2011年7月4日 福井県議会厚生常任委員会
◯大久保委員長 説明は終わった。
これより質疑、討論に入るのであるが、審査については、初めに調査依頼を受けた予算関係議案、次に所管事務の調査の順で行うので了承願う。
初めに、予算関係議案の第37号議案のうち、安全環境部関係の所管分について各委員より発言を願う。
原子力防災について
◯佐藤委員 防災計画検討事業については基礎調査を実施するというが、この事業はどういう規模で、どういう内容で行われるのか。
◯危機対策・防災課長 この基礎調査については、発電所周辺の市町全域の住民が避難するということを考えて、そのときに車等を使うので、渋滞時間がどのくらいあるのか、どのくらいの時間で避難できるかということで、嶺南地域を調査していきたいと考えている。
◯佐藤委員 そうすると、EPZが10キロメートルとかというけれども、実際の避難訓練も狭い範囲でやっているが、何キロメートル以内で調査を行うのか。
◯危機対策・防災課長 確かに、EPZは10キロメートル範囲ということになっているけれども、国から明確なEPZの範囲はまだ示されていない。そこで、国に先立って嶺南地域全域ということで計画をつくっていきたいと思っている。
◯佐藤委員 調査対象地域が嶺南地域ということになると、例えば越前市、南越前町は除かれてしまうのか。
◯危機対策・防災課長 今の嶺南地域の交通事情を考えると、山に囲まれ、国道27号が雪、事故等で通行止めになったり、海水浴客等で渋滞が起きたりすることが多いので、今回は嶺南地域を中心に基礎調査を行いたいと考えている。
◯佐藤委員 福島原発事故を考えれば、嶺南地域に限定するのはおかしいと思う。
◯危機対策監 委員の言う嶺南地域に限定をするという指摘であるが、これは福島の事故のケースをつぶさに検証して、避難範囲あるいは防災対策を重点的に講ずべき地域、いわゆるEPZの拡大というのは十分考えられるので、そういったことを念頭に置きながら、防災計画の見直しを進めていかなければならないと認識している。しかしながら、EPZと言われる防災指針が明確に示されていない段階においては、とにかく当面やらなければならないことを考えた結果、予算でお願いしている調査については、嶺南地域における従来の10キロメートルにこだわることなく、広域的な避難のあり方を検討する際の基礎データを得ようとするものである。
◯佐藤委員 つながりの防災力推進事業は、自主防災組織の組織率向上に向けて研修会を開催するとあるが、福井県内の自主防災組織の組織率というのはそんなに低いのかどうかということをお尋ねしたい。それと、福井市内でも結構、自主防災会議を組織されていると思うのである。ところが、実際に現場の要望は、県は組織をつくれというけれども、実際いろいろな資機材を備えるときの金が来ないので、もう少し面倒を見てくれないかという要望があるのだけれども、そういうことも含めて、今後考えていくという事業なのか。
◯危機対策・防災課長 福井県の自主防災組織の組織率は77.7%で、相当高い率である。全国的にも高いところにある。それで、県内で極端に低い、高浜町などの自主防災組織率をかさ上げするということを考えている。
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原発の再稼働問題
◯佐藤委員 知事が今、定期検査が終わった後の原発についても、国の暫定基準が出されていないということを言われているのだが、よくわからないのは、いろいろ高経年化の問題とか地震対策の問題とか言われているけれども、具体的な、知事が描いている、安全環境部が描いている暫定基準の内容をもう少し教えてもらえるか。
◯原子力安全対策課長 県としては、事故発生直後、3月17日と4月19日と2回にわたって国に対して、既設の原子力発電所の安全対策を事細かに要望してきている。特に4月19日においては、最初に、やはり今運転中のもの、それから定期検査でとまっているものの安全については、国として暫定的な安全基準を強く求めている。
一方で国は、5月6日、それから先月のIAEAの報告書を受けて、6月18日に、緊急安全対策とシビア・アクシデントの成果を確認しているが、全体としては、従来から言っているように、やはりまだ、地震と津波の影響の程度に対するどういう安全を担保していくか、それから高経年化の影響はどの程度、今回の事象進展に影響があったか。これは劣化が明らかに事故を起こしたものではないという結論にはなっているが、やはり、高経年化の問題等についても、一つの知見を国としてしっかり出していただくことが大事ではないかと申し上げているところである。
◯佐藤委員 これはこれまで聞いているのであるが、要するに、もっと言えばどの程度のものを求めているのか。国ともし相談をされているのであれば、どの程度のものを国とのやりとりの中で求めているのかをもう少しわかりやすく説明してほしい。
◯原子力安全対策課長 どの程度のものというのは、事細かに言うと、一つは4月19日に、さまざまな点、例えば使用済み燃料プールの冷却の問題であるとか、いろいろなことを申し上げている。国のレポート、IAEAのレポートで、大体その点の必要性というのは認識しているが、今運転中の、それから定期検査でとまっているものを動かすに当たって、やはりここまでやっておくことで安全が確保されるという説明を国としてしっかりしていただきたいと強く求めているわけである。
◯佐藤委員 なかなか、何か具体的にはよく見えてこない面もあるのだが、例えば、今言われた使用済み燃料プールでいっても、福島も全部ではないかもしれないけれども、たしか途中で容量をふやしている、使用済み燃料を入れる体数、リラッキングをやっている。福井県の原発も何カ所かリラッキングを繰り返している。使用済み燃料を当然入れる量がふえればそれだけ発熱量もふえるから、いざ循環がとまったときには、より早く問題が起きるということになる。だから、そういうことの見直しも含めて要求しているということか。
◯原子力安全対策課長 今回、使用済み燃料プール、BWR、沸騰水型、福島のタイプは上にあるというのが一つの大きな特徴である。加圧水型は建物の床面と同じぐらいのフロアである。ただ、燃料を冷やすのに当たっては、常用の電源で冷却ポンプを回しているというのが大概である。関西電力の施設には、その電源系を非常用の電源につないでいるプラントもある。そういう意味では、今回、福島では非常用の電源が使えなくなったということで、その後も結局冷却ができずに、全体としては上から水を入れ込んで冷却を維持しているというところもあるけれども、やはり、そういう使用済み燃料のプールの冷却というのを十分確保する。それからプールの状態をしっかりと監視できるようなことが必要でないかということを4月19日に申し上げている。
◯佐藤委員 これまで国が原発の運転を延長するためにやってきた措置をそのままそのとおり認めておいて、そして電源を確保すればいいというだけであれば、何ら特別な厳しい基準にはならないのではないか。
◯原子力安全対策課長 今回の事故においては、一つ、電源車の確保を国が5月6日に求めている。これは、非常用電源が津波等によって使えなくなった。その電源のバックアップということで電源車を求めているわけだが、その一方で、やはり津波対策ということで建物の水密性なども求めているし、特に浜岡では防潮堤の設置なども求めている。だからそういう意味を込め、県内の原子力発電所の安全性というのはどこまでやれば安全かということをしっかり国に示していただく必要があるかと思う。
◯佐藤委員 だから、そういう議論を重ねていった歴史がこれまでの福井県の原子力安全対策課の、原子力行政の歴史だと思うが、いろいろな事故が起こる、繰り返し起こる、そのたびに何をやっているのだと、もっとこうしなさい、ああしなさいということで積み重ねてきた歴史で、課長も苦労されてきた歴史だと思う。だけれども、そういうことを福島県も当然やってきて、積み重ねてきてもだめだったのも事実なのである。だから、言いたいのは、西川知事、安全環境部が要求している新しい暫定基準にのっとって仮に行われたとして、それで安全だということにならないのではないかということを言いたいのである。
◯原子力安全対策課長 言葉上、安全だということはなかなか言いづらいという言葉は変だけれども、やはりシステムとしての安全は確保されているということをしっかり国に言っていただかないとだめだと思う。また、事が起きた場合には、例えば電源車などは事が起きた後の対応として必要なものだから、まず本来は、今回のような地震とか津波とかがあった後に福島のような事故が起きないように、まずプラント全体の安全性を高めておくというのが大事である。その上で、もしあのような事態になったときに電源車が、それから消防的なホース、ポンプ車等をバックアップしていくということで二重三重に安全性を求めている状況であるので、ある意味では、すべてが大丈夫ということではなくて、一重二重というか、通常の設備でまず安全だという前提と、それから、それがだめでも次の場合、次の場合という多重性を持って安全を担保していくように努力しているところである。
◯佐藤委員 敦賀市の河瀬市長が、新聞報道にはいろいろあったけれども、敦賀1号機を廃炉に、そのかわり3、4号機は急ぐべし等のいろいろな新聞報道があった。その敦賀1号を廃炉にというのは、今後、もともと廃炉の期日は決まっているわけだが、それを前倒しで廃炉も考えてもいいというのは、結局一つには、この福島第一発電所の1号機と同じタイプの老朽化原発だということもあるのかと。最初に早く炉心が溶けてしまったというのも敦賀1号と同じタイプだから、そういう懸念も敦賀市長としてあるのかと思っているが、そういう懸念は課長も共有しているわけか。
◯原子力安全対策課長 県も4月19日の要請の中では、炉型、1号機、2号機、3号機については3つが運転中でそれぞれ大きな被害、事故を起こしている。その被害を起こした経緯等も違うということで、それらについてどういうことが影響しているのかはっきりするようにということで国には求めている。
そういうところは、やはり高経年化の問題として福島の1号機がその影響があったのか、それとも、やはりマーク1といいながら、いろいろタイプが違えば設備も違う。そういうことが影響したのか。それとも何か運転員等の操作やほかのところが影響したのか。やはりそういうところをしっかりと国として事実調査をして、ある程度明らかにしていただく必要もあるかとは思っている。
◯佐藤委員 この福島事故そのものがまだ収束に至っていないと。だからきちんとした原因の解明とか分析には、これは相当年数もかかるし、国のいろいろな耐震とかの基準の見直しにはあと数年かかるというような報道がされているが、県は、暫定的な安全基準のこれは期限を区切って国に対して求めるようなことはしていないのか。
◯原子力安全対策課長 最初の答えと同じではないのだが、起きたらすぐに問題提起を国にしているつもりである。そういう意味ではなるべく早期に、安全対策をしておくことで、あのような事故は防げる、安全は担保されるということを国にしっかり示していただきたいということを最初から求めているので、いついつという時限を別に求めているところはないが、早急に対応することへの気持ちは全く変わらない。
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もんじゅについて
◯佐藤委員 今の仲倉委員の話も、突き詰めていけばいろいろな議論にもなると思う。福島県と東京都のやりとりなども、以前はそういう議論があって、福島の知事がこれだけの連携を東京都ととって、東京都の石原知事は、これだけの税金であの当時につくっているではないかと言うとか、いろいろな国民の目の前で余りそういう議論をしても、福井県にとって得になるかどうかというのは今、部長が言ったような面もあると思うので、いかに福井県民のいろいろな意味で安全を守っていくかということで、もういろいろ議論したほうがよいし、大阪が敵ではないわけである。大阪の府民を逆に敵に回すようなことを何か福井県知事が言ったところで余り得策にならないから、そのような橋下知事の不安ではなく、むしろ橋下知事に対して期待しているけれども、そういうことを考えていくのではないかと思うのと、今これだけの事故が起これば、滋賀県知事もこの間来られたが、滋賀県も、京都府なんかは、京都府下全部の市町が連名で申し入れを出したりしているような動きになってきているから、はっきり言ってこれはとまらないと思う。要するに、我々の安全はどうしてくれるのかという要求が国、関電にそれぞれ出てくると、もうとまらなくなる。
だからそういうところを牽制するのではなくて、もう少し、ある意味では協力できることは一緒に、国や関電、電力事務所に要求していくというような作戦も考えていった方が、気持ちはわからないではない気がする。そういう点が1点目である。
それと、「もんじゅ」の引き抜いた装置について詳細に評価される必要があると考えているということだが、きょうのニュースでも報道があったような、結局装置が傷んでいたから、それが原子炉内部に傷がついていないかも確認しないといけない等、いろいろなことになってきていると思う。であるから、とりあえずは引き抜いた装置を分解して調べるということであるが、原子炉の中に傷がついているかどうかをどうやって調べるのか。
◯原子力安全対策課長 まず、炉内中継装置を抜き出して、先週末に、ついているナトリウムを洗浄することをやっている。であるから、まずは抜き出したものを詳細に調査し、その上で原子炉容器の中に受け手側的な形の構造物があるので、それと当たっているのか当たっていないのか、それともどれぐらいの当たり程度があるのか、そういうことを抜き出したものを詳細に見て評価をしていくことが第一段階である。その上で、その後どのような調査がさらに必要かを検討することになっている。
◯佐藤委員 原子力機構は、最初この情報のときに福井市民への説明会で大したことはないと言った。だからそういう、最初から大したことはないと言うという自信が不遜だと思う。結局大したことがあったわけであるけれども、県として厳しく、原子力機構はこれまでさんざん問題を起こしているところであるので、当たっているか当たっていないか。へこんでいるのだから当たっているであろう。どこかに当たらなければへこまないだろう。だからそういう当たっているのか当たっていないのかということでなくて、きちっと徹底的にどう調査をするのかという、その調査手法も含めて、これはすべての原因がわかるかどうかわからないけれども、原子力機構に任せるのではなくて、県でも厳しく点検するという姿勢が必要ではないか。
◯原子力安全対策課長 まず、抜き出したものを詳細に見て、へこみか打痕か、どういう傷かというのを詳細に評価した上で、炉内の反対側に当たっているようなものがあるならば、その部分に対してどういう調査が必要なのか、できるのかを原子力機構と議論していきたいと思っている。
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敦賀民間最終処分場問題
◯佐藤委員 7ページの最終処分場対策事業は以前の環境エネルギー対策特別委員会でもいろいろ議論があって、そのときも発言したと思うが、なぜごみが捨てられている場所がちゃんと業者と確認できていなかったとかというのが1点目である。
それからもう1点は、あのときもボーリングの箇所が少ないではないかという指摘が議会からあったと思う。けれども、県側は、それでボーリングはオーケーであるということで対応した結果が、今度の予算である。だから、議会の指摘も聞いていれば再発防止になったと私自身も反省しているということが2点目である。
最後に、100億円近くの予算が使われるが、結局いろいろな形で事業者あるいは個人から回収されているのは幾らかという点の3点を端的にお尋ねする。
◯循環社会推進課長 まず、1点目の処分場になぜ立ち入れなかったのかという点であるが、大分古い話になるけれども、当時立ち入りをしようと何度も試みて、拒否をされている。強制的に立ち入ることも考えたが、国にいろいろ指導を仰ぐと、その事業者の同意を得て立ち入れという指導を受けている中で、立ち入りができずに来てしまったと聞いている。
それから、設計時の調査ボーリング数については、特別措置法の適用を受けようということで、調査、設計をしてやってきたわけである。その段階では、1つは期限的なものがあり、1つは期限が限られていて平成18年3月までにどうしてもやろうということと、費用的にもボーリングというのはお金がかかって、はっきり言うと県単独事業でやっていく必要があるということで、設計をしていく中で必要な数、必要な調査はやるということで対応したわけである。そういうことで、その数が少なかったと言われれば、確かに結果から見れば、現状から見ればそういうことかと思うが、当時の状況としてはそういう対応であったという状況である。
それから、費用回収の件については、キンキクリーン株式会社の経営者、役員などから自主納付も含めて現時点で約2,600万円の回収をしている。
◯佐藤委員 約束であるから終わるけれども、県民の税金、国民の税金で大変なことになっているということがあるから、回収はしていただきたいということと、ボーリングなんかでも専門家の意見を聞けば、足りないとか、委員の意見でも荒過ぎるのではないかとかいう意見があったわけで、そういう意見をしっかり酌み取って調査していれば、少なくとも今回のさらなる追加工事が必要でなくなった可能性もあるので、今後とも精査しながらやっていただきたいことを要望しておく。
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透析について
◯佐藤委員 今の山岸委員の関連であるが、木村病院、済生会病院等のうち、夜間透析を実施する医療機関はどこか。
◯健康福祉部長 透析のデータを持ち合わせていないので、調べてすぐ報告させていただく。
◯佐藤委員 以前、日赤とか県立病院が夜間透析をやめたということで、大きな問題として報道されたことがあるが、これは改善されたか。
◯企画幹(子育て・医療) 腎臓の夜間透析については、今、腎臓の透析をやっている機関は県内で25機関あって、その中でいろいろネットワークを組んで、治療体制をどうしようかということで、そこに県も入っていろいろ話し合いというような形をやっている。夜間の透析については、おのおのの病院間の役割分担を進めていく中で、県内で10機関夜間透析をやっているけれども、県立病院は以前たしか夜間透析をやっていたが、今はやっていないけれども、県立病院は県立病院として合併症の患者を中心にやっていこうということで、夜間透析についてはそれ以外のところでやっていこうという形で、今進めているというのが現状である。
◯佐藤委員 いろいろ理屈は言われるだろうが、問題だと思うのは、今、山岸委員の話もあったけれども、県立病院はもちろん県民の税金でつくられて運営されている病院であるし、日赤であっても相当県などからお金を出して、そしていろいろ整備されている病院である。そういうところが需要の高い、要するに日中働いている人は日中透析できないわけであるから、夜間透析を頼る。どうしてもこの夜間透析を受けられないということになったら、仕事をやめないといけない、あるいは休まないといけないということになってくる。そういうところも含めてきちんと県立病院、日赤病院等の公立病院こそ責任を果たすべきだと思うが、いかがか。
◯企画幹(子育て・医療) そういう医療機関との話の中では、夜間の透析について、今どうしても夜間透析をお断りしているというような、逼迫した状態だというようには聞いていないわけであるが、ただ、そういった意見があったので、またそういう話し合いの中で、そういう意見は申し上げたいと思う。
◯佐藤委員 県立病院は健康福祉部の管轄であろう。だから、皆さんがやらないといけないと決断すれば、県立病院については、すぐできるのではないか。日赤は少し相手があるかもしれないが、そういうことが普通だと思うし、実際困る透析患者がいるからあれだけ大きく報道されたのだと思うから、改善するよう要望しておく。
それと、3ページの新規事業の地域支え合い体制づくりについては、結構大きなお金が出ているけれども、幾つかいろいろ書いてあるが、この事業の補助金の交付金をここで出しているのか。補助金交付要綱はつくられているか。
◯地域福祉課長 この事業は、全額国からの財源であって、その中である程度事業の想定があって、それを福井県の現状に置きかえて事業化したものである。ある程度市町にやっていただく事業の中身というのは決めてある。
◯佐藤委員 補助金として県が出すのか。また、補助金交付要綱はあるのか。
◯地域福祉課長 県から市町へ助成する。補助金交付要綱はつくっている。この議会でお認めいただければ、執行ができることになるので、今、準備を進めている。
◯佐藤委員 補助金交付要綱も大事であるので、また後ほど委員に要綱を提供していただきたいと思う。
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介護保険について
◯佐藤委員 第5期老人福祉・介護保険事業支援計画の策定について、今年度策定するということでいろいろなニーズの調査を行っていくと思うし、今策定に向けたサービス量の見込みとか、いろいろチェックされている時期だと思うが、今度はどういう点が論点のポイントになるのか。
◯長寿福祉課長 介護保険の計画は3年間ごとにつくるので、先ほど委員がおっしゃったとおり、次期の3年間でどれだけぐらいの施設のニーズがあるとか、在宅のニーズがあるということをきちっと見積もっていくということがまず前提にある。今後、先月の参議院で成立した改正介護保険法の内容が平成24年4月から施行される中で大きなポイントになってくるのが、夜間型の訪問介護を日中にまで対応するという24時間型の定期巡回・随時対応の訪問介護看護といったサービスが県内でどれぐらいできるのかといったことがポイントになると考えており、それをもとに高齢者が医療や介護が必要になっても、住みなれた地域で生活していけるといった体制づくりにつなげていくことが議論になろうかと思う。
◯佐藤委員 政府の法案の関係で言うと、これまでみんな強制的に介護保険料を払って、介護サービスを受けていた方でもサービスを外したりするというような要支援の問題等は、どのようにお考えなのか。
◯長寿福祉課長 昨年の社会保障審議会の介護保険部会でも、介護給付費の抑制に努めるために介護保険料を払っている方々の対象年齢を引き下げるとか、要支援者の軽度の方々を対象から外すといったような議論がなされたことは承知しているが、それに対する県としての所感か。
◯佐藤委員 要は今度の介護保険支援計画で、そうやって外されてしまう人に対する対応はどのように考えているのか。
◯長寿福祉課長 これも申し上げた議論の経過を見ていると、軽度も次期の計画では外されないことになっているので、介護保険給付の対象という意味では4期と5期で変わらないので、県としては同じ対象者に対して適切なサービスを提供できるよう計画をつくっていくということだと思う。
◯佐藤委員 保険料の問題だが、保険料をどう設定するかということも議論になると思う。今でも相当高いということでいろいろ議論があって、以前から福井県がため込んでいるのではないかということで、今幾らかわからないけども、4~5年前まで20数億円を福井県がため込んでいると、何で県庁がそんなため込むのかという議論があったと思う。やはりそういうお金を保険料の抑制とか値下げに活用するというのが今回のポイントではないか。
◯長寿福祉課長 今回の改正介護保険法の改正事項の一つとして、県に設置されている財政安定化基金という基金があり、それは国と県と保険者が3分の1ずつを拠出する形で現在基金残高が26億円ほどある。こちらを取り崩す形で保険者が拠出した部分については3分の1を保険者に返すが、保険料の上昇抑制に充てるということで使うことにしている。
◯佐藤委員 3分の1とは、26億円の3分の1だけ引き下げに使うという趣旨でとらえると思うが、積み立て金は結局県民の税金であろう。県はなぜ返さないのか。
◯長寿福祉課長 財政安定化基金本来の趣旨は、介護給付費を3年間の当初に見積もりをして、その見積もりよりも超えてしまった場合に保険者に対して県から貸し付けをする、あるいは交付をするという形で対応してもらうという趣旨である。その本来の趣旨がきちんと果たされる程度の財政安定化基金の残高を残しつつ、余剰になっている部分を取り崩してもともとの拠出部分である国、県、保険者に返すということであり、国と都道府県に戻ってくる使途については、介護保険法の一部改正の中でも介護保険の事業に充てるように努力義務が課されている。
福井県の推計はまだしていないが、全国的には2,800億円の財政安定化基金の残高がある中で、厚生労働省としては1,500億円ほど取り崩せるのではないかという見込みを持っているので、その3分の1の500億円が全国の市町に保険料の上昇抑制という形で戻ってくるといったことが考えられる。
◯佐藤委員 これまで実際その基金を使った実績は3年間で幾らあるのかと、向こう3年間でその実績に基づいて幾らぐらい基金を積んでおく必要があるのか。
◯長寿福祉課長 過去の財政安定化基金が使われた実績としては、現在4期の3年目になるが、1期の3年目、平成14年度に当時の市町合併前の団体として越前町、織田町、三方町の3町に貸し付けを行っている。交付としては越前町、織田町に1回行っているが、貸し付けについてはその後3年間で返済していただいているので、現在のところ基金の増減はない。平成20年度まで国、県、市町で積み立てとして、毎年度5,000万円ほど拠出する形で積み立ててきていたが、一定程度の金額の貸し付けや交付実績がないということで、平成21年度からは特に新規に積み立てはしていない。
◯佐藤委員 今度新しくつくる支援計画ではどれくらいの積み立てを、この3年間はゼロだったけれども、今度の基金はゼロにするのか。幾ら積み立てるつもりなのか。だから、これまで3年間ゼロだったらそんなに、10億円とかそんな単位では要らないだろうと、そういうお金の基金はなるべく県民、被保険者に返すような形で利用したらどうかというのが質問の趣旨である。
◯長寿福祉課長 これまでの実績を考えると、5期計画においても新規の積み立てをする必要はないのではないかと思っている。財政安定という本来の目的が達せられる程度の金額がどれくらい福井県において必要であるかということは、本年度の懇話会でも委員に意見を伺いながら決めていくものであり、まだ推計していないので現時点では答えられない。
◯佐藤委員 3分の1というのにこだわらずに、やはり県民の税金で3分の1を積み立てている分も含めて保険料の抑制とか、引き下げ等に積極的に活用すべきではないかと提案しておきたいと思っている。
最後だが、介護職員の処遇改善交付金は、ことしで終わりか。たしか1人につき1万円か2万円ぐらい給料が交付されるというか、償還がされるとかということで大変現場では歓迎されている。介護職というのは離職者が結構多くて、物すごくきつい仕事の割には給料が安くて離職者が多いということで、ありがたい交付金だと言われているが、県として国へどういう要望を出しているのかとか、見通しはどういう状況になっているのか。
◯長寿福祉課長 委員指摘の介護職員の処遇改善交付金については、平成21年10月から平成23年度末までの基金として交付されている。来年度の取り扱いについては、厚生労働省が介護報酬の中で見ていくのか、交付金という形で継続していくのかがまだ決まってないのが現状であり、福井県としてもこの3年間で、正確には2年であるが、介護職員の処遇改善交付金を申請された事業所においては1万4千四、五百円ほどの改善はなされたということはあるので、それを急激に交付金がなくなって介護報酬に入れると、今度は介護保険料にはね返りもあるし、交付金という臨時的な形をいつまで続けられるのかということもあるけれども、今回の職員の処遇改善につながった部分は、来年度以降も継続していただきたいという形で国へ要望している。
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県立病院について
◯佐藤委員 非正規職員のこともあるし正規の看護師のこともあると思うが、県立病院の経営自体は毎年どの程度の黒字、赤字になっているのか。
◯地域医療課長 単年度だけの、いわゆる世間一般に言う経常収支と、収益的収支というのは毎年赤字を出している。今、平成22年度の決算で申し上げると約4億円の赤字になっている。これは減価償却部分が約20億円あるので、だから、実際現金の支出には出ていかないものの、普通の会社もそうだけれども、収益がどうなるのかといえば当然償却も含めて、償却も費用であるので、それを含めてやっていくと約3億9,100万円、4億円近い赤字になっている。ただ、今、現金の支出を伴わない償却が20億円あるので、単にいわゆる資金収支というか、資金の出入りだけ見ると17億円ほどの黒字を出しているということである。
◯佐藤委員 山本(正)委員が言われたようにいろいろと考えられる余地もあるのかと思うが、それとあわせて北陸3県でも富山県とか石川県は7対1看護とかやっているけれども、福井県については採用していない。それは要するに看護師の過重労働という形になってきているわけで、だから、看護師が病気になって欠勤すると、以前はそれほど多くなかったが、最近は病欠者もふえているという話も聞いている。
やはり、そういう労働条件全体をしっかり改善していくということと、健康に仕事をして県民に健全なサービスを提供していただくことをやっていかないといけない。とにかく職員をこき使えばいいと、もう日勤、深夜でふらふらになるまで使えばいいということにはならないのではないか。要するに、労働条件を改善し、医療現場で働いている人は健康でいないといけない。
◯地域医療課長 7対1看護の話である。委員仰せのとおり、北陸3県で見ると、いわゆる県立中央病院と言われるような病院ではほとんど7対1がある。7対1のやはりネックとなるのは、今、県立病院で7対1看護を導入すると約100人前後を入れていくことになるということである。100人前後を入れていくことになると、相当経営上も厳しいことになって、一時的な費用ではないのでどんどん給料は上がっていく。かといって、このままでいいのかという話であるが、それはそれで県立病院は急性期の病院であるので、このままでいいとは言いかねるところもあった。財政的な問題、人事的な問題もあるので、現在、県庁内で検討を進めているところである。
◯佐藤委員 現場で医療ミスが起こってからでは遅いわけだから、きちんと医師、看護師が働けるというのは大事であるし、石川県、富山県ではできて、なぜ福井県ではできないのかということにもなるし、いきなり100人入れて、言葉は悪いけども質の問題で、すぐ簡単に100人ふやせばよいというわけでもないと思うので、何年かの計画で健全な病院にしていくことを考えていただきたいということを要望する。