沖縄県知事選挙が始まっています。新たな米軍新基地を、かつての沖縄戦の遺骨をふくむ土砂まで埋め立てに使う計画推進の岸田政権に対峙する玉城デニー知事の再選を願うものです。
昨日は越前市で沖縄問題を考えるうえで重要なイベントがあるとお聞きし参加しました。
越前市武生公会堂記念館で、「世界への架け橋として 若泉敬」企画展が9月4日まで開催されています。その関連イベントして、外務省で条約局や欧亜局の局長をつとめ、現在、静岡県立大学グローバル地域センター客員教授の東郷和彦氏の講演会がありました。
若泉氏は佐藤栄作総理時代に沖縄返還の密使をつとめた人物として有名でその経緯を著書として刊行しています。
東郷氏は当時のキーパーソンを佐藤総理、若泉氏、自分の父で外務事務次官などつとめた東郷文彦の3名と指摘。東郷文彦は、核の自由使用を認めれば沖縄の統治権は取り戻せる、との考え方で若泉と共通していた、と述べました。そして、1969年7月に佐藤総理の密命をおびた若泉がキッシンジャー氏に密約を提案したといいます。11月には佐藤・ニクソン共同声明。核兵器を残しても沖縄の施政権を取り返さなくては、との思いだった、と。
しかし、若泉がその後総理に密約文書のことをたずねると、総理は「あれはちゃんと処置した」とのみの答え。このことから若泉は意味をもつように実施されないのではないか、長年胸のつかえがおりなかった。沖縄は幸せになっていない、という思いを抱いていた。そのことが密約を明らかにした著書につながっていったのでしょう。
東郷氏は、さらに現在の沖縄にせまる戦争の危機についても憂慮。台湾めぐって米中のたたかいとなれば巻き込まれる。若泉が命をかけたことが・・・という思いだ。沖縄が戦争に巻き込まれないてだて、日本として戦争しない為の外交を考える必要を指摘しました。
また、ロシアのウクライナへの戦争に触れ、価値観だけで相手をたたくのは止めなくてはならない、と強調。バイデン大統領は、プーチンは悪だ、と最後まで叩く手法だが、プーチンがどう反応するか。1つの正義、1つの価値観で押し切ると無理が生じてくる、と懸念を述べました。
また、若泉のような密使外交は、日本の政治家は二度とこのようなことはしないで欲しい、と強調しました。
私は、企画展を見て、東郷氏の講演を聞き、いまの政治の方向がまた戦争へ、と向かい始めていることにベテラン外交官だった東郷氏も危機感をいだいていること、そのことは、ふたたび沖縄を戦場にすることになりかねず沖縄に殉じた若泉氏の労苦を無にすることになること、ウクライナの戦争でも価値観の違いでの対立を煽ることは問題の解決につながらないことなどを痛感しました。
そして今たたかわれている沖縄知事選挙で、岸田政権言いなりで米軍新基地建設を容認していく、米軍基地の永久化につながる候補ではなく、「基地返還でこそ沖縄の経済は発展する」と訴える現職の玉城デニー候補の勝利を願っています。
参加者には驚きの品が配られました。主催者に感謝❢