アンカラからバスでシワスに入って1泊した翌日は、またバスに乗ってエラズーに向かった。私は原則的に1か所に2泊以上するのだが(1泊で移動するのはしんどいから)、シワスは中継地点として泊っただけなので、例外なのだ。
エラズー(Elazığ)はシワス(Sivas)の右下(東南ともいう)
シワスからエラズーは比較的近く、バスで5時間程度なので、朝はゆっくり起床するつもりだったが(早起きして観光するという選択肢は私には存在しない)、なぜか7時に目が覚めた。前日のバスでけっこう寝たせいかもしれない。部屋のWi-Fiは、PCでは使えなかったが、なぜかスマホでは使えたので、ツイッターの更新などをする。通りに面していない部屋で、周りの部屋からの物音も聞こえず、穏やかな気分で作業が出来た。
荷物をまとめてから10時頃に朝食会場に行く。朝食は10時半までだが、もう他の客の姿はなかった。当たり前か…
どうしようかと入口で立ち止まっていたら、給仕係の女性が、「まだ大丈夫ですよ、どうぞ」とにこやかに迎え入れてくれた。他のホテル同様セルフサービス形式で、定番のきゅうり、トマト、オリーブ、茹で卵、パン、ジャムやバターなどに加え、フライドポテト、メルジメッキ・チョルバス(レンズ豆のスープ)やスイカ、サクランボがあった。
朝は食欲がないので、ちょっとずつ取った。きゅうりが飾り切りで技あり。
なお私は、オリーブの漬物は黒オリーブ派だ。(誰も聞いてない)
さくっと食べ終わって部屋に戻り、荷物を持ってチェックアウトしに行くと、フロントの男性が私を見て、朝食は食べたか、食べていなかったらお手伝いするから、今からでも食べたらどうかと気を遣ってくれた。朝食に行くのが遅かったから、食べそびれたと思われたらしい。食べたから大丈夫だと答えたら、安心した様子だった。このファーティフ・ホテルは、値段の割に設備が良くて、スタッフも優しくて居心地が良かった。もしシワスにまた来ることがあったら、必ずここに泊まろうと思う。そういう機会があれば、そしてその時にこのホテルがまだ存在していればの話だが…
スーツケースを引きずって外に出たら、小雨が降っていたが、すぐに止んだ。オトガル(長距離バスターミナル)行きのバスの停留所を探したが見当たらず、その辺にいた人たちに聞いたが、誰も知らなかった。何人か目にようやくバスはあそこに来ると明言する人が現れたので、停留所らしき印は何もなかったが、そこに行って待つことにした。
本当にバスが来るのか不安だったので、きょろきょろしていたら、その様子を見たおじいさんが道の向こうからこちらにやってきて、何を探しているのかと聞いてくれ、「オトガル行きのバスだったら、ここに来るから大丈夫だ。ここで待ちなさい」と言って去って行った。シワスの人、親切すぎないか。
バスはなかなか来ず、タクシーに乗ろうかと考え始めた頃に、ようやくやって来たので乗り込む。
シワスのカササギさん、さようなら~
シワスのバラさん、さようなら~
シワスの街には花盛りのバラの花壇が多くて、本当に綺麗だった。
オトガルにはすぐ着いた。トカット・ユルドゥズ(Tokat Yıldızı )という会社の12時発ワン行きのチケットをエラズーまで買う。230リラだった。トカットは黒海地方にある地域なので、その辺りに強いバス会社なのかもしれないが、一応全国展開しているようだ。ユルドゥズは「星」という意味なので、トカットの星社か。
トルコの長距離バスは大体メルセデスベンツ
所要時間が短かったせいか、飲み物やお菓子は出なかった。マラティヤで20分のドライブイン休憩があったので、トイレに行ってからチャイを飲んだ。トイレは有料で2.5リラ。
マラティヤのドライブイン
トイレはもちろんトルコ式で、紙がなかった…
途中の風景
この黄色い花をつけたホウキっぽい草が多かった。
同じ形の新しい住宅が並んでいた空き地
この土台で住宅地ってことはないだろうから、どこかに運ぶ予定なのだろうか?
トンネルの中を通った時、後ろの席に座っていた小さな女の子が、「わあ、すてき~夜みたいね」とはしゃいで声を上げ、父親が穏やかな声で「そうだね」と答えていた。父娘でどこかに行く途中だったようで、道中ずっと2人で楽しそうにおしゃべりしていた。
マラティヤとエラズーの間に湖があった。
エラズーの市内に入る前に検問があり、憲兵がバスに乗り込んできたが、身分証を出させたりはせず、乗客をチェックするふりをして車内を往復しただけで終わった。こういう「なんちゃって検問」もあるんだ…シワスの時の検問では、外国人の私以外の乗客には身分証を出させていたので、地域や担当者によるようだ。
間もなくエラズーのオトガルに到着
バスを降りてから、周りの人々に聞きつつ市バスの停留所に辿り着き、そこでバスを待っていた若い女の子に、市内中心部に行くバスはここに来るかと尋ねたら、ちょうどやってきたドルムシュ(乗り合いミニバス)の運転手に確かめて、これに乗りなさいと言ってくれた。エラズーの人も親切なようだ。運転手に中心部の安ホテル街で降ろしてほしいと頼んだら、終点で降ろしてくれた。周りには市場があり、安ホテルがありそうなメインストリート(ヒュリイェット通り)に近い。
ドルムシュのターミナル
ヒュリイェット通りで小さいホテルを見つけ、フロントで空きがあるか聞いてみたら、女性用の部屋はないと言われた。女性用の部屋ってなんにゃ~
他に安ホテルはあるかと聞いてみたら、近くの「ヴァラン・ホテル」(Varan Hotel)というところを教えてくれたので、そこに行ってみたら、よさそうな部屋が予算内だったからそこに決めた。
広くて綺麗な部屋だったが、チェックインしてから改めてよく見たら、色んなものが足りなかった。机とか冷蔵庫とかグラスとかハンガーとかバスマットとか。その場で気が付かないなんて、さすが私、うっかり者だ。Wi-Fiは強かったので、まあ良しとしよう。
窓の下の風景
ズーム
このホテルのある通りには、おじさん・おにいさん御用達のカフェが並んでおり、私が歩くと路上の席に座っている男性陣の視線が集まった。さらに少し先には酒屋や飲み屋街があって、カラオケの声が外にまで響いていた。夜間に出歩くのは微妙かもしれない。酒は買いやすそうだが。
部屋で少し休憩してから、買い出しに出かけた。日曜日だから市場はお休みで、市場以外にも閉まっている店が多かったが、スーパー・ミグロスを見つけたので問題なかった。エラズーには2泊するので、ワインを買う。シワスは一泊だったので、ワインを買っても飲み切れない可能性を鑑み、ビールだけにしておいたのだ。そういう点でも、1か所に2泊以上するのが望ましい。
ミグロスは酒類が比較的安いから、私のお気に入りだ。
商品の写真を撮っていたら、写真は禁止だとお店の人に怒られた。しょんぼり…
「気にするにゃ~」
夕食のサンドイッチは、入り口に猫がいる店で買った。
「ここでサンドイッチを買って、通行料に少し具を置いていくのにゃ」
塩分やスパイスが入ってなければあげるんだが…
鶏肉の細切れをトマトや玉ねぎと一緒に炒めてパセリと共にパンに挟んだものを選んだ。
他にも入口に猫が待機している店があった。
エラズーはシワスより街中に猫が多かった気がする。
買い出しが終わったので、ホテルに戻って夕食にした。
いつもの地味な夕食風景
見苦しいけど、中身も見せちゃう(やめとけ)
エキメッキ(トルコのパン)2分の1本分のサンドイッチは多すぎた…
ミグロスで買った赤ワインも飲んだ。安いけど美味しい。
窓の外から流れてくる、パブのカラオケの声を聴きながら食べた。トルコの物悲しい演歌をおじさんと女の人がデュエットしていた。風情があるようなないような、トルコの夜の歓楽街のホテル。
翌日はエラズーから日帰りで、近郊の観光地ハルプットに行く予定だった。ハルプットはワンと同様、今回のトルコ旅行の主要な目的地だった。シワス以上に観光スポットのないエラズーに2泊もすることにしたのは、ここを拠点にしてハルプットを訪れるために他ならない。体調を整えるため、ワインはほどほどにして、早めに寝た。
(続く)
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