模様を出す技法です。

   a) 型離れを良くする為、印(又は、本体)に、片栗粉を着けます。

   b) 本体が円周状に成っている場合には、印も円周状に押すと、同じ深さの模様に成ります。

   c) 大きな押し型は、余り好ましくありません。印影が綺麗でない事と、押し難い事です。

     小さめの印を、連続して押した方が、綺麗に押せます。

  押し付け紋様には、縄文土器の様に、藁(わら)で編んだ紐を、押し付けながら、回転させて

  模様を付ける方法もあります。更に、貝殻や凹凸のある石を押し付けて、模様を付ける事も出来ます。 
   

以上にて、素焼前の装飾についての、話を終わります。
   
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素焼き前の装飾(象嵌、掻き落とし2)

2011-06-11 22:11:49 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ) 象嵌、掻き落とし

   b) 掻き落としとは: 色が付いた素地で作品を作り、白泥(白化粧土)を掛け、水気が無くなって

     から、釘等を使い、模様を描き、模様以外の白泥を、取り去り(掻き落とし)素焼後に透明性の

     釉を施釉します。素地の色と白い色の対比を、見所とする技法です。

   イ) 素地土に、黄土や他の金属顔料を加え、発色させる様にします。

   ロ) 逆に、白泥に金属顔料を加え、色付の泥を作ってもかまいません。

   ハ) 模様を掻き落とす際にも、模様の内側又は、外側を削る方法があります。

   何れにしても、最初からどのような色の対比を、望むのかによって、やり方も選ぶ必要があります。

   ニ) 掻き落とす際にも、掻き落とす部分の色土を、完全に取り除く方法と、斑(まだら)模様に

      残す方法があります。斑模様に残すと、「趣のある掻き落とし」に成ると言う人もいます。

   ホ) 注意点は、素地の上に掛ける泥(白、色付)は、刷毛で塗るのが一般的です。

    ・ 色を濃くする為に、一度に濃い泥を塗ると、素地より剥がれ易いです。出来れば、

      やや薄目の泥を、数回塗り重ねた方が、良い結果が出ます。

    ・ 泥にCMC(化学のり)を入れると、泥の伸びが良く成ります。

    ・ 掻き落としに使用するカンナは、切れの良い状態で使い、余分の土を取り除きます。

  c) 掻き落としと同じ技法に、「飛び鉋(かんな)」が有ります。

     色土の素地に白泥を塗るのは、掻き落としと同じですが、削り取る方法に、特徴があります。

    イ) 薄い帯状の鉄板を、L字状に加工した、鉋(飛びカンナ)を使います。

    ロ) 薄い刃先が、轆轤の上の作品に触れると、回転でカンナが振動を起こします。

    ハ) 刃先が、土に弾かれて、飛び飛びに当り、その痕が点(線)状の連続した模様に成ります。

    ニ) 刃先の形状を変化させれば、飛び鉋の模様も変化します。

       又、鉋(鉄板)のバネの強弱によっても、カンナ傷の間隔が、変化しますし、轆轤の

       回転速度でも、影響が出ます。

  d) 釉の掻き落とし

     生素地の作品に、直に釉を掛け、化粧土の掻き落としと、同様な方法で、装飾を施す技法です。

     素焼をせずに、本焼きが出来ますが、それなりの危険が、存在します。

    イ) 素焼をしていませんから、釉の生掛けと成ります。

       生掛けでは、素地に水が浸み込み、作品が割れる事があります。

    ロ) 割れを防ぐ為には、轆轤挽きした直後で、高台を削り出す前に、釉を打ち掛けします。

       吸水性が悪いですから、濃い目の釉を使います。釉に「フノリ」等を入れ、刷毛で2~3回

       に分けて、重ね塗りをします。「フノリ」は釉に粘りを与え、密着性を増し、素地の吸収を

       平均化してくれます。但し、前に塗った釉が乾かない内に、塗り重ねると、釉に空気が

       入り、釉剥がれの原因に成ります。

      ・ 吹き掛けによる方法も。有効です。何度かに分けて吹き掛けします。

    ハ) 釉が落ち着いてから、高台を削ります。

  ) 貼り付けによる装飾     

以下次回に続きます。
   
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素焼き前の装飾(象嵌、掻き落とし1)

2011-06-10 22:54:49 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ) 象嵌、掻き落とし

   a) 象嵌(ぞうがん)とは、轆轤などで成型した表面に、削りなどで凹みを作り、異なった色の

     土を詰めて、表面を平らに仕上げ、模様を表す技術です。

    イ) 少し厚めに成型した表面を、鋭い釘等を使い、深めに線彫りして、素地とは異なる色の

       泥をやや硬めに溶き、削った凹みに埋めて行きます。

      ・ 深く彫らないと、綺麗な文様になりません。

    ロ) 線彫りの場合には、スポイトで色土を絞り出し、表面より盛り上がる様にして、埋めて行き、

       水気が無くなったら、竹箆(たけへら)等で、刷り込む様にします。

       (盛り上がった色土も、乾燥するに従い、凹んで来ますので、再度充填する必要が、

       出る場合が有ります。)

       色土を刷り込む様にすると、模様が解から無く成りますが、一皮削りますので、

       心配無用です。)

    ハ) 表面を「カンナ」や、鉄ヘラ等で、削りますが、模様の彫り方向に逆らわずに、

       なるべく手で、余分な土を、削り取ります。

    二) 素地土と化粧土(色土)の収縮が、同じに成る様にします。

       収縮の度合いが異なると、境目に「ひび」が入ります。又、表面も均一(同一面)に、

       成らない事があります。

     ・ 同じ素地土に、顔料を入れて色土を作ります。又、白い色土を作るには、蛙目粘土50%

       長石30%、素地土20%位の割合で、調合すると、密着が良いと、言われています。

     ・ 色土は一色でなく、2~3種類にすると、華やかさが出ます。

       その際、模様が交差し無い様にしないと、色が混ざり、反って汚く成ってしまいます。

    ホ) 成型後に、刻印を押し、素焼後に、白泥を刷り込む方法もあります。

       但し、この方法で作った作品に、趣が無いと言う人も居ます。

       簡単で、安全に作業出来る事から、広く行われている方法で、白泥も素焼用に作るか、

       素焼用の白化粧土も、市販されています。

    ヘ) 象嵌で有名な作品は、青磁象嵌雲鶴文梅瓶(12世紀、高麗時代)などが有ります。

       象嵌後に青磁釉を掛けた物ですが、象嵌部の白や黒い色が、しっかり出ています。

       これは、薄青磁(青白釉)を掛けた物と思われ、青磁釉の様に厚掛けしません。

       薄青磁の調合例 1)白釉(基礎釉)100、ケイ酸鉄 3、 バリゥーム7

               2)白釉(基礎釉)100、ケイ酸鉄 3

尚、象嵌は、手間隙、掛かる割には、良い作品が、中々出来ません。

  (「労多くして、効少なし」の感が、無きにしも有らずです。)

 b) 掻き落とし      

以下次回に続きます。
   
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素焼き前の装飾(箆目と櫛目2)

2011-06-09 21:50:29 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ) 箆目(へらめ)と櫛目: 竹箆や櫛を使って、作品の表面に傷を付けて、装飾する方法です。

   b) 櫛目について

     櫛とは、髪を梳かす際に使う「くし」の様に、細い歯が規則的に並んだ物です。

     木製の櫛が市販されていますが、本物の櫛を使い、自分で作る事も可能です。

    イ) 平たい陶板に、櫛目を入れる事が多いですが、湾曲した作品の外側や、内側に入れる事も

       あります。広い面に櫛目を入れる場合、一度入れた櫛目の隣に、平行してもう一度、

       櫛目を入れる事がありますが、中々並行にはなりません。そこで定規などを添えて

       作業する様にします。尚、櫛目は直線でなく、なだらかな、曲線を描くと、趣が出ます。

    ロ) 櫛目を入れるタイミングも、重要に成ります。

       土が軟らかい場合は、櫛目が入り易いです、但し作品を持ち上げる必要が無い場合に

       向いています。水で濡らした櫛は、垂直に立てず、かなり寝かせた状態で、手前に引く

       様にして入れます。作品の内側や、外側に入れる場合は、形が変形し無い程度に、

       乾燥してから、作業します。(乾燥は、甘い方が良い)

     ・ 注意する事は、口縁にはなるべく櫛目を、入れない事です。「割れやひび」の原因に成ります。

       少なくとも5mm程度は、残した方が良いでしょう。

    ハ) 櫛の形状は、作品の形に合わせて、変化させる必要があります。

       又、櫛の歯の本数も、重要な要素に成ります。少ない本数では、小回りがきき使い易いです。

     ・ 櫛の先端の高さが一定な場合。(市販されている物は、この形が一般的です。)

       平らな面に、歯の全体が均等に当り、溝の深さも一定に成ります。

     ・ 作品の外側に、櫛目を入れる時、歯の本数が少なければ、歯が均等に当りますが、歯の本数が

       多い時や、作品の径が細い場合には、歯の中央部が凹んだ形に、しなければなりません。

       さもないと、櫛の両端が浮き上がったり、両端に溝が入りません。

     ・ 作品の内側に、櫛目を入れる場合の代表的な作品に、擂鉢(すりばち)が有ります。

       この場合も、作品の内側に合わせて、櫛を凸状の形にします。

       (尚、擂鉢の櫛目は、ある程溝に「バリ」が残る必要があります。綺麗にし過ぎ無い事です。)

     形を変えるには、ブラスチック製ならば、「ペンチやニッパ」で切り取り後、ヤスリで

     仕上げます。先端は歯の幅を、狭くします。

    ニ) 櫛の歯の間隔も、重要に成ります。(代用品を使う場合もあります)

       間隔の細かい場合には、溝の深さや乾燥度にもよりますが、綺麗な線が出ない場合も

       有ります。即ち、溝と溝と間の土が、めくれ上がって仕舞い勝ちです。

       又、市販の陶芸用の櫛や、本物の櫛は、歯の間隔が一定しています。一本おきに歯を

       取り除く事も出来ますが、いまいち面白さが出ません。そこで、代用品を使う事に成ります。


     ・ 代表的な物は、鋸(のこぎり)の歯を使う方法です。

       鋸には歯の粗い物、細かい物など、幾つかの種類があります。又、鋸には、方向性(切れる側

       切れない側)が有り、溝の形状も、左右対称に成らない場合が多いです。

       但し、鋸には「焼入れ」がしてある為、加工が困難です。

       そこで、「焼き戻し(焼鈍)」が必要に成ります。
   
     ・ 「焼き戻し」とは一度高い温度に熱した後、ユックリ冷やす(徐冷)事により、

       金属が加工し易くなる現象で、素焼の際に、窯の中に入れておけば、この現象が得られます。

  ) 象嵌、掻き落とし

以下次回に続きます。
      
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素焼き前の装飾(箆目と櫛目1)

2011-06-08 21:52:50 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ) 箆目(へらめ)と櫛目: 竹箆や櫛を使って、作品の表面に傷を付けて、装飾する方法です。

   a) 箆目について

     手捻りでも、箆目を付ける事も有りますが、主に、轆轤挽きで作った作品に、施します。

     箆目を付けた所は凹み、作品も大きく変形します。この凹みと変形が、見所と成ります。

    イ) 箆の種類 : 竹箆が一般的ですが、木製や、プラスチックの箆も有ります。

       切り箆: ナイフ状に成った物で、主に土を、切り取る場合や、溝を付ける時にに使います。

       撫ぜ箆: 竹の先端が、幅方向の中央に、やや尖っている箆で、作品を撫ぜて仕上げ用に

        使います。尚、切り箆でも撫ぜ箆でも、その反対側は、四角張っている場合が多いです。

        箆の横幅も、細い物から幅広い物まで、取り揃えて置き、臨機応変に使い分けます。

       箆目は、撫ぜ箆か、四角張った部分を、使います。

     ・ 竹箆には、皮側(緑掛かった色)と、肉側(白い色)が有りますが、皮側を使った方が

       滑りも良く、綺麗に仕上がります。

    ロ) 箆目はあくまで、装飾の為の物で、実用的な面は、少ないです。

       装飾効果は、作品に荒々しさや、豪快な感じを出す事です。

    ハ) 箆目は轆轤挽きが終わった直後に、実施すると、効果的です。

       但し、底削りなどを行うと、箆目を削って仕舞う事も有りますので、ある程度、

       形を整えてから、作業します。轆轤挽きの直後では、箆目の線が、生き生きする事と、

       箆目による作品の変形が、自然な感じに成る事です。

    ニ) 箆目の数は、1~2本程度にします。多くても、3本迄でです。「ひつこく」成らない
 
       為です。基本は底方向から、上部に向かって、水で濡らした箆を、押し当てながら、

       一気に素早く移動させます。土には、記憶性が有りますので、作業後に箆目を無くす方向に、

       変化しますので、強く押し当てる事です。

    ホ) 箆目を効果的にする為には、箆目の角度も重要です。

       真っ直ぐ真上に付けただけだと、面白味がありません。若干斜めにしたり、弱い円弧に

       したりして、変化を持たせます。カタカナの「メ」の様に、箆目を交差させた作品も

       多く見受けます。更に、箆目の幅方向にも、変化を持たせます。即ち左右均等に押し付ける

       のではなく、片側に強く力を入れ、反対側を弱くします。すると強い方は箆目の角(エッジ)が

       立ち、荒々しさが表現できます。

    へ) 箆目の長さも重要です。単に下から上まで、箆目を入れるのではなく、口縁の部分には

       入れないとか、一番下(底)は強く、上に行くほど力を抜くとか、色々な方法が有りますので、

       どの様したら良いかを、考えて下さい。

    ト) 箆目の作業は、一発勝負ですが、失敗した場合には、再度轆轤を回転させて、綺麗な形に

       してから、再挑戦します。

       その為には、作品を轆轤から切り離さずに、箆目作業を行う事です。

       更に、余り考え過ぎない事も重要です。ある意味即興的(思いつくまま)に、作業した方が

       良い結果が出る場合も、多いです。

   b) 櫛目について

以下次回に続きます。
      
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素焼き前の装飾(面取り2)

2011-06-07 21:39:07 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ② 削り加工 

  ) 面取り: 切り取る刃物は、切れる様に、作業前に研いでおく必要が有ります。

   ハ) 見所の稜線をしっかり出す。

      面取りの見所は、面の綺麗さも有りますが、面と面の境の稜線が、すっきり出来ている事です。

      直線的な物や、捩れ(ねじれ)た線、交差した複雑な線の場合も有ります。

    ・ 稜線は、なるべく細い方(鋭角)が綺麗です。稜線の左右の壁が、切れ落ち頂上が、

     尖がる様にします。

     又、稜線上に凹凸が無く、左右にも振れずに、まっすぐな線になっている事です。

    ・ 稜線を目立たせるには、切り取った面を平ら(フラット)にするのではなく、

      面の中央部を、やや凹ませるて、富士山の様な形にします。

    ・ 面の中央を凹ませても、面は歪んでは見えません。むしろ、平らにすると、目の錯覚で、

      面の中央が膨らんでみえます。逆に凹ませた方が、錯覚で、面が平らに見えます。

   ニ) 作品の周囲を、バランス良く、面取りする事

      面取りした部分と、面取りし無い部分では、当然肉厚に差がでます。

      (肉が厚い所が、稜線に成ります。)面の数が、少ない程、肉厚の差が大きくなります。

      それ故、作品の表面を、バランス良く、なるべく均等に切り取らないと、乾燥時や焼成時に、

      変形したり、「割れやひび」が入り易います。

     ・ 一般的に、面取りは口縁から底に掛けて、全て切り取りますが、一部のみを面取りする

       場合も有ります。例えば瓢箪形の器(徳利、花瓶など)では、下部の膨らみ部分のみ

       面取りするという事です。

  c) 仕上げにも、気を使う事

     切り取った面は、肌が荒れていますので、水に濡らした皮等を使い、良く撫ぜて、

     綺麗にします。稜線も細くなったり、太くならない様に、微調整して仕上げます。

  d) 作品が重い時、予定外の面取りを、行う事も有ります。

     底削りが終わり、完成したと思って轆轤上から取上げた時、予想に反して、作品が重い場合が

     有ります。この場合、底から腰にかけて、肉が厚くなっている事が多いです。

     もう一度、轆轤上で、削り作業をしたいのですが、単に削ってしまうと、作品の形が変わって

     しまう事も多いです。この様な場合、厚い所を面取りすれば、軽くなるのと、見た目にも、

     装飾として効果が有ります。

    ・ 面取りしたからと言いて、やり方によっては、さほど軽くならない場合も有りますが、

      面取り加工によって、見た目が軽く感じられる物です。

 ) 箆目(へらめ)と櫛目

以下次回に続きます。
      
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素焼き前の装飾(面取り1)

2011-06-06 21:59:21 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ② 削り加工: 一般に削り作業は、ある程度乾燥させてから、行いますが、意図的に表面を

    毛羽立たせたり、荒々しい感じを出す為に、綺麗に削り取らずに、乾燥の甘い状態

    (カンナ等に、削りカスがくっつく感じ)で、作業する場合も有ります。

    又、箆目(へらめ)は、乾燥させる前に、作業した方が、線が生き生きしますし、

    櫛目もある程度、乾燥が甘い方が、綺麗な線が出る事が、多いです。

   ・ 削り作業には、面取り、櫛目、箆目、象嵌、掻き落とし等があります。

  )面取り: 作品の表面を、大胆にカットして、削り取った面と、面と面の境(稜線)を

    しっかり出す技法です。

    尚、作品を変形させても、面を出す事が出来ますが、一般に、面取りとは言いません。

   a) 作品は肉厚に作る

     面の数が少ない程、肉厚に作らなければ、加工はできません。

     三角が最小で、数が増えれば増える程、肉厚は薄く出来ます。

     細長い(筒状な)作品は、数が少なくても、問題ありませんが、径が大きな作品では、

     ある程度の数の面が必要と、成ります。

     作品は、手捻り(紐作り)や轆轤で挽いて作ります。

   b) 面をカットする: 工程は以下の様に成ります。

    イ) カットしたい作品に当りを付けます。

       注意点は、その数でカットした場合、作品に穴が、開かない事です。

       一般に作品は、内側が円筒形又は、それに近い形(丸い形)ですので、面の中央部分の

       肉厚が、一番薄く成ります。この部分の肉厚は、最小でも5mmは欲しい所です。

       (当然、作品の大きさによって、左右されますが)

       カットする面が、単純ならば、割合容易に当りを付けられますが、複雑に成ると、

       しっかり、当りを付けておかなければ、成りません。

       一度作業を始めると、失敗しても元に戻る事が、出来ないからです。

    ロ) 幅の広い刃物で、一気に切り取ます。

       少しずつ削り取る方法も有りますが、綺麗な面を出すには、一気に切り取る事です。

     ・ 人によっては、包丁を使い、切り取ります。(面取り用に用意する人も居ます。)

       但し、これで終わりではありません。大事な事は仕上げで、綺麗な稜線を出しますので、

       やや粗い削りの感じにしておきます。

     ・ 糸で切り取る方法も有ります。

       直線的に切り取るには、刃物が適しますが、捩れ(ねじれ)や曲線的に切り取る場合に、

       釣り糸の様な、細い丈夫な、切り糸を使うと、上手く切り取れます。

       両手で、糸の端を持ち、当りの線に沿って、切り取ります。

       なるべく手の間隔を、短くし糸が弛まない様に、ピンと張ります。

    ハ) 見所の稜線をしっかり出す。      

以下次回に続きます。
    
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素焼き前の装飾(透彫り2)

2011-06-05 21:54:09 | 失敗と対策
引き続き、「続失敗と対策の話」を、続けます。

3) 素焼き前の装飾

  ① 透彫り: 粗目の土や、「はぜ石」等が入った土は、透彫りがし難く、肌理の細かい土の方が、

    作業がやり易いです。

   ) 穴を開ける事により、作品が「歪む」

     a) 大きな穴を、広い範囲に開けると、作品が変形します。

       最大でも、全面積の1/3程度以下にしないと、作品の強度が、弱く成る結果変形します。

       当然、作品の肉厚も関係しますが、透彫は若干、肉が薄い方が、穴が開け易く、

       見た目にも、すっきりして、効果的でもあります。

       不定形の作品ならば、変形は、さほど目立ちませんが、轆轤で挽いた綺麗な円では、

       結構目立ちます。それ故、変形しない様に、ある程度計算して、穴を開けて行く必要が

       あります。

     b) 小さな穴であっても、側面の片側に多数穴を開けると、穴の部分が歪みます。

       乾燥時と焼成時に、多く歪み(主に外側に出っ張ります)が発生します。

       側面全周にバランス良く、明ける事が望ましいです。

       更に、口縁の近くに、大きな穴がある場合には、強度的な面もありますが、「歪み」も

       大きくなり易いです。

     c) 筒状の作品ならば、水平に穴を開けますが、球形の場合には、中心に向かって穴を開ける事

       です。又、中に蝋燭の様に、燃焼させる物が入る場合は、中が酸欠に成らない様に、

       空気の流れも、考慮する必要があり、豆電球を使う場合には、コードを通す穴が

       必要に成る場合も有りますので、忘れないでください。 

   ) 釉を掛ける際、内側と外側の色違いは、難しい作業と成ります。

      (但し、上下や、左右に分けて、釉を掛ける事は、容易にできます。)

     幾つかの例を挙げれば、

     a) 全体を浸し掛けで、一色で塗り、外側を二重掛けする方法です。

       外側は、吹きつけ方法(内部に紙を丸めて入れ、内側に釉が掛らない様にします。)や、

       筒状の場合は、バット(広くて浅い容器)に作品の肉厚以下の釉を入れ、作品を

       転がしながら、施釉します。

     b) 外側をマスキングして、内側のみを塗り、その後、上記方法で、外側を塗ります。

     c) 勿論筆や刷毛で塗る方法もありますが、塗り斑(むら)が出易く、きれいに仕上がりません。

     ・ 釉を掛けないで、土の感じを出したいと、望まれる方もいますが、豆電球では問題

       ありませんが、蝋燭などを使う場合、煤(すす)が出ますので、内側が煤で汚れます。

       出来るだけ、釉は掛けて下さい。

     ・ ランプの様に使う場合に、和紙を内側に貼る方法があります。間接照明に成りますので、

       優しい感じの光と成ります。蝋燭は使わずに電球にし、出来れば、耐熱性の和紙を、

       使うと安全です。

  ② 削り加工

以下次回に続きます。


     
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