2011年12月福井県議会厚生常任委員会。「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」などの移譲問題、介護保険・障害者福祉についてただしました。
■「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」などの移譲議案について
◯佐藤委員 仲倉委員の質問に関連して、今後、建物も解体してつくっていくという費用の話があったかと思うのだが、具体的に解体とか建設で幾らぐらいかかるのか。民営になれば給付金がふえるとかと言ったけれども、国や県からの補助金で大体どれぐらい賄えるのか。前回、部長が答弁されたけれども、それなりにお金が福祉事業団にあるという状況で、どのぐらい賄えるのか、詳しく教えてもらえるか。
◯障害福祉課長 まず、福祉事業団の運営状況であるが、代表質問で知事から答弁させていただいたように、現在、約11億円程度の運用引当金がある。それと、今後、民営化することによって毎年約5,000万円の収入がふえていくということで、来年度以降は1億5,000万円以上の引当金が積み上がるという状況にある。これが一つである。
施設整備については、国庫補助が2分の1、県が4分の1の負担で、事業者が4分の1の負担というのが通常の負担割合になっているので、国庫補助を使いながら、できるだけ負担が軽くなるようにしたい。再整備については、現在のように1階建ての広い建物でいけるか等によって建設費も大分変わってくるかと思うので、そういうことも踏まえながら、再整備をしていくことになるかと思う。
◯佐藤委員 今の計算でいくと、「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」の2施設の建てかえが終わるのはいつごろか。
◯障害福祉課長 現在の予定で言うと、平成25年度以降から建てかえの計画に入っていくことになる。国庫補助の状況もあるので、今の時点で何年度と具体的に言うことはできないが、数年かかって終わる予定である。ただ、当然、福祉事業団の状況もあるので、負担が可能な額が積み上がるところが大体めどになるかと思っている。
そういう意味で、はっきりと何年とは言えないが、この2施設を最初整備した年度は昭和48年度ぐらいで、実際には3年ぐらいかけて整備してきた。それから、若越みどりの村については1年以上かかっているので、少なくとも3年と1年以上なので、両方足した4年程度の期間は再整備にも当然かかってくると思う。ただ、年度については当然国庫補助の状況もあるので、今の段階では明確にはわかりかねる状況である。
◯佐藤委員 そうすると、いろいろ試算され、いろいろ見積もって、平成25年から、それが平成28年になるのか、平成29年になるのかわからないけれども、そういう事業が終わった時点で経営者というか、福祉事業団にお金を使っていけば、建設費用の4分の1の自己負担を使っていけば、資金は大体どれくらい残るようになっているのか。
◯障害福祉課長 実は、現在の状況でも運転資金としては約3億円程度が担保できるような形にはなっている。それを除いてのことであるので、再整備が終わった後でも運営に支障を来すような状況はないと思う。
◯佐藤委員 実際、山本正雄委員が基本協定の中身が不透明だと言われたけれども、事業計画、財政計画の中身も不透明であり、よくわからないが、とにかくやってみれば大丈夫だというような話であろう。これではやはり無責任である。
普通、例えるのは悪いけれども、例えば市町村合併のときなどで、福井市はどうなるかというときには、国からのお金はこうなる、市のお金はこうなると、10年間か15年間程度の大まかな財政プランを議会に示してくるわけである。これだけの何百人も入所されている施設を県の責任から引き離していこうとするときに、基本協定の内容も今提示できない、財政の試算の見積もりも具体的に提示できないというような無責任な状態で、議会で承認できるのか。
◯健康福祉部長 今、障害福祉課長から取り組み状況について説明したが、福祉事業団が負担すべき試算としては、今の施設を建てかえると大体どれぐらいになるというのを平米当たりの単価で算出していて、若越ひかりの村で20数億円という数字が出ている。ただ、前議会でも申し上げたように、今、福祉事業団と県とで協議をして、いかに費用負担を少なくするかという建設計画と次回の計画などを現実的に協議しているところであるが、それらの数字についてはまだ出ていない。
それで、最終的に数字が確定するのは、来年度に基本計画をつくり、設計をして、初めて出てくるのである。だから、今の比率の問題は、国の2分の1、県の4分の1は変わらないと思うが、その部分についてはその段階でないと正直申し上げて判断できない。ただ、今の想定である限り、事業者が負担すべき金額は既に留保してある。それと、毎年1億円から1億5,000万円ぐらいが現状の運営を続けている場合は、留保できるというのは多分間違いないだろうと思う。
これは別に県が一方的に押しつけているわけではなく、福祉事業団の役員の、特に理事長等の方々と経理的な部分も含めて詰めた。だから、今、幾らかかるので、この部分の金額が幾らということはできないけれども、それは福祉事業団と協議した段階でやらせていただいている。
それから、基本協定についても、先ほど申し上げた項目について福祉事業団と一緒に詰めている。実際、運営をされる福祉事業団の役員の方々が今後ずっと運用していくことであるので、その中で、今こういう形でちゃんと合意をした上で議案として出させていただいているので、その辺は了承いただきたいと思う。
◯佐藤委員 それほど簡単には了解できない。実際、この議会でも外郭団体のいろいろな議論があったが、外郭団体自身がさまざまな経営努力をしており、当然県からも求められるし、みずからも取り組み賃金水準は下げている。それから、正規職員を減らし、パート・臨時・嘱託職員等をふやしているというのが福祉事業団の実態としてあるわけである。だから、正規職員の負担が物すごく重くなってきているという実態なのである。県が責任を持たずに、今度はさらに民営ということになっていけば、どうなるかわからないけれども、当然、人件費の賃下げが続くか、あるいは非正規雇用の増大とかという懸念が出てくるわけである。福祉の現場でそういうことでいいのかということが、やはり県民とすれば非常に心配だという懸念がある。
それとあわせて、今、部長はいろいろ言われているが、一定の費用を出して当たり前だけれども、理事者の内部で現在検討しているわけである。そういう理事者の内部での検討材料となっている基本協定の内容や資金計画を今議会に示さないで、要するに、移譲後の安定経営を支援するために、建物は無償譲渡するし、土地は無償貸与するということだけで、議会を乗り切ろうとしてもそうはいかない。
実際、内部で出されている資料によれば、ひかりの村が平成25年から平成27年、みどりの村が平成28年から29年となっていて、建設解体費の合計は35億8,000万円、補助金の予定が18億3,000万円となっているわけである。設置者負担は17億5,000万円。あなた方の内部ではそれは出しているのか。そして、福祉事業団の収支がどうなるかも、平成27年度で累計17億9,000万円ということで出しているわけだろう。これをこのまま使ったら、確かに毎年1億5,000万円ぐらいずつ入ってくるとはいうものの、経営は本当に大丈夫なのかと思う。そうだろう。
だから、こういう部内で検討された資料を議会に出さないまま、乗り切ろうという姿勢が不満なのである。なぜ議会に部内で検討している資料を正直に出さないのか。基本協定にしても財政計画にしても資料を提出した上で、議論すべきである。こういうやり方はおかしいではないか。こういう議論は、やり直すべきである。この議案は撤回してくれるよう願う。
◯健康福祉部長 佐藤委員の指摘した資料がどういう資料なのか、わからない。
◯佐藤委員 健康福祉部でつくった資料であろう。
◯健康福祉部長 あくまでも、先ほど申し上げたように、建設の重立った面積を単純に掛け算したということであるので、それでかかる費用が大体それぐらいだから、実際に計画をやってみないと、その数字が固まらない段階ではなかなか出せないだろうということで今は出していないけれども、当然それらも含め、経営についても福祉事業団ともあわせて資金計画をやっているので、いいかげんな話ではないと思う。
◯佐藤委員 だから、いいかげんではないと思っているのであれば、内部で検討している資料を議会にきちんと出して、これだけの重要な議案であるので、誠意を尽くして議会の承認を求めたらどうだということを言っているのである。
◯仲倉委員 委員長、佐藤委員がどういう資料を根拠に物を言っているのか、あとの委員には全然わからない状況である。
◯大久保委員長 佐藤委員の持っている資料をコピーするために、暫時休憩する。
~休 憩~
〔各委員に別添「障害者福祉施設の移譲に関する資料」を配付〕
◯大久保委員長 では、委員会を再開する。
◯健康福祉部長 これは健康福祉部でつくった資料に間違いない。この結果を試算した上で、運営上大丈夫だということを判断させていただいている。
◯佐藤委員 では、さっきの議論に戻り、基本協定書案を議会に出して、説明をしていただかないといけない。条例の本文と、建物は無償譲渡、敷地は無償貸与するから安定経営になるよという説明だけでは、不十分であると言いたかった。また、この資料を見ると設置者負担が17億5,000万円ということである。福井県福祉事業団の資金収支見込みが累計で平成27年度が17億9,000万円だから、この数字だと大丈夫なのかというような気持ちにもなるので、その辺を丁寧に説明していただきたい。
◯健康福祉部長 これは何回も申し上げているように、これはあくまでも概算の段階であるし、先ほどの基本設計なり工期なりについても、現状としてどうなのだろうかということであるので、この形が本当に県として最終的に責任を持てるというところの数字では今の段階ではない。ただ、県としては、建物を移譲したとしても、この機能が大切であるから、機能を維持するためにどうしたらいいかということで、いろいろ試算をして、これなら大丈夫だという内部的な判断の根拠にさせていただいているが、この数字が確定というものではないことだけは、承知いただきたい。
また、県の姿勢としては、あくまでもこの施設の運営自体はぜひやっていかないといけないというもので、その運営が採算性を割るものであれば、県としてもその段階で当然考えていかなくてはならない。ただ、現状で見る限り、若越ひかりの村の自己負担分についても、現に内部留保金があって、その上で毎年の運営費以外に1億数千万円の積み立てが確実にできるという状況だけは、現状の運営を続けていく限りは間違いないので、それなりに正確であるということで判断したものである。
◯佐藤委員 もう終わるけれども、みずから条例を出してきた、その数値の根拠の試算がある意味ではこれだとしながら、しかし、この数字で県としては責任を持てるかどうかはわからないというのは、やはり無責任だと言わざるを得ない。将来への不安があったら、また県が直接運営するように戻すなどの議論をするぐらい、県がきちんと責任を持つというような福祉施設であるべきだと申し上げておく。
■介護保険、障害者福祉について
◯佐藤委員 介護保険について伺う。前回も答弁してもらったが、今回の計画を見ると、介護保険料の上昇抑制に活用という資料がある。これは具体的にどの程度取り崩して、どの程度抑制されることになるのか。このことは県の事務だろうか。また、市町の基金についてはどういう扱いか。
◯長寿福祉課長 介護保険財政安定化基金の取り崩しについては、県の事務である。
1点目の介護保険財政安定化基金の取り崩しについては、現在、まだ庁内で財政サイドと調整をしている段階である。ただ、少なくとも取り崩しを行えば50円程度は県でも抑制できるのではないかと思っている。というのも、取り崩した額を3分の1は国へ、3分の1は県に、3分1は保険者にという形で、取り崩し額の3分の1が保険料の上昇抑制に充てられるという介護保険法の規定があるから、そのように影響するものだと思っている。
2点目の各市町に設置された基金については、市町ごとに3年ごとに実施される介護保険財政の見直しの際、多少余裕が出てきた場合の積み立て準備基金であると推察している。この準備基金を次期計画の策定に当たって、どれだけ各市町の上昇抑制に充てるかは、市町の判断になる。市町によっては既に財源が枯渇しているところもあるし、また財源に余裕があるところはある程度入れた上で、県からの介護保険財政安定化基金の取り崩しの額も合わせ、上昇抑制に充てたりするという形になる。
◯佐藤委員 財政安定化基金を取り崩しても50円程度の抑制にしかならないということである。次の良質な介護サービス、事業者、人材の確保というところにもかかわってくるのである。要するに、介護従事者への交付金制度が今年度で終わる。それを介護保険の財政の中で見てもらうというような議論になってくるとなると、当然、等しくそのままかぶせると、保険料の900円ぐらいの値上げになるというのが厚生労働省の試算である。だから、これは大変なことである。差し引きしても850円の値上げということになってしまう。これは保険料の上昇抑制という大きな枠では1項目あるが、トータルで見ると全く抑制にならないという計画になりかねないのではないか。
◯長寿福祉課長 介護保険の財政安定化基金の残高が26億円ほどになっているので、全部取り崩し、1円も県に残さないとしても、3分の1しか上昇抑制につなげられないので、百数十円の抑制効果にはなるだろうと思う。一方で、財政安定化基金のそもそもの設置目的として、各保険者が介護保険財政のやりくりで苦しくなったときに貸し付けをし、補てんをし、なるべく各保険者が一般会計からの補てんをしなくて済むようにとの視点では、ある程度残さざるを得ないので、財政安定化基金の取り崩しでなるべく保険者に資するようにという意味で、取り崩し額を決定したいと考えている。
◯佐藤委員 なかなか課長も苦しい答弁を言われて、その程度しか現状では言えないだろうけれども、やはり今でも介護保険料の負担が重い、さらには利用料の1割負担が重いということで、サービス利用者の状況を聞くと、使える限度額までフルに使っている人はそれほどいないわけである。さらにこの上、実際の保険料が月々平均で900円程度値上がりするということになれば、やはり年間通じると1万円以上の値上げということになるから、年金暮らしの人にとっては大変大きな負担増になると思う。
だから、その辺でこの財政安定化基金を取り崩して抑制に活用するということだけにとどまらず、今言われた市町の給付費の準備基金であるとか、これは別にないところもあったが、あるところはあるのだろうから、それも積極的に取り崩して、それぞれの市町あるいは広域連合の介護保険であるから、使えと言ったら失礼だけれども、やはり保険料抑制に使うようにということを県としても働きかけないと、来年の春に大幅な値上げになってしまうのではないか。
◯長寿福祉課長 介護保険料が次期計画でどれぐらいになるかというのは、委員も厚生労働省から出ている情報もあるだろうけれども、今のところは2月ぐらいに固まる介護報酬で各事業がどれぐらい評価されるかと、あわせて施設整備をどれぐらいつくるかが決まらない限り、なかなかわからない。めどとしては、県平均では現在、月額4,253円だけれども5,000円を超えざるを得ないのではないかといった見通しはある。その中で、介護保険の上昇抑制は県が申すまでもなく、保険者でもやはり常にこれまで市町との調整を続けてきた中でも、なるべく上げたくないといったことは聞いていて、その中では準備基金をまず充てているといった対応をしている市町もあるので、保険料の上昇抑制をなるべくしていこうといった思いは、県も市町もこれまでのところ共有化できているのではないかと思っている。
◯佐藤委員 前回議会で言っていたような制度が悪くなるということは、絶対にだめだし、もちろん、悪くなる、保険料は高くなるでは、ひどい話になるので、そうならないように、国に対しても強く要求していただきたいと思うし、県としても市町と広域連合と力を合わせて、最大にできることはしていただきたいと思う。
それから、障害者関係で2点伺う。「障害者自立支援法」の後の法律である「障害者総合福祉法(仮称)」がつくられていく状況であるが、主にどういうポイントがあって、県としての対応はどうなるのかお尋ねしたい。
もう一つは、障害者の方が自動車を購入する、あるいは自動車を改造するというときの助成制度が県や市町にはいろいろあると思うのだけれども、具体的にどのような制度があって、利用状況はどうか、2点を伺う。
◯障害福祉課長 まず、障害者総合福祉法は仮称であるが、現在の国の検討状況で言うと、国の予定では平成25年8月施行を目指して、現在は法案を作成している段階と伺っている。ことし8月末の検討部会からの報告の内容を踏まえると、まず一つは谷間のない障害者施策ということで、今まで障害者自立支援法では対象にならなかった、あるいは明確に規定されてなかった障害については、例えば、難病なども障害として扱い、新たに福祉サービスの対象として含める。
それからもう1点は、基本的には地域生活に基本を置くということで、例えば精神障害をお持ちの方で長期入院されている方を地域生活へ戻すとか、いわば地域生活を主体とした内容になると伺っているが、まだ実際具体的な内容が出ておらず、今後、来年度の通常国会に法案を提出すると伺っている。その内容を踏まえた上で、県としては対応していきたいと考えている。
それから、身体障害者に対する自動車の助成制度である。一つは運転免許を取得する場合の助成は特に市町で行っている事業で、あるいは自動車改造する場合も市町で補助を行っているが、具体的な実績件数については今年度まだ把握していない。
◯佐藤委員 要するに、自動車改造の助成の具体的な内容として、どういう助成制度があるのか。件数がわからないのであれば、県や市町の助成制度の概要を説明願う。
◯障害福祉課長 県では直接の助成制度はない。これはあくまでも障害者の方が行った自動車改造に対して市町が助成をした場合、県から間接的に補助しているような、地域生活支援事業という中で行っている事業であって、実施主体の市町に対して、かかった費用を県単でお支払いしている状況である。
助成内容は市町によっても違うが、例えば自動変速機につながるブレーキとアクセルを一体的に改造するなどさまざまな自動車改造があるので、それらに対して大体10万円程度の助成をしている。