秋晴れの暖かい日曜日。
昨日(11月5日)。
午前中、映画『線は、僕を描く』を鑑賞。
ふとしたきっかけで、水墨画に魅せられ、その世界へ誘われた大学生。
彼を内弟子にとった日本屈指の水墨画家と同じ道を進む孫娘。
水墨画に限らず、芸道を描いた作品の面白さは、その技量、技術、技法・・・それらを丹念に描けば、描くほど、興味深い作品となるようだ。
この作品は、滋賀を舞台に、美しい自然を背景に、家族の死に際し、そこから一歩も動けなくなった大学生・霜介を主軸に水墨画の世界を描いている。
・・・そして、あまりにも生活感のない、現実の重みが少しもない・・・きれいごとだけの映画が出来上がった。
家族の不慮の死によっても、彼の生活は、変わらない。大学生であり続け、水墨画家の家では、質素だけれど、この材料での夕餉は、たぶん、高級料亭での食事にも劣らないだろうと思える程。
食材を、生産者から直接買い付けるという贅沢さ。
水墨画に使うふんだんな紙は、全て、線を描く練習の果てに、高額な墨の磨り具合を練習を兼ねて、半紙で拭き取り、再び、磨り、捨てる・・・と言った繰り返し。
食材や物に感謝しながらも、何故か、廃棄してしまう・・・芸術は、ここまでの無駄がないと価値を得ないのかも・・・。
全てが現実の生活の対極にある理想の世界が描かれている。
普通の大学生の生活とは、全く異質な大学生の世界を描く・・・というか・・・。
その点に関しては、リアリズムに欠けるよね。
学費や家賃どうしてたんだろう・・・とか。
まあ、映画だし・・・と言ってしまえばソレ迄なんだけれど。
そして、わずかな年数で、水墨画界での新人賞を受賞する程、上達する・・・って、あり得るのだろうか・・・その世界の内情を知らない身には、知る由もないのだけれど。
まあ、その道の大家が、3人も居る家の内弟子だからなぁ・・・。
現実感なく美しさだけに特化した水墨画の世界は、楽しめる・・・かも。