去年の干支は「己亥(つちのと・い)」でした。「己(つちのと)」は明るい中天の太陽、「亥(い)」は暗闇の新月を象徴しているそうです。今月初旬、テレビでイノシシ狩りをしている動画が放送されていました。
大人たちが棒を持って、必死に逃げ走り回るイノシシさんを追い回している姿は、現在のコロナ禍対応をはじめとする政治状況を見ているようでした。対象への認識や対策がおかしいと感じたのです。結果的にイノシシさんは、猟友会の人によって銃殺されたようですが、そこに「優しさ」はありませんでしたね。
最も適切な方法は、西部劇のようにロープで輪っかを作り、クルクルと回してイノシシさんの首に引っかけて捕獲すべきでした。そうすれば、今回のような、大人たちのみっともない慌てぶりや、幼稚な、棒で叩くなどの無意味で過剰な暴力は不要でした。
私が福島県東白川郡塙町で暮らしていた時、牛を飼っていました。たまに子牛が牛舎から柵を潜り抜け、外へ逃げ出し近所の畑などを駆け回る事態が起こりました。成牛には鼻輪がしてあるので、そばに近づいて後方から鼻輪を取って、上に引っ張ると大人しくなります。
しかし、子牛にはまだ鼻輪を付けていないので、嬉しくて走り回る子牛といえども凄い力があり、制御するにはロープの輪を首にかけるしかなかったのです。親兄弟で子牛を囲んで、パーっとロープを投げ捕獲する作業は、とても懐かしく子牛とのジャレ合いでもありました。そこには「優しさ」がありました。