昨日は福井県議会最終日でした。午前中は議会運営委員会、国への重要要望事項案の説明、午後は本会議、議会改革検討会議などでした。
私は、新たに使用済み核燃料に「搬出促進割」を課税する福井県核燃料税条例の制定、正規の保育士でない方々を保育現場に配置し保育の質の低下、安全安心の低下につながる条例、県民負担増大の福井県立病院の使用料・手数料の改定条例に反対し、討論しました。私以外の議員は知事提案の議案すべてに賛成しました。賛成討論はありませんでした。
核兵器廃絶を求める請願も反対多数で不採択となりました。
今朝の地元紙でも私の核燃料税の反対討論が紹介されました。
■反対討論
日本共産党の佐藤正雄です。
まず、第48号議案 福井県核燃料税条例の制定についてです。
知事は今回提案された「搬出促進割」について県外搬出すれば税負担が軽減される、と強調しますが、一般質問でも指摘しましたように、搬出先の自治体でも電力事業者はいわば迷惑料を払わざるを得なくなるでしょうから、事業者の負担が単純に軽減されるわけではありません。むしろこの条例では金銭解決の要素がつよく、条件があればいまでも40年以上の事実上の中間貯蔵状態にある使用済み核燃料を、さらに60年、70年と半永久的に現在の原発施設で管理する懸念がつよまり、県民への説明とは真逆の税制となる危険があります。
そもそもほかの発電方式や産業施設にはみられないあの手この手で繰り返し課税するという行政権力の行使は、産業構造をゆがめ、しいては消費者負担の増大となりかねません。
また、高浜原発の再稼働にあたって福島原発事故でも最もつよい放射線量をしめしている危険なプルサーマル発電を4号機にも拡大し、さらに3号機のプルサーマル燃料を大幅に増やしたことは、福島原発事故の教訓からの重大な逆行です。その背景には通常のウラン燃料よりも約9倍もの核燃料税が福井県に収納されることも背景にあると思われます。
県民の安全を犠牲にして税金が増えるからと、危険なプルトニウム利用の拡大はおこなうべきではありません。
このことは原発にしがみつけばしがみつくほど、県民安全よりも税収優先、という本来の行政の在り方にてらして本末転倒な事態が進行することをしめしています。
あらためて原発推進県政からの転換をつよく求め、条例案には反対いたします。
第51号議案 福井県認定こども園の認定の要件に関する条例および福井県幼保連携型認定こども園の設備および運営の基準等に関する条例の一部改正については、正規の保育士でない方々を保育現場に配置させようとするものであり保育の質の低下、安全安心の低下につながるものであり反対です。
専門家の研究でも、乳幼児の保育には、職員のこどもの疾患についての知識、乳幼児の観察方法、異常発見時の応急手当など高い専門性が必要であり、同時に監視のために十分な職員配置が求められ。子育て経験者ならば誰でも業としての保育ができるというものではない、と言われています。
また、保育士配置が3分の1でよい認可外施設では死亡事故は認可施設の60倍だそうです。専門家としての保育士配置を後退させれば、人口減少対策にも逆行し、こどもたちの安全環境が低下する懸念があります。知識と専門性を培った保育士の配置こそ必要であります。
やるべきは最低基準の引き下げではなく、保育士の待遇改善であり、安倍政権の保育の規制緩和、質の低下を推進するこの条例案は大問題です。
そもそも児童福祉施設の設備および運営に関する基準では、第3条に「都道府県は、最低基準を常に向上させるように努めるものとする」とあり、第4条には「児童福祉施設は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない」とあります。
明らかに、この条例案は法令に違反するものであり、とうてい賛成できません。
第52号議案 福井県立病院使用料および手数料徴収条例の一部改正についてであります。
第二次安倍政権発足後、診療報酬改定は2回目ですが、2回連続で改定率は実質マイナスに抑え込みました。今回は10年ぶりに1パーセント以上の大幅なマイナス、1000億円の国費削減です。
今回の使用料・手数料の改定条例はこれを受けたものであり、安倍政権の医療改悪が県民医療の後退につながりかねません。そもそも大病院への患者の集中を防ぐためだと説明されていますが、患者抑制効果はなんら証明されておらず、むしろ低所得者の難病患者などが必要な医療からしめだされるのではないか、との不安がだされております。県民負担増大の条例案には反対であります。
そもそも政治がおこなうべきは、「いつまで生きるつもりだ」などと高齢者に悪罵を投げつけることや患者負担の増大ではなく、患者負担の軽減をはかりつつ診療報酬を抜本的に引き上げ、安心した老後をおくることができるようにすることであります。
つぎに請願陳情に関する委員長報告に反対の討論をおこないます。
請願第11号は核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書提出に関する請願です。
アメリカのオバマ大統領が広島を訪問し、原爆の被害にふれ、被爆者と語ったこと自体は核兵器の残虐性と廃絶の重要性をあらためて国際世論に喚起する機会となりました。
しかし、オバマ政権のもとで、保有する核兵器は4571発であり、彼の任期中、15年までに削減されたのは702発にとどまっています。これはブッシュ前政権が5300発を削減したのと比較してもきわめて遅れています。
オバマ大統領の言葉は美しいものですが、核兵器廃絶のためには、いまこそ唯一の被爆国日本から核兵器廃絶の世論と運動を強めることが求められており、この請願は採択すべきです。
陳情第9号「子育てファイルふくいっ子」活用に関する陳情は、障害に応じた支援に有効な「子育てファイルふくいっ子」活用促進を求める内容であり、また、陳情第10号高校入試での障がい者に対する「受験上の配慮」に関する陳情は本年3月の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行をうけていっそうの改善を求めるものであり、それぞれ採択すべきです。
また、陳情第1号、第7号は主意に照らして採択すべきです。とりわけ、県議会議員選挙における選挙公報の未発行はきわめて少数の議会となっており、県議会の責任で有権者への責任を果たすべきであります。
以上、もうしあげて討論といたします。議場の皆様のご賛同をよろしくお願いいたします。