昨日6月25日は、端午の節句だったそうだ。
と言っても、それは中国の話。
日本では5月5日が端午の節句で菖蒲湯に入って、ちまきや柏餅(北海道では、べこ餅がよく食べられる)などを食べる風習がある。
昨日が中国の端午の節句だったとはつゆ知らず、いつも通りに家事をしていたら玄関のチャイムが鳴った。
出て見ると外に立っていたのは、ご近所のワンさんだった。
そしてワンさんは、美味しそうなちまきを載せたお皿を持っていた。
「今日は端午の節句だからちまき作りましたねー。食べてクダサイ」
ワンさんが森へ入って採ったという笹を使ったちまき。
笹の葉の良い香りがしておいしそうだった。
それにしても6月に端午の節句とは、国が違えば違うものだ。
「やっぱり中国でも子どものお祝いをするんですか?」と聞いた所、ワンさんは「違います。子どもの日は別にありますねー」と言った。
そして、ワンさんが教えてくれた端午の節句にまつわる話とは、中国の戦国時代にさかのぼるものだった。
今から約2300年前、春秋戦国時代に楚(そ)という国があり、国王の側近で詩人でもあった屈原(くつげん)という人が、国の将来を憂い川に身を投げて自殺してしまった。
民衆の人望が厚かった屈原の投身自殺を知った民衆は船を出して、彼の亡骸を一生懸命さがしたのだが、その時に亡骸が魚に食べられないようにと魚のエサとして川にちまきを撒いたのが、端午の節句の始まりだとか。
屈原を偲ぶ祭りであった端午の節句は、その後この時期は寒暖の差が激しく病気が蔓延しやすいことから、薬用酒やちまきを食べて、厄除けの菖蒲を軒に挿して無病息災を祈願する風習に変わっていったそうだ。
ちなみにこの風習が日本に伝わったのは奈良時代らしい。
しかし日本では屈原を偲ぶというのではなくて、5月の田植えの時期に厄災を祓って穢れを浄化するという意味で、菖蒲やよもぎを軒に挿したそうだ。
さて、ワンさんが作ってくれたちまきだが、中にチャーシューが入っていて、微かに中国の香辛料の香りがして、とても美味しかった。
「砂糖をすこし付けて食べてクダサイ」と教えてくれたので、砂糖をつけて食べてみたら、これまた美味だった。
コロナがまだまだ蔓延しているので、ワンさんのちまきを食べて私も無病息災を祈りましょう。