福井県議会9月議会 一般質問
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。福井県は、大きな台風被害はなかったようですけれども、全国各地は大きな被害で、お見舞いを申し上げたいと思います。
さて、野田新政権が誕生しましたが、何の新鮮味もありません。米軍基地は沖縄に引き続き押しつける、とまっている原発は福島原発事故の収束と原因解明がされていないのに、再稼働を認める方向であります。国民の生活は苦しいのに、被災地の皆さん含めて大増税の計画です。大看板だった後期高齢者医療制度廃止は、もうだれも言わない。それどころか、医療でいえば、医療費は窓口負担の3割からさらに上乗せする計画、年金は支給開始年齢を68歳ないし70歳にまで引き上げると、とんでもない計画が出始めています。基礎年金についても、500円から600円も減額を検討するなどなど、国民の生活が第一どころか、国民生活をどん底に突き落としかねません。
政権交代は何だったのか。自民党政治にすっかりUターンしてしまった。行き詰まった自民党政治と同じ中身では、早晩袋小路に陥ります。歌を忘れたカナリヤという詩がありますが、民主党と自民党政権末期のように、繰り返し総理が交代を余儀なくされてもまだ気づかないようであります。日本共産党は、国民生活を忘れた野田政権ときっぱり対決して、国民本位の政治への転換を求めて頑張ります。
そこでまず、原発問題について質問します。
作家の大江健三郎さんや澤地久枝さんら著名九氏が呼びかけた、さようなら原発集会が19日、東京明治公園で開催され、6万人が参加しました。福井県からもさまざまな団体や個人が参加されました。福井県内でも網の目のように原発や放射線問題での講演会や学習会が開かれ、もう原発はやめてほしいの声が広がっています。この声にこたえる政治が、国政でも地方政治でも求められていると思います。
先日、福井大学で日本教師教育学会が開催され、東北の被災地の盛岡大学、東北大学、福島大学から学長や教授が、大学と教育の現状を報告されるというので私も参加いたしました。各県、各大学とも深刻な現状ですが、やはり福島大学からの報告は衝撃でした。公立の小・中校生の県外への転校は8,700人、原発事故で被災した54の学校のうち、23の学校は事実上消滅、原発のある浜通りでは、1,000のクラスがばらばらになったそうです。高校でもやむなくサテライト授業が行われておりますけれども、実業系では実習ができなくて、資格が取れない。結局、就職も決まらない、こういう状況です。まさに、広大な地域を放射能汚染で破壊した原発事故は、小・中・高生や地域住民の人生の破壊を進行させています。現状は、原発事故被害のプロローグにしかすぎないのかもしれません。
西川知事は、福井では福島のような事故を繰り返さないと述べておりますが、原発がある限り、知事の言葉に物理的保障はないのです。なぜなら、きのうも議論されたように、福井の原発立地地域にも相当の活断層があり、巨大地震や津波が想定されるからです。知事、福島の現状を見てください。あの惨状を福井で再来させないためには、その大もとである原発をなくしていくしかないではありませんか。原発を続ける限り、フランスと違ってこの日本では、巨大な自然災害によって過酷事故の可能性を排除できないのです。福島県の知事を初め、政党や政治家、行政の皆さんは遅過ぎたけれども、原発からの撤退を決断されました。
そこで、改めて問います。
半年たっても事故を収束できず、さまざまな被害の拡大を続けている原発事故を教訓にするならば、福井県も期限を定めて原発から撤退する方針を決めるべきではありませんか。そのためには、新たにつくらないことです。世界に例がない活断層の近傍での世界最大級の巨大原発、敦賀3、4号機の増設計画は見直すべきではありませんか。これ以上、福井県に新たな原発はつくらせない決断をすべきではありませんか、お尋ねをいたします。
また、電力事業者は、福島原発事故を受けて、非常用の電源車確保や構造の精密化、防潮堤の建設などを計画し、作業をしております。これらは、原発の施設を安全の側に持っていくという目的で行われるものです。
ところが、原子力安全・保安院と私たち共産党が8月に行った交渉の中で、関西電力が使用済み核燃料プールの増強計画を保安院と相談していることが明らかとなりました。これは重大問題です。といいますのは、福島原発事故でも使用済み核燃料プールの冷却機能も停止し、原子炉本体の危険性とともに、使用済み燃料プールの燃料破損による放射能汚染が起こったからであります。東京大学と日本原子力研究開発機構の分析では、福島原発の4号機建屋の水素爆発は、使用済み核燃料プールから発生した水素が一因となった可能性を指摘しております。
今、福井でも水を張ったプールの大きさは建設当初と変わらないのに、当初の設計以上の使用済み核燃料を詰め込む、そのためのいわゆるリラッキング工事が新たに計画されようとしております。これはだめです。知事、きっぱりと原発施設の安全性が低下する使用済み燃料プールの増強工事は認めないと御答弁ください。
さて、滋賀県が関西電力美浜原発で、福島原発のような重大事故が発生したと想定し、放射性ヨウ素の拡散予測を公表しました。その結果、滋賀県内にも琵琶湖上空まで達し、近畿1,400万人の水源が汚染される可能性を含む重大な影響が出ること。福井県内では、避難指示の対象となる500ミリシーベルトを超えると報道されております。
福井県の原子力防災計画を見直す上でも、当然、福井県こそこのような被害予測の線量地図を作成すべきです。現在の福井県庁のスピーディーシステムは、狭い地域で10数キロまでの放射能の拡散予測しかできないそうです。ですから、福井市がどうなるかとかわからない。しかし、これを広域もちゃんと予測できるシステムとして使って、福井県内全域を対象とした計算結果を原発サイトごと、また季節ごとに陸地に向かって風が吹くさまざまな条件で示すべきです。こうして、放射線被害のハザードマップを県民に明らかにすべきではありませんか。
ところで、今議会には、アジア原子力協力フォーラム開催の予算、FNCAコーディネーター会合開催支援事業が提案されていますが、これはアジア12カ国の原子力の研究開発を推進、調整する機関のトップ会合です。福島原発事故を受けてなお、世界の原発推進のトップを集めた会合をわざわざ福井県で行うことは、危険な原発推進はやめてほしいという県民感情を逆なでするものです。さすがに、県庁内部でも「KY」だよなと言われているそうであります。
かつて、阪神大震災後に巨大地震で原発は大丈夫かという県民の不安の高まりにこたえ、県は立場の異なる専門家も招いて、大規模な県民説明会を開催し参加者との討論も行いました。今、現実に巨大地震と津波による原発過酷事故が起こったのです。福井県がやるべきは、原子力の開発を進める世界の会合ではありません。開催予定は来年の3月だそうです。原発集中の福井県が、福島原発事故1周年で開催すべきは、原子力推進の国際会議ではなく、福島原発事故と被害を検証し、県民の疑問と不安にこたえる福井県民向けの説明会ではありませんか、知事の答弁を求めます。
次に、匿名寄附と原発マネーについてお尋ねします。
この間、嶺南地域の振興を目的とした匿名の寄附が福井県に寄せられております。平成18年度には3億円、7,000万円、5億円と3回に分けて8億7,000万円、19年度には18年度と全く同じく、3億円、7,000万円、5億円と3回に分けて8億7,000万円、20年度には6,000万円、2億円と2回で2億6,000万円、21年度には1回で2億円、22年度、23年度はないそうでありますが、18年度以降だけでも22億円という巨額の寄附が、嶺南地域の振興目的で行われました。
そこでお尋ねします。
匿名というのは、福井県から求めたものなのか、相手企業あるいは個人から求められたものなのか。福井県が求めたのであれば、特定の企業と癒着し寄附の見返りにその企業の活動に便宜を図ったのではないかと、当然疑われ、県民への説明責任を果たせません。企業が求めたのであれば、株主などへの説明責任が果たせない支出だということが想定されます。
そこでもし、相手が電力事業者であるならば、この間の40年を超す原発の運転延長を認めたことや、「もんじゅ」の運転再開了解など、福井県の原子力行政の判断が原発マネーによって歪められてきた証左ともなります。どこからの寄附ですか。巨額の寄附によって、県政の判断に影響はなかったんですか。真実はどうですか、知事の明確な答弁を求めます。
さて、今、原発から脱却し、再生可能エネルギーなどをどう進めていくか。全国各地の自治体での議論と取り組みが始まっております。実際にこれまでの資料で原発に頼る町と、再生可能エネルギーで需給を進める町を比較してみましょう。
2009年の経済センサス基礎調査から、各県の業種別の就業者割合を100として、産業別就業人口割合を見ると、福島原発の地元地域では、第1位が電気・ガス・熱供給の産業で372ということで、県平均の4倍近いということになっているわけです。福井県で見ると、美浜町では同じく、電気・ガス・熱供給が第1位で1,580人、高浜町では1,048人ということで、県平均の15倍とか10倍になっているわけですね。福島の原発立地地域以上に、いびつな就業構造となっていることがわかります。このことが、福島原発を受けてなお、原発依存の声が出てくる要因でしょう。製造業は、美浜では32、高浜では29と県内平均の3割程度と大きく落ち込んでおります。
一方、再生可能エネルギーに取り組む岩手の葛巻町では、農林漁業が354、電気関係が84、製造業が87。同じく、高知県の梼原町では農林漁業が331、電気関係が79、製造業が175ということで、再生可能エネルギーを軸に、町であっても産業構造のバランスが図られていることがうかがえます。
今、世界の流れも大きく変わっています。経済産業省の試算でも、新エネルギー分野で現在30兆円の世界の市場規模が、2020年には86兆円に膨らむと発表されました。この世界の流れからせめて外れないためには、福井県としての大方針を立てることが必要です。その点で、この間の県内の取り組みは、風力発電では、あわら市での2万キロワットがことしから稼働し始めたものの、全体としては不十分です。
かつて福井県は「福井県新エネルギー・省エネルギービジョン」を策定し、知事は「環境負荷の少ないエネルギーとしての新エネルギー導入や省エネルギー推進を図る。県は率先してさまざまな施策に積極的に取り組む」と表明しておりました。
今日、当時掲げた数値目標に照らして到達はどうか、またどう総括しているかをお尋ねします。
原発依存から脱却し、再生可能エネルギーで農林業や製造業など、地域産業活性化と雇用を創出していく福井のプランをつくり、市町や民間企業、農林業諸団体とともに強力に推進すべきではありませんか。
次に、新幹線計画についてお尋ねいたします。
今、最大の問題は、全国的に見てもすばらしい北陸本線が、新幹線計画によって県単位の第三セクターに切り刻まれてしまうことです。各県にJRなみの管理運営能力は期待できません。行財政的にも大変な負担となるでしょう。鉄道指令も各県ばらばらに配置されることで、JR時代のような機能は期待できません。また、利用者負担もJR運賃よりも40%もの大幅値上げが、石川県などでは想定されております。これでは、県民本位の鉄道ではありません。
さらに、富山県における枝線についてJR西日本は、経営分離をする考えは持っていないとした上で、輸送量が少なく経営的に苦しい地方交通のあり方を地元自治体と協議したいとの考えを明らかにしております。
福井県でも越美北線、小浜線の存続が問題となります。県は、枝線は並行在来線ではないと説明します。それは、そのとおりかもしれません。しかし、JRにすれば、本線を地方に任せたのに、何でもうかりもしない枝線だけ面倒見ないとだめなのかとなってくるのは、必定でしょう。既に、金沢までの新幹線開業は決まっていますが、在来線の第三セクターについても、きちんとJRが責任を持つ形で参画することが必要だと考えます。
そして、金沢以西の北陸線と枝線を切り刻むような新幹線計画は中止し、JRに責任を持たせることが県民益にかなうのではないでしょうか。このような新幹線計画について、朝日新聞の県民世論調査でも、新幹線の県内延伸は必要との回答は35%、必要ないとの回答が56%でした。少子高齢化時代と県民ニーズに合わない、在来線切り捨ての新幹線計画の見直しを強く求めます。
さて、富山県は、県債の発行に際し、国の許可が必要な起債許可団体に転落しましたが、その要因として、北陸新幹線の建設に伴い、県債発行が増加したことを上げております。新幹線計画や足羽川ダム計画など、少子高齢化時代、人口減少時代とマッチしない大型公共事業計画を進めようとしている福井県のあすの姿に重なるではありませんか。
このような事態となれば、当然、県民の福祉や教育が切り捨てられる可能性も出てまいります。そうである以上、福井県として県民が今後何を望むのか、しっかりと県民ニーズを把握する大規模な県民意識調査を行い、政策を考えるべきではありませんか。県庁の思い込みで重要政策を進めて、しりぬぐいを県民に求めることは許されません。とりわけ、新幹線計画については、在来線第三セクター化に伴うデメリットも明示して、県民の声を聞くべきではありませんか、お答えください。
また、金沢開業に伴う影響として、在来線特急の利便性が維持されるのかどうかは、福井県民はもちろん、関西・中京圏へのアクセスを求める鉄道利用者にとって大きな問題です。金沢開業でも現行のサンダーバードやしらさぎなどの在来線特急の運行本数の維持のために、福井県としてどう考え、石川・富山両県やJR西日本とどのような協議を行っているのか明らかに願います。
次に、農林水産行政でお尋ねします。
イノシシやシカなどの獣害の増加は、かつての自民党政治の減反政策のもとで耕作放棄地の増加、山村荒廃が進むのと軌を一にしております。民主党政権は、さらにTPPによって壊滅的な打撃を日本農業に与えようとしております。TPPに参加すれば、県の試算でも米の生産減少は307億円と推計され、生産量の減少率は97%です。農業を破壊し、結果として災害に弱い国土に荒廃させかねないTPPには、きっぱり反対すべきです。
さて、県内でもシカが木の皮や下草を食べることにより、立木の枯損や下草の消失など、生物環境の衰退を招いております。シカによる山林破壊で植生が変わっており、保水能力が大幅に低下している地域がふえ続けています。災害対策の上でも対応を急がなくてはなりません。
他県の事例では、シカ捕獲の拡大として、市町とともに猟友会のメンバーの協力を得て、常設捕獲班を編成する。新しい雇用が生まれるわけですね。狩猟期間中の捕獲量をふやすために、狩猟者に報償金を支給する、大量捕獲のわなを県が整備して活用するなどを行っているところがあります。
あわせて、シカ肉の消費拡大で有効活用するためには、シカ肉の普及の促進が必要ですし、学校給食などに活用しようとすれば、安定供給体制も必要です。ただ、このためには放血して短時間で解体処理しなければならないので、捕獲、放血、運搬、解体処理、安定供給のシステムをつくらなければなりません。ただ単に焼却処分とか埋設処分とかするだけではなくて、解体処理場の整備を行い、これとあわせて加工工場をつくれば、雇用創出にもつながります。捕獲量の抜本的拡大と、それを通じた地域おこし、雇用拡大について、県のお考えをお尋ねします。
次に、教育行政について、県立高校の学校図書費について質問します。
県立高校の学納金について、学校の冷房費、図書費、施設充実費などをPTA会費として徴収していますが、これらは本来県が負担すべきものです。こうした徴収の仕方は、PTAを迂回させているだけで、事実上の地方財政法第4条の5の寄附の強制に抵触するものであり、直ちに是正すべきものです。特に図書費を見れば、高校によっては140万円とか270万円とか、図書費のほとんどをPTAに頼っているケースも少なくありません。授業料が無償になってももろもろの負担が大きいわけですが、このような教育に不可欠な図書館図書まで、実態として「父母負担」にしているのは、改善が求められます。
県教委は、「PTAの判断です。発意で保護者の理解を得た上で、学校を支援していると考えております」と答えておりますけれども、校長先生がPTAの役員などをしたりしているわけですから、県教委の説明に説得力はありません。事実上の異常な強制寄附を放置することは重大であり、改善すべきではありませんか、教育長にお尋ねします。
最後に、地上デジタル放送の問題です。
NHKの解約申し出は、全国で9万件を超えたと報道されております。私のところにも相談がありますが、少なくない世帯が難視聴世帯となっていると思われます。
そこでお尋ねします。地上デジタル放送に対応できず、テレビを見ることができなくなった世帯の概況、県内のNHK解約申し出数とか、国の緊急措置での対応数、行政の対応状況についてお尋ねをします。
最近多発する災害を見ましても、テレビで情報が入らない世帯がふえるということは、防災対策上も重大な問題です。特に、高齢者世帯の場合は、インターネットや携帯端末で情報収集できる世帯も少ないでしょうから、災害情報から隔離されることが被災に直結する危険も生じてまいります。民生委員などを通じた高齢世帯の調査を行い、経済事情でテレビが視聴できなくなっている場合には、機器の提供だけではなくて、設置費用も行政の責任で負担するなどの応急対応が必要だと考えます。今後の県の対応方針をお尋ねして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えいたします。
まず、原子力についてであります。
原子力全体について御質問がございましたが、その中で敦賀3、4号機の増設計画などを見直すべきではないか。これ以上、福井県に新しい原発はつくらせない決断をすべきではないかということであります。
原子力・エネルギー政策につきましては、日本はもとよりでありますが、世界どこの国におきましても、国民生活の安定、あるいは国の発展、あるいは国家の安全保障に関する最重要事項にかかわる事項だと思っております。こうしたことの中で、去る15日に枝野経済産業大臣に対し、今回の福島の事故などを踏まえ、国は現実をしっかり直視していただきながら、冷静かつ透明性のある議論を行った上で、議論の進め方が国民に見通しが立ち、また、立地県にもわかる形で議論が進むようにということで、今後の方向性を早期に示すよう、強く要請をしているところであります。
敦賀3、4号機につきましては、平成16年に国の安全審査と現場での準備工事が開始しており、現状では海域の埋立工事が完了するなど、着工に向けた準備が進められている現状にあります。
今後、国が判断するに当たりましては、こうした現地の状況や立地地方公共団体の意見を十分に考慮して判断する必要があると考えております。
次に、原発施設の安全性が低下する使用済み燃料プールの増設は、認めるべきではないというお考えのもとでの質問ということになります。
これにつきましては、県は使用済み燃料プールの新しい増設計画の、若干御紹介のようなものがありましたが、そういう話は聞いてございません。使用済み燃料の再処理や中間貯蔵施設などのいわゆるバックエンド対策については、核燃料サイクル政策上の重要な課題として、国家的見地から解決されるべきものと認識しており、国が前面に立ち、着実かつ責任を持って解決すべき事柄であります。
そのため、これも去る15日、枝野経済産業大臣、また中川文部科学大臣に対し、こうした核燃料サイクル政策については、安全性、あるいは技術的成立性、経済性、海外の動向について慎重に検討し、中長期的にブレない、軸をはっきりした確固たる方向性を示すよう要請しているところであります。
次に、「福井県の新エネルギー・省エネルギービジョン」の到達状況。また、今後再生可能エネルギーによって、地域産業活性化と雇用を創出していく福井のプランをつくり、市や町、民間企業、あるいは農業団体、いろんな団体と力を合わせて推進すべきではないかという御質問であります。
平成12年、大分前になりますけれども、に策定した「新エネルギー・省エネルギービジョン」の到達については、太陽光発電が平成22年度目標値3万3,000キロワットに対し、実績1万9,000キロワット、風力発電が目標3,000キロワットに対し、実績2万2,000キロワットということになっております。
現在、県としては平成20年11月につくりました「環境基本計画」に基づき、住宅用太陽光発電設備の設置促進や、電気自動車の普及拡大を進めております。今回の福島原発事故を受けまして、今後は「エネルギーの多角化」をさらに積極的に推進していくことが重要であります。
このため、太陽光発電や風力は発電の普及拡大を図ることはもとより、この11月を目途に福井県経済新戦略の行動計画をつくり、新エネ・省エネ関連分野の研究開発や関連産業の立地促進等の政策を強力に推進していく予定であります。
また、農業用水での小水力発電の整備や山林、林地にあります間伐材などを活用した木質バイオマス燃料の供給拡大に向けた政策についても着実に進めてまいります。
次に、大きく新幹線の御質問をいただきました。
新幹線計画については、在来線第三セクター化に伴うデメリットなども明示し、県民の皆さんの声を聞いて、考え方を進めるべきではないかということであります。
北陸新幹線については、ただ目先の問題ではなくて、また、日常生活レベルだけの議論では、これはおさまらないわけでありまして、本県の将来にとって新幹線がどういう役割を果たすのか。また、我々の後の世代にとって、また産業の発展にとってどのような役割を果たすのかということを考え、対応する必要があると思っております。このプロジェクト自身は、極めて重要な国家プロジェクトであり、日本全体の高速交通体系の国土軸を形成すべき事業だと思っております。
北陸3県での地域格差の問題でありますとか、沿線まちづくりに大きな影響も及ぼすわけでありまして、早期に整備を進める必要があると考えます。これまでも新幹線の必要に加えまして、在来線や地方負担の問題についてもさまざまなパンフレット、ホームページなどにより、先行している全国の新幹線の事例、その地域の町の実態なども紹介するなど、機会あるごとに幅広く県民に対し説明に努めてきているところあります。
新幹線の整備促進に当たりましては、県民の御理解が必要不可欠であり、これからも県内延伸に向け、県民に十分説明しながら進めてまいりたいと考えます。
その他については、関係部長から御答弁いたします。
◯議長(田中敏幸君) 総合政策部長東村君。
〔総合政策部長東村健治君登壇〕
◯総合政策部長(東村健治君) 私のほうから5点お答え申し上げます。
まず、福島原発事故1周年で開催すべきは原子力推進の国際会議ではなく、福井県民向けの説明会ではないかという御意見でございます。
アジア12カ国の原子力関係行政機関のトップが一堂に会するアジア原子力協力フォーラム、FNCAでございますが、このコーディネーター会合は、主催が内閣府、原子力委員会、文部科学省でございます。このFNCAは、医学、農業、工業、人材育成等の分野におけるアジア地域の原子力平和利用協力を行う枠組みでございます。福島の事故後も、引き続きアジア各国の我が国の原子力協力に対する希望があることから、国も本会合の今年度末の開催を予定しております。
県におきましては、本年4月に「福井県国際原子力人材育成センター」を設置いたしまして、国際的な原子力人材育成の拠点形成を進めるとともに、陽子線がん治療センターの整備など、原子力の平和利用を推進しております。
当会合において、こうしたエネルギー研究開発拠点化計画の取り組みを参加各国に御紹介するとともに、この国際会議の開催を通じ、アジアの安全技術、人材育成に対し貢献してまいりたいと考えております。
2点目は、嶺南地域の振興を目的とした匿名の寄附は、どこからの寄附なのか。寄附によって県政の判断に影響はなかったのかというお尋ねでございます。
平成18年度以降の嶺南地域振興のための寄附につきましては、敦賀までの直流化事業に対して、民間企業から寄附していただいたものでございます。この事業にかかる地元負担額は約68億円であり、県が約23億円、市町が約15億円、民間が30億円を負担していただいております。民間資金につきましては、嶺南地域の商工会議所等で構成する嶺南地域振興推進協議会が中心となって、所要額を確保することとし、経済界に対して寄附を呼びかたものでございます。
寄附の金額等につきましては、30億円というように事業概要とともに公表しておりますが、寄附者名につきましては、今回寄附者の御意向もあり、公表いたしておりません。御了解いただきたいと思います。
この寄附につきましては、企業が地域社会の一員として福井県の発展を願って、嶺南地域の振興に貢献するために寄附したものであり、県政の判断には何ら影響を及ぼすものではないと考えております。
3点目でございますが、新幹線の金沢開業で在来線特急の運行本数の維持を福井県としてどのように考えているのかというお尋ねでございます。
一日に23往復しております「サンダーバード」と16往復している「しらさぎ」は、福井と関西、中京を結ぶ、福井には欠かせない重要な列車でございます。金沢開業後も利便性が維持されることが必要であると考えております。福井と首都圏の人の流れは、東海道新幹線利用から北陸新幹線利用にシフトすることが予想され、「しらさぎ」の便数に影響が出る懸念もございますが、JRからは今のところ、金沢以西の便数を見直すとは聞いておりません。
「サンダーバード」「しらさぎ」は、他の特急に比べ乗車率の高い列車でありまして、金沢開業後も便数が確保されるよう、石川、富山とも連携してJRに対し要請してまいりたいと考えております。
また、議員より御指摘のありました越美北線などの支線につきましては、並行在来線として取り扱わないということをJR西日本と既に合意しておりまして、今後もJR西日本において運営していただけるものと認識していることを申し添えます。
4点目でございます。地上デジタル問題につきまして、県内のNHK解約申し出数、7月24日以降の国の緊急措置での対応数、行政の対応状況についてのお尋ねでございます。
総務省北陸総合通信局によりますと、県内世帯の地上デジタル化につきましては、大きな混乱もなく移行できたと聞いております。なお、NHKによりますと、都道府県ごとの解約申し出件数は精査中でありまして、現時点ではわからないとのことでございます。また、国の緊急措置におきます対応としては、7月24日以降のチューナー貸し出し分と、生活保護世帯等に対するチューナー無償支援分を合わせると、約760世帯に対応したと聞いております。
地上デジタル化につきましては、国策でありまして、総務省がテレビ受信者支援センター、通称デジサポでございますが、これを中心に経済的弱者の方に対する地デジチューナーの無償支援などのさまざまな施策を実施しておりまして、県としては広報誌やホームページ等を通じた周知広報等の協力・支援を行ってきたところでございます。
同じく、地デジに関しまして、経済事情でテレビが視聴できなくなっている場合等に、設置費用も行政の責任で負担するなどの応急対応が必要だと考えるが、県の対応方針についてのお尋ねでございます。
総務省デジサポ福井では、従来から各地域への自治会や民生委員などのネットワークを活用し、高齢者への支援、声かけ活動を行ってまいりました。今後は、さらに社会福祉協議会や在宅介護事業者等に対しまして、高齢者への個別の声かけを依頼し、高齢者世帯への対応をしていくこととしております。
一方、経済的事情でデジタル化が困難な世帯への対応につきましては、NHK受信料免除の約4.500世帯に対しまして、これまでデジタルチューナーの配布、設置工事を無償で行うとともに、住民税の非課税の約1,300世帯に対しましても、無償でデジタル化チューナーを配布する対応を行っております。
県としては、今後とも国に対し、適切な対応を働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
〔安全環境部長石塚博英君登壇〕
◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは、放射線被害の想定マップを県民に明らかにすべきではないかという問いについてお答え申し上げます。
福島第一原子力発電所の事故を受けた放射性物質の拡散予測を作成いたしますには、前提となります放射性物質の放出量や放出継続時間、放出核種の組成などのデータが必要でございますけれども、現在、国の複数の機関が異なる放出量の推計値を示しているなど、事故の調査・検証はまだ確定しない状況にございます。
また、国においては、原子力防災指針の見直しを検討中でございまして、原子力災害の被害設定や避難範囲を想定するに当たりましては、EPZの範囲など、防災指針の見直しについても、その状況を見きわめる必要がございます。
このため県では、国に対し、EPZなどを含みます防災指針の早期見直しを求めておりまして、今月15日にも改めて強く要請したところでございます。防災指針に基づきました防災対策を講じるための要素でございます事故想定でありますとか放射性物質の拡散予測などにつきましては、国が責任を持って早急に明らかにする必要があると、このように考えております。
◯議長(田中敏幸君) 農林水産部長山田君。
〔農林水産部長山田義彦君登壇〕
◯農林水産部長(山田義彦君) シカの捕獲量の抜本的拡大と、それを利用した地域おこし、雇用拡大についてお尋ねをいただきました。
県では、シカやイノシシなどの捕獲を進めますために、すべての市町で有害鳥獣捕獲隊を編成いたしますとともに、捕獲経費に対しまして、1頭当たり最大7,000円の補助を行っているところでございます。この結果、平成22年度はシカを7,209頭、イノシシを4,631頭など、合計で平成21年度より約5,800頭多い1万3,600頭以上を捕獲したところでございます。
さらに、今年度は本県が独自に開発いたしました、シカを一度に10頭程度捕獲できる大量捕獲器の導入を支援するなど、捕獲の強化を図っているところでもございます。また、獣肉の利活用につきましては、獣の肉でございますが、獣肉を食べる文化が余りない本県におきましては、消費需要を拡大させていくことが、まずは重要ではないかというふうに考えております。
このため、現在、県内各地での試食会、また獣肉料理提供店の紹介などの啓発を行っておりますが、これに加えまして、今後は一般家庭向けの料理レシピの開発、また料理講習会などを行いまして、獣肉を食に供する文化の普及・定着に努めてまいりたいというふうに考えております。
なお、平成19年度に県及び福井市の補助によりまして、福井市殿下地区に整備されました食肉加工施設につきましては、「ふくいウエストサイドジビエの会」が順調に運営を続けております。また、今年度、嶺南6市町が共同で整備を進めております焼却施設に併設する形で、若狭町が加工施設の整備を計画いたしております。
県では、このように地域、また市町が進める加工施設の整備、また特産品化などに対しまして、技術面、運営面での助言・支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
◯議長(田中敏幸君) 教育長広部君。
〔教育長広部正紘君登壇〕
◯教育長(広部正紘君) 県立学校図書費へのPTAからの寄附についてお答えを申し上げます。
県立学校の図書の購入につきましては、学校運営費の中で各学校が教育上必要な図書を購入いたしております。そのほか、各学校のPTAにおきまして、総会で保護者の方々の御理解を得た上で、学校によって金額等はさまざまでありますが、図書を購入していただいているとも聞いております。これは、あくまでもPTA、保護者の方々の図書充実のための自発的な支援であると考えておりまして、学校から強制しているわけではございません。
これまでも各PTAに対しては、学校への支援としての図書の購入やその実績等につきまして、会員である保護者の方々に十分に説明していただくようお願いしております。これからも校長会などを通しまして、さらにこういった旨を周知徹底していきたいと考えております。
◯議長(田中敏幸君) 残り質問時間、約11秒です。簡潔に願います。
佐藤君。
◯7番(佐藤正雄君) 知事にだけ質問します。
増設計画と核燃料プールの増設計画について、知事は正面からお答えになりませんでしたが、こういう増設計画が今始まっているし、プールの計画は関電が保安院と相談しているんですよ。だから、より危険になることはやめるべきではないかということを求めているんで、その点だけちゃんと正面から御答弁ください。
◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
◯知事(西川一誠君) 使用済み燃料といいましょうか、核燃料等については、そういう実態は聞いておりません。一方で、核燃料プールの問題については、国に対し、今回の福島事故の知見を踏まえて、安全対策、また将来どうするんだ、そういう方向性を求めております。
それから、3、4号機につきましては、現在国において新しい原発をどうするか、それから、国の基本的なこれからの原子力発電所及び増設の計画をどうするかという方向の中で、国における方針が出される。我々は、それに対して意見を述べると、こういう構造になっています。