妹が自分の娘と二人でバリ島へ行ってきた。
妹の娘は今春、大学を卒業し就職で道外へ行くことが決まっているのだが、学生時代の最後に母娘二人旅をすることにしたそうだ。
さて、バリ島から帰ってきた妹からさっそく旅の話を聞いた。
・・・とその前に「YOUは何しにバリ島へ?」と妹に聞いてみたところ、もともと妹はインドネシアという国へ行ってみたかったのだそうだ。
「ほら、昔よくうちにインドネシアの留学生が遊びに来ていたでしょう」と妹に言われて思い出した。
もう30年近く前だが、母が北大に通うインドネシア人の留学生たちをよく家に招いて食事を食べさせていた。
その頃は(今も?)インドネシアから日本へ留学するのは、よほど頭が良いか、お金持ちじゃなければできなかったそうだ。
うちへ来ていた学生さんたちも国費で来ている人もいれば、家が裕福で私費で来ている人もいたのだが、どちらにしろ日々の暮らしを日本でしていくには厳しい生活だったようで、そのこともあって母は時々家に招いていたのだろうと思う。
その頃、インドネシアの学生さんからインドネシアについての話をいろいろと聞き、妹はいつかインドネシアに行ってみたいと思うようになったそうだ。
とは言え、学生さんたちの故郷はバリ島ではなかったはずだが、インドネシアへ観光として行くにはやはりバリ島ということになったらしい。
「泊まったホテルは外国人向けのリゾートホテルで何もかもが豪華で快適だったのだけど、やっぱり地元の人たちの暮らしが見たくて、娘と二人でホテルの外へ出かけたのよ。
そうしたら、道を少し歩いただけであっという間に人が寄ってくるの。怖かったわ」と妹が言った。
妹によると、一目で観光客だとわかる妹たちに「タクシー乗らないか?案内する」と言って、断っても断っても次々と客引きが近寄ってきたそうだ。
「みんななんとかして稼ぎたいという必死さがあって怖かった」そうだ。
女二人だけで歩くのは危険だと分かり、そのあとはホテルの中で過ごし、バリ島最後に妹がやってみたかったという「象に乗る体験」ツアーを申し込んだそうだ。
ところで「YOUはなぜ象の背中に?」と聞きたかったけれど、それは聞かなかった。
ただ象の背中に乗ってみたいということだけのようだったから。
小ぶりの象さんを連れてきたのは妹の娘とほとんど年が変わらない若い青年だったそうだ。
象の背中から見える景色に二人で感激していると、若い象使いさんが言ったそうだ。
「あなた達にこの景色が新鮮に見えることがうらやましいよ。僕は毎日仕事で見ている景色だからね、感動なんてないよ。ところで君は学生かい?」
妹の娘が「そうだ」と答えると、「そうか、君はラッキーだね。こうして外国を見ることができるなんて。
僕の給料では一生かかってもこの国を出ることはできないよ。死ぬまでここで象使いをして暮らすのさ」
象使いさんのその言葉を聞いて、妹も娘も急にしんみりとなったそうだ。
外の世界を見ることなく一生ここで象使いをして暮らすという若い青年の前で、妹はそのあとの言葉が出なかったそうだが、「象に乗せてくれている象使いさんの為にも、せめていま象に乗っている時間を思い切り楽しもうと思った」と妹が言った。
海外旅行に行けることが幸せなのかと言われれば、決してそんなことはないと思うが、外国を見たいという想いがある若い人にとっては、色々な国に行ったことがある妹の娘はとてもラッキーに見えるのだろう。
幸せは自分の心が決めるものだから、どんな環境でも自分が幸せだと思えたら幸せなのでしょうが、会ったこともないけど若い象使いさんが幸せでありますように・・・と願う。
私はオカメインコのP太郎を見ている時間がしあわせ。

「P太郎さん、ヘアスタイル乱れてますよ」

P太郎の背中。乗ってみたい・・・無理ね。
妹の娘は今春、大学を卒業し就職で道外へ行くことが決まっているのだが、学生時代の最後に母娘二人旅をすることにしたそうだ。
さて、バリ島から帰ってきた妹からさっそく旅の話を聞いた。
・・・とその前に「YOUは何しにバリ島へ?」と妹に聞いてみたところ、もともと妹はインドネシアという国へ行ってみたかったのだそうだ。
「ほら、昔よくうちにインドネシアの留学生が遊びに来ていたでしょう」と妹に言われて思い出した。
もう30年近く前だが、母が北大に通うインドネシア人の留学生たちをよく家に招いて食事を食べさせていた。
その頃は(今も?)インドネシアから日本へ留学するのは、よほど頭が良いか、お金持ちじゃなければできなかったそうだ。
うちへ来ていた学生さんたちも国費で来ている人もいれば、家が裕福で私費で来ている人もいたのだが、どちらにしろ日々の暮らしを日本でしていくには厳しい生活だったようで、そのこともあって母は時々家に招いていたのだろうと思う。
その頃、インドネシアの学生さんからインドネシアについての話をいろいろと聞き、妹はいつかインドネシアに行ってみたいと思うようになったそうだ。
とは言え、学生さんたちの故郷はバリ島ではなかったはずだが、インドネシアへ観光として行くにはやはりバリ島ということになったらしい。
「泊まったホテルは外国人向けのリゾートホテルで何もかもが豪華で快適だったのだけど、やっぱり地元の人たちの暮らしが見たくて、娘と二人でホテルの外へ出かけたのよ。
そうしたら、道を少し歩いただけであっという間に人が寄ってくるの。怖かったわ」と妹が言った。
妹によると、一目で観光客だとわかる妹たちに「タクシー乗らないか?案内する」と言って、断っても断っても次々と客引きが近寄ってきたそうだ。
「みんななんとかして稼ぎたいという必死さがあって怖かった」そうだ。
女二人だけで歩くのは危険だと分かり、そのあとはホテルの中で過ごし、バリ島最後に妹がやってみたかったという「象に乗る体験」ツアーを申し込んだそうだ。
ところで「YOUはなぜ象の背中に?」と聞きたかったけれど、それは聞かなかった。
ただ象の背中に乗ってみたいということだけのようだったから。
小ぶりの象さんを連れてきたのは妹の娘とほとんど年が変わらない若い青年だったそうだ。
象の背中から見える景色に二人で感激していると、若い象使いさんが言ったそうだ。
「あなた達にこの景色が新鮮に見えることがうらやましいよ。僕は毎日仕事で見ている景色だからね、感動なんてないよ。ところで君は学生かい?」
妹の娘が「そうだ」と答えると、「そうか、君はラッキーだね。こうして外国を見ることができるなんて。
僕の給料では一生かかってもこの国を出ることはできないよ。死ぬまでここで象使いをして暮らすのさ」
象使いさんのその言葉を聞いて、妹も娘も急にしんみりとなったそうだ。
外の世界を見ることなく一生ここで象使いをして暮らすという若い青年の前で、妹はそのあとの言葉が出なかったそうだが、「象に乗せてくれている象使いさんの為にも、せめていま象に乗っている時間を思い切り楽しもうと思った」と妹が言った。
海外旅行に行けることが幸せなのかと言われれば、決してそんなことはないと思うが、外国を見たいという想いがある若い人にとっては、色々な国に行ったことがある妹の娘はとてもラッキーに見えるのだろう。
幸せは自分の心が決めるものだから、どんな環境でも自分が幸せだと思えたら幸せなのでしょうが、会ったこともないけど若い象使いさんが幸せでありますように・・・と願う。
私はオカメインコのP太郎を見ている時間がしあわせ。

「P太郎さん、ヘアスタイル乱れてますよ」

P太郎の背中。乗ってみたい・・・無理ね。