ヘルパーの仕事で、毎週訪問している80代の男性のお宅へ行った。
玄関のチャイムを押してドアを開けると、いつもなら70代の奥様が出ていらっしゃるのだが、今朝はめずらしく出てこられなかった。
部屋の奥から「入ってくれ」と利用者さんである男性の声がしたので、靴を脱いで部屋の中に入ってみると、なにかがいつもと違うと感じた。
部屋の中がとても暑く、そしていつもと違うにおいがしていた。
プラスチックかなにかが溶けている様な臭いがする。
部屋の中を見渡して暖房も確認してみたが、特に変わったことはなかったが、男性が「昨日、突然家内が入院してしまって、ひとりでは何も分からなくて困っていたんだ」とおっしゃった。
そして、「家内が何も用意していかなかったから食べる物がなくて困っている」とおっしゃった。
昨日、奥様が毎月行く病院で診察を受けたところ異常が見つかり、突然入院することになったそうだ。
急だったため、奥様は家の食事の用意をする間もなく入院してしまったそうだ。
男性は足が不自由なので、ひとりで外へ買い物に出ることができない。
そこで「なにか食べるものを買ってきてほしい」と頼まれた。
やってあげたいのは山々だったが、残念ながら私はそれをすることができない。
男性の介護の契約に掃除と洗濯は入っているのだが、買い物は入っていなかった。
「ケアマネージャーさんに言ってみてください」と言うと、「言ったんだが、(利用料が)高いよ~と言われたんだ」と、悲しそうにおっしゃった。
まさかケアマネージャーさんが困っている利用者さんを突き放すようなことはしないだろうと思ったが、事務所に連絡し事情を話すと折り返し連絡をくれることになった。
事務所から連絡が来るまで、通常の業務に取り掛かる。
まずは洗濯。洗濯物が洗濯機の中から溢れていた。
いつもは奥様がやって下さっているので、契約内容に洗濯が入っているものの、私がやるということは一度もなかったが、今回はやらなければいけない。
洗濯機を回している間に、部屋の掃除をする。
掃除機をかけ、雑巾であちこちを拭く。
掃除をしていたら利用者さんが話しかけてきた。
「ぜんぶ家内がやっていたから、何がどこにあるのかぜんぜん分からんのだ。困ったもんだ」
たしかに、それは困るだろうなぁ。
うちは大丈夫かな?
夫の顔を思い浮かべながら、台所のガスコンロ近くを拭こうとした時、ガスコンロが異常に熱くなっているのに驚いた。
見ると、魚焼きグリルの火がついている!
グリルの火は外から見えないので、ついていることに気がつかなかった。
いつから点いていたのか分からないが、長時間ついていたのは間違いないくらいにガスコンロ全体が熱くなっていた。
だから部屋の中が暑くて、いつもと違うにおいがしていたのだ。
「魚焼きの火がつきっぱなしになっていましたよ」と言うと「そうか、味噌汁を温めようとしたんだが、いくらやっても火がつかなくて変だなと思っていたんだ。魚焼きのほうをつけていたのか」とおっしゃった。
あぶない、あぶない。火事になったら大変だった。
ヘルパーの仕事を始めて数年が過ぎ、最近なんとなく仕事にむなしさを感じていた。
掃除をやってくれる「お手伝いさん」と思われているいるようなところも感じていたから。
でも、やはり必要だからヘルパーを頼んでいるわけで、今回のことは高齢者の見守りもヘルパーの大切な仕事だったとあらためて気づかされる出来事だった。
そうこうしているうちに事務所から連絡があり、買い物はできないが冷蔵庫の中を確認させてもらい食べられる物を探してという指示が入った。
親族に連絡をするので一食分くらいあればいいとのことだった。
冷蔵庫の中を確認すると買い置きの惣菜が見つかり、男性に「これを食べてくださいね」と言うと、安心したような笑顔を見せてくれた。
こういう笑顔を頂けることが、この仕事の一番の励みになる。
「もう仕事は辞めたら」と夫から言ってもらえるのは幸せなことだが、やはりもう少し続けていこうかな・・・と思う。
玄関のチャイムを押してドアを開けると、いつもなら70代の奥様が出ていらっしゃるのだが、今朝はめずらしく出てこられなかった。
部屋の奥から「入ってくれ」と利用者さんである男性の声がしたので、靴を脱いで部屋の中に入ってみると、なにかがいつもと違うと感じた。
部屋の中がとても暑く、そしていつもと違うにおいがしていた。
プラスチックかなにかが溶けている様な臭いがする。
部屋の中を見渡して暖房も確認してみたが、特に変わったことはなかったが、男性が「昨日、突然家内が入院してしまって、ひとりでは何も分からなくて困っていたんだ」とおっしゃった。
そして、「家内が何も用意していかなかったから食べる物がなくて困っている」とおっしゃった。
昨日、奥様が毎月行く病院で診察を受けたところ異常が見つかり、突然入院することになったそうだ。
急だったため、奥様は家の食事の用意をする間もなく入院してしまったそうだ。
男性は足が不自由なので、ひとりで外へ買い物に出ることができない。
そこで「なにか食べるものを買ってきてほしい」と頼まれた。
やってあげたいのは山々だったが、残念ながら私はそれをすることができない。
男性の介護の契約に掃除と洗濯は入っているのだが、買い物は入っていなかった。
「ケアマネージャーさんに言ってみてください」と言うと、「言ったんだが、(利用料が)高いよ~と言われたんだ」と、悲しそうにおっしゃった。
まさかケアマネージャーさんが困っている利用者さんを突き放すようなことはしないだろうと思ったが、事務所に連絡し事情を話すと折り返し連絡をくれることになった。
事務所から連絡が来るまで、通常の業務に取り掛かる。
まずは洗濯。洗濯物が洗濯機の中から溢れていた。
いつもは奥様がやって下さっているので、契約内容に洗濯が入っているものの、私がやるということは一度もなかったが、今回はやらなければいけない。
洗濯機を回している間に、部屋の掃除をする。
掃除機をかけ、雑巾であちこちを拭く。
掃除をしていたら利用者さんが話しかけてきた。
「ぜんぶ家内がやっていたから、何がどこにあるのかぜんぜん分からんのだ。困ったもんだ」
たしかに、それは困るだろうなぁ。
うちは大丈夫かな?
夫の顔を思い浮かべながら、台所のガスコンロ近くを拭こうとした時、ガスコンロが異常に熱くなっているのに驚いた。
見ると、魚焼きグリルの火がついている!
グリルの火は外から見えないので、ついていることに気がつかなかった。
いつから点いていたのか分からないが、長時間ついていたのは間違いないくらいにガスコンロ全体が熱くなっていた。
だから部屋の中が暑くて、いつもと違うにおいがしていたのだ。
「魚焼きの火がつきっぱなしになっていましたよ」と言うと「そうか、味噌汁を温めようとしたんだが、いくらやっても火がつかなくて変だなと思っていたんだ。魚焼きのほうをつけていたのか」とおっしゃった。
あぶない、あぶない。火事になったら大変だった。
ヘルパーの仕事を始めて数年が過ぎ、最近なんとなく仕事にむなしさを感じていた。
掃除をやってくれる「お手伝いさん」と思われているいるようなところも感じていたから。
でも、やはり必要だからヘルパーを頼んでいるわけで、今回のことは高齢者の見守りもヘルパーの大切な仕事だったとあらためて気づかされる出来事だった。
そうこうしているうちに事務所から連絡があり、買い物はできないが冷蔵庫の中を確認させてもらい食べられる物を探してという指示が入った。
親族に連絡をするので一食分くらいあればいいとのことだった。
冷蔵庫の中を確認すると買い置きの惣菜が見つかり、男性に「これを食べてくださいね」と言うと、安心したような笑顔を見せてくれた。
こういう笑顔を頂けることが、この仕事の一番の励みになる。
「もう仕事は辞めたら」と夫から言ってもらえるのは幸せなことだが、やはりもう少し続けていこうかな・・・と思う。