鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『暑さ』に関する或るエッセイ(『暑さを忘れる為の妄想』吉田健一・著)

2011-08-18 22:59:00 | Weblog
猛暑・熱暑・酷暑・・・天気予報では、そんな暑さも本日まで・・・らしい。


世界で一番暑い都市は、何処だろうか?

吉田健一さんの著作に、『暑さを忘れる為の妄想』という一編がある。

欧州行きの航空路に『カラチ』というところがあって、世界中で一番暑いところだと印象がまだ残っている。どれくらいの暑さかというと、航空機を降りて、空港ロビーに着くまでに、着ているものがびしょ濡れになり、真夜中だというのに、熱気で、呼吸をするのも苦しいそうだ。
暑いのがそこまでいくと、頭が働かなくなって、Barに行ってジン・フィズを飲んでいるのが楽だということのほかに、何も意識しなかった。一緒にカルカッタから搭乗したスチュワーデスが隣で、飲んでいたが、それで、どうしようという気も起らなかった。人間は、そういうとき、ただ身体が安楽であることだけを求めるらしい。つまり恐ろしく消極的になるのである。
シャムでは、貴族が指の爪を一寸も二寸も伸ばす習性があるのだそうだが、そうすれば、何も手を使って出来ないから、仕事をすることに対する責任感がなくなって、丁度いいのだろうと思う。
シャムも暑い国である・・・と書かれておられる。
そうなんだろうなぁ・・・。

ワタシは、もともと暑さには、かなり弱いし、普段から積極性も乏しいから、別に、暑くなくても、休日などは、安楽を求めてしまうのだけれど・・・。
『カラチ』なんて、とんでもない・・・。飛行機を降りた時点で、熱死だろう・・・。

去年までは、猛暑だって、エアコン使い放題、電気代さえ、気にしなければ・・・という人がほとんどだったと思うけれど、今年は、そうは、いかないんだろうと思う。

でもなぁ・・・。電力は、逼迫しているしなぁ・・・。
それでも・・・着ているものがびっしょりなのは、ここは、やはり『カラチ』くらいの暑さなんだろうか・・・。そうだよなぁ・・・ニュースには出ないけれど、日本で一番暑い街・・・S県熊○市、G県T林市に、近いここだって、今日の外気温は、37℃はあるんだしなぁ・・・。

吉田健一さんは、夏涼しむには、怪談も有効だとおっしゃっているけれど、お化けを思い出しても、暑いものは、暑い、暑さに変わりがあるハズがない・・・そして・・・。
吉田氏曰く・・・もう、止める。それでやっと気づいたのだが、こんな日に原稿を書いたりする方が、間違いなのである・・・と『暑さを忘れる為の妄想』の最後に結ぶ。

さすがに、エッセイの名手である。