ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

大事なおとうさん

2014-11-04 15:06:58 | 日記
先日、離れて暮らす大学生の長男パインの部屋の片付けをした。

パインに了解を得て、小学校入学時に購入した学習机を捨てることにしたのだが、机の中にはぎっしりと紙類や本などが詰まっていた。

「いらないから、机の中の物も捨てていいよ」とパインが言うので、紙類をちらりと確認してから大きなゴミ袋にどんどん捨てていった。

すると青い表紙がホッチキスで止められた紙が出てきた。

表紙には「作文集」と印刷され「3年1組 ○○パイン」とパインの字で名前が書かれていた。

ぱらぱらと中をめくると、パインの幼い字で書かれた作文だった。

パインが小学3年生の時に書いた作文。

「こんなの読んだ事あったかな~」と思いながら、パインの作文を読んでいくと、ある題名のところで目が釘付けになった。

「ぼくの大事なおとうさん」

題名にはそう書かれてあった。

中身を読むと、おとうさんが時々ドライブに連れて行ってくれたり、遊んでくれたりするということが書かれてあり、さらに「おとうさんはだんだん年を取ってきて、おじいさんになってきました。白髪がふえてきました」と書かれてある。

「遊んでばかりで、そんなそぶりは全くみせなかったパインだけれど、こんな事を考えていたんだ」

あの小さかった頃のパインの姿を思い出して、ちょっとウルっとなった。

これはやはり夫にも読ませなければ・・・と、仕事から帰宅した夫に「ハンカチの準備をして、これ読んでみて」と作文集を渡した。

黙って作文を読んでいた夫の目がすこし赤かった。

「それにしても・・・」と夫は言った。

「この頃はまだ30代だったけど、そんなに白髪があったのかなぁ」

「そういえばそうね」と言いながら、だんだん白髪が増えてきた夫がおじいさんになってしまうのではないかと、パインは心配だったのかもしれないと思った。

「でも大事なおかあさんじゃなくて、大事なおとうさんっていうのがいいなぁ。やっぱり可愛がっていると、子どもにもそれが通じるんだろうなぁ」と夫は得意そうに言い、さらに「大事なおかあさんじゃなくて残念だったね」と続けた。

それを聞いて「ううん、ぜんぜん残念じゃないよ」と私は答えた。

負け惜しみではなくて、本当に心からそう思っていた。

むしろパインが夫のことを大事と言ってくれた方が嬉しい。

「さすがは産んだ強みだな」と夫は言うが、もしかしたらそうなのかもしれない。

しかし、それよりもやはり夫のことを思いやるパインの心が嬉しいし、それを読んで夫が喜んでいることが、私にはとてもとても嬉しい。

家族ひとりひとりが幸せを感じていることが私の喜び。

そして、家族の幸せは家族を取り巻く周囲の人たちからの影響も大きい。

だから、私は自分のことは祈らないし、自分自身のことで祈るような願いもない。

祈るとすれば、家族の幸せ、周囲の方々の幸せを祈る。

そして、その祈りはどんどん広がっていく。

この地球(ほし)に住む誰もが大事。

パインの作文は、大切に仕舞っておくことにした。

もうこのような作文を書いたことは忘れているだろうパインには、ずっと内緒にしておこうと思う。








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