今日の福井県議会で、原発再稼働に反対する全国の地方議員からだされていた「請願第19号 万全な安全対策が施され、県民の納得を得るまでは、大飯原発3,4号機の再稼働には同意しないことを求める請願」が自民党などの反対で不採択となりました。
また、議会運営委員会で自民党から提案され、本会議にかけられた事実上再稼働を容認する「発議34号 原子力発電の安全・安心の確保を求める意見書」は自民、民進など賛成多数で可決されました。反対は、私と無所属の細川、中井議員の3名でした。私と細川議員が反対討論しました。賛成討論はありませんでした。
■請願不採択に反対する討論
請願第19号 万全な安全対策が施され、県民の納得を得るまでは、大飯原発3,4号機の再稼働には同意しないことを求める請願は採択すべきです。
ご承知のように県の安全専門委員会での審議は継続中であります。つまり、県としての安全性のチェックは未完了です。
また、おおい町以外で誰でも参加できる住民説明会は今回も一度も開かれていません。
知事は、国民理解は国と事業者の責任、と口では言いますが、それを県内で国や事業者に求めないのは、甚だしい二枚舌といわなくてはなりません。
関西電力も県民からの説明会参加要請を事実上拒否しています。
こんな情報開示と説明責任に欠けた姿勢では国民理解、県民理解がすすまないのは当然ではありませんか。NHK調査では、地元の おおい町ですら4分の1が再稼働反対です。仮に全県調査なら過半数を超える再稼働反対でしょう。県民の声にまともに耳を傾けないままの再稼働推進は断じて許されず、この請願は採択を求めます。
以上、申し上げて反対討論といたします。
■事実上再稼働を容認する意見書に反対する討論
発議34号 原子力発電の安全・安心の確保を求める意見書案に反対の立場で討論します。
マスコミ報道では、自民党は「再稼働前提の意見書だ」と説明した、と報道されました。紙背に徹すればそういう意思表示といえます。
しかし、国民理解はすすんだでしょうか。資源エネルギー庁の担当者は、関西電力の原発の電気を消費している関西地域の自治体で、再稼働を要請する自治体はないではないか、との全員協議会での私の指摘に、「非常に慎重な声が高い」と答え、事実上、国民理解にはほど遠いことがしめされました。つまり、再稼働は国民から見れば、関西地域の住民の要望ではなく、福井県の要望だ、とみられるのです。つまり従前の再稼働判断より、はるかに重い責任を、原発事故時もふくめて伴うことになります。
また重大な問題は、知事が主張する「福井県は発電は引き受けたが、使用済み核燃料などの廃棄物は引き受けない」との論拠も崩れていくことにつながることを知事やわたしたち議員は自覚しなければなりません。つまり消費地からの要望もないのに、このように福井県側から再稼働を求めていくことは、核のゴミが累々として福井県内に未来永劫積み上げられていくことを容認する伏線にもなりかねないのです。将来の子々孫々、福井県民に対して、このようなことが許されるでしょうか。
福井県議会として将来への無責任を拡大すべきではありません。
ところで、大飯原発については審査した当時の規制委員会の委員長代理の島崎邦彦氏からも大飯原発の耐震安全性は保障されない、との証言がだされています。
第一に、関電の地盤調査は表層のみ、深さ3キロメートル超える震源断層までの地下構造の詳細はわからない、ということ。
第二に、関電は入倉・三宅式の使い方を間違っている。大幅な過小評価になっている、ということ。
第三に、規制委員会の審査も決められた審査ガイドに従っておらず、大変な欠陥だ、ということです。
つまり、関電の主張は誤りで、「震源域までの地下構造は不明だ」「基準地震動の過小評価でカバー不能だ」「安全審査は地震本部の評価手法を無視している」ということです。
議員のみなさん、大飯原発に合格のハンコを押した学者が、その判断が間違っていた、と言っているのです。深刻な事態です。
ここは、かつての阪神淡路大震災の際に福井県が主導して専門家をまねいて耐震安全性問題での県民参加のシンポを開催しましたが、そういう企画をやるべきではないでしょうか。県民のみなさんの前で、堂々と、関西電力の立場と異議を唱える立場の専門家が討論をして、県民のみなさんに大飯原発再稼働問題を考えていただこうではありませんか。
福井県議会が関西地域の自治体から求められてもいない、頼まれてもいない再稼働を後押しする意見書をだす必要はまったくありません。
西川知事と一体となって再稼働を推進する意見書をあげるのではなく、県民の疑問と不安にこたえる責任を福井県庁に果たさせることを求めるべきではありませんか。
以上、申し上げて反対の討論といたします。