お天気が良かったので、森の中へ散歩に行ってきた。
自宅裏がすぐ森なので、いつもはそこから入るのだが、今日は少し歩いて林道から入ることにした。
林道の入口まで行くと、ちょうど高齢のご夫婦も森に入ろうとしていた。
「お散歩ですか?」と声をかけたら、奥さんの方が「うちにいてもやることがないから、山にでも入ろうかと思って」とおっしゃった。
今は高齢者に人気のパークゴルフもゲートボールも中止されているので、元気で活動的な方ならば身体を持て余しているかもしれない。
長い自粛生活で毎日の平坦な道の散歩に飽きてきて、山に散歩に行きたくなる気持ちはわかる。
「同じですね。私もです」と言って、ご夫婦のあとをついて森へ入ったのだが、二人の足の速いことと言ったら、、、うかつに高齢者だと侮れない。あっという間に姿が見えなくなってしまった。
私はと言えば、植物を観察しながらゆっくりと散策した。
森の中は今、茶色一色だった世界から色鮮やかな世界へと変わり始めている。
新緑の木々、薄いピンク色の花をつけた山桜、紫色のすみれ、名前は分からないが黄色や白の可憐な花があちこちに咲いていて、見ていて本当に飽きない。
ずっと山の中に居られるんじゃないかと思うほど楽しい。
ところで普段はほとんど人には会わない場所なのだが、今日はめずらしく林道の入り口で出会った老夫婦をはじめ、森の中で幾人かの人と会った。(自粛中で行くところが無いからだろうか?)
次に出会ったのは大型犬を連れた30代くらいのご夫婦で、ご主人は釣り竿を、奥さまはビニール袋に入った野草を持っていた。
すれ違う時に互いに挨拶を交わしたのだが、犬がとても可愛かったのと奥さまが手にしている野草が気になって、「何か収穫はありました?」と聞いてみた。
すると若いご夫婦は笑顔で、タラの芽とヨモギを摘んできたと教えてくれた。
そして家に帰ってから、天ぷらにしようと思っているとおっしゃった。
話を聞くと、このご夫婦は今日初めて山に来て、初めて山菜採りをしたそうだ。
だから自分で採った山菜を料理するのも初めてで、山菜の天ぷらの作り方を聞かれた。
タラの芽もヨモギも普通に衣をつけて揚げればいいのだけれど「ヨモギの天ぷらは、衣にほんの少し砂糖を入れて揚げると美味しいですよ」と言うと、目をキラキラさせて「やってみます!!」とおっしゃってくれた。
釣竿を持ったご主人は、残念ながら魚は釣れなかったそうだが、お二人共よもぎとタラの芽を手にしてとても嬉しそうだった。
自然を満喫して楽しんでいるお二人と話したら、なんだか私もすごくヨモギの天ぷらが食べたくなり、ヨモギを少し摘んでいくことにした。
ヨモギを採っている時に偶然見つけたわらびも採り、そろそろ帰ろうかと小川の畔に目をやると、今度はたくさんのセリを見つけてしまった。
そういえば、昔この場所でお姑さんと一緒にセリを採ったことがあったことを思い出した。あの時、お姑さんが川辺に下りて行って摘んでくれたっけ。
懐かしい、、、
あんなに嫌だと思ったこともあったお姑さんだったのに、セリを一緒に採ったことが、今はなぜだか温かくて懐かしい。
お姑さんのことを思い出しながら、今度はひとりでセリを摘んだ。
今夜の夕食は、よもぎの天ぷらとわらびを入れた味噌汁と、セリのお浸しで決まりだなと思って帰ろうとしたら、今度は向こうから歩いてくる高齢の男性に会った。
すれ違う時に挨拶をしたら「何採ってきたの?」と聞かれた。
やはり採った山菜は気になるらしい(私も若いご夫婦のが気になった・・・)
「ヨモギとセリとわらびを少しですよ」と教えたら「セリ?セリは毒セリもあるからよく注意して採った方がいいよ。毒セリだったら命にも関わる」とおっしゃった。
毒セリ!!命に関わるかも?そりゃ大変だ。
「これ毒セリじゃないですよねえ?」と、採ったばかりのセリを見せると「オラわからねえから、誰か知ってる人に聞いた方がいい」とおっしゃる。
知ってる人と言われてもなあ、、、
昔お姑さんと採った場所だし、その時に食べて大丈夫だったから毒セリじゃないと思うけど、お爺さんにそう言われると不安になる。
そこでせっかく採ったセリだが、泣く泣く捨ててきた。命にはかえられない。
という訳で、今日の夕飯にセリのお浸しは無しになりました。
でも、ヨモギもわらびも美味しかった!山の恵みに感謝。