昨日は福井県議会一般質問でした。新型コロナ、社会的検査の拡大を。コロナ禍での原子力防災。北陸本線の第三セクター化にかかわる問題。家庭教育支援条例より家庭生活支援こそ!などで質問しました。
PCR検査の社会的拡大を求めたのにたいし、杉本知事は「この現状のやり方を継続しながら、さらに効果的な知見が得られればそういったことに範囲を広げていく、そういった方向で検討していきたいというふうに考えているところです」と答えるにとどまりました。
原子力については、「美浜3号機の事故を風化させないためにも関西電力はこれからも事故の教訓、それから反省を県民に伝えていく努力を続ける必要があると思っております。県といたしましても、福島のような事故を二度と起こさないという覚悟をもって、関西電力に対する安全対策の取組、こういったものを厳格にこれからも監視していきたいと考えているところでございます」と答えました。
県民福井より
質問内容と理事者答弁です。
1、 新型コロナ、社会的検査の拡充を
日本共産党の佐藤正雄です。
新型コロナ問題で議論が交わされてきましたが、あらためて痛感するのは、コロナ危機で浮かび上がったのは弱者に対する社会政策の貧弱さです。
1人親世帯、フリーランサー、日雇い労働者、技能実習生などの外国人労働者は雇い止めや、仕事がなくなり収入ゼロ。コロナ禍での生活困難は日本では生活保障が基本的に自分の労働所得に依存している、自己責任のつよい環境であり、新自由主義のもとで歴代政権が国民生活を守る生活を軽視してきた結果にほかなりません。
国民生活基礎調査による日本の相対的貧困率は2016年は15.7パーセントでOECD平均より高く、G7のなかではアメリカに次いで貧困率高い状況です。
これまで政府財界は、「国民生活は自助・共助で守れ」という自己責任論をふりまき、少なくない国民も影響をうけました。今日誕生する菅政権はその方向をさらに露骨にすすめようとしています。しかし、コロナ危機は「国民生活を守るのは政府だ、地方自治体だ」ということを明らかにしたのではないでしょうか。
だから、国民1人10万の給付金実現、雇用調整助成金を1日8300円から15000円に引き上げる、休業手当も会社が申請しないなら労働者が自己申告してもいい、とある意味で大きな変化が起こりました。福井県も今回の補正予算含め、県民生活支援、医療機関や中小企業支援へ積極的財政出動をおこなっています。病気にかかるのはあなたが悪い、との自己責任論ではコロナを乗り越えることはできないからです。
また、歴代政権、安倍政権の下で医療の縮小、公衆衛生分野が後退させられ、この21年間で伝染病ベッド数は98年に9060床あったものが1869床に大幅減少するなど驚くべき削減がおこなわれました。保健所の削減も92年の852か所から今年4月には469か所と半減です。そこで安倍政権は陽性者の早期発見早期治療を遅らせるしかなく、PCR検査の抑制策をとり、人口比での検査順位は世界152位という状況になっています。
ふたつのMということがいわれます。医療メディカルと軍事ミリタリーです。医療や公衆衛生分野の削減の一方で、軍事費は5兆3000億円に膨らんでいます。核兵器廃絶国際キャンペーンICANの試算では、フランスの核兵器費用を医療にまわせば、ICU10万床、人工呼吸器1万台、看護師2万人、医師1万人の給与が払えるそうです。
日本でも5.3兆円の軍事費のうち戦闘機や武器などの支払い1.1兆円を医療分野にまわせば、ICU15000床、人工呼吸器2万台、看護師7万人、医師1万人の給与が払えます。財政は無限ではないわけで、使い道の転換をコロナパンデミックは世界と日本に突き付けているのではないでしょうか。
さて、長崎県では、医療機関でのクラスター発生を教訓にインフルエンザの時期に備えて、
病院、介護施設、障がい者施設、精神科医療機関ですべての新規入所、入院患者を対象に無料でPCR検査を実施します。全国各地でこのような取り組みをおこなう自治体が広がっています。
なぜこういう取り組みが必要なのか。それは無症状感染者ふくめて早期発見、早期保護治療につなげ、感染拡大を抑えるためです。
東京の世田谷区でも取り組むことが報道されています。
ここはPCR検査能力の現状も踏まえて、一度に5人分の検体を検査するプール方式も採用するとのことです。この検査は陰性がでれば5人全員陰性と判断できます。仮に陽性がでた場合に、1人ずつの検体検査をおこない陽性者をつきとめます。このような方式であれば、仮に1日300の検査能力があれば、1500人分の検体検査が可能ということになり、インフルエンザ流行期への備えともなります。10人分のプール検査をおこなえば、3000検体の検査が可能になります。日赤の献血のウイルス検査でも採用されている手法とお聞きしましたので合理性科学性はあるわけです。
福井のような感染状況なら、5人まとめてのプール検査をおこなっても陰性が多いために職員の手間の省略にもなるでしょう。感染者が大量に発生していない福井県でこそ実施すべきではありませんか。
●そこで知事におたずねします。インフルエンザ流行期にそなえ、病院、介護事業者などでの感染クラスターを阻止するために徹底した社会的検査の拡充にふみだすべきではありませんか、見解をおたずねします。
●つぎに医療、介護事業者の慰労金の申請支給状況について質問します。
対象となる医療機関、介護事業所のそれぞれの総数と申請した事業所数と割合、また、事業者に支給された慰労金が確実に対象の労働者に行き渡ることの確認はどのようにおこなうのか、おたずねします。
2、 原子力行政、コロナ禍での原子力防災
つぎに原子力行政について質問します。
原子力発電所の所員や作業員について、県外から入構する場合には県外でPCR検査を行い、陰性を確認したのちに、福井県入りする、とのことです。しかし関西電力子会社の社員が県外に出て戻ったあとで感染が確認されるなど、不徹底の部分も明らかになりました。
8月5日、県議会厚生常任委員会で美浜発電所を視察した際に、大飯原発の定期検査では約1,000人の作業員をPCR検査し、全員が陰性だった、との報告をうけました。
●そこでおたずねします。電力事業者各社について、県外から入構する社員、作業員などのPCR検査件数と陽性だった人数を答弁願います。
ところで、最近、大飯発電所、美浜発電所での労災事故が相次いで報道されました。労災事故の頻発はさらなる重大事故につながる懸念があります。再稼働優先、利益優先で工事を急ぐと平成16年の美浜3号機事故の教訓が風化しているなあ、と感じざるをえません。
●あの事故は配管検査が運転開始以来1度もされていなかったこととともに、定期検査準備作業を原発の運転をしながら下請け作業員におこなわせていたこと、つまり1日でも原発を停める期間を短縮して利益をあげたいという関西電力の利益最優先の姿勢が起こしたものでした。絶対に同じ過ちを福井県の原子力行政のもとで繰り返してはなりません。県の原発事故根絶の決意も含め、美浜3号機事故の国民県民への継承の必要性について知事の答弁を求めます。
コロナ禍での大地震による原発事故想定での原子力防災訓練が8月27日におこなわれ私もおおい町のはまかぜ交流センター、大飯オフサイトセンター、敦賀市のプラザ萬象で訓練を視察しました。
ニュース報道でもありましたが、暑い中での訓練で1次集合施設の検温でひっかかる方もでるなど夏場のコロナ対策にも課題を残したと思いますし、そういう混乱の中で1次集合施設内の誘導にも不手際があり、現場に居合わせた私や北川県議が住民の方を誘導するなどの一幕もありました。
先の台風10号の九州での避難所報道をみても、コロナ対策で避難所の定員が当初の計画より削減され、親せき宅などに避難してくださいなどのアナウンスがなされておりました。
避難所に入れない方々がすぐに代わりの避難先を見つけられる保証はありませんし、近距離に親せき宅があるとも限りません。
このように、コロナ禍での大規模災害の避難所運営は困難を増すことが容易に想定されます。また、福井市などでもコロナ対策でエアコン設備のある公民館などから、エアコン設備のない体育館などに避難所が変更された例もあります。猛暑の中、エアコンのない体育館での避難生活では熱中症の危険も増大します。
●そこで質問します。
今回の原子力防災訓練は、台風10号で浮き彫りになったコロナ禍での避難所運営などの課題が明白にならない少人数での住民避難訓練でした。6月議会で私が住民参加規模の少ない訓練では十分に検証できないのではないか、などと指摘したにもかかわらず、なぜ改めなかったのか、おたずねします。
●また、異常な猛暑、熱帯夜の中での避難所生活が過酷なものとなることはこの夏で証明されました。避難所として指定されている場所について、エアコンの普及率は何パーセントか、おたずねします。
災害対策の事業として、避難所として指定されている体育館などの施設には県の補助制度も創設し、エアコン設置を計画的にすすめるべきではありませんか、見解をおたずねします。
3、北陸新幹線にともなう北陸本線第三セクターの課題
つぎに、新幹線にともなう北陸本線第三セクター化について質問します。
私が従前から指摘してきた、北陸新幹線沿線のなかでも福井県民の一人あたりの新幹線建設費負担が一番重くなる問題にくわえ、北陸本線の買取り・第三セクター化負担が自治体財政にも、また県民利用者にも大きな負担となりかねないことが今回県がだした試算によって一部明らかになりました。
新幹線の犠牲に普段の通勤通学で在来線を利用する県民がなることは許されません。
しかも経営計画については年度内に策定するとのことですが、そうなりますと県議会としての実質的審議はこの9月議会と12月議会しかありません。
しかし、今議会にだされた「並行在来線への出資および経営安定資金について案」という簡単な資料は、出資、経営安定基金、運賃水準との関係についてふれられていますが、全体像についてのおおまかな説明がありません。
わたしはJR西との北陸本線買取り交渉などの資料もしめすべきと求めましたが、出されておりません。
ふりかえれば、新幹線建設決定の際にも、沿線自治体の首長の並行在来線分離に合意する旨の承認は急いで取られたものの、福井市議会はじめ沿線自治体議会の承認を得ないまま、きわめて非民主的なやり方で北陸本線のJRからの経営分離が県民に押し付けられた経緯があります。
今回も県議会はじめ、沿線自治体議会に詳細な説明のないままに、タイムリミット論で押し切ろうというのであれば県民不在のそしりは免れません。
●そこで何点か質問します。
第1に、私は鉄道施設などはもともと日本国有鉄道であり国民の財産であったわけですから無償譲渡を求めるべきとの立場ですが、県は「JRは簿価での譲渡を基準としており、富山県並みの削減での取得をめざす」、との説明でした。交渉も最終盤でしょうが、その方向でまとまる見込みなのか、おたずねします。
第2に、今回しめされた資料にはJR貨物などからの収入をふくめた経営収支の全体像はしめされていません。その案をこの議会にしめすべきではありませんか。
第3に、その際に、県議会でも全会一致で議決し、県も求めている在来線特急存続の行方が欠かせません。しっかり県民益を守る立場で、JRとの交渉、国への要請、関西圏との連携をしていただき特急存続を実現していただきたいがどうか。
第4に、運賃水準については、新幹線がくることにより、在来線利用の通勤通学者の負担が増えるようでは普段の県民の利益が損なわれます。ここはともに新幹線推進をしてきた経済界にも応分の負担を求め、県民に新幹線にともなう不利益が生じないようにするべきではありませんか。
第5に、JR西は県内16駅の無人化計画を発表しました。ICOCAカードへの対応シフトとして、北陸本線の今庄、南条、森田、春江、丸岡、小浜線は乗務員への対応シフトとして美浜、三方、若狭本郷、若狭高浜など10駅と越美北線の九頭竜湖駅です。理由のひとつに利用者減少をあげています。
しかし、これは利用者を増やし地域活性化を、と取り組んでいる自治体にとっては乱暴な計画であります。高齢化社会にあって利用者の安全の問題も課題です。
県はこのJRの計画に対してどのような見解をもち、JR側に伝えたのかどうか、おたずねします。また、北陸本線の3セク化後には、仮にこの計画が実施されていたとすれば、住民利便性や安全の観点から復元すべきと考えますが見解をおたずねします。
4、いま求められるのは家庭生活支援こそ!
さて、今議会には家庭教育支援条例が提案されました。女性団体からは今議会で拙速な条例制定はおこなわないよう要望書が議会に届けられています。
私も子育て中の方や独身の方などから条例案へのご意見をお聞きしましたが、総じて「保護者への責任の強調、自己責任の強調がつよいのではないか。支援というが自己責任で苦しめられるものになるのでないか。本当に支援が必要な人に支援が行き届くのか」などの声でした。
実際、今回のコロナ禍で小中高生にも突然の学校休校や、夏休み授業など大きな負荷がかかりました。
このような実態は少なからず家庭にも負荷をかけました。とくに一人親家庭では、急に仕事を休まざるを得なくことなどで家計にも大きな影響がでたことなどが報道されています。
ひとり親家庭への新型コロナウィルスの影響についてNPO団体が調査した内容がマスコミでも報道されました。収入減少が7割、収入途絶が約2割。食事を3回から2回や1回に減らしたとか、親は食事を抜いたなどの回答が少なくなかったという、まさに貧困日本の実態が浮かび上がりました。いま求められているのは自己責任を強調しかねない家庭教育支援条例ではなく、本当に困っているご家庭や子どもたちへの生活支援ではないでしょうか。
福井県の以前の調査でも一人親の貧困問題が指摘されていました。
● そこでおたずねします。県はコロナ禍で、とくに子育て中のひとり親家庭、貧困家庭の状況をどのように把握し、どのように支援されましたか、お答えください。
また、就学援助で学校給食では給食費がでているお子さんに対し、学校休校措置を講じるのであれば、自宅での昼食代分の補助が必要でした。しかし、準要保護の就学援助では学校休校中の昼食代を支給しなかった自治体も少なくなかったようです。
そこで質問します。県全体で給食費の就学援助をうけている児童総数、コロナ休校中にその分の昼食代が手当された市町数、児童総数をおたずねするとともに、県として今回のような休校の事態の場合、今後の改善方向をどのように考えるのか、おたずねし答弁を求めます。
議長/知事杉本君。
杉本知事/佐藤議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、感染クラスターを阻止するために徹底した社会的検査の拡充をすべきではないかという御質問についてお答えを申し上げます。
幾つかの検体を一度にまとめてプール方式で検査を行うという方法につきましては、一度に多くの検体が調べられるというメリットはありますけれども、一方で一度陽性が出たときにもう一度検査しないと陽性者が特定できないということがございまして、再検査の必要があることと、陽性者を特定する時間がかえってかかってしまうというようなデメリットもあるわけでございまして、御指摘いただきました世田谷区におきましても当初そうしたことを検討された経緯があるようですけれども、最終的には断念したというふうに私ども伺っているところでございます。
クラスターが発生したときに大きな影響があります医療機関、それから高齢者福祉施設、こういったことで、入所のときまたは入院のときにPCRの検査を行うという考え方もあるわけですが、検査を行いましても、その後ずっと陰性であるということが補償されているわけではございませんので、その後も頻繁に検査を繰り返していかなければいけないということでもござますし、そのときにどれぐらいの頻度でどの範囲でやっていけばいいのかという知見も今得られていない、そういう状況かというふうに思っております。
また、国のほうでは新たに高齢者とか基礎疾患のあるような方々に対して検査の費用の助成を行うという閣議決定がされたわけでございます。
こういったことで、国のほうは検査の対象を増やそうということを検討中だと認識しております。
こういう中で県といたしましては、当面は今やっておりますようにそうした医療機関、それから福祉施設、こういったところで感染の疑いがあるような症例が出てきたときには、接触の可能性のある方を全て検査を行って迅速に隔離していく、この現状のやり方を継続しながら、さらに効果的な知見が得られればそういったことに範囲を広げていく、そういった方向で検討していきたいというふうに考えているところです。
引き続きまして、美浜3号機事故の国民県民への継承の必要性についてお答えを申し上げます。
美浜3号機事故は、私も総務部長でこちらへ来ましてすぐ、平成16年の8月9日に発生したわけでございます。
このとき関西電力に対して、安全最優先の意識を徹底するようにということ、また、関西電力は福井県に軸足を置いて、プラントの安全性、安全確保、こういったものを万全を期すようにということで申入れを行ってきたところです。
翌年には原子力事業本部を移すということもございましたし、また、検証委員会の助言に従いまして再発防止策を徹底してきた、そういう状況にあるわけでございます。
また、8月9日を安全の誓いの日としまして先日も行われておりましたが、社長自ら従業員とともに安全を守るという決意を誓うということを行ってきているわけでございます。
美浜3号機の事故を風化させないためにも関西電力はこれからも事故の教訓、それから反省を県民に伝えていく努力を続ける必要があると思っております。
県といたしましても、福島のような事故を二度と起こさないという覚悟をもって、関西電力に対する安全対策の取組、こういったものを厳格にこれからも監視していきたいと考えているところでございます。
議長/地域戦略部長前田君。
前田地域戦略部長/私から、北陸新幹線に伴う並行在来線の課題について5点お答えいたします。
まず、JRとの資産譲渡交渉について、富山県並みの削減で取得の方向でまとまる見込みなのかとのお尋ねでございます。
JRとの資産譲渡交渉につきましては、年内の基本合意を目指しまして、JRから提供された資料に基づきまして、資産内容や現地の確認作業を進めております。
交渉中の内容につきましては守秘義務の制約もございまして、現時点で詳細な御説明はできませんが、不要資産の撤去費相当額の減額、例えば長大な、長いホームの要らないところは減額してくれという交渉をしているということでございます。
そのほか、事前修繕を徹底して良好な状態で譲り受けると、こういった交渉をしてございまして、富山県をはじめとして先行県と同等以上の条件で譲渡されるように粘り強く交渉してまいります。
次に、JR貨物などからの収入を含めた経営収支の全体像を示すべきと考えるがどうかというお尋ねでございます。
今回お示しいたしました運賃水準と経営安定基金の規模についての資料でございますが、県民生活に影響する運賃水準等につきまして、先んじて議会の御意見を伺いたいということで、利用者数は今後10年現状を維持する、経費等につきましては現状の普通列車の運行にかかる費用とするなど一定の条件を置いた形で、幅を持たせた形での試算で出させていただいております。
経営収支の全体像でございますが、現在並行して増便とか快速列車の運行などの利用促進策でありますとか、資産譲渡交渉の結果の反映、まさに先ほど申し上げたところの反映をしていく、そうしたものを踏まえた経費に連動する貨物線路使用料などの収入見込み、こういったものを合わせて収支見通しの精査を進めてございます。
経営計画案と併せて12月議会でお示ししたいというふうに考えてございます。
次に、県民益を守る立場でJRとの交渉、国への要請、関西圏との連携をして、特急存続を実現してもらいたいということでございます。
特急存続につきましては、新幹線の収支悪化を招くため難しいとしている、国のほうはこのように申しておりますが、その国に対しても、毎年度の重要要望などの機会に直接要請してございますし、JRに対しましては、1日数往復程度だけでも残せないかといった提案をし、協議を重ねているところでございます。
しかしながら、JRの考えとしましては、新幹線を利用することが基本かつ大前提であること、経営分離された区間に特急が運行されている例というのは全国的にないとの原則を主張されてございまして、なかなか特急存続は難しいといった主張を繰り返されているのが現状でございます。
また、現行の料金体系で新幹線が走った場合と特急が直接乗り入れた場合というのを比較してみますと、運行区間が三セクとJRと経営主体が二つに分かれるということ、新幹線が入ることによって特急のほうは乗り継ぎ割引ということで特急料金が半額になるということになりますので、そういうふうにして現行の料金体系で試算しますと、直接乗り入れた特急で大阪まで行く料金が、新幹線を利用した場合よりも高くなるというような形になります。
そういったことにつきましては、実際にはさらなる割引の適用など、料金を引き下げるというような交渉も必要になってくると考えてございますが、先ほど申し上げましたように、特急の存続がなかなかJRとしては厳しいといった状況の中で、こういった料金の交渉といったところにもなかなか入れていないというのが現状でございます。
なお、本県以外の沿線府県の状況でございますが、基本的には敦賀開業による時間短縮効果が大きいということもあって、特急存続というよりは敦賀駅での上下乗換えによって乗り換え利便性を確保する、それを最優先にすべきというような考え方でいらっしゃるということでございます。
いずれにしても厳しい状況にあります。
年内ということで残された時間はあまり多くありませんが、引き続きJRと交渉していきたいと考えてございます。
次に、在来線利用の通勤通学者の負担が増えないように新幹線推進をしてきた経済界の応分の負担を求めるべきではないかといった御質問でございます。
運賃水準については、特に学生さんは自己負担になりますので、通学利用者の過度な負担増とならないように配慮するとともに、先行県の事例も参考にいたしまして、利用者負担と行政負担のバランスを考慮するということが大事かと思ってございます。
今県議会でありますとか経済団体、利用者団体の御意見も伺いながら、そのバランス、どういうふうにはかっていくかということを検討し、調整してまいりたいと考えてございます。
経済界に対しては、並行在来線会社の出資のうち2億円の協力を求めてございます。実際の運営の面では社員の公共交通機関による通勤、いわゆる乗る運動を推進していただ
く、そういうようなことで協力を求めますほか、駅を中心とした賑わいづくり、こういったようなところにも積極的に企業さんの協力もいただこうということで考えております。
最後に、JRの駅無人化計画に対する見解と、JRに対してそれを受けてどのように伝えたのか、さらには三セク化後には、安全の観点から復元すべきではないかとのお尋ねでございます。
JRの駅運営体制の見直し(駅無人化)につきましては、唐突な発表でございまして、私ども県、沿線市町につきましても事前に十分な説明がございませんでした。
こうしたことから、このことに対して遺憾の意を伝えました。さらには利用者の利便性が著しく低下しないように考慮すること、さらには駅設置市町の意向を十分に尊重すること、こういったことをJRに対して求めたところでございます。
並行在来線開業後の駅運営体制でございますが、基本的にはJRの体制を引き継ぐ予定ということでございます。
ただし、駅でのサービスは、利用者確保のための重要な項目の一つでございますので、沿線市町の意見を聞きながらどのように対応していくかを考えていきたいと思います。
議長/安全環境部長野路君。
野路安全環境部長/私からは、原子力行政に関しまして3点お答えします。
まず、電力事業者各社におきまして県外から入構する社員、作業員などのPCRの件数、陽性だった人数はという御質問でございます。
県内の原子力事業者は、県外から発電所に新たに入構する作業員について、県外にいる間にPCR検査を受けさせ、陽性の場合は来県させない取扱いとしてございます。
各事業者の昨日15日現在の状況について聞き取りをいたしましたところ、関西電力の検査数は2237人、そのうち陽性者は2人。
原子力機構の検査数は100人、陽性者はなしとなってございます。
なお、日本原電につきましては今月8日から検査キットの配付を開始しておりまして、これから順次検査を行っていくところと聞いております。
続きまして、原子力防災訓練につきまして小さな訓練では十分に検証できないのではないかとのお尋ねでございます。
今回の訓練では、コロナの感染、流行の懸念がある中、住民の方から感染リスクへの不安の声もございまして、地元のおおい町とも協議をいたしまして参加人数は決定したところでございます。
今回の訓練、コロナ禍において、住民が参加した全国初の原子力防災訓練でございます。
規模は小さくなりましたものの、検温ですとか人との間隔を空けるなど、住民避難の基本的な手順については、参加された住民と避難所を運営する側の双方で確認できたということかと思います。
一方で、幾つかの課題も明らかになったところです。
訓練の様子につきましては、今月末から順次、解説付きの映像をケーブルテレビで放映することとしてございます。
訓練に参加できなかった住民に対しましても、映像で住民避難の手順を確認いただき、原子力防災に対する理解促進に努めてまいりたいと考えてございます。
3点目、避難所のエアコン普及率、避難所に指定されている施設に補助制度を創設し、エアコン設置を計画的に進めるべきとのお尋ねでございます。
自然災害ですとか原子力災害の避難所となっている施設は、学校、公民館、コミュニティセンターなど、約1500施設となってございます。
このうち約5割の施設においてエアコンが整備されてございます。
国は、東日本大震災を契機といたしまして、エアコンが未整備の避難所に対しまして、発災時にエアコンやスポットクーラーなどの資機材を被災自治体からの要請がなくてもプッシュ型支援で送ることとしてございます。
さらに、県では民間企業との応援協定によりまして資機材の提供を受けることとなっておりまして、災害時には、これらの物資供給体制によりまして避難所の暑さ対策を行ってまいりたいと考えてございます。
議長/健康福祉部長窪田君。
窪田健康福祉部長/私から2点、お答えをいたします。
まず、医療従事者の慰労金の対象となる施設の総数、申請した事業所の割合、それから確実に労働者に行き渡るような確認はどういうふうにするのかというお尋ねでございます。
慰労金の対象となる医療機関は県内868か所、歯科診療所317か所と助産所24か所を含んでおりますがこれだけございまして、昨日現在で全体の49.7%、約半数、431件から申請をいただいております。
それから介護事業所につきましては、複数の事業所を同じ法人でまとめるという作業が必要でございまして、その作業に当たり、今事業所から法人への申請書類の提出が約半数終わっておりまして、今月末までには全体の約8割、2650か所対象がございますうちの2000件程度の申請が行われる見込みでございます。
慰労金につきましては、委託でございますとか派遣による従事者も対象になりまして、そういったところの把握にいろいろお時間を要しているところもあるようですけれども、逆に対象者の申請漏れがないように、制度の周知や早目の申請を促していきたいと思います。
また、医療機関等から対象者の方に確実に支給されているかどうかの確認につきましては実績報告をいただきます。
後日対象者の振り込みを証明する書類、または受領を証明する書類の提出を求めてまいります。
次に、ひとり親家庭、貧困家庭の状況をどのように把握し、どのように支援したのかということでございます
ひとり親家庭等につきましては、日頃から市や町の母子・父子自立支援委員等が窓口となっておりますけれども、今回のコロナ禍におきましては、特に気になる家庭等に対しましては市町のほうから個別に連絡させていただいて、家庭の状況を把握し、必要な支援につないでいるという状況でございます。
経済的に困窮する世帯に対しましては、生活福祉資金貸付の緊急小口資金、総合支援資金の利用を進めております。
また、母子・父子寡婦福祉資金貸付につきましては償還が困難な方に支払い猶予制度を設けておりまして、8月末現在で7件の償還時期の繰り下げを行っております。
さらに、家計が急変したひとり親世帯につきましてはひとり親世帯臨時特別給付金、これは国の制度でございますけれども、追加給付等の申請を進めておりまして、これは8月末現在で県内で約1900件の申請を受けております。
議長/教育委員会教育長豊北君。
豊北教育長/給食費の就学支援を受けている児童総数、コロナ休校中にその分の昼食分が手渡された市町数、児童総数、そして今後の改善方法です。
県内各市町で学校給食費の就学支援を受けた準要保護児童総数は令和元年度で小学校が3001名、中学校が1894名となっており、合わせて4985名が就学援助を受けております。
また、コロナ休校中の昼食代を手当した市町はございません。国からの通知は市町に対して周知を図っておりますが、各市町ではコロナ休校に伴う子育て世帯への支援として様々な給付金を支給しており、就学支援事業による昼食代の手当を行う予定はないと聞いております。
国の通知では、それぞれの地域の実情に応じて、適切に御判断、御対応いただくようお願いしますということになっておりまして、今回のような休校が今後また生じた場合は市町教育委員会に対しまして、こうした制度の利用について改めて確認させていただきたいと思っております。
議長/佐藤君。
佐藤議員/時間もあまりありませんけども、再質問をさせていただきます。
知事の御答弁でプール検査の問題とかいろいろ御指摘もありましたし、そして、福祉施設などへの検査は、そのときは陰性でもすぐ陽性に変わるかもしれないというお話がありました。
だけど全体としては、今日の日本経済新聞の電子版を見ましても、やはり福祉施設の職員とか入所者を対象にしてどんどん検査をすると、そういうのは東京都をはじめ全国でも広がってきていると、こういう流れが生まれているわけですね。
これはさっき言った理由からなんですよ。
ですから、やはり積極的に取り組んでいただきたいということで、いろいろそういう知見があればとかおっしゃいましたけれども、こういう全国の流れも踏まえて、積極的に取り組んでいただきたいということを1点確認したいと思います。
議長/知事杉本君。
杉本知事/今、議員が御指摘いただいた状況についてもよく認識いたしておりますので、今後とも効果的な方法、こういったものが示されてくれば、私どもとしても積極的に行っていくことについて検討を進めてまいりたいと考えております。
佐藤議員/終わります。
議長/以上で、佐藤君の質問は終了いたしました。