昨日の朝、9時になるのを待っていたかのように電話が鳴った。
父の時のトラウマなのか、朝の電話はいまだにどきっとする。
もしかして・・・と思ったら、やはりそうだった。
朝一番にかかってくる高齢者施設からの電話は、大抵あまりよい話しではない。
お姑さんに何かあったのだろうかと、緊張する。
電話の内容は、お姑さんが自室のトイレを詰まらせてしまったということだった。
置いてあった消臭剤のビーズを(2個あった)お姑さんがすべてトイレに流してしまい、トイレが詰まって水が溢れ出したとのこと。
あふれた水は部屋の外の廊下まで流れ出し、真下の部屋の天井からも水が落ちていると、施設の職員さんが冷静に話された。
「それは大変!すぐ行きます」と答えたら、実は問題はそれだけではなかった。
それは、数日前からお姑さんの行動が、いつもと違っておかしいということだった。
数日前の夜中、お姑さんの部屋で大きな物音がするので、隣の部屋の人がお姑さんの部屋をのぞいた所、部屋の床には食器が散らばり、真っ暗な部屋の中に上半身裸のお姑さんが呆然と立っていたのだとか。
「どうしたの?」と聞いても答えられず、本人もよく分かっていなかったらしい。
暑かったからパジャマを脱いだのだろうか?床の物はどうしようと思ったのかな?
職員さんの話を聞きながら、そんな考えが頭の中でぐるぐる回っていた。
そして、今回も夜明け前のまだ暗い時間、真下の部屋の人から水が落ちてくると通報を受けた職員さんが、お姑さんの部屋に駆けつけると、5センチも水がたまった真っ暗な部屋の中でぼーっと立っているお姑さんの姿を見つけたそうだ。
どちらも夜明け前のことだが、実は数日前からまた「眠れない」という訴えがしばしば起こるようになっていたらしく、寝ぼけたような状態になっていたのだろうか。
夜中に何をしているのかわからなくなってしまうという話も驚いたのだが、最後にもっとショックな話を聞かされた。
それは、食事の時に箸の使い方が突然わからなくなってしまったことと、食事の食べ方もわからなくなったという話。
「いつまでも食事に手を付けないので、箸を持たせてお味噌汁を飲むように勧めたところ、お味噌汁を口に含んだまではよかったのですが、飲み込むことをせず、うがいを始めてしまったんです」
そこまで聞くと、居ても立っても居られなくなった。
「すぐに行きます」と言って施設に向かうことにした。
とりあえず夫にも電話をしなければ・・・夫に電話をすると、市内に住んでいる二人の姉たちにも連絡すると言ってくれた。
夫に連絡をした後、すぐにお姑さんのいる施設に向かった。
お姑さんの施設に行くのは久しぶりで、物盗られ症状がひどくなってからずっと行くのをやめていた。でも、今はそんなことはどうでもよかった。
今できることを精一杯やらなければ、絶対に後悔する・・・なんて大げさだが、その時は本当にそんな気持ちで車を走らせていた。
「部屋の片づけと、危険で本人をひとりにできないので来てください」と職員さんから言われたのだが、施設に着いてみるとお姑さんはデイサービスの方で見てもらっていたので、部屋の片づけをすることにした。
置いてあった家具に5センチほどの高さまで水の跡が残っていて、職員さんの言っていた部屋に5センチも水がたまったという話は本当だったんだと驚いた。
しかし、幸いなことに詰まっていたトイレは元通りになり、水がついた天井や床、壁なども被害は深刻ではなかったため、修理費などはいらないとのことだった。(このような時の為に、お姑さん用の保険に入っているが、今回は使わずに済んだ)
その後、義姉たちも到着して3人で片づけをして、途中で夫も駆けつけてきたので、私はそこで帰宅した。
夫が帰宅してから話を聞いた所、急きょ主治医の先生の診察を受けることになったとか。
主治医のお話によると、数日前に本人から眠れないという訴えが何度もあった為、睡眠薬の量を増やしたそうだ。
もしかしたら、そのせいで一時的に意識障害が起きる「せん妄」が現れたのかもしれないとのことで、睡眠薬の量を減らして様子をみることになったようだ。
睡眠薬は不眠を訴える高齢者には有効だが、高齢になると代謝が落ちる為、薬の効き目が長く続いてしまうらしい。
やはり睡眠薬など脳に作用する薬は、単純に素人考えだが、こわいなと思う。
今後、薬を減らすことで、お姑さんの状態がすこしでも良くなってほしいと願っている。