友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

季節の移ろい

2017年11月19日 16時47分39秒 | Weblog

  冷たい風が吹いている。また、グーンと冷えてきた。出会った人が「秋も春も無くなった」と言うが、確かにそんな感じさえする。先日、名古屋へ出かけた。街中が秋色に輝いていた。イチョウやケヤキ、桜や楓がとても美しかった。春は桜が咲き、木々の葉が伸びて、元気になっていく気がする。しかし、秋の初めはこんなにも彩が豊かだったかと思うほど、赤、黄、茶が目立ち、陽を浴びてキラキラしている。

 秋はなぜか寂しくなるが、赤や黄や茶色の落ち葉を踏みしめて、手をつないで歩くことが出来るなら、暖かな気持ちにもなるかも知れない。街中にこんなにたくさんの樹木があったのに、いつか枯れ葉となり、木々は寂しく裸になっていく。けれども樹木は冬を越せば、新しい若葉が芽吹く。人は冬を越す毎に顔にシワをつくり、身体が曲がり、足取りも重くなる。イシグロ・カズオ氏の『夜想曲集』は歳を重ねてきた男女の物語で、男は成功を求め、女は男の野心を支える。

 森友学園問題がテレビで取り上げられていた時、籠池夫妻と安倍首相夫妻はよく似ていると思った。カミさんはダンナの夢を全面的に支持し、共に寄り添い歩き、かばい合う。夫婦の手本のような2組だ。『夜想曲集』はそんな夫婦に亀裂が生まれるケースをテーマにしている。誰も完全ではないし、心のすれ違いを見て見ぬふりをするか、一致させようと努力するか、諦めて別の道へ進むかと悩む。

 秋の風が耐えられるならきっと冬の風も耐えられるだろう。冬を越せば、再びのんびりとした暖かな春がやって来る。そんな風に樹木も動物たちも生きているのだろうが、人はなぜそんな風に耐えられないのだろう。中日新聞にエッセイを書いている作家の諏訪哲史さんが好きで、『ロンバルディア遠景』を読んでいるが、出だしが全くチンプンカンプンで、どうなっていくのだろうと思いながら読むうちに、だんだん視界が開けてきた。

 ここには季節の移ろいはあるのだろうかと興味が湧いた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする