2019年12月11日におこなわれた地域戦略部関係の佐藤県議の質疑です。
◯佐藤委員 廃止措置工事への県内企業の参入促進というのがある。県内企業の連合体の設立支援を検討ということであるが、これは具体的に嶺南地域の業者だけを集めるのか、あるいは福井市を含めた県内全域の福井市などに本社がある業者も集めて連合体をつくるのか。
◯電源地域振興課長 廃止措置工事への県内企業の参入促進について、解体等については現時点でも嶺南の小さい企業などが入っている。しかしながら元請けであるとか、一次下請の大きいところについては企業力が小さいということでなかなか入ってこられない、県外企業にとられているところがある。そういったこともあって複数の企業が集まって1つの受注体みたいにやっていこうというものであって、嶺南企業だけでできないところも多々あると思うので、当然嶺北の企業も参加してくることは考えている。
◯佐藤委員 これまでも福井商工会議所などを含めてこういう取り組み促進をやっていたと思う。福井商工会議所などを含めて、企業を募って、嶺南の企業の皆さんと相談して連合体をつくって受注していくことになるのかというのが1つと、
そうはいっても今言われたように技術力がなければ集まっただけで、連合体をつくったといっても受注できないわけである。技術力の壁はどうやってクリアされるのか。
◯電源地域振興課長 企業の募集のあり方についても今後検討ということになると思う。県内の嶺南の企業であると技術はある程度持っていても契約を結ぶ能力というとぐあいが悪いかもしれないが、1つの工事を分割して発注するいわゆるコーディネートやマネジメントする能力がないという部分も指摘されている。だからそういったところの企業も募っていきたいというのが1つ。
それから技術力については、引き続き若狭湾エネルギー研究センターで原子力の従事者研修などもやっているし、レーザー技術の開発などもやっているので、そういったことであわせて支援していきたいと考えている。
◯佐藤委員 議会にも陳情が出されているし県に対しても申し入れがされているが、北陸新幹線福井延伸と在来線を考える会という市民団体が9月から10月にかけて、福井駅や芦原温泉駅、鯖江駅など県内各地の駅でアンケート用紙を配布してアンケート調査を行った。その調査結果は配布されているとおりであるが、敦賀駅乗りかえになることを知らない38.6%、現行どおり特急を存続させてほしい81.0%、無駄な投資だ66.8%、敦賀以西の計画は一旦中断を、または計画は中止してほしい65.4%である。今のJRの利用者を中心としたアンケートであるけれどそういう結果が出ている。敦賀駅乗りかえになることをまだ知らないという方が4割ぐらいいらっしゃるということで、今実際にJRを使っている皆さんでも知らないというのは県としてどう受けとめているのか。
◯新幹線建設推進課長 我々も常々出前講座やリーフレットなどを通じて広報に努めているところであるが、まだそれだけの方が知らないということについては、今後より一層周知に努めていく必要があると考えている。
◯佐藤委員 サンダーバードなどがなくなることを知らない、あるいは敦賀駅で乗りかえになることを知らない、いろいろな方がいらっしゃると思う。本会議でも質問があったし私も常々要望しているけれども、フリーゲージトレインが実現できないということのかわりの措置としては、今の特急の存続を何らかの形でやってもらうしかないし、そういうことを望んでいる県民は81.0%いらっしゃるというわけである。
いろいろ困難があると思うのだが、ここをどう突破していくかということで、先日の新聞報道を見たら、富山県知事はやっぱり金沢どまりで乗りかえが不便だということをおっしゃっている。石川県知事は新幹線が来れば特急がなくなるのは仕方ないのではないかとおっしゃっている。福井県の杉本知事は何らかの形で少しは残してほしいということを要望しているということで、3県知事三者三様ではあるのだけれども、福井県民としては、やっぱり何らかの形で残してほしいという声が強いと思う。線路使用料が減るとかJRは新幹線のお客さんが減るから嫌だと思うとか、それはそれで当然だと思う。だから国がもう少しかんでもらわないと。国がそっぽを向いて福井県とJRで相談しなさいよと言っている限りはなかなか厳しい面があると思う。国をもう少し引き寄せる、この土俵に引き寄せて特急存続にのせる。先日稲田衆議院議員も当然そういうことが必要だとおっしゃったという答弁があったけれども、もう少し国土交通省というか国を引き寄せるという点ではどうなのか。
◯新幹線建設推進課長 国に対しては県の重点提案要望などでも求めているけれども、もともとのスタートが敦賀駅の施設はフリーゲージトレインにも対応できる施設ということで工事計画に書かれていた。当時はフリーゲージと対面乗りかえという2つの案があったわけであるけれども、「にも」という言い方は必ずフリーゲージトレインを入れるという約束ではなく、そのどちらかでいくということだったのだから必ずやると約束したものではない、というのが国土交通省のこれまでの立場である。
ただ我々としては、国がフリーゲージトレインを計画していたのは事実であるので、それも踏まえて何らかの対応をしていただきたいと常々お願いをしている。
◯佐藤委員 国はそういう理屈を言うかもしれないけれども、フリーゲージトレインでもなく対面乗りかえでもなく、結局移動して乗りかえということになったわけであるから、これは国がきちんと何らかの措置を講じてしかるべきではないかと思っている。
それで今いろいろ工事をしているのだけれども、中池見湿地の近くもトンネル工事をしていると思う。前から中池見湿地は大丈夫かという質問をして、大丈夫であるという答弁であった。トンネル工事で何か特殊な工夫をされていると聞いたのだが、どういう工夫をされているのか。
◯新幹線建設推進課長 通常のトンネルは、円形の底のところを平らにして工事をするわけであるけれども、中池見湿地のところの深山についてはほぼ円形のままトンネルを掘っていて、トンネルに地下水を引き込まない工夫をされていると聞いている。その工法によって中池見湿地に影響が出ないようにしているということである。
◯佐藤委員 トンネルの構造物であるコンクリートの中に中池見湿地の水が浸透しないようにもしていると聞いたのだが、それは本当か。
◯新幹線建設推進課長 どのトンネルにおいても水対策はとっている。
◯佐藤委員 中池見湿地だけ特別なやり方ではないということである。
それと、敦賀駅での乗りかえの際に動く歩道をつくるということである。前回福井駅のときにもお聞きしたのだが、福井駅も福井市の要望で拡張する。そこは福井市に負担してほしい、後の維持、メンテナンスも福井市の負担であるということだった。例えばこの動く歩道の維持、メンテナンスの負担はどういうことになるのか。
◯新幹線建設推進課長 敦賀駅の動く歩道については、現在整備それから維持管理をどういう形で対応していくか鉄道・運輸機構それから敦賀市と県、JRでいろいろ協議、調整をしているところであり、まだ確定していない。
◯佐藤委員 建設のときの費用負担の割合は決まっている。その建設のときの費用負担の割合で維持管理費を負担することにはならないということか。
◯新幹線建設推進課長 この動く歩道については、山本拓衆議院議員が委員長をされていた福井駅先行開業等検討委員会において整備することが平成29年度に決まった。そのときの整理として、連絡通路については新幹線事業で整備するがムービングウォークについては整備新幹線の駅で整備された事例がないということで地元で整備するという整理がなされた。どのような負担、どのようなスキームで整備するかは現在敦賀市と協議しているところである。
◯佐藤委員 そうするとさっきも言ったけれど、福井駅の福井市が要望して大きくした部分は建設費用も維持、メンテナンス費用も福井市負担。敦賀市の動く歩道の部分は維持、メンテナンス費用も地元負担ということになって、県と敦賀市が未来永劫ずっと負担し続けるという整理か。
◯新幹線建設推進課長 基本的には整備したところが所有して負担するのが通常だと思うけれども、現在のところまだそのスキームが確定していない。また確定したら報告させていただきたいと思っている。
◯佐藤委員 福井県の負担にしても敦賀市の負担にしても、動く歩道というとメンテナンスの費用もより高くなると思うので、軽減できるように国に対しても必要な措置は求めていただきたいと思っている。
続けて第三セクターについて質問する。資産譲渡についていろいろお尋ねをしているが全く回答が来ないということでこの場でもあえて聞くが、JRから幾らで譲渡してもらうというのはいつわかるのか。
◯地域鉄道課長 具体的にいつごろお示しいただけるかはこちらもまだ回答を求めているところではっきりしていない。具体的な資産データなども含めて現在求めているところである。
◯佐藤委員 例えば富山県や、途中までであるけど石川県の例だと大体どのぐらい前にJRから提示されて、県の内部で調整し、県議会で議論して最終的に議決するという流れになるのか。
◯地域鉄道課長 富山県、石川県の例で言うと来年度中ぐらいにはそういったものの合意をするようなスケジュールになっている。
◯佐藤委員 そうすると来年度中の県議会にこれだけの資産を幾らで買い取るというのが示されて、議決を求めるということになるのか。
◯地域鉄道課長 議決事項になるかは私どもとしてはっきり申し上げられないが、どういった形でJRと合意するかは議会にお示ししていかないといけないと考えている。
◯佐藤委員 前の説明のときには、富山県の例で半分ぐらいに圧縮したいとおっしゃっていた。大体そういう方向に交渉はしているのか。
◯地域鉄道課長 富山県の場合100億円ぐらい減額になった。平成29年度に福井県が発表したのは307億円だったので、最低でも200億円ぐらいには持っていきたいというつもりで、今JRとやっている。
◯佐藤委員 富山県が100億円圧縮したから福井県も100億円圧縮するというのは資産の量が同じぐらいという判断か。
◯地域鉄道課長 富山県の場合は延長が大体99キロ、100キロぐらいで、本県の場合は80キロぐらいなのだけれども、なるべく富山県並みの減額にはしていきたいと思っている。
◯佐藤委員 来年行う旅客流動調査というのはいつごろどういう形でどういう規模でやられるのか。
◯地域鉄道課長 まだ時期ははっきり決まっていないのだけれども、5月とか6月とか時期を捉えてやりたいと思っている。何日を設定してやるかというのはこれから検討したいと思っている。
◯佐藤委員 具体的にどういう点を明らかにする調査になるのか。
◯地域鉄道課長 もう一度北陸本線の利用者がどういった状況か、どこから乗ってどこに向かっているのか、それも通勤なのか定期なのか、定期以外の利用なのか、そういった人数を主に把握したいと思っている。
◯佐藤委員 そういうものはJRに求めれば一定のデータが出てくるのではないか。
◯地域鉄道課長 JRにも求めているが、JRからは特急のお客様もいらっしゃるので北陸本線の普通列車だけでどれだけ乗っているかがはっきりわからないということと、切符を把握しているわけではないのでどこからどこに向かっているか利用区間がはっきりわからないという回答をいただいている。ただJRには、ある程度のデータを持っているだろうから、そういったデータも欲しいということは求めているところである。
◯佐藤委員 定期なんかであれば、例えば敦賀駅から福井駅とかはっきりしているわけであるからすぐに出るのではないかと思う。
最後に経営安定基金についてである。富山県の場合は65億円だったか、だけど福井県の場合は今の調査結果を見るまでもなく富山県より利用者が少ないわけであるから、よりたくさん経営安定基金が必要になると思う。これについてはどういう予測であるか。
◯地域鉄道課長 まだ規模ははっきり申し上げられないのだけれども、今委員がおっしゃったように富山県は65億円である。本県区間の場合輸送密度で言うと富山県が7,800人のところ福井県は5,100人ということで、富山県に比べてかなり経営が厳しくなるという予測を立てている。
だからこそ、県民も含めてなのだけれども県と市町、双方において他県を見習うだけではなくて、とんがったような利用促進策、いろんなことをして収支改善をしていきたいと考えている。
◯佐藤委員 これで終わるが、利用促進だけで追いつく部分と追いつかない部分とがあると思うのである。もともと新幹線が来たら在来線は県が負担しなさいよというやり方は問題があると思っている。国に対して要求をされているのはわかっているが、地方鉄道の維持のために実態に応じた必要な支援をさらに強く求めるべきだということを要望して終わる。