【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

「火神」第68号

2020年03月22日 13時59分00秒 | 「火神」

 

「火神」第68

いてふ集)

 

賞状の筒

永田満徳

 

間断なき金槌の音迎へ梅雨

 

シャワー浴び罵詈雑言を流しけり

 

推敲や時折うなる冷蔵庫

 

とんぼうの骸は風となりにけり

 

鰓呼吸したき残暑の夜なりけり

 

野分あと雲は途方にくれてゐる

 

鞄より賞状の筒豊の秋

 

どんぐりの落ちしばかりの光りかな

 

縄文の匂ひして栗焼かれけり

 

海見ゆる尾根行きにけり

 

 




 

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月刊誌「俳句界」4月号!

2020年03月22日 12時56分04秒 | 「俳句界」今月の秀句

月刊誌「俳句界」4月号!

 

〜俳句大学 Haiku Column 「今月の秀句」2020・4〜

 

◆俳句総合誌『俳句界』4月号が発行されました。

◆俳句大学 〔Haiku Column〕の「今月の秀句」から選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。

◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。

◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」の俳句が大会賞を受賞しているように、三行書きにしただけで散文的な国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。

◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。また、2020年3月25日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出版しました。

◆最近では華文二行俳句のコンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。

◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。

◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。

◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

 

Avril aout de 「HAIKUKAI俳句界」!

〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜

◆Le Avril de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.

◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata. 

◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

 

The April issue of 「HAIKUKAI俳句界」!

〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜

◆the April issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published. 

◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata. 

◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

 

【今月の秀句monthly excellent Haikus    

永田満徳選評・向瀬美音選訳

 

(Facebook「Haiku Column」より)

 

マリン ラダ

  •  

春なれや吾子の机に色鉛筆 

〔永田満徳評〕

机の上に並べられた色とりどりの鉛筆の中でひときわ明るい黄色や赤の暖色系の「色鉛筆」。それを見ていると、いかにも春らしさを覚えた瞬間を言い留めていて、共感が持てる。

Marin Rada

  •  

creioane colorate -

primăvara pe masa copiilor

crayons de couleur - 

printemps sur la table des enfants

〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕

Sur la table, de nombreux crayons colorés sont alignés, en particulier jaune ou rouge. En regardant ces crayons colorés, nous nous rendons compte que le printemps est arrivé.

Nous apprécions bien cette joie.

 

 

クレール ガー ディアン

  •  

野遊や林檎酒の瓶耀ひて 

〔永田満徳評〕

暖かくなり、野山に出て遊ぶのに、「林檎酒」を携えているところが面白い。「耀ひて」という措辞に、春日に照らされた「野遊」の楽しさ、喜びがよく表現されている。

Claire Gardien

  •  

reflets de miel sur nos peaux pâles

la bouteille de cidre du pique-nique

〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕

Il est intéressant de parler du cidre pour la joie de jouer dehors. En utilisant [reflets de miel] ce haïku décrit bien la joie du pique-nique avec le soleil du printemps.

 

 

エルベ ル ガル

  •  

春闌くやそぞろ心に旅行など 

〔永田満徳評〕

春先はまだ肌寒く、「旅行」に出る気になれない。しかし、春も深まり、「春闌く」頃は「心」もうきうきしてきて、どこかを旅しようかと思案したくなるもので、春闌の頃の雰囲気がよく捉えられている。

Hervé Le Gall

  •  

désir de voyage 

le plus beau est maintenant

〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕

Au début du printemps, il fait encore froid et nous ne voulons pas voyager. Mais le printemps est en pleine floraison, nous sommes heureux de penser au voyage. Ce haïku décrit bien le printemps complet.

 



【今月の季語(Kigo of this month)】 

永田満徳選評・向瀬美音選訳

(Facebook「Haiku Column」より)

 

麗か うららか uraraka / beautiful, lovely, cheerful / beau, clair, serein

 

ファビオラ マラー

  •  

麗らかや髪に空の色のリボン 

Fabiola Marlah

  •  

beau matin

aux cheveux son ruban bleu ciel

ナジャ ナジャ

  •  

麗らかや一日二回の古時計 

Naeja Naeja

  •  

vielle horloge

juste deux fois par jour

 

 

風光る  かぜひかる kazehikaru / shining wind / vent éblouissant

ラチルダ ジェルビ

  •  

風光る手に手を取つて行く老人 

Rachida Jerbi

  •  

printemps éblouissant 

les vieux d’à cõté se promènent main dans la main

タンポポ 亜仁寿

  •  

二人乗りのママチャリの母子風光る

タンポポ 亜仁寿

  •  

mother and child on the two seater of ladies' bicycle

glowing wind

 

 

薄氷 うすらい usurai / thin ice / glace fine

アンゲラ ギオルダーノ

  •  

より青き空のかけらよ薄氷

Angela Giordano

  •  

ghiaccio sottile nel fossato -

più azzurro il suo pezzo di cielo

コリナ クレイスティン

  •  

君の答へに嘘のありけり薄氷 

Corina Cristian

  •  

gheață subțire

minciuni în răspunsurile tale

 

 

バレンタインデー ばれんたいんでー  barentainde- / Valentine’s Day / la Saint-Valentin

エリック デスピエール

  •  

バレンタインデー隣で同じ夢見たり 

‎Eric Despierre‎

  •  

Matin de Saint Valentin 

Côte à côte les memes rêves

シルビー テロラレズ

  •  

ランドセルに手紙一通バレンタインデー 

Sylvie Theraulaz‎

  •  

une lettre dans son cartable -

Saint-Valentin

 

 

予備(もし入るならば)

日脚伸ぶ ひあしのぶ hiashinobu / day getting longer / le jour s’allonge

シウ ホング

  •  

幾たびも囁く名あり日脚伸ぶ  

Siu Hong

  •  

day getting longer

whispering your name over and over

カメル メスレム

  •  

日脚伸ぶ水平線にヨット浮く

Kamel Meslem

  •  

Le jour s'allonge

par dessus les vagues douces les voiles à l'horizon






 

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「華文俳句社」Kabun Haiku 2020・4

2020年03月22日 12時34分00秒 | 「俳句界」華文俳句
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

〜Facebook「華文俳句社」Kabun Haiku 2020・4〜

◆2020年『俳句界』4月号が発行されました。
◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2018年11月1日には、二行書きの華文俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆2020年『俳句界』3月号の特別レポートにおいて、「熊本大学」で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解とご支援をお願いします。

俳句大學國際俳句學部的通知!

~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku  2020・4〜

◆2020年『俳句界』4月號已出版。
◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。
◆2018年12月1日已出版華文俳句的合著,『華文俳句選』。
◆2020年『俳句界』3月號以八頁的篇幅特別報導了於「熊本大學」舉辦的「華文俳句の可能性」座談會。

◆請各位多多支持指教。

永田満徳選評•洪郁芬訳

華文俳句【俳句界】4月号
8謝美智
公園揚起的薩克斯風
寒晴
 
〔永田満徳評論〕
此俳句的特點是,將焦點放在晴朗空氣裡迴響的「薩克斯風」。眾人在公園裡圍繞著音樂,以各種姿態聆聽。以視覺繪聲繪色的摹寫「寒晴」之景。

 
謝美智
公園に響くサックスフォン
寒晴
〔永田満徳評〕
澄み切った空気の中を朗々と響き渡る「サックスフォン」に焦点を当てたところがよく、「公園」でそれぞれ楽しんでいる人々の姿も目に浮かぶ。「寒晴」の様子がよく描かれている。
 
 
Alana Hana
窗簾捲起一半
春分
〔永田満徳評論〕
春日普照著新鮮空氣。在窗簾捲起一半的情景中,主角似乎想要接觸窗外。這樣的心境頗能描繪春意愈加濃厚的「春分」時刻。

Alana Hana
半分に捲り上げた暖簾
春分
〔永田満徳評〕
「半分」という措辞によって、春日に照らされた、心地よい外気に触れてみようとしている様子が表現されている。ますます春めいてくる「春分」の頃の雰囲気がよく捉えられている。
 

郭至卿
民宅被土石流淹沒
春陰
〔永田満徳評論〕
民宅被土石流無情的帶走後不見蹤跡。此時,作者回想過往平安無恙的日常起居。春天雖明媚,卻因無預期的災害埋下陰影。季語「春陰」與此情景搭配得當。
 
郭至卿
土石流に埋もれる民家
春陰
〔永田満徳評〕
「土石流」に流されて、見る影もない「民家」。かつての平安で、にぎやかな暮しを思いやった句である。明るい春にもかかわらず、愁いを覚える「春陰」という季語の斡旋がいい。






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